[1]騒音下の睡眠で耳栓とピンクノイズを比べた実験
- 発表年
- 2026年
- 研究機関
- アメリカ・ペンシルベニア大学
- 掲載誌
- Sleep
- 研究の種類
- ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
- 対象
- 25人
- 結果の向き
- 良い方向
健康な大人25人が7晩、脳波を測りながら眠った実験。耳栓は騒音による睡眠の乱れをほぼ防いだ。

騒音や光のある部屋では効きます。夜中の目覚めが減り、レム睡眠が増えます。
参加者は6〜40人と少なく、実験室で一晩から数晩の研究です。自宅で眠る健康な人の睡眠を直接測った比較試験は、今回集めた中にありません。旅先や翌日の頭の働きは、本文で分けて書きます。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 34 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 9.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 78.5 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 78 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・その他のヒトの研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
耳栓は耳に入れて周りの音を小さくする道具、アイマスクは目を覆って光を遮る道具で、薬や食品ではなく日用品として売られています。眠りを妨げる音や光を減らし、寝つきや眠りの深さを助けるとされ、耳栓には柔らかいスポンジ素材やシリコン製、アイマスクには布製や目の周りを締めつけない立体型などの種類があります。注意点は、外の音が聞こえにくくなり、目覚ましや警報の音に気づきにくくなることです。
答えの中心は、アメリカのペンシルベニア大学などの研究チームが2026年に発表した睡眠実験です [1]。同じ人に条件を変えて何晩か眠ってもらい、脳波で睡眠の中身を測る方法です。平均28.5歳の健康な大人25人が、7晩かけて、騒音・ピンクノイズ(ざあざあという雑音)・耳栓・その組み合わせの条件で眠りました。
| 研究の種類 | 睡眠実験室で脳波を測った比較実験 |
|---|---|
| 対象 | 健康な大人25人(平均28.5歳) |
| 比べたもの | 騒音のみ、ピンクノイズ、耳栓、その組み合わせ |
| 結果 | 耳栓は騒音による睡眠の乱れをほぼすべて防いだ。最も大きな騒音(65dBA)では効き目が落ち始めた |
同じ実験の別の解析では、航空機などの騒音による目覚めも、ピンクノイズより耳栓のほうが強く防ぎました [6]。
耳栓とアイマスクを一緒に着けた実験もあります。ICUの騒音と光を再現した部屋で健康な14人が眠った実験では、着けた夜はレム睡眠が長く、睡眠中の覚醒反応が少なくなりました [3]。健康な40人の実験でも、耳栓とアイマスクのグループは夜中に目覚める回数が少なく、寝つくまでの時間も短くなりました [2]。
実験室の結果は、耳栓とアイマスクをセットで着けたものが中心です。片方ずつの効き目は、入院中の患者の研究に出ています。ICUの患者797人(13研究)のまとめでは、本人が答えた睡眠の質の差(効果量。大きいほど差が大きい)は次のとおりでした [7]。
実験室で耳栓が騒音を防いだ結果と食い違って見えますが、調べた人(健康な大人と入院患者)も測り方(脳波と本人の答え)も違うため、そのまま比べられません。どちらを先に試すかを自宅で直接比べた研究は、今回集めた中にありません。寝室そのものを暗くする方法は、寝室を暗くすると眠りは良くなる?で分けて書いています。
耳栓の効き目は、測る指標で変わります。40人の実験では、メラトニン1mgのほうが、耳栓とアイマスクより睡眠の質の改善は大きくなりました [2]。
騒音は夜中の目覚めを増やし睡眠時間を減らしましたが、耳栓の効果が確認されたのはレム睡眠の指標でした [14]。
実験室の結果は、一晩から数晩だけ使った健康な大人のものです。人数は6〜40人と少なく、自宅で毎晩使い続けたときの睡眠は、これらの実験では分かりません。ICUの患者を調べたコクランレビューでも、脳波などの客観的な測定では多くの研究で効果がありませんでした [15]。腹部の大手術の試験では、きちんと着けていたのは60〜65%でした [9]。耳の違和感や痛みが出る人、耳の病気がある人は、医師や薬剤師に確認してください。
騒音や光がほとんどない寝室の人に、同じ結果が当てはまるとは限りません。
騒音や光のある部屋では、耳栓やアイマスクが夜中の目覚めやレム睡眠の乱れを減らすことが、実験で確かめられています。
当てはまるのは、騒音や光で眠りが妨げられやすい環境の人で、自宅で毎晩使った場合の効果は別に考える必要があります。
まずは寝室の音と光の原因を確かめ、そのうえで耳栓やアイマスクを一晩試して、合うかどうかを見てみましょう。
25人の実験では、ピンクノイズはレム睡眠を減らし、耳栓のほうが有効でした [[41627391]]。睡眠実験室で数晩だけ試した結果です。
研究では確かめられていません。今回集めた研究に、遮音性能の違いを比べたものはありません。
毎晩の長期使用の害を調べた研究は、今回集めた中にありません。耳に痛みや違和感が出たら使うのをやめ、耳の病気がある人は医師に相談してください。
研究で効くとされた方法は、[睡眠の質を高める方法は?](/evidence/sleep-quality-methods)にまとめています。眠れない状態が長く続くときは、医師に相談してください。
健康な大人25人が7晩、脳波を測りながら眠った実験。耳栓は騒音による睡眠の乱れをほぼ防いだ。
健康な40人の実験で、耳栓とアイマスクのグループは夜中の目覚めが少なく、寝つくまでの時間も短かった。
健康な14人の実験で、耳栓とアイマスクの夜はレム睡眠が長く、覚醒反応が少なかった。
睡眠が短い妊娠後期の女性210人で、夜の睡眠時間が冊子だけの場合より12.9分長くなった。
睡眠が7時間以下の妊婦240人で、計測器で測った夜の睡眠時間に差はなかった。
同じ25人の別の解析で、耳栓は航空機などの騒音による目覚めをピンクノイズより強く防いだ。
ICUの患者797人(13研究)のまとめで、耳栓やアイマスクを使うと本人が評価する睡眠の質が通常のケアより良かった。
睡眠が6時間未満の初産の妊婦234人で、耳栓とアイマスクのグループは本人が答えた睡眠時間が長かった(7.0時間対6.6時間)。
大きな腹部手術を受けた100人で、術後3日間使っても睡眠の質は改善しませんでした。
脳の手術後の患者41人で、アイマスクと耳栓を使うと尿のメラトニンの量が増えた。
心臓の手術後の患者45人で、夜の尿のメラトニンの量は通常のケアと差がなかった。
18〜35歳の94人が1週間アイマスクを着けて眠ると、翌日の記憶と注意力の検査の成績が良かった。
いびきに悩むカップルが2か月耳栓を使うと、同室者の困りごとの点数が使う前より改善した。
健康な6人が5晩眠った実験。耳栓の効果が確認されたのはレム睡眠の指標だった。
ICUの患者116人で総睡眠時間は長かったが確実性は低く、客観的な測定では多くの研究で効果がなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。