[1]牛乳・乳製品の摂取と睡眠の質の系統的レビューとメタ解析
- 発表年
- 2025年
- 研究機関
- ブラジル・マットグロッソ連邦大学
- 掲載誌
- Cureus
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究4件を統合
- 結果の向き
- 良い方向
牛乳・乳製品をとった臨床試験4件をまとめ、睡眠の質の質問票の点数が下がった。

牛乳・乳製品は、睡眠の質に効きます。差はごく小さいです。
牛乳・乳製品を調べた研究の結果です。
夜に牛乳を飲む習慣がある人は、続けて構いません。ただ、大きな変化は期待せず、寝室を暗くするなど、ほかの方法と組み合わせるのが現実的です。乳糖でお腹がゆるくなる人は、量を控えめに。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 17.2 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 97.2 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 97 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本・観察研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ホットミルクは、牛乳を温めた飲み物です。寝る前に飲むと眠りやすくなるとされ、はちみつやシナモンを加える人もいます。理由として、牛乳に含まれるアミノ酸のトリプトファンや、温かさによるリラックスがよく挙げられます。これらは、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、ブラジルのマットグロッソ連邦大学などの研究チームが2025年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た研究の結果を集めて数字でまとめる方法です。牛乳・乳製品をとった臨床試験9件が検討され、4件が統合されました。
| 研究の種類 | 牛乳・乳製品をとった臨床試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 臨床試験4件 (統合した分) |
| 比べたもの | 牛乳・乳製品をとったグループと、とらなかったグループ |
| 結果 | 睡眠の質の質問票 (PSQI) の合計点が下がり、眠りの自己評価が良くなった |
睡眠の質は本人の回答で測っていて、機器で測った睡眠ではありません。
結果は別の研究でも同じ向きです。牛乳由来の成分・強化乳・発酵乳の試験11件をまとめた2026年のメタ解析では、寝床にいる時間のうち眠っている割合が良くなりました (標準化平均差0.45) [2]。日本の20〜74歳の60,633人を調べた調査では、牛乳を1日1回より多く飲む人は、週1回未満の人より不眠の人の割合が低くなっていました (オッズ比0.91) [3]。
効果の大きさは、日本の調査のオッズ比0.91がもとです [3]。1に近いほど差が小さい値で、差はごく小さいと読みます。この調査は一時点の観察研究で、牛乳が不眠を減らしたとは言えず、「関連している」までです。女性では同じ傾向が見られましたが、男性では見られませんでした。
メタ解析の2本には、読むときの注意があります。2025年のメタ解析は統合した試験が4件と小さく、さらに質の高い研究が必要だと著者も書いています [1]。2026年のメタ解析は、ふつうの牛乳ではなく、牛乳由来の成分・強化乳・発酵乳をまとめたものです [2]。その標準化平均差0.45は、こうした成分や強化乳を含む値で、ふつうの牛乳だけの効果の大きさではありません。
調べられていません。ホットミルクと冷たい牛乳 (または温かい飲み物と常温の飲み物) を比べて睡眠を測った研究は、PubMed の検索では見つかりませんでした。上の結果は、温度にかかわらず牛乳・乳製品をとったときの話です。
条件によります。牛乳たんぱく (α-ラクトアルブミン) の研究8件の系統的レビューでは、睡眠が良くなったのは5件で、残りは差がありませんでした。悪くなった研究はありませんでした [6]。
試験の量は、牛乳たんぱくで20〜60gです [6]。睡眠に悩みのある運動経験者19人では、40gを3晩とると浅めのノンレム睡眠が増え、レム睡眠が減りました [7]。一方、睡眠に悩みのある運動選手24人に40gを7晩とった試験では、睡眠は良くなりませんでした [8]。大学の女子運動選手21人でも差はありませんでした [9]。
コップ1杯の牛乳に含まれるトリプトファンは、これらの試験の量よりずっと少ないため、試験の結果をそのまま当てはめることはできません。
牛乳・乳製品でも、全員に効くわけではありません。
睡眠効率は良くなりましたが、偽の飲み物との差は統計的に有意ではありませんでした [11]。
心臓の病気で集中治療室に入院中の患者68人の試験が1件あります。はちみつ入り牛乳を毎日2回・3日間飲んだグループは、飲まなかったグループより3日目の睡眠の自己評価が良くなりました [5]。根拠の確かさは低めです。研究の数が1件だけで、対象が入院中の患者に限られるためです。ふだんの家庭での研究はまだありません。はちみつ単独の話は 寝る前のはちみつは睡眠に効く? にまとめています。
研究の多くは、牛乳・乳製品を一定期間とった人の睡眠を質問票で測ったものです。乳酸菌飲料は、日本の調査で不眠が多い関連 (オッズ比1.20) も出ています [3]。牛乳でお腹の調子が悪くなる人、持病や服薬のある人、不眠が続く人は、医師や薬剤師に相談してください。
眠れない日が続くときは、飲み物を変えるより、医療機関に相談するほうが確実です。
牛乳・乳製品は睡眠の質に効きますが、差はごく小さい、というのが研究の答えです。
ホットミルクの温かさや、トリプトファン、はちみつの効果は、まだ確かめられていません。
習慣として楽しみつつ、寝室の環境など、ほかの方法も合わせてみましょう。
温かい牛乳と冷たい牛乳を比べた研究は見つかっていません。研究で確かめられているのは、温度に関係なく牛乳・乳製品をとったときの話です。
ホットミルクとハーブティーを直接比べた研究は見つかっていません。カモミールについては、[カモミールティーは睡眠に効く?](/evidence/chamomile-sleep) をご覧ください。
寝る前の牛乳と睡眠への悪影響を調べた研究は見つかっていません。乳糖でお腹の調子が変わる人は、量を控えめにして様子をみてください。
研究で確かめられているのは、心臓の病気で入院中の患者68人の1件だけです [[30390870]]。ふつうの生活での効果は、研究では確かめられていません。
牛乳・乳製品をとった臨床試験4件をまとめ、睡眠の質の質問票の点数が下がった。
試験11件をまとめ、睡眠効率が良くなった (標準化平均差0.45)。
日本の大人60,633人の調査で、牛乳を多く飲む人は不眠が少ない傾向だった (オッズ比0.91)。
4件をまとめ、夜中に目が覚めている時間が短くなった。
入院中の患者68人で、はちみつ入り牛乳を飲んだグループの睡眠の自己評価が3日目に良かった。
研究8件のうち、睡眠が良くなったのは5件だった。
運動経験者19人で、40gを3晩とると浅めのノンレム睡眠が増えた。
運動選手24人に40gを7晩とっても睡眠は良くならなかった。
女子運動選手21人で、40gをとっても睡眠に差はなかった。
施設の高齢者が8週間飲んでも、睡眠の質の変化は季節の影響が中心だった。
健康な高齢者29人で、睡眠効率は良くなったが、偽の飲み物との差は有意ではなかった。
判定「効くが、差はごく小さい」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。