寝る前のはちみつは睡眠に効く?

寝る前のはちみつは睡眠に効く?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

効きます。牛乳と混ぜて飲んだ入院患者で、睡眠の質問票の合計点が良くなりました。

根拠

心臓の病気(急性冠症候群)で入院した患者68人のランダム化比較試験です。牛乳とはちみつを混ぜたものを毎日2回、3日間飲んだ群は、通常のケアだけの群より、質問票で測った睡眠の合計点が良くなりました [1]。寝つきや眠りの深さなど項目別の結果は、要旨からは分かりません。大人で睡眠を調べた研究として整理できたのはこの1件で、偽薬(成分のない対照)も使われていません。根拠の確かさは低めです。試験が1件だけで、参加者が68人と少ないためです。

この答えの範囲

牛乳と混ぜた場合の、入院中の患者の結果です。

じゃあ、どうする?

試すなら、研究に近い「牛乳に混ぜて飲む」形が目安です。糖分が含まれるので、血糖値が気になる人や服薬中の人は、医師・薬剤師に確認を。1歳未満の赤ちゃんには与えないでください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。6 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量6.620研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 67.6 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本。 この上限により、強度を B から C に下げました。 根拠の研究が、この疑問の対象とは違う人たちのものだけなので、強度は B を上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

はちみつとは

はちみつは、ミツバチが花の蜜を集めて作る食品です。のどを和らげる、寝る前に飲むと眠りやすくなるなどとされ、アカシアやマヌカなど花の種類によって色や風味が違います。主成分は糖分で、牛乳やお茶に混ぜて飲む人もいます。注意点は、1歳未満の乳児には与えてはいけないことと、糖分を含むため血糖値が気になる人は医師・薬剤師に相談することです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イランのセムナン医科大学などの研究チームが2018年に発表したランダム化比較試験です [1]。ランダム化比較試験とは、参加者をくじ引きのように分けて、2つの方法を比べる方法です。急性冠症候群(心臓の病気)で入院した患者68人が対象でした。

研究の種類ランダム化比較試験
対象急性冠症候群で入院中の患者68人
比べたもの牛乳とはちみつの混合物 / 通常のケアだけ
結果睡眠の質問票の合計点(0〜100点)が、混合物を飲んだ群で良かった
試験の結果牛乳とはちみつを飲んだ群は、通常のケアの群より、質問票で測った睡眠の合計点が良くなりました [1]。

入院直後は2つの群に差がなく、3日目に差が出ました [1]。

睡眠の何が良くなった?

  • 確かめられたこと: 質問票(リチャーズ・キャンベル睡眠質問票)で測った、睡眠の質の合計点が良くなった [1]
  • 分からないこと: 寝つき・眠りの深さ・途中の目覚め・睡眠時間のどれが良くなったか。効果の大きさの数値も要旨にありません

研究の条件

  • 飲んだもの: 牛乳とはちみつの混合物。量は要旨に書かれていません
  • 回数と期間: 毎日2回、3日間 [1]。飲んだ時刻が寝る前だったかは、要旨に書かれていません
  • 比べた相手: 通常のケアだけの群。偽薬も、牛乳だけの群も使っていません
  • 場所: 心臓病の患者が入る治療室。モニターや処置で眠りが妨げられやすい環境です [1]

偽薬も牛乳だけの群もないので、「何かを飲んだ」ことや牛乳の影響と、はちみつの影響は分けられません。試験が1件だけで、人数も少なく、偽薬もないため、根拠の確かさは低めです。

よく言われていることは本当?

  • ぐっすり眠れる・睡眠の質が上がる牛乳と混ぜた場合は、質問票の合計点が良くなりました [1]。 ただし入院患者の試験1件だけで、健康な大人が寝る前にはちみつだけをとった試験は見つかりませんでした
  • 子どもの夜の咳をやわらげ、よく眠れる根拠は弱いです。 1歳以上の子どもでは、はちみつの群で睡眠が良くなる傾向をまとめた系統的レビュー [2](研究の質は低い〜非常に低い)と、咳止め薬と比べて、咳による睡眠への影響が平均0.73点小さかったメタ解析(576人)があります [3]。ただ、日本の1〜5歳161人の二重盲検試験では、偽薬のシロップと差がありませんでした [4]
  • 夜中の低血糖を防ぎ、ストレスホルモンを抑えて眠りが深くなる寝る前のはちみつで血糖やコルチゾールと睡眠を測った人の研究は見つかりませんでした
  • メラトニンが増えるはちみつをとってメラトニンを測った人の研究は見つかりませんでした
  • 痩せる・太りにくくなる痩せるとは言えません。 はちみつと肥満の系統的レビューでは、人の試験の結果は割れ、体重が減らなかった試験もありました [5]。砂糖の代わりにとった37人の試験では、1週間後に一時的に体重が増えています [6]。寝る前にとる効果を調べた研究はありません
  • リラックスできる寝る前のはちみつで気分や不安を測った人の研究は見つかりませんでした

