運動でストレスは減る?

運動でストレスは減る?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.04
答え効く

運動でストレスは減ります。不安と気分の落ち込みは、さらにはっきり減ります。

根拠

ストレスそのものは、大学生のRCT34本・8,020人のメタ解析で中くらいの大きさで減りました [1]。HIITの解析と働く人の解析でも減りましたが、中高年の女性のRCT5件では差がありませんでした [2] [3] [4]。根拠の確かさは低めです。結果のばらつきが大きいためです。不安と気分の落ち込みも、診断のない一般の大人のメタ解析で減りました [5]。メタ解析81本をまとめた解析も同じ向きです [6]。気分の落ち込みの根拠の確かさは中程度です。

この答えの範囲

診断のない一般の大人の話で、大学生の研究が中心です。1回だけの運動の効果や、運動でセロトニンが増えるかどうかは、この答えの範囲外です。

じゃあ、どうする?

週3回以下の運動を、10週以上続けてみてください [1]。ウォーキングなどの有酸素運動は不安と落ち込みに、筋トレやHIITも効きます。落ち込みや不安が続くときは、運動だけで抱えず医師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。12 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量19.820研究件数と参加人数
一致度18.825結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 93.6 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 4 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

運動でストレスを減らすとは

運動でストレスを減らすとは、定期的に体を動かして、感じているストレスの強さを下げることです。ウォーキングなどの有酸素運動、筋トレ、短時間で強度の高いHIITなどがあり、心の不調の対策として研究されてきました。注意点は、一度だけでなく続けた効果を調べた研究が中心で、運動の種類や対象者で効き方が変わることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

ストレスそのものは、中くらいの大きさで減る

答えの中心は、中国の首都体育大学などの研究チームが2025年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果をまとめて計算し直す方法です。大学生を対象にした無作為化比較試験34本・8,020人が集められました。

研究の種類大学生の運動の効果を調べたRCTのメタ解析
対象大学生(34本の論文・8,020人)
比べたもの運動をした人と、運動をしなかった人
結果感じるストレスが中くらいの大きさで減った
試験のまとめの結果運動をした人は、しなかった人より感じるストレスが中くらいの大きさで減っていました [1]。

週3回以下で、10〜48週続けた運動のほうが、効果が大きい傾向でした。

短時間で強度の高いHIITを調べた2022年の解析でも、RCT4件で中くらいの大きさの減り方でした [2]。アプリなどで運動を促された働く人でも、感じるストレスは少し減りました [3]。ただし根拠の確かさは低めです。研究ごとに結果が割れているためです。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

中高年の女性を対象にした2018年の解析では、感じるストレスに差は見られませんでした [4]。職場で運動を取り入れた研究のまとめでも、仕事のストレスの減り方ははっきりせず、研究ごとのばらつきが非常に大きい結果でした [7]。対象や運動の内容で、結果が変わると読むのが正確です。

差がなかった解析中高年の女性を対象にしたRCT5件のメタ解析

6週間以上続けた、低〜中くらいの強さの運動では、感じるストレスに差は見られませんでした。

不安と気分の落ち込みは、はっきり減る

ストレスそのものより、不安と気分の落ち込みのほうが、結果がそろっています。

  • 不安: 運動のメタ解析81本をまとめ直した2026年の解析で、不安の症状は中くらいに近い大きさで減りました [6]。診断のない一般の大人では小さめの大きさで、高齢者でも中くらいの大きさで減りました [5] [8]。
  • 気分の落ち込み: 同じ解析で、抑うつ症状が中くらいの大きさで減りました [6]。診断のない一般の大人の92件・4,310人でも、筋トレのRCT33件・1,877人でも同じ向きでした [5] [9]。

有酸素運動の効果がいちばん大きく、不安では短めで軽めの運動ほど減り方が大きい結果でした [6]。気分の落ち込みについては、根拠の確かさは中程度です。

よく言われていることは本当?

  • 運動はストレス解消になる減ります。 大学生の解析で、感じるストレスが中くらいの大きさで減りました。ただし根拠の確かさは低めです [1]
  • ウォーキングやジョギングで気分の落ち込みが和らぐ効きます。 診断のない一般の大人でも減りました [5]。うつ病と診断された人の解析でも、抑うつ症状は大きく減っています [10]
  • 有酸素運動で不安が減る効きます。 不安が減る向きは、有酸素運動でいちばん大きい結果でした [6]
  • 運動するとストレスホルモン(コルチゾール)が下がる条件によります。 心理的な苦痛がある大人のRCT44件の解析では下がりましたが、確かさは低めです [11]。体をよく動かす人との関連は、観察研究でごく小さい結果でした [12]
  • 運動でセロトニンが増えて気分が良くなる研究が足りません。 人で運動とセロトニンの量を測った研究のまとめが見つかっていません
  • 5分程度の短い運動でも不安が和らぐ研究が足りません。 一度だけの運動は今回の範囲外ですが、不安の解析では短めで軽めの運動ほど減り方が大きい結果でした [6]
  • 運動するとよく眠れる研究はありますが、この記事では確かめていません。 別の疑問で扱います

運動が合うかを選ぶ手がかり

大学生の解析では、不安と気分の落ち込みに筋トレとHIITの効果が大きい結果でした [1]。ヨガについては ヨガでストレスは減る? で、記憶力は 運動すると記憶力は良くなるのか? で扱っています。

02注意点

研究で調べられたのは、大学生を対象に週3回以下の運動を10〜48週続ける形が中心です [1]。運動で起きる害は、今回の要旨にはまとまっていません。けがや持病がある人、運動を始めるのに不安がある人は、医師に確認してから始めてください。うつ病や不安症と診断されている人は、運動を始める前に、主治医に相談してください。

運動は医療の代わりではありません

つらさが続くときは、運動だけで抱えず医師に相談してください。

03まとめ

運動でストレスは減りますが、根拠の確かさは低めで、不安と気分の落ち込みのほうが結果ははっきりしています。
当てはまるのは診断のない大人で、中高年の女性や職場の取り組みでは差が出なかった研究もあります。
無理のない運動を、週3回以下で10週以上続けてみましょう。

04よくある質問

Qどのくらい続ければ効果が出ますか?

