横向き寝グッズで睡眠時無呼吸は減る?

横向き寝グッズで睡眠時無呼吸は減る?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え

何もしない場合と比べて、呼吸が止まる・浅くなる回数が一時間あたり平均7.38回減りました。日中の眠気も軽くなりました。

根拠

仰向けを避ける体位療法をまとめたコクラン・レビューでは、何もしない場合と比べて、呼吸が止まる・浅くなる回数が一時間あたり平均7.38回減り、日中の眠気の点数も平均1.58点下がりました [1]。一方、19件・1,231人のメタ解析では、仰向けで寝ているときの回数は平均7.46回減ったものの、一晩全体の回数はプラセボと差がありませんでした [2]。根拠の確かさは低めです。短期間の研究が中心で、解析によって結果が食い違うためです。

この答えの範囲

閉塞性睡眠時無呼吸の人、主に仰向けで悪化するタイプで確かめた結果です。研究で使われたのは、市販の横向き寝枕そのものではなく、振動する装置や専用の器具です。

じゃあ、どうする?

診断を受けて仰向けで悪化するタイプと分かった人が、CPAPが合わないときに試す選択肢です。回数を減らす力はCPAPより弱いので、自己判断でCPAPをやめて置き換えないでください。治療の選び方は、睡眠外来で相談を [1]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。限定的
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。5 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。結果は混在
判定の内訳を見る(スコア 39 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量16.520研究件数と参加人数
一致度9.725結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 81.2 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

横向き寝グッズ(体位療法)とは

体位療法は、仰向けで寝るのを避けて横向きで寝るようにする方法です。睡眠時無呼吸には、仰向けのときに悪化するタイプがあり、そのタイプで使われます。仰向けになると振動で知らせる装置、専用の枕、リュック型の器具などがあります。医療機器として使われるもので、治療の中心はCPAPです。注意点は、枕だけで治ると考えて受診が遅れることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、インドの国立精神衛生・神経科学研究所などの研究チームが2019年に発表したコクラン・レビューです [1]。コクラン・レビューとは、決めた手順で比較試験を集めて結果を整理する方法です。体位療法の研究8件が集められ、振動する装置が3件、専用の枕やリュック型の器具が5件でした。いずれも短期間の研究です。

研究の種類体位療法を調べた比較試験のコクラン・レビュー
対象閉塞性睡眠時無呼吸の人(251人)
比べたもの体位療法と、何もしない場合
結果呼吸が止まる・浅くなる回数が一時間あたり平均7.38回少ない(研究の確実性は低い)
まとめて分析した結果何もしない場合と比べ、呼吸が止まる・浅くなる回数が一時間あたり平均7.38回減りました [1]。

統計的にも差があると報告されていますが、研究の確実性は低いとされています。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

中国の北京積水潭病院などの研究チームが2025年に発表したメタ解析は、ランダム化比較試験19件・1,231人をまとめました [2]。体位療法は、プラセボと比べて仰向けで寝ているときの回数を一時間あたり平均7.46回減らしました。ところが一晩全体の回数では、プラセボとの差がありませんでした。

一晩全体では差がなかった解析閉塞性睡眠時無呼吸の人 1,231人(19件の試験)

仰向けのときの回数は減りましたが、一晩全体の回数はプラセボやマウスピースと差がありませんでした。

効くのはどんなとき?

  • 仰向けのときに悪化するタイプで、仰向けで寝ている間の回数を見たとき
  • 何もしない場合と比べたとき [1]
  • 振動する装置の2か月の試験(101人)では、使った群で一時間あたり18回から10回に減り、使わない群は20回から18回でした [3]

効きにくいのはどんなとき?

  • 一晩全体の回数を、プラセボと比べたとき [2]
  • CPAPと比べたとき。CPAPとの比較(3件・72人)のうち研究2件のまとめでは、体位療法の減り方が一時間あたり平均6.4回小さくなりました。研究の確実性は低いとされています [1]
  • 振動する装置とCPAPを8週間ずつ試した40人の試験では、回数はCPAPで4.0回、装置で13.0回でした。どちらも使う前よりは少なくなっています [4]

続けやすさと日中の眠気

CPAPと比べた研究1件では、自己申告の使い続けた時間が体位療法のほうが一晩あたり2.5時間長くなりました [1]。仰向けのときだけ無呼吸が起こる人の試験でも、一晩に使った時間は装置が5.7時間、CPAPが3.9時間でした [5]。日中の眠気の点数(エプワース眠気尺度)は、何もしない場合と比べて平均1.58点下がりました。研究2件のまとめで、確実性は中程度です [1]。

よく言われていることは本当?

