[1]慢性的な不眠に対する認知行動療法の系統的レビューとメタ解析
- 発表年
- 2015年
- 研究機関
- Trauer JMほかの研究チーム
- 掲載誌
- Annals of internal medicine
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 1,162人
- 結果の向き
- 良い方向
慢性的な不眠のある大人1162人(RCT20件)で、治療後に寝つくまでの時間が平均19.03分短くなった。

眠くなるまで寝床に入らない認知行動療法で、寝つくまでの時間は約19分短くなります。足を温める・朝の光も効きます。
寝つくまでの時間の話です。約19分は慢性的な不眠のある大人の値です。夜中や早朝に目が覚める悩みは扱いません。世間の睡眠法の節だけ、睡眠の質の研究も含みます。原因の話は観察研究が多く「関連」までです。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 90.5 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 90 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 3 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
寝つけない状態は、布団に入ってから眠るまでに時間がかかる、不眠の症状の一つです。原因は、ストレスやカフェイン、寝る前の画面の光などとされます。対策は、治療(認知行動療法・メラトニン)と生活の工夫に分かれます。
原因は観察研究が多く、言えるのは「関連」までです。
眠くなるまで寝床に入らない(刺激制御)、寝床にいる時間を絞る(睡眠制限)を組み合わせた治療です。答えの中心は2015年のメタ解析(複数の試験を統計でまとめる方法)です [1]。
| 研究の種類 | 認知行動療法を調べた比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 慢性的な不眠のある大人(20件・1162人) |
| 比べたもの | 認知行動療法と、治療なしなど |
| 結果 | 寝つくまでの時間が平均19.03分短くなった |
87件のまとめでも効果は中くらいで [16]、1年後も続きました [17]。
部品別の80件では、効いていたのは刺激制御と睡眠制限で、リラクゼーション法に有意な効果はありませんでした [18]。
睡眠障害のある1683人(19件)で、プラセボより寝つくまでの時間が平均7.06分短くなりました [2]。大人では有意な改善がないとするまとめもあります [19]。
靴下を履いて寝た夜は、寝つくまでの時間が平均7.5分短くなりました(若い男性6人)[20]。60歳以上の研究11件では、41〜42℃の足湯で寝つきが早まりました [3]。一方、足湯のRCT6件・176人のまとめでは有意な差がありませんでした [21]。根拠の確かさは低めです。靴下の実験が6人と小さいためです。
不眠のある大人444人(14件)で、朝のブルーライト療法は寝つくまでの時間を短くしました [4]。光療法22件のまとめでは有意な差がなく [22]、根拠の確かさは低めです。結果のばらつきが大きいためです。
健康な217人では、深い腹式呼吸をした夜は、単調な音を聞いた夜より寝つくまでの時間が短くなりました [23]。妊娠中・産後の女性1046人(11件)でも、漸進的筋弛緩法で寝つきが改善しました [5]。根拠の確かさは低めです。健康な人の試験が1件だけのためです。
研究66件のまとめで、運動の習慣は寝つくまでの時間を小〜中くらい短くしました [6]。不眠のある大人1348人(22件)では、太極拳で平均24.76分短くなりました [24]。根拠の確かさは低めです。太極拳の結果が自己記録の睡眠日誌によるためです。
健康な人の夕方〜夜の運動は、全体として睡眠を悪くしませんでした。ただし、寝る1時間前以内に終わる激しい運動は、寝つきを悪くする場合があります(研究23件)[25]。
寝つくまでの時間には効きません。健康な大人のRCT10件のまとめで差はありませんでした [7]。2019年のレビューは、10分ほどの入浴でも早まるとしていました [26]。
寝つくまでの時間には効きません。ブルーライトを遮る眼鏡のRCT3件・49人のまとめで、平均4.86分短い傾向でしたが、有意な差はありませんでした [8]。根拠の確かさは低めです。研究の数が少ないためです。
夜中の目覚めなど眠りの質は、寝室を暗くすると良くなります。詳しくは寝室を暗くすると眠りは良くなる?へ。
条件によって結果が分かれ、研究が足りません。不眠の大人106人が額を冷やす器具を2晩使った試験では、主な指標(寝つくまでの時間そのもの)は偽の器具と差がなく、別の寝つきの指標では改善しました [9]。比べる群のない24人の試験では、自己申告の寝つくまでの時間が短くなりました [27]。
認知行動療法は、4回以上の対面の治療で効果が大きい傾向でした [16]。日本ではメラトニンは医薬品で、サプリとしては流通していません。持病や服薬がある人は、医師や薬剤師に相談を。
厚生労働省は、不眠と日中の不調が週に3日以上あり、3か月以上続く場合を慢性不眠症としています。
寝つきには、眠くなるまで寝床に入らない認知行動療法が最も確かで、足を温める・朝の光・呼吸法・運動も効きます。
入浴と夜の明かりは寝つくまでの時間には効かず、頭を冷やす方法は研究が足りません。
睡眠全体は、睡眠の質を高める方法は?へ。
