ヨガでストレスは減る?

ヨガでストレスは減る?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

減ります。何もしない場合より、感じるストレスが中くらい下がります。

根拠

ストレスを感じている大人のヨガを調べた比較試験13件・1026人のまとめで、ヨガをした人は何もしない群より、終了直後のストレスが中くらい低くなりました [1]。ストレスを質問票で測った36件の分析も、同じ向きです [2]。根拠の確かさは低めです。結果のばらつきが大きく、研究の作りに弱さがあるためです。

この答えの範囲

何もしない人と比べた結果です。ほかの運動や講座と比べると差が小さい・無い研究があり、長期ではほかの活動の群のほうが低かった研究もあります。

じゃあ、どうする?

ストレスを減らしたいなら、試す価値があります。ただし、ほかの活動でも同じくらい下がる研究があるので、ヨガにこだわらず、続けやすいものを選んで大丈夫です。試すなら、研究の多くが続けた6週間から12週間を目安に。持病や妊娠中は、始める前に医師へ相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。13 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量17.520研究件数と参加人数
一致度21.225結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 93.7 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・RCT のメタ解析 1 本・観察研究 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ヨガとは

ヨガは、インドで生まれた心身の鍛錬法です。ポーズ、呼吸法、瞑想を組み合わせて行い、心を落ち着かせるとされています。教室やオンライン動画など、いろいろな形で行われ、研究ではハタヨガのようにゆっくりしたポーズ中心のものが多く使われます。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、ドイツのテュービンゲン大学病院などの研究チームが2024年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じテーマの比較試験の結果を集めて、一つの数字にまとめる方法です。ストレスを感じている一般の大人を対象にした13件・1026人の試験が集められ、9件で統合されました。

研究の種類比較試験のメタ解析
対象ストレスを感じている一般の大人(13件・1026人)
比べたものヨガと、何もしない群・ほかの活動をした群
結果何もしない群より、終了直後のストレスが中くらい低かった
まとめて分析した結果ヨガをした人は、何もしない群より、終了直後に感じるストレスが中くらいの大きさで低くなりました [1]。

効果の大きさを表す値は0.69で、研究の質は低いと評価されています。

ほかの分析も同じ向きです。感じるストレスを質問票で測った36件のメタ解析では、ストレスが中くらいの大きさで下がり、もともとストレスが強い人ほど効果が大きくなりました(値は0.48)[2]。職場で行うヨガ6件の分析でも、会社員のストレスは何もしない群より中くらいの大きさで低く、ヨガをした266人と比べる群の221人が対象でした(値は0.67)[3]。どちらも、値の向きは「ストレスが下がった」です。

個別の試験でも同じです。スペインの大学生129人のうち65人が12週間ヨガをした試験では、何もしない群より感じるストレスが下がりました [4]。トルコの救急医療の研修医81人を、ハタヨガ教室・瞑想・何もしない群に分けた6週間の試験では、ヨガも瞑想も、何もしない群よりストレスが下がりました [5]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

「何もしない」ではなく、ほかの活動と比べると、差は小さくなります。同じ2024年のメタ解析では、長期の結果で、ほかの活動をした群のほうがストレスが低く、値は0.23でした [1]。

差がなかった試験韓国の会社員75人を、運動・ヨガ・ストレス対策の教材の3群に分けた12回のプログラム

スマホで行うヨガと教材とでは、感じるストレスに差がありませんでした。どの群もストレスは下がっていました [6]。

つまり「ヨガをするとストレスが下がる」という結果は出ていますが、「ヨガだけが特別によく下がる」とは言えません。高齢者のストレス対策を比べた分析でも、順位は回想法、運動に次ぐ3番目でした [7]。運動などのほかの方法でも、同じくらい下がることがあります。ストレスを減らす方法を広く知りたい人は、セロトニンを増やすには?幸せホルモンの働きと、本当に効く方法 も読んでみてください。

よく言われていることは本当?

  • ストレスが減る・心が落ち着く効きます。 何もしない群との比較で、感じるストレスは中くらい下がります。根拠の確かさは低めです [1]。
  • 不安が軽くなる効きます。 不安が強い大人の8件・319人の分析で、何もしない場合より不安が小さく下がりました [8]。ハタヨガの分析(17件・501人)でも、待機群と比べた試験では、不安が中くらいの大きさで下がりました(値は0.61)[9]。根拠の確かさは低めです。健康な大人98人の試験では、ストレスは下がっても不安は変わりませんでした [10]。
  • ストレスホルモン(コルチゾール)が下がる下がります。 心理的な苦痛のある大人の運動の試験44件を比べた分析で、ヨガはコルチゾールを下げる効果が最も大きい運動でした [11]。ほかの活動と比べて、夜と起床時のコルチゾールが低いという分析もあります [12]。ただし根拠の確かさは低めで、看護師など医療者80人の試験では、一日のコルチゾールの変化は改善しませんでした [13]。
  • 呼吸法で自律神経が整う研究が足りません。 安静時の心拍数が低いという報告はありますが [12]、この記事で自律神経そのものは検証していません。
  • よく眠れる・気分の落ち込みが軽くなるこの記事では扱っていません。 それぞれ別の疑問として調べる必要があります。

02注意点

研究で使われたヨガの量は、おおむね6週間から12週間です。たとえば大学生の試験では、12週間のヨガを65人が行いました [4]。ヨガの内容(ポーズ、呼吸法、瞑想の組み合わせ)は研究ごとに違い、結果にばらつきが出る一因です。効果は質問票で測ったもので、自分の感じ方が中心です。ケガや痛みが出た場合は無理をせず、持病や妊娠中の人、服薬中の人は、医師や薬剤師に確認してください。

「何と比べた結果か」を意識する

何もしない人との比較で効いても、ほかの活動と比べた差は小さいことがあります。

03まとめ

ヨガは、何もしない場合より、感じるストレスを中くらい下げます。
ほかの運動や講座と比べた差は小さく、長期ではほかの活動のほうが低い研究もあります。
気に入って続けられるなら続け、合わなければほかの活動に替えても構いません。

04よくある質問

Qどのくらい続ければストレスは減りますか?

