[1]カモミールの睡眠の質への効果の系統的レビュー
- 発表年
- 2024年
- 研究機関
- イラン・シーラーズ医科大学
- 掲載誌
- Complementary therapies in medicine
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 772人
- 結果の向き
- 良い方向
臨床試験10件(772人)を集めた解析で、睡眠の質の点数がカモミールのほうが平均1.88点良くなりました。

睡眠の質には効き、点数が平均1.88点良くなります。睡眠時間は延びていません。
睡眠の質を自己評価する点数の話です。不眠症と診断された人への効果を示した研究は、小規模な1件で差がありませんでした。
寝る前の一杯を、リラックスの習慣として試す価値はあります。睡眠時間を延ばす効果は確認されていません。不眠が続くときは、お茶に頼らず医師に相談を。薬を飲んでいる人や妊娠中の人は、事前に医師か薬剤師に確認してください。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 12.4 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 92.4 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 92 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本・観察研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
カモミールは、キク科の植物で、花を乾燥させたハーブティーとして広く飲まれています。リラックスや安眠、胃腸を整える働きがあるとされ、お茶のほか、エキスのカプセルや精油(アロマ)の形でも使われます。研究では、お茶とエキスのカプセルの両方が調べられています。注意点は、キク科の植物にアレルギーがある人は反応が出やすいこと、妊娠中・授乳中の安全性がほとんど分かっていないことです。
答えの中心は、イランのシーラーズ医科大学などの研究チームが2024年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の臨床試験の結果をまとめて、全体の差を調べる方法です。2023年までの臨床試験10件・772人が集められました。
| 研究の種類 | 臨床試験を集めた系統的レビューとメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 健康な大人と、病気のある大人の両方 |
| 比べたもの | カモミール / 比較群 |
| 結果 | 睡眠の質の点数(PSQI、低いほど良い)が平均1.88点良い |
点数を統合できた5件の間でばらつきが大きく、数字は幅をもって読む必要があります。
本当の差が入っていそうな範囲(信頼区間)は、0.31点から3.46点良い、という幅でした。「睡眠の質」を項目に分けると、このレビューでは次のとおりでした [1]。
2019年のランダム化試験12件のメタ解析も、睡眠の質の改善を報告しています [2]。2本は含まれる試験が重なっている可能性があり、独立した2本の確認とは読まないでください。
検索上位の記事や AI の要約でよく見る主張を、研究と照らしました。
お茶そのものを調べた試験では、睡眠の悪い産後の女性80人が2週間飲むと睡眠の点数の一部が良くなりましたが、4週後には差がなくなりました [3]。比較は、お茶を飲まないグループです。
カモミールエキス270mgを朝晩28日間飲んでも、睡眠日誌の記録はプラセボと差がありませんでした [4]。
紹介した試験のうち、お茶を調べたのは産後の女性の1件で、ほかはエキスのカプセルです。高齢者施設に通う高齢者が、カモミールエキス200mgのカプセルを朝晩28日間飲むと、小麦粉のカプセルより睡眠の質が良くなりました [9]。お茶で同じ量がとれるかは、研究では確かめられていません。不眠症のハーブのメタ解析では、カモミールの有害事象はプラセボと同じかそれより少なかったとされています [10]。ただし、免疫を抑える薬のシクロスポリンや、血液をさらさらにする薬のワルファリンとの相互作用が報告されています(厚生労働省「統合医療」情報発信サイト)。薬を使っている人、持病がある人、妊娠中・授乳中の人は、飲む前に医師や薬剤師に確認してください。
紹介した試験にはエキスのカプセルのものがあるので、お茶にそのまま当てはめない読み方が正確です。
カモミールは、睡眠の質の点数を良くすることが研究で確かめられています。
睡眠時間や不眠症への効果は、研究では示されていません。不安への効果は条件によって割れています。
寝る前のリラックスの習慣として試し、不眠が続くときは医師に相談しましょう。
寝つきを調べた4件の試験のうち3件で、寝つきが良くなったとされています。ただ数字をまとめた解析はありません [[39106912]]。不眠症の人の試験では、寝つきを含む睡眠日誌の記録がプラセボと差がありませんでした [[21939549]]。
効くという根拠はありません。不眠症の人を調べたカモミール単独の試験は小規模な1件で、睡眠日誌に差はありませんでした [[21939549]]。不眠が続くときは医師に相談してください。
お茶とカプセルを直接比べた研究は、今回集めた論文の中にはありません。お茶の試験は睡眠の悪い産後の女性80人で、お茶を飲まないグループと比べたものです [[26483209]]。カプセルの試験は、高齢者施設に通う高齢者 [[29154054]] と不眠症の大人 [[21939549]] で、対象が違うため単純には比べられません。
睡眠の質を高める方法は [睡眠の質を高める方法は?](/evidence/sleep-quality-methods) で、寝室の明るさは [寝室を暗くすると眠りは良くなる?](/evidence/dark-bedroom-sleep) で、研究をもとに答えています。
臨床試験10件(772人)を集めた解析で、睡眠の質の点数がカモミールのほうが平均1.88点良くなりました。
ランダム化試験12件の解析で、睡眠の質が改善しました。全般性不安障害では不安の点数が平均1.43点低くなりました。
睡眠の悪い産後の女性80人で、飲んでいる間は睡眠の一部の点数が良くなり、4週後には差がなくなりました。
慢性の不眠症の大人34人で、エキス270mgを28日間飲んでも、睡眠日誌の記録はプラセボと差がありませんでした。
カモミールを飲んだ臨床試験10件を集めたレビューで、9件が不安を減らす効果があったと結論しました。数値の統合はありません。
ランダム化試験29件の解析で、カモミールはプラセボと不安の点数に差がなく、効かないとも言い切れないとされました。
国際的な学会のガイドラインは、全般性不安障害へのカモミールを推奨していません。
生理痛のカモミールの臨床試験7件(1033人)を集めたレビューで、多くの研究が有効と結論しました。数値の統合はありません。
高齢者施設に通う高齢者で、エキス200mgのカプセルを28日間飲んだグループは、小麦粉のカプセルより睡眠の質が良くなりました。
不眠症に飲むハーブのメタ解析で、どのハーブもプラセボと差がなく、カモミールの有害事象はプラセボと同じかそれより少なかったとされました。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。