睡眠サプリは本当に効く?

睡眠サプリは本当に効く?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効かない

睡眠サプリ全体としては効きません。効くと確かめられた成分は、メラトニンとL-テアニンの2つだけで、改善は小さいです。

根拠

睡眠サプリをまとめた2025年のメタ解析(RCT28件)では、睡眠の質のスコアは平均0.70点しか良くなりませんでした [1]。ハーブのRCT14件・1602人のメタ解析ではプラセボと差がなく [2]、配合サプリの試験2本でも差がありませんでした [3] [4]。成分別では、メラトニンとL-テアニンで小さな改善が出ています [5] [6]。根拠の確かさは低めです。成分も対象者もばらばらの研究が混ざっているためです。

この答えの範囲

メラトニンは日本では食品のサプリとして売られていません。ここで調べたのは眠りへの効き目だけで、安全性は含みません。

じゃあ、どうする?

試すなら、中身が分かる単独の成分から。日本で買える成分では、L-テアニンに睡眠の質の小さな改善を示したメタ解析があります [6]。眠れない状態が続くときは、サプリを足す前に医師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1820研究件数と参加人数
一致度1525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 88 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・RCT のメタ解析 3 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

睡眠サプリとは

睡眠サプリは、眠りを助けるとされる成分を含む健康食品の総称です。アミノ酸(テアニン・グリシンなど)、ミネラル(マグネシウムなど)、ハーブ(バレリアン・カモミールなど)があり、複数を混ぜた配合品も多く売られています。成分ごとに結果が違うのが特徴です。注意点は、メラトニンが日本では医薬品の成分として扱われ、食品のサプリとしては売られていないことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、中国の華南農業大学などの研究チームが2025年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の比較試験の結果を合算して、全体の傾向を見る方法です。

研究の種類睡眠のためのサプリを調べたRCTのメタ解析(28件)
対象眠りに問題がある人と健康な人
比べたものトリプトファン・ビタミンD・オメガ3・亜鉛・抗酸化物質などのサプリと、プラセボ(偽薬)
結果睡眠の質のスコア(PSQI、低いほど良い)が平均0.70点良くなった
まとめて分析した結果サプリ全体の差は、平均0.70点とわずかでした [1]。

寝つくまでの時間と夜中に起きている時間も短くなりましたが、効果量は小さいものでした。

全体では効かないのに、成分では効くのはなぜ?

効かなかった成分と、効いた成分が、同じ平均の中に混ざっているためと考えられます。2022年に発表された別のメタ解析(RCT31件)でも、アミノ酸・メラトニン・ビタミンDでは睡眠の質のスコアが良くなりました [7]。ただしメラトニンとビタミンDは、研究ごとの結果のばらつきが大きいものでした。マグネシウムや亜鉛は、まとめられるデータが足りませんでした。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

不眠のある人でハーブを調べると、差が出ませんでした。バレリアン・カモミール・カバなどを飲んだRCT14件のメタ解析では、13の評価項目のどれでもプラセボと差がありませんでした [2]。

差がなかったメタ解析不眠のある1602人(RCT14件)

13の評価項目のどれでも、ハーブとプラセボに差はありませんでした。

配合サプリの試験も同じでした。眠りに問題がある大人64人が6週間飲んだ試験では、自分で感じる睡眠も機器で測った睡眠も、プラセボより良くなりませんでした [3]。トレーニングをしている健康な男性17人の試験でも、差はありませんでした [4]。一方、若い男女16人の3日間の小さな試験では、寝つくまでの時間が平均24分短くなっています [8]。人数が少なく期間も短いため、全体の結論は変わりません。

