[1]ストレスを感じている大人へのヨガの効果:系統的レビューとメタ解析
- 発表年
- 2024年
- 研究機関
- ドイツ・テュービンゲン大学病院
- 掲載誌
- Frontiers in psychiatry
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 1,026人
- 結果の向き
- 良い方向
ストレスを感じている大人の比較試験13件・1026人を分析。何もしない群より、終了直後のストレスが中くらい低かった。

減ります。何もしない場合より、感じるストレスが中くらい下がります。
何もしない人と比べた結果です。ほかの運動や講座と比べると差が小さい・無い研究があり、長期ではほかの活動の群のほうが低かった研究もあります。
ストレスを減らしたいなら、試す価値があります。ただし、ほかの活動でも同じくらい下がる研究があるので、ヨガにこだわらず、続けやすいものを選んで大丈夫です。試すなら、研究の多くが続けた6週間から12週間を目安に。持病や妊娠中は、始める前に医師へ相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 17.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 21.2 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 93.7 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・RCT のメタ解析 1 本・観察研究 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ヨガは、インドで生まれた心身の鍛錬法です。ポーズ、呼吸法、瞑想を組み合わせて行い、心を落ち着かせるとされています。教室やオンライン動画など、いろいろな形で行われ、研究ではハタヨガのようにゆっくりしたポーズ中心のものが多く使われます。
答えの中心は、ドイツのテュービンゲン大学病院などの研究チームが2024年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じテーマの比較試験の結果を集めて、一つの数字にまとめる方法です。ストレスを感じている一般の大人を対象にした13件・1026人の試験が集められ、9件で統合されました。
| 研究の種類 | 比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | ストレスを感じている一般の大人(13件・1026人) |
| 比べたもの | ヨガと、何もしない群・ほかの活動をした群 |
| 結果 | 何もしない群より、終了直後のストレスが中くらい低かった |
効果の大きさを表す値は0.69で、研究の質は低いと評価されています。
ほかの分析も同じ向きです。感じるストレスを質問票で測った36件のメタ解析では、ストレスが中くらいの大きさで下がり、もともとストレスが強い人ほど効果が大きくなりました(値は0.48)[2]。職場で行うヨガ6件の分析でも、会社員のストレスは何もしない群より中くらいの大きさで低く、ヨガをした266人と比べる群の221人が対象でした(値は0.67)[3]。どちらも、値の向きは「ストレスが下がった」です。
個別の試験でも同じです。スペインの大学生129人のうち65人が12週間ヨガをした試験では、何もしない群より感じるストレスが下がりました [4]。トルコの救急医療の研修医81人を、ハタヨガ教室・瞑想・何もしない群に分けた6週間の試験では、ヨガも瞑想も、何もしない群よりストレスが下がりました [5]。
「何もしない」ではなく、ほかの活動と比べると、差は小さくなります。同じ2024年のメタ解析では、長期の結果で、ほかの活動をした群のほうがストレスが低く、値は0.23でした [1]。
スマホで行うヨガと教材とでは、感じるストレスに差がありませんでした。どの群もストレスは下がっていました [6]。
つまり「ヨガをするとストレスが下がる」という結果は出ていますが、「ヨガだけが特別によく下がる」とは言えません。高齢者のストレス対策を比べた分析でも、順位は回想法、運動に次ぐ3番目でした [7]。運動などのほかの方法でも、同じくらい下がることがあります。ストレスを減らす方法を広く知りたい人は、セロトニンを増やすには?幸せホルモンの働きと、本当に効く方法 も読んでみてください。
研究で使われたヨガの量は、おおむね6週間から12週間です。たとえば大学生の試験では、12週間のヨガを65人が行いました [4]。ヨガの内容(ポーズ、呼吸法、瞑想の組み合わせ)は研究ごとに違い、結果にばらつきが出る一因です。効果は質問票で測ったもので、自分の感じ方が中心です。ケガや痛みが出た場合は無理をせず、持病や妊娠中の人、服薬中の人は、医師や薬剤師に確認してください。
何もしない人との比較で効いても、ほかの活動と比べた差は小さいことがあります。
ヨガは、何もしない場合より、感じるストレスを中くらい下げます。
ほかの運動や講座と比べた差は小さく、長期ではほかの活動のほうが低い研究もあります。
気に入って続けられるなら続け、合わなければほかの活動に替えても構いません。
研究の多くは6週間から12週間続けています。何週間で下がるかを細かく調べた結果は、ここでは確かめられていません。
一度だけのヨガ・瞑想・呼吸法でも、その場のストレス反応が小さくなったという研究は多くあります [[37822096]]。ただし、多くは瞑想の研究で、ヨガ単独の結果ではありません。
ヨガだけが特別に効くとは言えません。ほかの活動と比べると、差は小さいか無い研究があります [[42687778]]。
体のかたさとの関係は、研究では確かめられていません。無理のない範囲で行い、痛みが出たらやめてください。
ストレスを感じている大人の比較試験13件・1026人を分析。何もしない群より、終了直後のストレスが中くらい低かった。
感じるストレスを測った36件をまとめ、ヨガでストレスが中くらい下がった。
職場で行うヨガ6件の分析。ヨガをした会社員のストレスが、何もしない群より中くらい低かった。
大学生129人のうち65人が12週間ヨガをし、何もしない群より感じるストレスが下がった。
救急医療の研修医81人を3群に分けた6週間の試験。ヨガも瞑想も何もしない群よりストレスが下がった。
会社員75人を運動・ヨガ・教材の3群に分け12回のプログラムを比べた。ストレスの下がり方に差はなかった。
高齢者のストレス対策で、ヨガは回想法、運動に次ぐ順位だった。
不安が強い大人の8件・319人の分析。何もしない場合と比べ、不安が小さく下がった。
ハタヨガ17件・501人の分析。比べる群より不安が中くらい下がった。
ヨガ初心者98人の8週間の試験。ストレスは下がったが、不安は待機群と変わらなかった。
運動の試験44件を比べ、ヨガがコルチゾールを下げる効果が最も大きかった。
ヨガのポーズを含む練習は、ほかの活動と比べて夜と起床時のコルチゾールが低いことと関連していた。
医療者80人の試験。ストレスは改善したが、一日のコルチゾールの変化は改善しなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。