寝室を暗くすると眠りは良くなる?

寝室を暗くすると眠りは良くなる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

良くなります。深い睡眠に早く入り、眠りの問題が減ります。

根拠

夜の光と睡眠を調べた観察研究 10 件・691,851 人のまとめ分析で、夜の人工の光を最も多く浴びている人は、睡眠障害が 27% 多くなっていました [1]。7 件のまとめ分析でも、光が多い人は睡眠の問題がある割合が 22% 高い結果です [2]。20 人の比較試験では、睡眠時間と寝つきは変わらず、真っ暗な方が深い睡眠に早く入りました [3]。

この答えの範囲

夜の光と睡眠を調べた観察研究と、20人の比較試験の結果です。

じゃあ、どうする?

まず寝室の消せる明かりを消し、外から入る光は遮ってみましょう。研究の向きに合う方法です。常夜灯を使うなら、5ルクス未満の薄暗さでは睡眠時間と寝つきが真っ暗と同じでしたが [3]、5〜10ルクスで浅い睡眠が増えた実験もあるので [4]、明るさは控えめに。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。11 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 78 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1720研究件数と参加人数
一致度20.725結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 77.7 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 78 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・その他のヒトの研究 1 本・観察研究 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「高い」で、これを強度の上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

暗い寝室とは

寝室を暗くするとは、寝ているあいだに目に入る光を減らすことです。照明を消す、遮光カーテンで外の光を遮る、アイマスクを使うなどの方法があり、光の強さは「ルクス」という単位で表します。夜の光は体内時計に働き、眠りのホルモンのメラトニンを抑えるとされ、暗いほど深く眠れると言われています。注意点は、豆電球のような薄い明かりがどこまで影響するかが、研究で割れていることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、ドイツのドレスデン工科大学などの研究チームが2026年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果を統計でまとめ直す方法です。夜の人工の光と睡眠を調べた観察研究が10件・691,851人分、集められました。

研究の種類夜間の光と睡眠障害を調べた観察研究のメタ解析
対象一般の人(10件・691,851人)
比べたもの夜の人工の光を最も多く浴びている人と、少ない人
結果光を最も多く浴びている人は、睡眠障害が27%多かった
まとめて分析した結果夜の光が少ない人ほど、睡眠障害が少ないという関連がありました [1]。

著者は証拠の確実性を高いと評価しましたが、多くの研究は光の測り方に偏りのリスクが高いものでした。

観察研究は、生活を調べて比べる研究です。「暗くしたから良くなった」とは言えず、「暗い人ほど少ない」という関連を示します。別のメタ解析でも同じ向きで、横断研究7件・577,932人をまとめると、光が多い人は睡眠の問題がある割合が22%高い結果でした [2]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

暗くした効果を直接比べた試験もあります。健康な男性20人が、5ルクス未満の薄暗い明かりと真っ暗な部屋で、各2晩寝ました [3]。総睡眠時間・睡眠効率・寝つくまでの時間は、どちらも同じでした。違いが出たのは、真っ暗な方が深い睡眠に早く入り、寝始めの1時間の深い睡眠の脳波が強かった点です。

差がなかった項目のある試験健康な男性20人(順番をランダムに決めた、各2晩の試験)

睡眠時間と寝つきには差がなく、深い睡眠への入り方だけが違いました。

どのくらいの明るさから体に影響が出る?

研究で比べられた明るさを、暗い順に並べます。

  • 5ルクス未満: 真っ暗な部屋と比べて、睡眠時間と寝つきは同じで、深い睡眠への入り方だけ違いました [3]
  • 5〜10ルクス: 夜中に目が覚めている時間と浅い睡眠が増えました。23人の実験で、明かりなしの夜と明かりありの夜の順番はランダムに決めていません [4]
  • 100ルクス: 一晩寝ただけで、3ルクス未満の部屋より夜間の心拍数が高く、翌朝のインスリン抵抗性(血糖を下げるホルモンが効きにくい状態)も高くなりました。睡眠そのものの結果は要旨にありません [5]
  • 1,000ルクス: 暗い部屋で寝た夜より、交感神経の働きの指標と睡眠中の呼吸の乱れの指標が高くなりました(17人)[6]