大学生の解析では、10〜48週続けた運動のほうが効果が大きい傾向でした [[41346526]]。高齢者の不安の解析では、10週未満の短い研究で差がはっきりしませんでした [[39014515]]。何週間で効くかは、人によって違います。

Q筋トレでも効果はありますか?

気分の落ち込みについては、筋トレのRCT33件のメタ解析で中くらいの大きさで減りました [[29800984]]。ストレスそのものでは、筋トレだけを切り出した結果は今回確かめていません。

Qストレスが減るしくみは分かっていますか?

運動でセロトニンが増えることが原因かどうかは、研究では確かめられていません。ストレスホルモンについても、結果は研究によって割れています [[41441399]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(12本)

[1]大学生の心の健康への運動の効果:系統的レビューとメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・首都体育大学
掲載誌
Frontiers in psychology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
8,020人
結果の向き
良い方向

大学生のRCT34本・8,020人で、運動をした人はストレス・不安・落ち込みが減っていた。

[2]HIITは心の健康を改善するか:系統的レビューとメタ解析

発表年
2022年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
British journal of sports medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究4件を統合
結果の向き
良い方向

HIITをした人は、運動をしなかった人より感じるストレスが中くらいの大きさで減っていた(RCT4件)。

[3]デジタル機器で運動を促し働く人の心の症状を改善する:メタ解析

発表年
2025年
研究機関
日本・帝京大学
掲載誌
Journal of occupational health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究5件を統合
結果の向き
良い方向

アプリなどで運動を促された働く人は、感じるストレスが少し減っていた。

[4]中高年女性の感じるストレスへの運動の効果:RCTのメタ解析

発表年
2018年
研究機関
ギリシャ・アリストテレス大学
掲載誌
Maturitas
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究5件を統合
結果の向き
差なし

中高年の女性のRCT5件で、運動による感じるストレスの差は見られなかった。

[5]診断のない大人の運動とうつ・不安:メタ解析のまとめ直し

発表年
2015年
研究機関
オーストラリア・セントラルクイーンズランド大学
掲載誌
Health psychology review
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
10,755人
結果の向き
良い方向

診断のない一般の大人で、運動は不安を小さめに、気分の落ち込みを中くらいに減らしていた。

[6]運動がうつと不安の症状に与える効果の包括的レビュー

発表年
2026年
研究機関
オーストラリア・ジェームズ・クック大学
掲載誌
British journal of sports medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
79,551人
結果の向き
良い方向

メタ解析81本をまとめ直し、運動は不安と抑うつ症状を減らしていた。有酸素運動が最も大きかった。

[7]運動で仕事のストレスをやわらげる:包括的レビュー

発表年
2025年
研究機関
台湾・アジア大学
掲載誌
Work (Reading, Mass.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

職場の運動の取り組みでは、仕事のストレスの減り方ははっきりしなかった。

[8]高齢者の不安を減らす運動:RCTのメタ解析

発表年
2024年
研究機関
イラン・アルボルズ医科大学
掲載誌
BMC sports science, medicine & rehabilitation
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
770人
結果の向き
良い方向

高齢者770人(RCT11件)で、運動をした人は不安の症状が中くらいの大きさで減っていた。

[9]筋トレと抑うつ症状:RCTのメタ解析

発表年
2018年
研究機関
アイルランド・リムリック大学
掲載誌
JAMA psychiatry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,877人
結果の向き
良い方向

筋トレのRCT33件・1,877人で、気分の落ち込みが中くらいの大きさで減っていた。

[10]有酸素運動と筋トレがうつと不安に与える効果の系統的レビュー

発表年
2025年
研究機関
オーストラリア・スウィンバーン工科大学
掲載誌
International journal of mental health nursing
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

うつ病・不安症と診断された人のRCTのメタ解析では、運動で不安の症状が中くらいの大きさで減っていた(対象が診断のある人のため数えない)

[11]心理的苦痛でコルチゾールを下げる運動の種類と量:ネットワーク・メタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・武漢体育学院
掲載誌
Sports (Basel, Switzerland)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

心理的な苦痛がある大人のRCT44件のネットワークメタ解析で、運動はストレスホルモンのコルチゾールを下げていた。いちばん大きかったのはヨガで、HIITはむしろ上げる傾向だった(有意差なし)

[12]Physical activity and cortisol regulation: A meta-analysis.

発表年
2023年
研究機関
アメリカ・Moyers SAほかの研究チーム
掲載誌
Biological psychology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

体をよく動かす人ほど、1日のコルチゾールの下がり方が急だった(観察研究のメタ解析で、関連はごく小さい)。起床直後のコルチゾールの上がり方には差がなかった

ほかに参考にした論文(8本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。