評価方法について
「どんな答えか」と「どれくらい確かか」を、分けてお伝えします。
根拠が「高い」場合でも、判定が「効果なし」のことがあります。結果の方向と、根拠の確かさは別の情報です。
最初に確認したい、3つの指標
- エビデンス強度
- 研究の方法や限界を踏まえ、答えをどれくらい確かと考えられるか。
- 研究件数
- 同じ研究の重複を整理して、評価に使った研究がいくつあるか。
- 研究間の一致
- 対象や調べた項目をそろえて見たときに、結果の方向がそろっているか。
エビデンス強度の4段階
- 高い
- 根拠の確かさが高く、結論への信頼が大きい。
- 中程度
- 一定の根拠がある一方、新しい研究で結論が変わる余地がある。
- 低い
- 研究の限界が大きく、結論は慎重に受け止める必要がある。
- 限定的
- 使える根拠の確かさが非常に限られ、結論の不確実性が大きい。
研究の種類だけで機械的に決めず、偏り・結果のばらつき・対象の違い・推定の幅・公表の偏りを確認します。未評価の記事は公開しません。
判定の言葉は、結果の方向だけを表します
「効く」と出ていても、エビデンス強度が「低い」ことがあります。それは「研究は効くと言っているが、研究の数や質がまだ十分ではない」という意味です。判定の言葉に確かさを混ぜないので、方向は判定、確かさは強度で読んでください。
研究が、改善を支持する結果を示しています。どれくらい確かかは、エビデンス強度で別に示します。
研究で、意味のある改善が見られていません。
研究の結果が割れています。どんな人・量・条件で違うかを記事で説明します。
悪化や不利益を示す結果があります。
副作用や危険を調べた研究で、問題になる悪影響が見られていません。
観察研究で一緒に起きる傾向です。原因と結果が確かめられたとは限りません。
観察研究で、悪い結果と一緒に起きる傾向です。原因と結果が確かめられたとは限りません。
観察研究で、一緒に起きる傾向が見られていません。
判断に使える研究が少なく、向きを言えません。
少人数の試験などで差が出なかっただけでは、効果がないと断定できません。判定は、研究の限界も含めて読み解きます。
研究件数と、研究間の一致
同じ参加者を扱う複数の論文や、レビュー同士に含まれる同じ研究は、重複を確認します。レビュー1本と、その中の試験を足し合わせて件数を増やすことはしません。
- おおむね一致
- 内部の一致度が0.75以上
- 一部で結果が異なる
- 0.5以上、0.75未満
- 結果は混在
- 0.5未満
一致度はサイト内の表示指標です。確率や「自分に効く割合」を示す数値ではありません。
数字は、研究にあるものだけ
記事の中の数値 (何%、何分、何倍) は、根拠にした研究の要旨か、原文と照合した公的資料にあるものだけを使います。研究で使った尺度を、根拠なく分数や割合に換算することはしません。「差が小さい」は「役に立たない」と同じ意味ではなく、何が、どのくらい変化したのかを、尺度や比較条件とともに本文で説明します。
評価の手順と、更新の考え方
- 01 疑問を整理
- 誰が、何を、何と比べ、どんな結果を知りたいのかを整理します。
- 02 研究を確認
- 検索条件、対象とする研究、除外した理由を記録します。
- 03 項目ごとに判定
- 睡眠の質と寝つきなど、異なる項目を混ぜずに判断します。
- 04 更新・訂正
- 新しい研究や訂正・撤回を確認し、結論に影響する変更は記事に反映します。
4段階の表示は当サイトの表記です。GRADEなどの評価の考え方を参考にしますが、正式なGRADE評価を実施済みであることを示すものではありません。
詳しい判定基準(計算の方法と変更履歴)
評価方法
このサイトの「エビデンスの強さ (A〜D)」「スコア」「結論」「研究件数」「一致度」(と、本文の説明に使う「効果の大きさ」) は、すべて以下のルールに沿ってプログラムが機械的に算出しています。AI や編集者の印象で判定を変えることはありません。広告の有無や報酬額は、判定の計算に一切使っていません (計算プログラムは商品のデータを読み込みません)。
現在の評価方法のバージョン: 1.2.0 (2026-10-24 更新。変更点は 11 章)
1. 疑問を「検証できる形」に分ける