  • 横向きで寝ると睡眠時無呼吸が減る条件によります。 仰向けのときの回数は減りますが、一晩全体ではプラセボと差がない解析もあります [1] [2]
  • 横向き寝の枕・ベルト・振動する装置はCPAPの代わりになる回数を減らす力はCPAPに及びません。 ただし使い続けやすさは体位療法のほうが上です。CPAPが合わない人の選択肢にはなります [1] [2]
  • 日中の眠気が良くなる本当です。 何もしない場合と比べて、眠気の点数が平均1.58点下がりました [1]
  • いびきが減る研究が足りません。 横向き寝単独の効果を調べた研究は見つかっていません
  • 半うつ伏せ用の枕で呼吸の低下が減る研究が見つかりません。 査読された論文で確認できませんでした
  • 鼻テープ・口閉じテープで無呼吸が良くなる横向き寝グッズとは別の方法で、この記事では確かめていません

02注意点

研究の対象は、検査で閉塞性睡眠時無呼吸と診断された人です。使われた期間は短く、長く使い続けたときの効果は分かっていません [1]。体位療法は仰向けで悪化するタイプ向けで、仰向けに限らず起こるタイプでは同じ結果は期待できません。症状があるのに診断を受けていない人や、持病・服薬がある人は、医師に相談してください。

診断のうえで、治療を選ぶ

いびきや日中の眠気が続くときは、グッズを試す前に睡眠外来で検査を受けてください。

03まとめ

横向き寝グッズを使うと、何もしない場合より無呼吸の回数が減り、日中の眠気も軽くなりました。
当てはまるのは、検査で仰向けで悪化すると分かった人です。
CPAPの代わりにする前に、医師と治療を決めましょう。

04よくある質問

Q横向き寝の枕だけで無呼吸は治りますか?

研究では確かめられていません。研究で使われたのは振動する装置や専用の器具で、市販の横向き寝枕そのものを調べた研究は見つかっていません。診断を受けて、医師と治療を決めてください。

Qいびきにも効きますか?

横向き寝単独の効果を調べた研究は見つかっていません。いびき全般の方法は[いびきに効く方法は?](/evidence/snoring-remedies)で紹介しています。

QCPAPとどちらが効きますか?

呼吸が止まる・浅くなる回数の減り方は、CPAPのほうが大きい結果です。CPAPとの比較(3件・72人)のうち研究2件のまとめで、体位療法の減り方は一時間あたり平均6.4回小さくなりました [[31041813]]。自己申告の使い続けやすさは体位療法が上でした。

Qマウスピースと比べるとどうですか?

ネットワーク・メタ解析では、回数は体位療法で一時間あたり10.05回、マウスピースで10.76回減り、同じくらいでした [[41957614]]。マウスピースは[マウスピースはいびきに効く?](/evidence/oral-appliance-snoring)で扱っています。

05参照した論文

判定に使った主な論文(5本)

[1]閉塞性睡眠時無呼吸への体位療法のコクラン・レビュー

発表年
2019年
研究機関
インド・国立精神衛生・神経科学研究所
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
251人
結果の向き
良い方向

体位療法と何もしない場合を比べ、呼吸が止まる・浅くなる回数が一時間あたり平均7.38回少なかった。確実性は低い。

[2]体位療法・マウスピース・CPAPを比べたメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・北京積水潭病院
掲載誌
Frontiers in medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,231人
結果の向き
結果が割れている

仰向けでの回数は平均7.46回減ったが、一晩全体の回数ではプラセボと差がなかった。

[3]仰向けで振動する装置のランダム化比較試験

発表年
2017年
研究機関
デンマーク・コペンハーゲン大学
掲載誌
Journal of sleep research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
101人
結果の向き
良い方向

2か月の試験 (101人)。装置を使った群は18回から10回に減り、使わない群は20回から18回だった。

[4]振動する装置とCPAPを比べた交差試験

発表年
2020年
研究機関
シンガポール・チャンギ総合病院
掲載誌
Thorax
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
40人
結果の向き
悪い方向

8週間ずつ試した40人で、回数はCPAPで4.0回、装置で13.0回だった。

[5]仰向けを避ける装置とCPAPを比べた臨床試験

発表年
2024年
研究機関
オーストラリア・フリンダース大学
掲載誌
Annals of the American Thoracic Society
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

日中の眠気の改善は装置 (平均1.9点) がCPAP (2.4点) に劣らず、使用時間は5.7時間と3.9時間だった。

ほかに参考にした論文(4本)

この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。