寝る前のホットミルクは睡眠に効く?

寝る前のホットミルクは睡眠に効く?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効くが、差はごく小さい

牛乳・乳製品は、睡眠の質に効きます。差はごく小さいです。

根拠

牛乳・乳製品をとった臨床試験4件のメタ解析で、睡眠の質の質問票の点数が良くなりました [1]。牛乳由来の成分・強化乳・発酵乳の試験11件のまとめでも、睡眠効率が良くなりました [2]。日本の大人60,633人の調査では、牛乳を1日1回より多く飲む人は、週1回未満の人より不眠が少ない傾向と関連していましたが、差は小さい値です (オッズ比0.91) [3]。

この答えの範囲

牛乳・乳製品を調べた研究の結果です。

じゃあ、どうする?

夜に牛乳を飲む習慣がある人は、続けて構いません。ただ、大きな変化は期待せず、寝室を暗くするなど、ほかの方法と組み合わせるのが現実的です。乳糖でお腹がゆるくなる人は、量を控えめに。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。11 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 97 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量17.220研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 97.2 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 97 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本・観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ホットミルクとは

ホットミルクは、牛乳を温めた飲み物です。寝る前に飲むと眠りやすくなるとされ、はちみつやシナモンを加える人もいます。理由として、牛乳に含まれるアミノ酸のトリプトファンや、温かさによるリラックスがよく挙げられます。これらは、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、ブラジルのマットグロッソ連邦大学などの研究チームが2025年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た研究の結果を集めて数字でまとめる方法です。牛乳・乳製品をとった臨床試験9件が検討され、4件が統合されました。

研究の種類牛乳・乳製品をとった臨床試験のメタ解析
対象臨床試験4件 (統合した分)
比べたもの牛乳・乳製品をとったグループと、とらなかったグループ
結果睡眠の質の質問票 (PSQI) の合計点が下がり、眠りの自己評価が良くなった
メタ解析の結果牛乳・乳製品をとると、睡眠の質の質問票の点数が良くなりました [1]。

睡眠の質は本人の回答で測っていて、機器で測った睡眠ではありません。

結果は別の研究でも同じ向きです。牛乳由来の成分・強化乳・発酵乳の試験11件をまとめた2026年のメタ解析では、寝床にいる時間のうち眠っている割合が良くなりました (標準化平均差0.45) [2]。日本の20〜74歳の60,633人を調べた調査では、牛乳を1日1回より多く飲む人は、週1回未満の人より不眠の人の割合が低くなっていました (オッズ比0.91) [3]。

効果はどのくらい?

効果の大きさは、日本の調査のオッズ比0.91がもとです [3]。1に近いほど差が小さい値で、差はごく小さいと読みます。この調査は一時点の観察研究で、牛乳が不眠を減らしたとは言えず、「関連している」までです。女性では同じ傾向が見られましたが、男性では見られませんでした。

メタ解析の2本には、読むときの注意があります。2025年のメタ解析は統合した試験が4件と小さく、さらに質の高い研究が必要だと著者も書いています [1]。2026年のメタ解析は、ふつうの牛乳ではなく、牛乳由来の成分・強化乳・発酵乳をまとめたものです [2]。その標準化平均差0.45は、こうした成分や強化乳を含む値で、ふつうの牛乳だけの効果の大きさではありません。

ホットミルクの「温かさ」は調べられている?

調べられていません。ホットミルクと冷たい牛乳 (または温かい飲み物と常温の飲み物) を比べて睡眠を測った研究は、PubMed の検索では見つかりませんでした。上の結果は、温度にかかわらず牛乳・乳製品をとったときの話です。

よく言われていることは本当?

