耳栓やアイマスクで睡眠は良くなる?

耳栓やアイマスクで睡眠は良くなる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.01
答え効く

騒音や光のある部屋では効きます。夜中の目覚めが減り、レム睡眠が増えます。

根拠

騒音や光を再現した睡眠実験室で、健康な大人が耳栓やアイマスクを着けた夜と着けない夜を脳波で比べた研究が4本あります。アメリカのペンシルベニア大学などの2026年の実験(25人)では、耳栓は騒音による睡眠の乱れをほぼすべて防ぎました [1]。集中治療室(ICU)の騒音と光を再現した実験では、耳栓とアイマスクの夜に夜中の目覚めが少なく [2]、レム睡眠が長くなりました [3]。

この答えの範囲

参加者は6〜40人と少なく、実験室で一晩から数晩の研究です。自宅で眠る健康な人の睡眠を直接測った比較試験は、今回集めた中にありません。旅先や翌日の頭の働きは、本文で分けて書きます。

じゃあ、どうする?

騒音や光で夜中に目が覚めやすい寝室なら、試す価値があります。ただし最も大きな騒音(65dBA)では耳栓の効き目が落ち始めたので、音そのものを減らす工夫も合わせて考えましょう [1]。自宅で毎晩使って睡眠時間が延びるかは、妊婦の試験でも結果が割れています [4] [5]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。15 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 78 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量9.520研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 78.5 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 78 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・その他のヒトの研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

耳栓とアイマスクとは

耳栓は耳に入れて周りの音を小さくする道具、アイマスクは目を覆って光を遮る道具で、薬や食品ではなく日用品として売られています。眠りを妨げる音や光を減らし、寝つきや眠りの深さを助けるとされ、耳栓には柔らかいスポンジ素材やシリコン製、アイマスクには布製や目の周りを締めつけない立体型などの種類があります。注意点は、外の音が聞こえにくくなり、目覚ましや警報の音に気づきにくくなることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アメリカのペンシルベニア大学などの研究チームが2026年に発表した睡眠実験です [1]。同じ人に条件を変えて何晩か眠ってもらい、脳波で睡眠の中身を測る方法です。平均28.5歳の健康な大人25人が、7晩かけて、騒音・ピンクノイズ(ざあざあという雑音)・耳栓・その組み合わせの条件で眠りました。

研究の種類睡眠実験室で脳波を測った比較実験
対象健康な大人25人(平均28.5歳)
比べたもの騒音のみ、ピンクノイズ、耳栓、その組み合わせ
結果耳栓は騒音による睡眠の乱れをほぼすべて防いだ。最も大きな騒音(65dBA)では効き目が落ち始めた
実験の結果耳栓は、交通音などの騒音による睡眠の乱れをほぼすべて防ぎました [1]。

同じ実験の別の解析では、航空機などの騒音による目覚めも、ピンクノイズより耳栓のほうが強く防ぎました [6]。

耳栓とアイマスクを一緒に着けた実験もあります。ICUの騒音と光を再現した部屋で健康な14人が眠った実験では、着けた夜はレム睡眠が長く、睡眠中の覚醒反応が少なくなりました [3]。健康な40人の実験でも、耳栓とアイマスクのグループは夜中に目覚める回数が少なく、寝つくまでの時間も短くなりました [2]。

耳栓とアイマスクは、どちらが効く?

実験室の結果は、耳栓とアイマスクをセットで着けたものが中心です。片方ずつの効き目は、入院中の患者の研究に出ています。ICUの患者797人(13研究)のまとめでは、本人が答えた睡眠の質の差(効果量。大きいほど差が大きい)は次のとおりでした [7]。

  • アイマスクだけ: 差があった(1.56)
  • 耳栓とアイマスクを併用: 差があった(2.08)
  • 耳栓だけ: 差がはっきりしなかった(0.07)

実験室で耳栓が騒音を防いだ結果と食い違って見えますが、調べた人(健康な大人と入院患者)も測り方(脳波と本人の答え)も違うため、そのまま比べられません。どちらを先に試すかを自宅で直接比べた研究は、今回集めた中にありません。寝室そのものを暗くする方法は、寝室を暗くすると眠りは良くなる?で分けて書いています。

よく言われていることは本当?

