[1]医療職の立ち直る力を高める心理的介入
- 発表年
- 2020年
- 研究機関
- ドイツ・ライプニッツ・レジリエンス研究所
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 690人
- 結果の向き
- 良い方向
医療職で、トレーニングを受けた人は立ち直る力の点数が高く、ストレスが低かった。

強くなります。立ち直る力の点数が上がり、ストレスも減ります。
医療職・医療系の学生・働く人など、心の病気の治療中ではない大人で確かめた結果です。立ち直る力の質問票の点数が対象です。
考え方の練習(認知行動療法)、マインドフルネス、ポジティブ心理学(良かったことや強みに目を向ける練習)のどれでも、点数は上がっています。講習は対面のグループ形式が多く、運動は8週間を超えて続けた方が効果が大きい結果でした [3]。運動でストレスは減る?も参考になります。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 17.8 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 20.4 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 93.2 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・RCT のメタ解析 5 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
レジリエンスは、困難やストレスから立ち直る力のことです。レジリエンス・トレーニングは、その力を高めるために、考え方の練習やマインドフルネス(今の体験に注意を向ける練習)などを講習やオンラインで学ぶ方法です。研究では、立ち直る力の質問票の点数で効果を測ります。
答えの中心は、ドイツのライプニッツ・レジリエンス研究所などの研究チームが2020年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューとは、決めた手順で関連する試験を集め、結果をまとめる方法です。医療職を対象にした試験が分析されました。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めたメタ解析(コクランレビュー) |
|---|---|
| 対象 | 看護師・医師・病院職員などの医療職(平均年齢 27〜52.4 歳) |
| 比べたもの | レジリエンス・トレーニングを受けた人と、受けない人 |
| 結果 | 立ち直る力の点数が高く、ストレスも低かった |
感じるストレスも低く(17件・997人、標準化平均差 -0.61)、落ち込みの点数も低くなりました [1]。
医療系の学生でも同じ向きです。9件・561人で立ち直る力の点数が高く、ストレスも低くなりました [2]。2018年のメタ解析(11件)も、中くらいの大きさの効果を報告しています [4]。根拠の確かさは低めです。Cochrane のレビューが、研究の確実性を「非常に低い」と評価しているためです。
医療職のネットワークメタ解析(2025年)は、練習の種類ごとに比べました [5]。立ち直る力の点数は、ポジティブ心理学が最も大きく上がり、マインドフルネス、認知行動療法(考え方の練習)が続きました。
ストレスを下げたのも、この3つでした(ポジティブ心理学 -0.69、認知行動療法 -0.58、マインドフルネス -0.58)。3つの数値の幅は重なっています。
運動のプログラム10件をまとめた2026年のメタ解析では、立ち直る力の点数が上がりました(標準化平均差 0.49)。8週間を超えるプログラムでは 0.64、8週間以下では 0.30 でした [3]。長く続けるほど効果が大きい結果です。この解析は、ランダム化比較試験とそうでない研究(準実験)を合わせたもので、ランダム化比較試験だけに絞ると 0.56 でした。
オンラインのトレーニングは、解析によって結果が割れています。22件・2876人をまとめた2022年の解析は、終了直後も追跡でも、点数が中くらいから大きく上がったと報告しています [6]。一方、11件をまとめた別の解析では、立ち直る力の点数に統計的な差が出ませんでした [7]。対象の幅(大人と思春期)や、幸福感などの近い指標を混ぜてまとめた点が違います。
最後まで続けた人が少なく、立ち直る力に良い変化は見られませんでした [8]。
研究の多くは、グループで対面の講習を受けた医療職が対象です(12時間を超える長い講習も含まれます)[1]。効果の大きさは研究によってばらつきがあり、「誰でも同じだけ強くなる」という意味ではありません。眠れない、気分の落ち込みが続くなど、つらさが強いときは、医師や心理の専門家に相談してください。
最後まで続けた人が少なかった試験では、効果が見られませんでした。
メンタルは、考え方の練習・マインドフルネス・運動などの訓練で強くなります。
効果は「立ち直る力の質問票の点数」で確かめられたもので、根拠の確かさは低めです。
続けやすい形を選びましょう。マインドフルネスでストレスは減る?や感謝を書き出すと幸福感は上がる?も参考になります。
変わります。トレーニングを受けた人は、受けない人より立ち直る力の点数が高くなる結果が、複数のメタ解析でそろっています [[32627860]] [[29903782]]。
医療職の試験では対面のグループ講習が多く、12時間を超える長いものも含まれていました [[32627860]]。運動は8週間を超えるプログラムのほうが効果が大きい結果でした [[42251398]]。6週間のオンライン講座で点数が上がった試験もあります [[40159648]]。
上がった解析もあれば、差が出なかった解析もあります [[35460533]] [[34240159]]。最後まで続けた人が少ない試験では効果が見られませんでした [[42686878]]。
研究で効果が確かめられているのは、考え方の練習・マインドフルネス・ポジティブ心理学・運動といった具体的なプログラムです [[40664044]] [[42251398]]。気合いの強さを調べた結果ではありません。
医療職で、トレーニングを受けた人は立ち直る力の点数が高く、ストレスが低かった。
医療系の学生 561人で、立ち直る力の点数が高く、ストレスが低かった。
運動のプログラム 10件で、立ち直る力の点数が上がった。
RCT 11件で、立ち直る力の点数が中くらいの大きさで上がった。
ポジティブ心理学・マインドフルネス・認知行動療法の順に、立ち直る力が上がった。
オンラインやアプリのトレーニングの RCT 22件・2876人で、点数が上がった。
オンライン介入の RCT 11件をまとめた解析では、統計的な差が出なかった。
大学生 216人の RCT で、立ち直る力に良い変化は見られなかった。
働く人 352人の RCT で、立ち直る力が高く、ストレスが低かった。
18〜54歳の 174人の RCT で、立ち直る力の点数が上がった。
オンラインのトレーニングの RCT 101件・20010人で、心の不調が小さく減った。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。