1 つの疑問を、「何を (介入) → 何に (結果)」の組み合わせに分けて、それぞれを判定します。例えば「マグネシウムは睡眠に効く?」は、「マグネシウム → 寝つくまでの時間」「マグネシウム → 睡眠時間」「マグネシウム → 睡眠の質」に分けています。ページ上の 1 枚のカードが 1 つの組み合わせです。
2. 研究の集め方
- 論文データベース PubMed (米国国立医学図書館) を中心に、教育・心理などの分野では OpenAlex も使います
- まず複数の研究をまとめた分析 (メタ解析・系統的レビュー) を探し、次に ランダム化比較試験 (RCT)、それでも足りないときに 観察研究 を探します
- 査読前の論文、撤回された論文、正誤表・コメントは使いません
- 論文の要旨から、効果の向き・効果の大きさ・信頼区間・参加人数・研究数を抜き出します。抜き出した数値は、要旨の原文と一字一句照合してから保存します
- メタ解析に含まれている個別の研究を、もう一度数えることはしません
3. 研究の種類と重み
研究の種類ごとに、結果の信頼しやすさが違います。判定では次の重みを使います。
| 研究の種類 | 重み |
|---|---|
| RCT をまとめたメタ解析 | 4.0 |
| RCT | 3.0 |
| RCT と観察研究をまとめたメタ解析 | 3.0 |
| 観察研究をまとめたメタ解析 | 2.5 |
| コホート研究 (集団を長期間追跡) | 2.0 |
| 症例対照研究 | 1.5 |
| 横断研究 (ある時点の調査) | 1.0 |
| その他のヒトの研究 | 0.5 |
| 動物実験・試験管内の実験 | 0.1〜0.2 |
参加人数が多いほど、重みを最大 3 倍まで大きくします (1 + log10(1 + 人数 ÷ 100))。
4. 結論 (効果の向き) と一致度
研究ごとの結果を「良い方向」「悪い方向」「差なし」「結果がまちまち」に分け、重み付きで集計します。
- 一致度 = 最も多かった向きの重み ÷ 全体の重み
- 一致度が 50% 未満、または「結果がまちまち」が最も多い場合は「研究結果が割れている」とします
- 統計的に意味のある差がない結果 (信頼区間が「差なし」の値をまたぐ) は「差なし」として数えます
判定の言葉は「向き」だけを表します (2026-10-24)
| 向き | 言葉 (人の試験) | 言葉 (観察研究だけ) |
|---|---|---|
| 良い方向 | 効く | 良い関連がある |
| 差なし | 効かない (副作用を問う疑問では「大きな心配はない」) | 関連はない |
| 悪い方向 | 注意が必要 | 悪い関連がある |
| 結果が割れている | 条件による | 条件による |
| グレード D・I | 研究が足りない (向きは言いません) | 研究が足りない |
どれくらい確かかは、判定の言葉には混ぜず、エビデンス強度 (A 高い / B 中程度 / C 低い / D 限定的) で別に示します。「効く」と「エビデンス強度: 低い」が並ぶことがありますが、それは「研究は効くと言っているが、研究の数や質がまだ十分ではない」という意味です。記事の本文でも、確かさは「根拠の確かさは低めです」のように、強度と同じ言葉で書きます。
5. エビデンスの強さ (グレード)
| グレード | 条件 |
|---|---|
| A 根拠が強い | RCT のメタ解析が 1 本以上、または RCT が 3 本以上あり、一致度 75% 以上、研究 3 件以上、参加者 300 人以上 |
| B 根拠は中程度 | RCT のメタ解析または RCT があり、一致度 60% 以上 (A の条件を満たさない)。または、一致度 75% 以上で研究 5 件以上・参加者 1 万人以上の観察研究 |
| C 根拠は弱い | ヒトの研究があり、一致度 50% 以上 (A・B の条件を満たさない) |
| D 根拠がとても弱い | 上のどれにも当てはまらない、または動物実験・試験管内の実験だけ |
| I 研究が不足 | 判断に使えるヒトの研究が見つからない |
追加のルール:
- 観察研究だけの場合は B が上限です。観察研究は「関連」は示せても「原因と結果」は示せないため、判定の言葉も「効く」ではなく「良い関連がある」(悪い方向なら「悪い関連がある」、差なしなら「関連はない」) と表示します
- 研究の著者自身が、国際的な評価法 (GRADE) でエビデンスの確実性を評価している場合は、それを上限にします (高い → A、中程度 → B、低い → C、非常に低い → D。「低い〜非常に低い」のように幅がある場合は低い方)。評価している研究が複数あるときは、いちばん低い評価を上限にします