どこから悪いかの線引きは、研究では決まっていません。明るいと体が休まりにくくなる、というしくみが考えられていますが、上の結果は心拍や呼吸の指標で、睡眠の質が悪くなったと確かめたものではありません。

アイマスクや耳栓で暗くした場合

自宅での試験は、結果が割れています。夜の睡眠が短い妊娠後期の女性210人では、睡眠のアドバイスの冊子だけのグループと比べて、1週間のアイマスクと耳栓で夜の睡眠が平均12.9分長くなりました [7]。一方、同じく睡眠が短い妊娠中の女性240人では、何もしないグループと睡眠時間に差がありませんでした [8]。どちらもアイマスクと耳栓を一緒に使っているため、暗くした効果だけは分けられません。睡眠実験室での結果は、耳栓やアイマスクで睡眠は良くなる?にまとめています。

よく言われていることは本当?

言われ方ごとに、研究での扱いを分けます。

  • 暗くすると、ぐっすり深く眠れる本当です。 夜の光が少ない人ほど睡眠障害が少なく、真っ暗な部屋では深い睡眠に早く入りました [1] [3]。ただし睡眠時間と寝つきは変わりませんでした。
  • 豆電球くらいの薄い明かりでも悪い結果が割れていて、根拠は弱めです。 上の一覧のとおり、5ルクス未満では真っ暗と差がなく [3]、5〜10ルクスの23人の実験では浅い睡眠が増えました [4]。
  • 暗いとメラトニン(眠りのホルモン)がよく出る結果が割れています。 研究施設で部屋の明かり(200ルクス未満)を浴びると、メラトニンが抑えられました。ただし目を開けて起きている状態の実験です(116人)[9]。自宅の寝室が3ルクス以上の高齢者と3ルクス未満の高齢者では、夜の尿中のメラトニンに差がありませんでした(528人)[10]。
  • 明かりをつけたまま寝ると太る関連があります。 夜の光を最も多く浴びている人は、最も少ない人より肥満のリスクが14%高い、という観察研究13件・867,647人のまとめです [11]。ただし暗くして寝ると痩せるかを直接試した研究はなく、「暗くすれば痩せる」とは言えません。
  • 遮光カーテンで眠りが良くなる」「完全遮光だと朝起きにくい研究がありません。 遮光カーテンだけで睡眠を比べた研究は、今回の調査では見つかりませんでした。暗さ全体の結果が、カーテンにそのまま当てはまるかは分かりません。

02注意点

比較試験は20人と小さく、対象は健康な男性で、比べたのは5ルクス未満の薄暗さと真っ暗の2条件、各2晩だけです [3]。子ども、女性、不眠のある人でも同じとは、この研究からは言えません。アイマスクの試験は妊娠中の女性の1週間のもので、一般の人に広げられません。眠れない状態が続く人、持病や服薬中の人は、医師や薬剤師に相談してください。

睡眠時間が延びるとは、研究で確かめられていません

変わったのは、深い睡眠に入る早さです。

03まとめ

寝室が暗い人ほど眠りの問題が少ない、という関連が、複数の研究でそろっています。
睡眠時間や寝つきは、20人の試験では変わりませんでした。
まず消せる明かりを消し、外から入る光を遮ってみましょう。

04よくある質問

Q子どもの寝室も暗くしたほうがいいですか?

子ども・青少年を対象にした観察研究72件の系統的レビューで、夜間の光害は睡眠の問題などの健康への悪影響と関連していました [[42705554]]。寝室を暗くした効果を子どもで比べた試験は、今回の調査では見つかっていません。

Q遮光カーテンで外の光を遮ると役に立ちますか?

遮光カーテンだけを比べた研究はありません。日本の高齢者1,108人では、起きる前の2時間の寝室が最も明るいグループは、最も暗いグループより睡眠障害のオッズ(起こりやすさの比)が1.65倍でした [[30554055]]。観察研究なので、カーテンで変わるとは言えません。

Q睡眠時間を延ばしたいときは、何をすればいいですか?