  • 寝る前のホットミルクで眠りが良くなる牛乳・乳製品では、小さな差ですが良くなっています。 ただし温かさを調べた研究はありません [1] [3]
  • 牛乳のトリプトファンで眠くなる条件によります。 トリプトファンのサプリの研究4件のまとめでは、夜中に目が覚めている時間が短くなりましたが、ほかの睡眠の項目に差はありませんでした [4]
  • はちみつを加えると眠りに良い心臓の病気で入院中の人の1件だけで、研究が足りません [5]
  • 温かい飲み物で体温が下がるときに眠くなる研究が見つかっていません。
  • カルシウムが心を落ち着かせる研究が見つかっていません。 カルシウムだけを睡眠で調べた研究は見つかりませんでした。
  • 飲むとほっとしてリラックスできる研究が見つかっていません。 ホットミルクのリラックス効果を測った研究はありませんでした。
  • 乳糖でお腹がゆるくなる人もいる寝る前の牛乳と睡眠への悪影響を調べた研究は見つかっていません。

トリプトファンは効く?

条件によります。牛乳たんぱく (α-ラクトアルブミン) の研究8件の系統的レビューでは、睡眠が良くなったのは5件で、残りは差がありませんでした。悪くなった研究はありませんでした [6]。

試験の量は、牛乳たんぱくで20〜60gです [6]。睡眠に悩みのある運動経験者19人では、40gを3晩とると浅めのノンレム睡眠が増え、レム睡眠が減りました [7]。一方、睡眠に悩みのある運動選手24人に40gを7晩とった試験では、睡眠は良くなりませんでした [8]。大学の女子運動選手21人でも差はありませんでした [9]。

コップ1杯の牛乳に含まれるトリプトファンは、これらの試験の量よりずっと少ないため、試験の結果をそのまま当てはめることはできません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

牛乳・乳製品でも、全員に効くわけではありません。

  • 施設で暮らす高齢者では、夜にしぼったメラトニンの多い牛乳を8週間飲んでも、睡眠の質の変化は季節の影響が中心でした [10]
  • 健康な高齢者29人が乳酸菌発酵乳を3週間飲んだ試験では、偽の飲み物との差は統計的に有意ではありませんでした [11]
  • 日本の調査では、乳酸菌飲料を週3〜6回飲む人は、不眠が多くなっていました (オッズ比1.20) [3]
差がなかった試験健康な高齢者29人 (乳酸菌発酵乳を3週間)

睡眠効率は良くなりましたが、偽の飲み物との差は統計的に有意ではありませんでした [11]。

はちみつ入り牛乳は?

心臓の病気で集中治療室に入院中の患者68人の試験が1件あります。はちみつ入り牛乳を毎日2回・3日間飲んだグループは、飲まなかったグループより3日目の睡眠の自己評価が良くなりました [5]。根拠の確かさは低めです。研究の数が1件だけで、対象が入院中の患者に限られるためです。ふだんの家庭での研究はまだありません。はちみつ単独の話は 寝る前のはちみつは睡眠に効く? にまとめています。

02注意点

研究の多くは、牛乳・乳製品を一定期間とった人の睡眠を質問票で測ったものです。乳酸菌飲料は、日本の調査で不眠が多い関連 (オッズ比1.20) も出ています [3]。牛乳でお腹の調子が悪くなる人、持病や服薬のある人、不眠が続く人は、医師や薬剤師に相談してください。

牛乳だけで不眠を治そうとしない

眠れない日が続くときは、飲み物を変えるより、医療機関に相談するほうが確実です。

03まとめ

牛乳・乳製品は睡眠の質に効きますが、差はごく小さい、というのが研究の答えです。
ホットミルクの温かさや、トリプトファン、はちみつの効果は、まだ確かめられていません。
習慣として楽しみつつ、寝室の環境など、ほかの方法も合わせてみましょう。

04よくある質問

Q冷たい牛乳でも同じですか?

温かい牛乳と冷たい牛乳を比べた研究は見つかっていません。研究で確かめられているのは、温度に関係なく牛乳・乳製品をとったときの話です。

Qカモミールティーとどちらが良いですか?

ホットミルクとハーブティーを直接比べた研究は見つかっていません。カモミールについては、[カモミールティーは睡眠に効く?](/evidence/chamomile-sleep) をご覧ください。

Q寝る前に飲むと、お腹がゆるくなりませんか?