  • 寝つきが良くなり、夜中に目が覚めにくくなる効きます。 上の40人の実験のとおりで、レム睡眠が長くなった14人の実験もあります [2] [3]。
  • 毎晩使うと睡眠時間が延びる条件によります。 試験は妊娠後期の女性が自宅で使った3本で、比べた相手と測り方が違います。睡眠が6時間以下の210人では、睡眠のアドバイス冊子だけの人より12.9分長くなりました [4]。睡眠が7時間以下の240人では、計測器で測った睡眠時間が何もしない人と差がありませんでした [5]。初産の234人では、本人が答えた睡眠時間が7.0時間と6.6時間で、耳栓とアイマスクの側が長くなりました [8]。
  • 病院や旅先でも眠れる病院では睡眠の質が良くなる研究が多く、旅先は研究が見つかりません。 上のICU患者のまとめ分析で、本人が答えた睡眠の質が良くなりました [7]。ただし根拠の確かさは低めです。大きな腹部手術を受けた100人では、術後3日間使っても改善しませんでした [9]。
  • メラトニン(眠りのホルモン)が増える条件によります。 尿で測ると、健康な14人と脳の手術後の患者41人では増え [3] [10]、心臓の手術後の患者45人では差がありませんでした [11]。試験が小さく結果が割れているため、根拠の確かさは低めです。
  • 翌日の記憶力や集中力が上がる研究が足りず、まだ分かりません。 18〜35歳の94人が1週間アイマスクで眠ると、翌日の記憶と注意力の検査の成績が良くなりましたが、研究はこの1本だけです [12]。
  • いびきが気にならなくなる研究が足りません。 いびきに悩むカップルが2か月耳栓を使うと、同室者の困りごとと日中の眠気の点数が改善しましたが、比べるグループのない研究が1本だけで、耳栓の効果とは言い切れません [13]。
  • 毎日使うと耳を傷める研究が見つかりません。 睡眠用の耳栓を使い続けた人の耳のトラブルを調べた研究は、今回集めた中にありません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

耳栓の効き目は、測る指標で変わります。40人の実験では、メラトニン1mgのほうが、耳栓とアイマスクより睡眠の質の改善は大きくなりました [2]。

耳栓の効果が限られた実験健康な6人(1999年、5晩の実験)

騒音は夜中の目覚めを増やし睡眠時間を減らしましたが、耳栓の効果が確認されたのはレム睡眠の指標でした [14]。

02注意点

実験室の結果は、一晩から数晩だけ使った健康な大人のものです。人数は6〜40人と少なく、自宅で毎晩使い続けたときの睡眠は、これらの実験では分かりません。ICUの患者を調べたコクランレビューでも、脳波などの客観的な測定では多くの研究で効果がありませんでした [15]。腹部の大手術の試験では、きちんと着けていたのは60〜65%でした [9]。耳の違和感や痛みが出る人、耳の病気がある人は、医師や薬剤師に確認してください。

実験室と自宅は別の条件

騒音や光がほとんどない寝室の人に、同じ結果が当てはまるとは限りません。

03まとめ

騒音や光のある部屋では、耳栓やアイマスクが夜中の目覚めやレム睡眠の乱れを減らすことが、実験で確かめられています。
当てはまるのは、騒音や光で眠りが妨げられやすい環境の人で、自宅で毎晩使った場合の効果は別に考える必要があります。
まずは寝室の音と光の原因を確かめ、そのうえで耳栓やアイマスクを一晩試して、合うかどうかを見てみましょう。

04よくある質問

Qピンクノイズ(ざあざあという雑音)を流すのと、耳栓はどちらが良いですか?

25人の実験では、ピンクノイズはレム睡眠を減らし、耳栓のほうが有効でした [[41627391]]。睡眠実験室で数晩だけ試した結果です。

Q遮音性能が高い耳栓ほどよく眠れますか?

研究では確かめられていません。今回集めた研究に、遮音性能の違いを比べたものはありません。

Q毎晩使い続けても大丈夫ですか?

毎晩の長期使用の害を調べた研究は、今回集めた中にありません。耳に痛みや違和感が出たら使うのをやめ、耳の病気がある人は医師に相談してください。

Q耳栓とアイマスク以外に、眠りを良くする方法はありますか?

研究で効くとされた方法は、[睡眠の質を高める方法は?](/evidence/sleep-quality-methods)にまとめています。眠れない状態が長く続くときは、医師に相談してください。

05参照した論文

判定に使った主な論文(15本)

[1]騒音下の睡眠で耳栓とピンクノイズを比べた実験

発表年
2026年
研究機関
アメリカ・ペンシルベニア大学
掲載誌
Sleep
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
25人
結果の向き
良い方向

健康な大人25人が7晩、脳波を測りながら眠った実験。耳栓は騒音による睡眠の乱れをほぼ防いだ。

[2]ICUを再現した環境で、メラトニンと耳栓・アイマスクが健康な人の夜間睡眠に与える効果

発表年
2015年
研究機関
中国・首都医科大学
掲載誌
Critical care (London, England)
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
40人
結果の向き
良い方向