- 根拠になった研究がすべて、疑問の対象とは違う人たち (例: 一般の人についての疑問なのに、入院患者だけの研究) の場合は、B が上限です。違いは記事の中で説明します
6. スコア (0〜100)
グレードの中での位置を細かく示すための数値です。
| 項目 | 配点 | 内容 |
|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 最も信頼できる研究の種類 (RCT のメタ解析 40 / RCT 30〜36 / 観察研究のメタ解析 24 / コホート 20 …) |
| 研究の量 | 20 | 研究件数と参加人数 (対数) |
| 一致度 | 25 | 一致度 × 25 |
| 新しさ | 10 | 最新の研究が 5 年以内 10 / 10 年以内 6 / それ以前 3 |
| 精度 | 5 | 信頼区間が「差なし」の値をまたがない 5 / またぐ 2 |
合計はグレードごとの範囲 (A: 75〜100、B: 55〜84、C: 30〜64、D: 5〜39) に収めます。グレードとスコアが矛盾しないようにするためです。
7. 効果の大きさ
重みの大きい研究から順に見て、大きさを判定できる最初の研究の数値を使います。この区分はページのラベルとしては表示せず (2026-10-25 から)、本文で「何が、どのくらい変わったか」を説明するときの目安に使います。
| 指標 | ほぼなし | 小さい | 中くらい | 大きい |
|---|---|---|---|---|
| 標準化平均差 (SMD) | 0.2 未満 | 0.2〜 | 0.5〜 | 0.8〜 |
| 相関係数 (r) | 0.1 未満 | 0.1〜 | 0.3〜 | 0.5〜 |
| リスク比・オッズ比・ハザード比 | 1.1 倍未満 | 1.1〜 | 1.5〜 | 2.0 倍〜 |
| 平均差 (MD) | 臨床的に意味のある最小の差 (MCID) が出典つきで分かる場合だけ判定。0.5 MCID 未満 / 1 MCID 未満 / 2 MCID 未満 / それ以上 |
「差なし」の結論のときは「ほぼなし」、結果が割れているとき・判定できる数値がないときは「判定できない」とします。
8. 研究件数と参加者数
メタ解析が含む研究と、個別の研究が重なっている可能性があるため、少なめに数えます。
- 研究件数 = 「最も多くの研究をまとめたメタ解析の研究数」と「個別の研究の数」の大きい方
- 結果を統合していない文献レビューで、含まれる研究の種類がわからないものは、件数を 1 と数えます (研究の種類が混ざった文献の数を、研究の数として見せないため)
- 参加者数 = 「最大のメタ解析の参加者数」と「個別の研究の参加者の合計」の大きい方
9. 見直し
公開した判定は、原則 90 日ごとに新しい論文が出ていないか確認し、必要なら判定を更新します。評価方法を変更した場合は、このページのバージョンを更新し、すべての判定を計算し直します。
10. 限界
- 論文の要旨をもとに判定しているため、本文にしか書かれていない情報 (研究ごとのバイアスの詳細など) は反映されていない場合があります
- 判定は「研究で確かめられているか」の目安で、あなた個人に効くかどうかを保証するものではありません
- 誤りに気づいた場合は、運営者情報のページからお知らせください
11. 変更履歴
- 1.2.0 (2026-10-24): 判定の言葉を「向き」だけにしました (効く / 効かない / 条件による / 注意が必要 / 大きな心配はない / 関連がある / 研究が足りない)。それまでの「効く可能性が高い」(C) は、エビデンス強度「低い」と並ぶと逆に読めたためです。グレード・スコアの計算は変えていません。すべての判定の言葉を付け直しています
- 1.1.0 (2026-10-15): 確実性 (GRADE) の上限を、最も重みの大きい研究だけでなく、評価している研究の中でいちばん低いものにしました。対象者の違う研究だけが根拠の場合は B を上限にしました。統合していない文献レビューの件数を研究件数に数えないようにしました。すべての判定を計算し直しています
- 1.0.0 (2026-10-08): 公開