コーヒーは寝る約9時間前までと試算されています。
氷や冷却シートは研究で確かめられておらず、勧めません。
原発性不眠の大人のネットワークメタ解析(53件・4181人)で、認知行動療法はベンゾジアゼピン系の睡眠薬と比べて、寝つくまでの時間が約10分短くなりました [[40808922]]。薬を使うかどうかは、医師に相談を。
慢性的な不眠のある大人1162人(RCT20件)で、治療後に寝つくまでの時間が平均19.03分短くなった。
60歳以上の研究11件で、41〜42℃の足湯により寝つくまでの時間が短くなった。
不眠のある大人444人(14件)で、朝のブルーライト療法により寝つくまでの時間が短くなった。
妊娠中・産後の女性1046人(RCT11件)で、リラクゼーションにより寝つくまでの時間が改善した。
研究66件で、運動の習慣は寝つくまでの時間を小〜中くらい短くした。
RCT10件で、睡眠時間と睡眠効率は改善したが、寝つくまでの時間に有意な差はなかった。
RCT3件・49人で、寝つくまでの時間は平均4.86分短い傾向だったが有意な差ではなかった。
不眠の大人106人で、主な指標は偽の器具と差がなく、別の寝つきの指標では改善した。
健康な大人24人で、電子機器を使わなかった夜は寝つくまでの時間が6.08分短かった。
3〜25歳の4562人(25件)で、画面を多く使った日と寝つくまでの時間は関連がなかった。
健康な大人956人(試験22件)で、カフェインはプラセボより寝つくまでの時間を平均8.35分長くした。
研究55件で、心配しやすい人ほど寝つくまでの時間が長い傾向があった。関連は小さい。
不眠のある63人で、日中のストレスは睡眠と関連せず、寝る前の興奮が強い夜ほど睡眠が悪かった。
一般の人1638人を1年追うと、睡眠スケジュールが不規則な人は不眠が続きやすかった。
不眠の人を対象にしたRCT87件で、寝つくまでの時間を中くらいの大きさで短くした。
RCT30件で、寝つくまでの時間の改善は治療の3か月後、6か月後、12か月後にも続いていた。
80件の研究で、効いていたのは睡眠制限と刺激制御。リラクゼーション法に有意な効果はなかった。
若い男性6人が靴下を履いて寝ると、寝つくまでの時間が平均7.5分短かった。
足湯のRCT6件・176人で、寝つくまでの時間を含む睡眠の指標に有意な差はなかった。
光療法の研究22件(685人)のうち13件の統合で、寝つくまでの時間に有意な差はなかった。
健康な217人で、寝る前に深い腹式呼吸をした夜は寝つくまでの時間が短かった。
不眠のある大人1348人(RCT22件)で、太極拳により寝つくまでの時間が平均24.76分短くなった。
健康な人の夕方〜夜の運動は全体として睡眠を悪くしなかったが、寝る1時間前以内に終わる激しい運動では、寝つきが悪くなるかもしれない
寝る1〜2時間前に40〜42.5℃で温まると、寝つくまでの時間が有意に短くなった(研究17件)。
不眠と持病のある退役軍人24人が4週間使うと、自己申告の寝つくまでの時間が短くなった。
大人のRCT11件・628人をまとめると、ラベンダーの精油で睡眠の質が中くらい改善した (標準化平均差 -0.56)。ただし研究の数と質には限りがある
睡眠に悩む人のRCT18件・1654人のメタ解析。時間や手間をそろえた比較より睡眠の質が改善した(効果量0.33)。
不眠のある人のRCT6件・330人のメタ解析。睡眠の質は改善したが、寝つくまでの時間には全体として有意な効果がなかった。
不眠への逆説的意図を調べた試験10件のメタ解析。治療なしなどと比べて、不眠の主な症状が大きく改善した。
不眠のある41人の1晩の実験。興味を持てる情景を思い浮かべた群は、指示なしの群より寝つくまでが短かった。
眠りの悪い大学生51人の試験。考えを心地よい内容に切り替える方法を受けた群は、指導だけの群より1か月後の不眠の重さが改善した。
18〜30歳の57人が寝る前に5分間書いてから睡眠検査室で眠った。やることリストを書いた人は、やり終えたことを書いた人より早く寝ついた。
耳鳴りの患者を、4-7-8呼吸法を6週間続ける群23人と説明だけの群25人に分けた試験。呼吸法の群は不眠の重さの点数が下がった。
減量手術のあとの患者80人で、4-7-8呼吸法を教わった群は、通常のケアの群より睡眠の質の点数が高かった。
大学生110人の比較研究。4-7-8呼吸法を14日間続けた群は、何もしない群より睡眠の質が良かった。ランダム化はしていない。
自律訓練法またはイメージ誘導法のRCT7件を含む解析。順番待ちと比べて寝つくまでの時間が短かったが(-1.16)、見せかけの方法とは差がなかった(-0.50)。
不眠の症状がある大人で、毎日音楽を聞くと自己申告の寝つきの悪さの点数が0.60点下がった。機械で測った寝つくまでの時間は改善しなかった。
睡眠の病気がない大人1514人の解析。音楽を使っても、寝つくまでの時間に差はなかった。
ホワイトノイズ・ピンクノイズなどの研究34件・1103人のうち、睡眠が良くなったのは19件。ホワイトノイズでは6件(33%)だった。
ヨガニドラのRCT2件・181人のメタ解析。睡眠の質(PSQI)の改善は統計的に有意ではなかった(確実性は非常に低い)。
ヨガニドラのRCT6件・244人を調べると、多くの研究で寝つくまでの時間・睡眠時間・睡眠効率が改善していた (数字でまとめた解析はなく、研究の偏りのリスクは中〜高)
寝る前に考えごとが止まらない大学生154人を、認知シャッフル・問題解決法・その両方に分けた試験。学会発表の要旨のみ。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。