健康な40人の実験で、耳栓とアイマスクのグループは夜中の目覚めが少なく、寝つくまでの時間も短かった。

[3]ICUを再現した環境での夜間睡眠・メラトニン・コルチゾールへの耳栓とアイマスクの効果

発表年
2010年
研究機関
中国・福建医科大学
掲載誌
Critical care (London, England)
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
14人
結果の向き
良い方向

健康な14人の実験で、耳栓とアイマスクの夜はレム睡眠が長く、覚醒反応が少なかった。

[4]妊娠中の夜の睡眠時間を延ばすアイマスクと耳栓の効果を睡眠冊子と比べた試験

発表年
2023年
研究機関
マレーシア・マラヤ大学
掲載誌
Sleep
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
210人
結果の向き
良い方向

睡眠が短い妊娠後期の女性210人で、夜の睡眠時間が冊子だけの場合より12.9分長くなった。

[5]睡眠不足の妊婦の糖代謝に対する睡眠補助としてのアイマスクと耳栓の試験

発表年
2026年
研究機関
マレーシア・マラヤ大学
掲載誌
BMC pregnancy and childbirth
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
240人
結果の向き
差なし

睡眠が7時間以下の妊婦240人で、計測器で測った夜の睡眠時間に差はなかった。

[6]さまざまな騒音源による睡眠の乱れを防ぐ、ピンクノイズと耳栓の効果

発表年
2026年
研究機関
アメリカ・ペンシルベニア大学
掲載誌
Sleep health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
25人
結果の向き
良い方向

同じ25人の別の解析で、耳栓は航空機などの騒音による目覚めをピンクノイズより強く防いだ。

[7]ICU患者の睡眠の質への耳栓・アイマスクの効果を集めた分析

発表年
2021年
研究機関
台湾・高雄医学大学
掲載誌
Journal of advanced nursing
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
797人
結果の向き
良い方向

ICUの患者797人(13研究)のまとめで、耳栓やアイマスクを使うと本人が評価する睡眠の質が通常のケアより良かった。

[8]初産の妊婦で耳栓とアイマスクを偽のヘアバンドと比べ、自然分娩を増やすかを調べた試験

発表年
2023年
研究機関
マレーシア・マラヤ大学
掲載誌
BMC pregnancy and childbirth
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
234人
結果の向き
良い方向

睡眠が6時間未満の初産の妊婦234人で、耳栓とアイマスクのグループは本人が答えた睡眠時間が長かった(7.0時間対6.6時間)。

[9]腹部の大手術後の耳栓・アイマスクと睡眠の質の試験

発表年
2021年
研究機関
シンガポール・シンガポール総合病院
掲載誌
Anaesthesia
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
100人
結果の向き
差なし

大きな腹部手術を受けた100人で、術後3日間使っても睡眠の質は改善しませんでした。

[10]開頭術後の睡眠の質の改善がメラトニン濃度に与える影響の試験

発表年
2020年
研究機関
トルコ・健康科学大学
掲載誌
World neurosurgery
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
41人
結果の向き
良い方向

脳の手術後の患者41人で、アイマスクと耳栓を使うと尿のメラトニンの量が増えた。

[11]耳栓・アイマスクとリラックス音楽がICU患者の睡眠とメラトニンに与える効果

発表年
2015年
研究機関
中国・福建医科大学
掲載誌
Critical care (London, England)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
45人
結果の向き
差なし

心臓の手術後の患者45人で、夜の尿のメラトニンの量は通常のケアと差がなかった。

[12]夜間にアイマスクを着けると記憶の学習と注意力が良くなる

発表年
2023年
研究機関
イギリス・カーディフ大学
掲載誌
Sleep
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
94人
結果の向き
良い方向

18〜35歳の94人が1週間アイマスクを着けて眠ると、翌日の記憶と注意力の検査の成績が良かった。

[13]いびきの対策としての耳栓は本当に効くのか

発表年
2006年
研究機関
イギリス・グラスゴー王立病院
掲載誌
The Journal of laryngology and otology
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

いびきに悩むカップルが2か月耳栓を使うと、同室者の困りごとの点数が使う前より改善した。

[14]ICUの騒音にさらされた睡眠中の指標への耳栓の効果

発表年
1999年
研究機関
アメリカ・LDS病院
掲載誌
American journal of critical care : an official publication, American Association of Critical-Care Nurses
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
6人
結果の向き
良い方向

健康な6人が5晩眠った実験。耳栓の効果が確認されたのはレム睡眠の指標だった。

[15]ICUでの睡眠を促す薬を使わない方法のコクランレビュー

発表年
2015年
研究機関
中国・福建医科大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
116人
結果の向き
良い方向

ICUの患者116人で総睡眠時間は長かったが確実性は低く、客観的な測定では多くの研究で効果がなかった。

ほかに参考にした論文(21本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。