音楽を聴きながら寝ると眠りは良くなる?

音楽を聴きながら寝ると眠りは良くなる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

良くなります。不眠のある大人では、睡眠の質の点数が平均2.79点良くなりました。

根拠

不眠のある大人を調べた比較試験10件・708人のまとめで、音楽を聴いたグループは何もしないグループより睡眠の質の点数(PSQI、0〜21点で低いほど良い)が平均2.79点良くなりました [1]。高齢者14件・1,730人のまとめでも、平均3.37点良い結果でした [2]。根拠の確かさは低めです。睡眠に問題のない大人では差が見られず、対象によって結果が分かれるためです [3]。

この答えの範囲

眠りに悩みのある大人と高齢者の話です。睡眠に問題のない大人では差が見られませんでした。録音された落ち着いた曲を、寝る前に聴いた研究が中心です。

じゃあ、どうする?

眠りに悩んでいるなら、寝る前に落ち着いた曲を聴く価値があります。研究では25〜60分を毎日、3日〜3か月続けています [1]。曲が頭に残って夜中に目が覚めるようなら、別の曲に変えてみてください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。9 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1620研究件数と参加人数
一致度19.525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 90.5 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

睡眠用の音楽とは

睡眠用の音楽は、寝る前に聴く、ゆっくりで落ち着いた曲のことです。リラックスして眠りやすくなるとされ、配信サービスにはα波やバイノーラルビートをうたう音源もあります。研究で使われたのは、主に録音された音楽でした。注意点は、曲の種類や聴き方で結果が変わりうることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、デンマークのオーフス大学などの研究チームが2022年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューとは、決めた手順で関連する比較試験を集め、結果を整理する方法です。不眠のある大人を対象にした13件・1007人の試験が集められました。

研究の種類不眠のある大人を調べた比較試験のコクランレビュー
対象不眠の症状がある大人(10件・708人)
比べたもの録音された音楽を毎日25〜60分、3日〜3か月聴くグループと、何もしない・ふだんどおりのグループ
結果睡眠の質の点数(PSQI、0〜21点で低いほど良い)が平均2.79点良かった
まとめて分析した結果音楽を聴いたグループは、睡眠の質の点数が平均2.79点良くなりました。

研究の質は中程度とされ、信頼区間は3.86点から1.72点の改善の範囲でした [1]。

睡眠の質の点数は、質問票に本人が答える方式です。夜中の目覚めや眠りの深さを機械で測った結果ではない点は、頭に入れておいてください。

高齢者・うつ病・大学生でも

  • 高齢者14件・1,730人の比較試験のまとめでは、睡眠の質の点数が平均3.37点良くなりました。4〜8週間、30〜45分を週7回の介入で改善が大きい傾向でした [2]
  • うつ病に伴う不眠のある大人112人では、寝るときに4週間音楽を聴いたグループが、待機グループより2.1点良くなりました。ただし、聴くのをやめて4週間後には差がほぼ消えました [4]
  • 眠りに悩む大学生75人では、寝る前に音楽を聴いたグループが、深呼吸とリラックス法だけのグループより5週間後の睡眠の質が良くなりました。クラシックとジャズで差はありませんでした [5]

ほかの研究では、結果が異なる場合も

睡眠に問題のない大人424人(研究6件)では、音楽を聴いても睡眠の質に差が見られませんでした。平均0.8点の差で、信頼区間は0を含みます [3]。ただし3週間以上続けた研究(3件)に限ると、点数は改善していました。研究どうしの結果にはばらつきがあります。

差が見られなかったまとめ睡眠に問題のない大人 424人(6件の試験)

平均0.8点の差で、統計的には差と言えない範囲でした。

寝つきは早くなる?

寝つきについては、コクランレビューが自己申告の寝つきの問題が減ると報告する一方、機器で測った寝つきでは改善が見られなかったとしています [1]。寝つくまでの時間を分で示した数値は、今回集めた研究にはありません。寝つきを早くしたいときの方法は寝れないときはどうする?にまとめています。

曲が頭に残る問題

アメリカのベイラー大学の2021年の実験では、平均21.2歳の50人が、寝る前に人気曲の歌詞なし版か歌詞あり版を聴きました。歌詞なし版のほうが、夜中に曲が頭の中で流れることが増え、脳波などで測った睡眠の質が下がりました [6]。比べた相手は歌詞あり版で、音楽を聴かない場合ではありません。この実験は「音楽を聴くと眠りが浅くなる」ことを示したものではありません。根拠の確かさは低めです。人数が50人の実験1件のためです。

α波・バイノーラルビートは?

α波やθ波をうたうバイノーラルビートは、研究が足りず、まだ分かりません。ビートの無い音楽と比べた試験の結果はそろっていません。

  • 軽い不眠のある大人43人では、音楽にビートを加えても、音楽だけと不眠の重さに差がありませんでした [7]
  • 介護施設の高齢者64人では、ビート入りの懐メロを聴いたグループは、同じ曲だけを聴いたグループより睡眠の質が良くなりました。朝と午後に聴いた研究です [8]
  • 健康な大人217人では、ビートと暗示の言葉を聞いて、ビートの無い単調な音より寝つくまでの時間が短くなったのは女性だけでした [9]

よく言われていることは本当?