研究の多くは6週間から12週間続けています。何週間で下がるかを細かく調べた結果は、ここでは確かめられていません。

Q1回だけでも効果がありますか?

一度だけのヨガ・瞑想・呼吸法でも、その場のストレス反応が小さくなったという研究は多くあります [[37822096]]。ただし、多くは瞑想の研究で、ヨガ単独の結果ではありません。

Qヨガは運動や瞑想より効きますか?

ヨガだけが特別に効くとは言えません。ほかの活動と比べると、差は小さいか無い研究があります [[42687778]]。

Qヨガがきつい人や体がかたい人でも大丈夫ですか?

体のかたさとの関係は、研究では確かめられていません。無理のない範囲で行い、痛みが出たらやめてください。

05参照した論文

判定に使った主な論文(13本)

[1]ストレスを感じている大人へのヨガの効果:系統的レビューとメタ解析

発表年
2024年
研究機関
ドイツ・テュービンゲン大学病院
掲載誌
Frontiers in psychiatry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,026人
結果の向き
良い方向

ストレスを感じている大人の比較試験13件・1026人を分析。何もしない群より、終了直後のストレスが中くらい低かった。

[2]ストレスへの介入としてのヨガ:メタ解析

発表年
2025年
研究機関
アメリカ・コロラド・メサ大学
掲載誌
Health psychology review
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究36件を統合
結果の向き
良い方向

感じるストレスを測った36件をまとめ、ヨガでストレスが中くらい下がった。

[3]職場のヨガは社員の感じるストレスを減らすか:系統的レビューとメタ解析

発表年
2020年
研究機関
イタリア・ナポリ・フェデリコ2世大学
掲載誌
Journal of functional morphology and kinesiology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究6件を統合
結果の向き
良い方向

職場で行うヨガ6件の分析。ヨガをした会社員のストレスが、何もしない群より中くらい低かった。

[4]大学生の心の健康へのヨガ:無作為化比較試験

発表年
2024年
研究機関
スペイン・ハエン大学
掲載誌
Frontiers in public health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
129人
結果の向き
良い方向

大学生129人のうち65人が12週間ヨガをし、何もしない群より感じるストレスが下がった。

[5]救急医療でのヨガと誘導瞑想:ストレス・不安・幸福感への影響

発表年
2026年
研究機関
トルコ・保健科学大学ファティ・スルタン・メフメト教育研究病院
掲載誌
The National medical journal of India
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
81人
結果の向き
良い方向

救急医療の研修医81人を3群に分けた6週間の試験。ヨガも瞑想も何もしない群よりストレスが下がった。

[6]会社員の抑うつ症状へのスマホ配信の運動・ヨガ:無作為化比較試験

発表年
2026年
研究機関
韓国・ソウル大学盆唐病院
掲載誌
JMIR human factors
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
75人
結果の向き
差なし

会社員75人を運動・ヨガ・教材の3群に分け12回のプログラムを比べた。ストレスの下がり方に差はなかった。

[7]高齢者の感じるストレスを減らす方法の比較:ネットワーク・メタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・北京協和医学院
掲載誌
Worldviews on evidence-based nursing
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究23件を統合
結果の向き
良い方向

高齢者のストレス対策で、ヨガは回想法、運動に次ぐ順位だった。

[8]不安へのヨガ:無作為化比較試験の系統的レビューとメタ解析

発表年
2018年
研究機関
ドイツ・エッセン中央病院
掲載誌
Depression and anxiety
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
319人
結果の向き
良い方向

不安が強い大人の8件・319人の分析。何もしない場合と比べ、不安が小さく下がった。

[9]ハタヨガが不安に与える効果:メタ解析

発表年
2016年
研究機関
アメリカ・ボストン大学
掲載誌
Journal of evidence-based medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
501人
結果の向き
良い方向

ハタヨガ17件・501人の分析。比べる群より不安が中くらい下がった。

[10]ハタヨガがストレス・不安・抑制に与える影響:無作為化比較試験

発表年
2023年
研究機関
オーストリア・ウィーン大学
掲載誌
Acta psychologica
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
98人
結果の向き
良い方向

ヨガ初心者98人の8週間の試験。ストレスは下がったが、不安は待機群と変わらなかった。

[11]心理的苦痛でコルチゾールを下げる運動の種類と量:ネットワーク・メタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・武漢体育学院
掲載誌
Sports (Basel, Switzerland)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究44件を統合
結果の向き
良い方向

運動の試験44件を比べ、ヨガがコルチゾールを下げる効果が最も大きかった。

[12]ヨガ・マインドフルネスストレス低減法とストレス関連の体の指標:メタ解析

発表年
2017年
研究機関
オーストラリア・ピーター・マッカラム癌センター
掲載誌
Psychoneuroendocrinology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究42件を統合
結果の向き
良い方向

ヨガのポーズを含む練習は、ほかの活動と比べて夜と起床時のコルチゾールが低いことと関連していた。

[13]看護の現場:ストレスと燃え尽きを和らげるマインドフルネスヨガ

発表年
2021年
研究機関
アメリカ・オナーヘルス・スコッツデール・シェア医療センター
掲載誌
Journal of holistic nursing : official journal of the American Holistic Nurses' Association
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
80人
結果の向き
良い方向

医療者80人の試験。ストレスは改善したが、一日のコルチゾールの変化は改善しなかった。

ほかに参考にした論文(12本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。