成分別の結果

  • メラトニン: 不眠症の大人で、徐放型のメラトニンは、自分で感じる寝つくまでの時間をプラセボより平均6.30分短くしました(ラメルテオンという薬も含む22件のメタ解析)[5]。睡眠障害のある1683人の別のメタ解析では平均7.06分で、効果は小さいものでした [9]。一方、慢性の不眠症の大人に限ると、寝つくまでの時間は良くなりませんでした(RCT24件)[10]。不眠症の薬を比べたRCT154件のまとめでは、メラトニンは全体として意味のある効果を示しませんでした [11]。
  • L-テアニン: 自分で感じる睡眠の質がプラセボより良くなりました(RCT12件、効果量の目安は標準化平均差0.43)[6]。ただしテアニン単独の研究は少なく、ほかの成分との配合品の研究を含みます。詳しくは L-テアニンは睡眠に効く? へ。
  • マグネシウム: 不眠のある高齢者151人(RCT3件)で、寝つくまでの時間が平均17.36分短くなりました [12]。大人のRCT12件のレビューでは結果がそろいませんでした [13]。根拠の確かさは低めです。研究の作りに弱さがあり、結果のばらつきも大きいためです。
  • ハーブ(バレリアンなど): 上のとおり、差はありませんでした。バレリアンの系統的レビュー8本のまとめでも、不眠の治療としての効果の根拠は見つかっていません [14]。

よく言われていることは本当?

  • 睡眠サプリを飲むと眠りの質・深さが良くなる全体では効きません。 平均の差は0.70点と小さく、ハーブと配合品の試験では差がありませんでした [1] [2]。
  • メラトニン・グリシンで寝つきが良くなるメラトニンは本当です。 効果は小さく、慢性の不眠症の大人だけを調べたメタ解析では差がありませんでした [5] [10]。グリシンは、単独の研究が見つかっていません。
  • L-テアニンでリラックスして眠れる睡眠の質については効きます。 効果は小さめです [6]。
  • マグネシウムが眠りを助ける高齢者の寝つきには効きます。 ただし根拠の確かさは低めで、大人全体では結果がそろいません [12] [13]。
  • 睡眠薬と違って依存の心配がないこの記事では効き目だけを調べたため、研究では確かめていません。

02注意点

研究で使われた条件はさまざまです。たとえば配合サプリの試験は、PSQIが5以上の大人に6週間飲んでもらう形でした [3]。睡眠の質のスコアはPSQIなどの質問票が中心で、本人の感じ方が結果に出ます。持病がある人、薬を飲んでいる人、妊娠中の人は、飲む前に医師か薬剤師に確認してください。海外のメラトニン製品の個人輸入も、先に医師へ相談しましょう。

成分名で選ぶ

「睡眠サプリ」と一括りにせず、何が入っているかで考えてください。

03まとめ

成分ごとに見ると、メラトニンとL-テアニンは効き、ハーブは効きません。
サプリ全体の平均では、差はわずかです。
試すなら単独の成分から。眠れない状態が続くなら、医師に相談しましょう。詳しい生活の整え方は 睡眠の質を高める方法は? にあります。

04よくある質問

Q飲んでから、どのくらいで効きますか?

研究では、3日間から6週間の試験があり、何日で効くとは言えません [[36094342]] [[38580720]]。

Qバレリアンやカモミールは眠れるようになりますか?

不眠のある人のRCT14件のメタ解析では、プラセボと差がありませんでした [[25644982]]。カモミールは [カモミールティーは睡眠に効く?](/evidence/chamomile-sleep) で詳しく扱っています。

Q複数の成分が入った配合品のほうが効きますか?

今回の配合品の試験では、64人と17人のどちらも差がありませんでした [[38580720]] [[39983739]]。配合品は、どの成分が効いたのかも分かりません。

QGABAはどうですか?