  • 寝る前に音楽を聴くと眠りの質が良くなる効きます。 不眠のある大人と高齢者では、点数が平均2.79点、3.37点良くなりました [1] [2]
  • 睡眠用の音楽で寝つきが早くなる条件によります。 自己申告の寝つきの問題は減りましたが、機器で測った寝つきでは改善が見られませんでした [1]
  • α波・バイノーラルビート入りの音楽で深い眠りに入れる研究が足りません。 試験3件の結果がそろっていません [7] [8]
  • 音楽をつけっぱなしで寝ると眠りが浅くなる条件によります。 歌詞なし版の曲では、歌詞あり版より夜中に曲が頭で流れ、睡眠の質が下がりました [6]
  • イヤホンをしたまま寝ると耳を傷める研究が見つかりません。 睡眠中のイヤホン使用と耳の病気を調べた人の研究は、今回の検索で見つかりませんでした
  • 睡眠用の音楽でセロトニンが増える研究が見つかりません。 増えることを示した人の研究は見つかりませんでした

02注意点

研究の多くは、不眠の症状がある人や高齢者が対象でした。うつ病の試験では、音楽をやめて4週間後に差がほぼ消えており、効果は聴いている間の話と読むのが無難です [4]。眠れない状態が続く、日中に強い眠気がある場合は、医師に相談してください。イヤホンで聴くなら、耳に負担がかからない音量にするのが一般に勧められています。

睡眠の質が上がるのは、悩みのある人

睡眠に問題のない大人では、差が見られなかったまとめがあります。

03まとめ

音楽は、眠りに悩む大人と高齢者の睡眠の質を良くします。
睡眠に問題のない人や、寝つきを機器で測った場合は、同じ結果とは言えません。
寝る前に落ち着いた曲を試し、曲が頭に残るなら別の曲に変えてみましょう。ほかの方法は睡眠の質を高める方法は?で比べています。

04よくある質問

Qどんな曲がいいですか?

研究では、録音された落ち着いた曲が使われています。大学生の試験では、クラシックとジャズで差はありませんでした。曲のジャンルごとの優劣は、研究では確かめられていません。

Q一晩中つけっぱなしでもいいですか?

一晩中流す聴き方を調べた研究は、今回集めた中にありません。研究で多かったのは、寝る前に25〜60分聴く方法です。

Qいつまで続ければ効果が出ますか?

研究は3日〜3か月と幅があります。高齢者のまとめでは、4〜8週間、30〜45分を週7回の介入で改善が大きい傾向でした。

Qα波の音源を選ぶべきですか?

ビートを加えても音楽だけと差がなかった試験があり、結果はそろっていません。ビートの有無より、落ち着いた曲を聴くことのほうが研究の裏づけがあります。

05参照した論文

判定に使った主な論文(9本)

[1]大人の不眠に音楽を聞くことの効果(コクランレビュー)

発表年
2022年
研究機関
デンマーク・オーフス大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
708人
結果の向き
良い方向

不眠のある大人708人で、音楽を聴くと睡眠の質の点数が平均2.79点良かった。

[2]高齢者の睡眠の質への音楽を使った介入のメタ解析

発表年
2026年
研究機関
中国・武漢音楽学院
掲載誌
Frontiers in psychiatry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,730人
結果の向き
良い方向

高齢者1,730人で、睡眠の質の点数が平均3.37点良かった。

[3]睡眠の病気がない大人の睡眠の質への音楽の効果のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
マレーシア・モナシュ大学マレーシア校
掲載誌
Behavioral sleep medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
424人
結果の向き
差なし

睡眠に問題のない大人424人では、睡眠の質に差は見られなかった。

[4]うつ病に伴う不眠のある大人への音楽の試験

発表年
2023年
研究機関
デンマーク・オールボー大学病院
掲載誌
Nordic journal of psychiatry
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
112人
結果の向き
良い方向

うつ病に伴う不眠のある大人112人で、4週間音楽を聴くと点数が2.1点良かった。

[5]不眠のある大学生への就寝前の音楽の試験

発表年
2024年
研究機関
中国・天津医科大学総合病院
掲載誌
Sleep medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
75人
結果の向き
良い方向

眠りに悩む大学生75人で、寝る前に音楽を聴くと5週間後の睡眠の質が良かった。

[6]就寝前の音楽、頭に残る曲、睡眠

発表年
2021年
研究機関
ベイラー大学
掲載誌
Psychological science
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
50人
結果の向き
悪い方向

50人の実験で、歌詞なし版の曲は歌詞あり版より睡眠の質が下がった。

[7]軽い不眠へのバイノーラルビートの二重盲検試験

発表年
2019年
研究機関
韓国・東亜大学病院
掲載誌
Journal of clinical psychopharmacology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
43人
結果の向き
差なし

軽い不眠のある大人43人で、ビートを加えても不眠の重さに差はなかった。

[8]介護施設の高齢者へのバイノーラルビート音楽の試験

発表年
2024年
研究機関
台湾・樹人医護管理専科学校
掲載誌
Geriatrics & gerontology international
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
64人
結果の向き
良い方向

介護施設の高齢者64人で、ビート入りの曲を聴くと睡眠の質が良くなった。

[9]寝る前の呼吸法が寝つきに与える影響のランダム化試験

発表年
2026年
研究機関
ロシア・高次神経活動・神経生理学研究所
掲載誌
Zhurnal nevrologii i psikhiatrii imeni S.S. Korsakova
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
217人
結果の向き
結果が割れている

健康な大人217人で、寝つくまでの時間が短くなったのは女性だけだった。

ほかに参考にした論文(6本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。