[1]一般の大人のメンタルヘルスを高めるマインドフルネスのプログラム:ランダム化試験のまとめ解析
- 発表年
- 2021年
- 研究機関
- イギリス・ケンブリッジ大学
- 掲載誌
- PLoS medicine
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 11,605人
- 結果の向き
- 良い方向
病気の診断のない大人のランダム化試験136件・11,605人を集め、何もしない群と比べてストレスと不安が下がったことを示した。

減ります。何もしない人と比べて、ストレスも不安も下がります。
最大の根拠136件は、専門家が対面で行うプログラムの試験で、アプリを直接調べたものではありません。対象は病気の診断のない大人です。1日10分の試験は、軽〜中程度のストレスがあり普段は瞑想しない大学病院の職員が対象です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 20.9 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 95.9 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・RCT のメタ解析 4 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
マインドフルネス瞑想は、呼吸や体の感覚に注意を向け、浮かんでくる考えを評価せずに眺める練習です。ストレスや不安を和らげるとされ、教室で行うプログラム、アプリ、音声ガイドなどの形があります。特別な道具は要りません。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。結果は、効果の測り方や比べる相手で変わります。
答えの中心は、イギリスのケンブリッジ大学などの研究チームが2021年に発表したまとめ解析です [1]。まとめ解析とは、条件の合う試験の結果を集めて、全体として何が言えるかを計算する方法です。病気の診断のない大人を対象にしたマインドフルネスのプログラムの試験136件・11,605人が集められました。多くは専門家が対面で行うプログラムで、アプリを直接調べたものではありません。
| 研究の種類 | ランダム化試験のまとめ解析 |
|---|---|
| 対象 | 病気の診断のない大人(136件・11,605人) |
| 比べたもの | マインドフルネスのプログラムと、何もしない群・別の活動をする群 |
| 結果 | 何もしない群と比べて、ストレスと不安が下がった |
確かさの評価は、ストレスは低め、何もしない群と比べた不安は中程度です。
職場の研究でも同じ向きです。職場で行ったマインドフルネスの試験91件のまとめ解析で、ストレスは改善しました。ただし13〜52週後の追跡では、効果は安定していませんでした [4]。
このまとめ解析は、別の活動をする群と比べた結果も出しています。その場合、不安や苦痛の差ははっきりしませんでした [1]。「何もしないよりは下がる」は言えますが、「瞑想でなければ下がらない」とは言えません。他の方法も同じくらい効く可能性が残ります。
すべての試験で効果が出たわけではありません。差が出なかった試験が2本あります。
アプリの利用時間は、勧められた時間よりかなり短いものでした。
要旨にはストレスの結果が書かれておらず、差が出たのはマインドフルネスの点数などでした。
直接答える研究は見つかっていません。材料になるのは、1日10分のアプリを8週間続けた、ストレスを感じている大学病院の職員1,458人の試験です。順番待ちの人よりストレスの点数が大きく改善し(Cohen d 0.85)、4か月後も改善が続いていました [2]。この試験は10分で効くことを示したのであって、10分より短い時間の効果は確かめていません。
コルチゾールについて補足します。病気でない人を対象にしたストレス対策の試験58件のまとめ解析で、マインドフルネスと瞑想はコルチゾールを変える効果が最も大きい方法の一つでした。このまとめ解析は結果の確かさの評価をしていないため、評価の低さで割り引かれていないだけで、見かけより弱い結果と読むのが安全です [6]。唾液で測った21件では、効果は小さくはっきりしませんでした。血液で測った10件では下がりましたが、体の病気のある人だけに見られました。測り方や対象で結果が分かれます [7]。
研究の多くは、数週間のプログラムやアプリを大人が続けた場合を見ています。1日10分を8週間という、1,458人の試験の条件が一つの目安です [2]。強いストレスや不眠、気分の落ち込みが続くときは、瞑想だけで対処せず、医師や専門家に相談してください。服薬中の人は、医師や薬剤師に確認してください。
不安やつらさが強い状態が続くときは、医師や心理の専門家に相談しましょう。
瞑想は、何もしないよりストレスと不安を下げます。根拠の確かさは低めで、別の活動との差ははっきりしません。
続けられる長さで始めるのが条件です。試験では1日10分を8週間続けて改善しています。
合わなければ、運動や睡眠など他のストレス対策に切り替えても構いません。
研究では、別の活動をする群と比べると、不安や苦痛の差ははっきりしませんでした。優劣は言えず、続けやすいものを選ぶのが現実的です。
います。公務員211人のアプリの試験では、ストレスに差がありませんでした。医学生114人のオンラインの試験も、全文ではストレスの点数の変化に差がありませんでした(要旨には結果の記載がありません)。
測り方で結果が分かれます。唾液で測った21件では効果ははっきりしませんでした。ストレスの感じ方は、質問票で測るのが一般的です。
[アシュワガンダでストレスは減る?](/evidence/ashwagandha-stress)で、サプリの研究をまとめています。
病気の診断のない大人のランダム化試験136件・11,605人を集め、何もしない群と比べてストレスと不安が下がったことを示した。
ストレスを感じている職員1,458人が1日10分の瞑想アプリを8週間使い、順番待ちの人よりストレスが改善した。
公務員211人で、アプリを使った群と順番待ちの群のストレスに差はなかった。
職場のランダム化試験91件で、ストレスが改善した。長期の追跡では効果が安定しなかった。
医学生114人で、オンラインのマインドフルネスは、ストレスの点数に差を示さなかった。
ストレス対策の試験58件のうち、マインドフルネスと瞑想はコルチゾールを変える効果が大きい方法の一つだった。
唾液のコルチゾール21件では効果は小さくはっきりしなかった。血液では体の病気のある人だけで下がった。
大学生を対象にしたRCT11件・1,824人のメタ解析で、ストレスの点数が標準化平均差で0.39小さかった。対象の試験の一部は、対面式プログラムの大きなメタ解析と重なる可能性がある
一般の人を対象にしたインターネットで行うマインドフルネスの研究16件のメタ解析で、ストレスに小〜中程度の効果があった(Hedges' g = -0.393)。アプリやウェブのマインドフルネスの別のメタ解析と対象の試験が一部重なる可能性がある
医療従事者がアプリやウェブで一人で行うマインドフルネスのRCT9件・3,088人のメタ解析で、終了直後の知覚ストレスが標準化平均差で0.42小さかった。長期の効果は調べられていない。職場やインターネットのマインドフルネスの別のメタ解析と対象の試験が一部重なる可能性がある
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。