02注意点

2018年の試験では、牛乳とはちみつの混合物を毎日2回、3日間飲みました [1]。自宅での量や期間の目安ではなく、健康な人の結果とも分けて考える必要があります。副作用は、この研究の要旨からは分かりません。はちみつは糖分を含むため、血糖値に気をつけている人や、持病・服薬中の人は、医師・薬剤師に相談してください。

消費者庁は、1歳未満の乳児には、乳児ボツリヌス症を発症することがあるため与えてはいけないとしています。

1歳未満の乳児には与えない

赤ちゃんのいる家庭では、スプーンやはちみつの扱いに気をつけてください。

03まとめ

牛乳と混ぜたはちみつは、質問票で測った睡眠の合計点を良くします。ただし、根拠の確かさは低めです。
根拠は入院患者の試験1件で、痩せる・低血糖を防ぐ・メラトニンが増える・リラックスできるといった話は、研究では確かめられていません。
試すなら牛乳に混ぜる形で、血糖値や服薬が気になるときは医師に確認しましょう。

関連して、寝室を暗くすると眠りは良くなる?や耳栓やアイマスクで睡眠は良くなる?も、寝る環境の整え方の参考になります。

04よくある質問

Q牛乳なしで、はちみつだけでも同じ効果はありますか?

研究では確かめられていません。見つかった試験は牛乳とはちみつの混合物で、はちみつ単独の効果かは分からないためです。

Q睡眠の何が良くなりますか?寝つきですか?

質問票で測った睡眠の合計点が良くなったことは分かっています。寝つきや眠りの深さなど項目別の結果は、要旨に書かれていないため分かりません。

Qはちみつは誰にでも安全ですか?

いいえ。1歳未満の乳児には与えてはいけません。糖分も含むため、血糖値が気になる人は医師・薬剤師に相談してください。

Q寝る直前に飲むのが良いのですか?

研究では確かめられていません。試験は毎日2回、3日間飲んだもので、飲んだ時刻は要旨に書かれていません [[30390870]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(6本)

[1]冠動脈疾患の患者の睡眠に対する牛乳とはちみつの効果

発表年
2018年
研究機関
イラン・セムナン医科大学
掲載誌
Clinical nutrition ESPEN
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
68人
結果の向き
良い方向

集中治療室に入院中の心臓病の患者68人で、牛乳とはちみつを飲んだ群は通常のケアの群より睡眠の点数が良かった。

[2]子どもの急な咳に対するはちみつの系統的レビュー

発表年
2023年
研究機関
フィンランド・東フィンランド大学
掲載誌
European journal of pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究10件を統合
結果の向き
良い方向

急な咳のある子どものRCT10件で、はちみつの群は子どもの睡眠が良くなる傾向だった。数値の統合はされていない。

[3]子どもの急な咳に対するはちみつと薬のメタ解析

発表年
2026年
研究機関
ブラジル・パラナ連邦大学
掲載誌
European journal of pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
576人
結果の向き
良い方向

576人のメタ解析で、咳による子どもの睡眠への影響ははちみつの群で平均0.73点小さかった。

[4]日本の幼児の夜の咳とはちみつの比較試験

発表年
2022年
研究機関
日本・西村小児科
掲載誌
Acta paediatrica (Oslo, Norway : 1992)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
161人
結果の向き
差なし

日本の1〜5歳の風邪の子ども161人の二重盲検試験で、はちみつは偽薬のシロップと夜の咳と睡眠に差がなかった。

[5]肥満の管理におけるはちみつの系統的レビュー

発表年
2022年
研究機関
マレーシア・マレーシア国民大学
掲載誌
Frontiers in nutrition
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究3件を統合
結果の向き
結果が割れている

ヒトの臨床試験の結果は割れており、体重が減らなかった試験もあった。多くは動物の研究だった。

[6]はちみつは血中脂質に悪影響を与えない無作為化クロスオーバー試験

発表年
2020年
研究機関
アメリカ・サンディエゴ州立大学
掲載誌
Nutrition research (New York, N.Y.)
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
37人
結果の向き
悪い方向

健康な大人37人で、砂糖の代わりにはちみつをとった期間は、1週間後に一時的に体重が増えた。

ほかに参考にした論文(13本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。