別の記事で扱っています。[GABAは睡眠に効く?](/evidence/gaba-sleep) をご覧ください。

05参照した論文

判定に使った主な論文(14本)

[1]睡眠サプリと睡眠の質の改善を調べたRCTのメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・華南農業大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究28件を統合
結果の向き
良い方向

睡眠のためのサプリのRCT28件で、睡眠の質のスコアが平均0.70点良くなった。

[2]不眠症に対するハーブ療法のメタ解析

発表年
2015年
研究機関
オーストラリア・南オーストラリア大学
掲載誌
Sleep medicine reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,602人
結果の向き
差なし

不眠のある1602人 (RCT14件) で、バレリアン・カモミール・カバなどのハーブは、どの評価項目でもプラセボと差がなかった

[3]睡眠に問題がある人への配合サプリのランダム化比較試験

発表年
2024年
研究機関
コロンビア・ロス・アンデス大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
64人
結果の向き
差なし

眠りに問題がある大人64人で、配合サプリは睡眠がプラセボより良くならなかった。

[4]テアニンなどを含む寝る前の飲み物が睡眠に与える影響

発表年
2025年
研究機関
オーストラリア・オーストラリアカトリック大学
掲載誌
International journal of sport nutrition and exercise metabolism
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
17人
結果の向き
差なし

健康な成人男性17人で、寝る前の飲料はプラセボと差がなかった。

[5]成人の不眠症に対するメラトニンとラメルテオンの効果のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
フランス・パリ公立病院機構
掲載誌
Journal of sleep research
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,875人
結果の向き
良い方向

不眠症の大人の研究22件で、徐放型メラトニンは寝つくまでの時間を平均6.30分短くした。

[6]テアニンの睡眠への効果を調べたランダム化比較試験のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
オーストラリア・キャンベラ大学
掲載誌
Sleep medicine reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
897人
結果の向き
良い方向

RCT12件で、睡眠の質のスコアがプラセボより良くなった。

[7]睡眠の質を高めるサプリの効果を調べたメタ解析

発表年
2022年
研究機関
香港・香港理工大学
掲載誌
Postgraduate medical journal
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究31件を統合
結果の向き
良い方向

RCT31件で、アミノ酸・メラトニン・ビタミンDで睡眠の質のスコアが良くなった。

[8]栄養による寝つき・睡眠時間・睡眠効率の調整を調べた二重盲検の交差試験

発表年
2023年
研究機関
イギリス・リバプール・ジョン・ムーア大学
掲載誌
Medicine and science in sports and exercise
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

若い男性9人・女性7人の配合サプリで、寝つくまでの時間が平均24分短くなった。

[9]睡眠障害のある人の寝つきと睡眠へのメラトニンの効果

発表年
2013年
研究機関
ブラジル・サンパウロ大学
掲載誌
PloS one
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,683人
結果の向き
良い方向

1683人(19件)で、寝つくまでの時間が平均7.06分短くなった。

[10]慢性的な不眠に対するメラトニンのRCTのメタ解析

発表年
2022年
研究機関
韓国・慶熙大学
掲載誌
Sleep medicine reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究24件を統合
結果の向き
差なし

慢性の不眠症のRCT24件で、大人では寝つくまでの時間が良くならなかった。

[11]成人の不眠症に対する薬の効果を比べたネットワークメタ解析

発表年
2022年
研究機関
イギリス・オックスフォード大学
掲載誌
Lancet (London, England)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

RCT154件で、メラトニンは全体として意味のある効果を示さなかった。

[12]高齢者の不眠に対するマグネシウムのメタ解析

発表年
2021年
研究機関
カナダ・ダルハウジー大学
掲載誌
BMC complementary medicine and therapies
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
151人
結果の向き
良い方向

高齢者151人(RCT3件)で、寝つくまでの時間が平均17.36分短かった。

[13]マグネシウムの睡眠への効果のRCTの系統的レビュー

発表年
2026年
研究機関
オーストラリア・企業の研究部門
掲載誌
Journal of dietary supplements
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究12件を統合
結果の向き
結果が割れている

大人のRCT12件で、結果は研究ごとにそろわなかった。

[14]バレリアンは不眠に効くか:アンブレラレビュー

発表年
2024年
研究機関
ポルトガル・Valente Vほかの研究チーム
掲載誌
European neuropsychopharmacology : the journal of the European College of Neuropsychopharmacology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

系統的レビュー8本のまとめで、不眠の治療としての効果の根拠はなかった。

ほかに参考にした論文(10本)

判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。