寝る前の牛乳と睡眠への悪影響を調べた研究は見つかっていません。乳糖でお腹の調子が変わる人は、量を控えめにして様子をみてください。

Qはちみつを入れると効果が上がりますか?

研究で確かめられているのは、心臓の病気で入院中の患者68人の1件だけです [[30390870]]。ふつうの生活での効果は、研究では確かめられていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(11本)

[1]牛乳・乳製品の摂取と睡眠の質の系統的レビューとメタ解析

発表年
2025年
研究機関
ブラジル・マットグロッソ連邦大学
掲載誌
Cureus
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究4件を統合
結果の向き
良い方向

牛乳・乳製品をとった臨床試験4件をまとめ、睡眠の質の質問票の点数が下がった。

[2]牛乳由来の成分・強化乳・発酵乳が睡眠の質に与える影響のメタ解析

発表年
2026年
研究機関
シンガポール・シンガポール国立大学
掲載誌
Nutrition reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究11件を統合
結果の向き
良い方向

試験11件をまとめ、睡眠効率が良くなった (標準化平均差0.45)。

[3]日本の地域コホートにおける牛乳・乳製品の摂取と不眠症状の関連

発表年
2025年
研究機関
日本・労働安全衛生総合研究所
掲載誌
Nutrition and health
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
60,633人
結果の向き
良い方向

日本の大人60,633人の調査で、牛乳を多く飲む人は不眠が少ない傾向だった (オッズ比0.91)。

[4]トリプトファンのサプリが睡眠の質に与える影響のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
シンガポール・シンガポール国立大学
掲載誌
Nutrition reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究4件を統合
結果の向き
良い方向

4件をまとめ、夜中に目が覚めている時間が短くなった。

[5]冠動脈疾患の患者の睡眠に対する牛乳とはちみつの効果

発表年
2018年
研究機関
イラン・セムナン医科大学
掲載誌
Clinical nutrition ESPEN
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

入院中の患者68人で、はちみつ入り牛乳を飲んだグループの睡眠の自己評価が3日目に良かった。

[6]α-ラクトアルブミンと睡眠の系統的レビュー

発表年
2024年
研究機関
オーストラリア・ディーキン大学
掲載誌
Journal of sleep research
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
結果が割れている

研究8件のうち、睡眠が良くなったのは5件だった。

[7]夜のα-ラクトアルブミンが睡眠の構造に与える影響

発表年
2025年
研究機関
オーストラリア・ディーキン大学
掲載誌
International journal of sport nutrition and exercise metabolism
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
19人
結果の向き
結果が割れている

運動経験者19人で、40gを3晩とると浅めのノンレム睡眠が増えた。

[8]就寝前のαラクトアルブミンは、運動習慣のある人の睡眠を改善するか

発表年
2025年
研究機関
オーストラリア・ディーキン大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
24人
結果の向き
差なし

運動選手24人に40gを7晩とっても睡眠は良くならなかった。

[9]寝る前の乳由来たんぱく質は女子選手の睡眠と回復を妨げない

発表年
2026年
研究機関
アメリカ・フロリダ州立大学
掲載誌
Journal of the International Society of Sports Nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
21人
結果の向き
差なし

女子運動選手21人で、40gをとっても睡眠に差はなかった。

[10]メラトニンの多い夜の牛乳が高齢者の睡眠に与える影響

発表年
2005年
研究機関
フィンランド・クオピオ大学
掲載誌
Nordic journal of psychiatry
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

施設の高齢者が8週間飲んでも、睡眠の質の変化は季節の影響が中心だった。

[11]乳酸菌発酵乳が高齢者の睡眠に与える影響

発表年
2009年
研究機関
日本・大阪大学
掲載誌
European journal of clinical nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

健康な高齢者29人で、睡眠効率は良くなったが、偽の飲み物との差は有意ではなかった。

ほかに参考にした論文(6本)

判定「効くが、差はごく小さい」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。