暗くするだけで睡眠時間が延びるとは、研究で確かめられていません。ほかの方法の判定は、[睡眠の質を高める方法は?](/evidence/sleep-quality-methods)にまとめています。

05参照した論文

判定に使った主な論文(11本)

[1]夜間の人工的な光と睡眠障害の観察研究のメタ解析

発表年
2026年
研究機関
ドイツ・ドレスデン工科大学
掲載誌
Environmental research
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
691,851人
結果の向き
良い方向

夜の人工の光を最も多く浴びている人は、睡眠障害が27%多かった。

[2]夜間の光への曝露と睡眠の問題の関連をまとめたメタ解析

発表年
2023年
研究機関
中国・安徽医科大学
掲載誌
The Science of the total environment
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
577,932人
結果の向き
良い方向

光が多い人は睡眠の問題がある割合が22%高かった。

[3]真っ暗な部屋と薄暗い部屋で寝たときの睡眠の比較試験

発表年
2021年
研究機関
ドイツ・リューベック大学
掲載誌
Sleep medicine
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
結果が割れている

真っ暗な方が深い睡眠に早く入ったが、睡眠時間と寝つきに差はなかった。

[4]寝るときの弱い明かりが睡眠に与える影響

発表年
2016年
研究機関
韓国・高麗大学
掲載誌
Chronobiology international
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
23人
結果の向き
良い方向

明かりなしの夜は、薄暗い明かりの夜より浅い睡眠が少なかった。

[5]睡眠中の光が心臓と代謝の働きを損なうことを調べた実験

発表年
2022年
研究機関
アメリカ・ノースウェスタン大学
掲載誌
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

100ルクスの光の下で一晩寝ると、3ルクス未満の部屋より夜間の心拍数と翌朝のインスリン抵抗性が高かった。

[6]睡眠中の環境光が心拍と呼吸の自律神経の働きに与える影響

発表年
2014年
研究機関
日本・奈良県立医科大学
掲載誌
Sleep & breathing = Schlaf & Atmung
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
17人
結果の向き
良い方向

暗い部屋で寝ると、1,000ルクスの蛍光灯の下より交感神経の指標と呼吸の乱れの指標が低かった。

[7]妊娠中の夜の睡眠時間を延ばすアイマスクと耳栓の効果を睡眠冊子と比べた試験

発表年
2023年
研究機関
マレーシア・マラヤ大学
掲載誌
Sleep
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
210人
結果の向き
良い方向

アイマスクと耳栓のグループは、夜の睡眠が平均12.9分長くなった。

[8]睡眠不足の妊婦の糖代謝に対する睡眠補助としてのアイマスクと耳栓の試験

発表年
2026年
研究機関
マレーシア・マラヤ大学
掲載誌
BMC pregnancy and childbirth
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
240人
結果の向き
差なし

何もしないグループと、夜の睡眠時間に差はなかった。

[9]部屋の明かりが夜のメラトニンに与える影響

発表年
2011年
研究機関
アメリカ・ハーバード大学医学部
掲載誌
The Journal of clinical endocrinology and metabolism
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
116人
結果の向き
良い方向

寝る時間帯に部屋の明かりを浴びると、メラトニンが抑えられた。

[10]高齢者の寝室の明るさとメラトニン・肥満の関連

発表年
2013年
研究機関
日本・奈良県立医科大学
掲載誌
The Journal of clinical endocrinology and metabolism
研究の種類
症例対照研究ある病気の人とそうでない人で、過去の生活習慣などを比べる研究。
対象
528人
結果の向き
良い方向

寝室の明るさで、夜間の尿中のメラトニンの量に差はなかった。

[11]夜間の光と肥満の関連を調べた観察研究のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・北京中医薬大学
掲載誌
BMC public health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
867,647人
結果の向き
良い方向

夜間の光を最も多く浴びている人は、肥満のリスクが14%高かった。

ほかに参考にした論文(27本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。