[1]予定手術を受ける大人の手術前の不安に対するツボ押し:比較試験のメタ解析
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- 中国・香港大学
- 掲載誌
- International journal of nursing studies
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 2,537人
- 結果の向き
- 良い方向
予定手術を受ける大人2537人(比較試験24件)で、ツボ押しをすると手術前の不安が大きく下がった。

手術や検査を前にした人の不安は、大きく和らぎます。
病院で手術・検査・治療を待つ患者の不安の話です。仕事や日常のストレスは小規模な試験が中心です。
手術や検査の前の不安なら、試す価値があります。押してよい場所や方法は、病院の医療者に聞いてください。ふだんのストレスや本番前の緊張は、効く人も変わらない人もいます。押して落ち着くと感じるなら、続けて構いません。強い不安が続くときは、医師に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.2 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 98.2 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 5 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から B に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ツボ押しは、体や耳にあるツボを指や器具で押す方法です。東洋医学で使われてきた手当てで、緊張やストレスを和らげるとされ、手のひらの労宮、手首の内関、頭の百会などがよく紹介されます。ただし、ツボごとの効果の違いは、研究では比べられていません。研究では、指で押す方法のほか、耳のツボに種やシールを貼って押す方法も調べられています。注意点は、押すツボや時間が研究ごとに違うことです。
答えの中心は、中国の香港大学などの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の比較試験の結果を統合して、ひとつの数字にまとめる方法です。予定手術を受ける大人2537人(比較試験24件)が対象でした。
| 研究の種類 | 予定手術を受ける大人を対象にした、比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 予定手術を控えた大人(24件・2537人) |
| 比べたもの | ツボ押しと、ふだんのケア・偽のツボ押し |
| 結果 | 手術前の不安が大きく下がった(標準化平均差 -1.30) |
心拍数は1分あたり4.58回、上の血圧は6.05 mmHg下がり、医療者が押しても自分で押しても効果に差はありませんでした [1]。
標準化平均差は、研究ごとに違う点数の尺度をそろえた差です。マイナスが不安の低下を表し、-1.30は大きな差にあたります。
同じ向きの結果は、ほかのメタ解析にもあります。
結果の向きはそろっていますが、研究ごとのばらつきが大きく、偏りのおそれがある研究も多くあります。「大きく下がる」は、病院で調べた結果の目安として読むのが正確です。
学生や看護師など、病気ではない人を調べた比較試験は、10件でした。どれも小規模で、結果は割れています。
下がった試験:
差がなかった試験:
同じ「耳のツボ押し」でも、試験の不安は下がり、ストレスの点数は変わらない、という試験があります。対象(学生・看護師)、測った点数(試験の不安・その時の不安・ストレス)、比べた相手(何もしない・偽のツボ押し)が研究ごとに違い、理由は要旨からは確認できません。
ストレス反応は下がりましたが、本物・偽・リラックスCDの3群に差はありませんでした。
研究で使われた方法は、医療者が押す方法も、自分で押す方法もあります。2012年の実験では、40分のツボ押しを1回だけ行いました [10]。看護師の試験では、耳のツボに種やシールを貼り、5〜7週間続けています [15] [14]。ツボ押しの有害事象を報告した研究は、27件のうち2件ありました [2]。内容は要旨からは分かりません。持病や服薬がある人、強い不安が続く人は、医師や薬剤師に確認してください。
押してよい場所や方法は、主治医や看護師に確認してから試してください。
手術や検査を前にした人の不安には、ツボ押しが効くという結果が研究でそろっています。
ふだんのストレスや本番前の緊張は、下がった試験と差がなかった試験に割れ、偽のツボ押しとの差も一定していません。
緊張しやすいときの方法は、緊張しやすいのはなぜ?緊張を和らげる方法も見てください。
研究では、ツボごとの比較はされておらず、どれが良いかは言えません。耳のツボでは、押すツボの数を増やしても、続ける期間を長くしても、効果は大きくなりませんでした [[38417402]]。
手術前の人では、医療者が押しても自分で押しても効果に差はありませんでした [[37321140]]。日本の大学生54人が首のツボを自分で2週間押した試験でも、気分が良くなりました [[25946916]]。
吐き気は別の疑問として調べています。[手首のツボ(内関)で吐き気はおさまる?](/evidence/acupressure-nausea)を見てください。
有害事象を報告した研究が27件のうち2件ありましたが、内容は要旨からは分かりません [[35085025]]。強く押して痛みや不調が出たら、やめて医療者に相談してください。
予定手術を受ける大人2537人(比較試験24件)で、ツボ押しをすると手術前の不安が大きく下がった。
入院患者・手術前の患者などの比較試験27件のまとめで、ツボ押しにより不安がはっきり下がった。
がんの患者で、ツボ押しをすると不安が下がった。本物のツボと偽のツボの刺激には差がなかった。
耳のツボ押しを調べた25件・1909人のまとめで、不安がはっきり下がった。25件中23件に偏りのおそれがあった。
心臓のカテーテル検査を受ける573人(5件)で、痛みと不安が下がったが、血圧や心拍数は変わらなかった。
試験を控えた医学生114人で、耳の神門を押した群は、耳たぶを押した偽の群より試験の不安が下がった。
看護学生118人で、ツボ押しの群は試験の不安が下がり、心拍数と血圧の下がり方も何もしない群より大きかった。
健康なボランティア25人で、眉間のツボを10分押すと、関係のない場所を押したときより自分で感じるストレスが下がった。
日本の大学生54人が首のツボを自分で2週間押すと、何もしない群より気分が良くなった。
健康な大学生109人で、ツボ押し・偽のツボ押し・リラックスCDのどれでもストレス反応は下がったが、群の間に差はなかった。
首の痛みがある看護学生で、耳のツボ押しを4週間続けても、ストレスの点数は偽のツボ押しと差がなかった。
看護学生で、耳のツボ押しは試験の不安を下げたが、その時の不安や不安になりやすさには差がなかった。
手術や治療を前にした大人の比較試験5件で、ツボ押しの群は偽のツボ押しの群より不安が下がった。
看護師60人で、耳のツボ押しを7週間続けると、偽のツボ押しより睡眠の質は良くなった。
外来の看護師54人で、耳のツボ押しを5週間続けると、偽のツボ押しよりうつの点数が下がった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。