リラックスに効くハーブティーは?

リラックスに効くハーブティーは?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効くハーブと効かないハーブ

カモミールは睡眠の質に、ラベンダーとレモンバームは不安に効きます。研究の多くはお茶ではなくカプセルやエキスの結果です。

根拠

  • 効く: ラベンダーは不安に。オイルのカプセルを調べた試験5件・1213人のまとめで、10週間後の不安の点数がプラセボ(偽薬)より下がりました [1]。
  • 効く: カモミールは睡眠の質に。比べたグループより点数が平均1.88点良い結果でしたが、睡眠時間は延びていません [2]。
  • 効く: レモンバームは不安に。ただし研究の数が少なく、試験ごとの結果の開きも大きめです [3]。
  • 条件による: カモミールの不安。全般性不安障害の人では下がり、一時的な不安では差がありませんでした [4]。根拠の確かさは低めです。一時的な不安を調べた試験が3件だけのためです。
  • 効かない: パッションフラワーの不安。29件のまとめで、プラセボとの差はありませんでした [5]。根拠の確かさは低めです。試験によって結果が割れているためです。

この答えの範囲

カモミールの結果は、リラックスそのものではなく睡眠の質の点数です。ラベンダーとレモンバームはカプセルやエキスが中心です。

じゃあ、どうする?

眠りの質が気になる夜は、カモミールティーを試す価値があります。不安を和らげたいとき、研究で効果が確かめられているのはラベンダーオイルのカプセルです。強い不安や眠れない日が続くなら、医師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 88 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量12.920研究件数と参加人数
一致度20.325結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 88.2 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 88 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 5 本・RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ハーブティーとは

ハーブティーは、ハーブの花や葉に湯を注いで成分を出して飲むお茶で、多くは食品として売られています。気持ちを落ち着かせ、眠りを助けるとされ、カモミール・ラベンダー・レモンバームなどの種類があります。お茶のほか、カプセルやエキスの形でも使われ、研究ではそちらが多いのが特徴です。注意点は、妊娠中や持病・服薬中の人は、使う前に医師や薬剤師に確認することです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、ウィーン医科大学(オーストリア)などの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果をまとめて計算する方法です。ラベンダーオイルのカプセルをプラセボと比べた試験5件・1213人が集められました。

研究の種類ラベンダーオイルのカプセルのメタ解析
対象診断に届かない程度の不安から全般性不安障害まで、外来の大人(5件・1213人)
比べたものラベンダーオイル80mgのカプセルとプラセボ(毎日1回、10週間)
結果不安の点数がプラセボより下がった
まとめて分析した結果ラベンダーオイルのカプセルを10週間飲んだ人は、プラセボより不安の点数が下がりました [1]。

これはお茶ではなくカプセルの結果で、お茶で同じ効果が出るかは確かめられていません。

お茶とカプセルは、何が違う?

飲み方が大きく違います。お茶で調べた試験は、ラベンダーのティーバッグ2gを朝と夜に2週間飲む形でした [6]。不安への効果が確かめられているのは、ラベンダーオイルを1日1回80mg、10週間飲むカプセルの形です [1]。量も期間も違うので、カプセルの結果をそのままお茶に当てはめることはできません。

よく言われていることは本当?

  • カモミールを寝る前に飲むと眠りが良くなる本当です。 臨床試験のまとめで、睡眠の質の点数が平均1.88点良い結果でした。中身を見ると、夜中に目が覚める回数は良くなった研究が多い一方、睡眠時間・睡眠効率・日中の調子は変わっていません。研究ごとのばらつきは大きい結果です [2]。
  • カモミールで不安が和らぐ条件によります。 全般性不安障害の人では2週間後に平均1.43点低くなりましたが、一時的な不安(RCT3件)では差がありませんでした [4]。12種類のハーブを比べた29件のまとめでは、プラセボと差がありませんでした [5]。根拠の確かさは低めです。一時的な不安を調べた試験が3件だけのためです。
  • ラベンダーでストレスが和らぐカプセルでは本当です。 お茶は、高齢者60人の試験で「今の不安」の点数が6.40点低くなりましたが、比べた相手は何も飲まないグループです [6]。経口避妊薬を飲む女性60人の試験では、カプセルでストレスの点数は下がりましたが、不安には差がありませんでした [7]。閉経後の女性72人の試験でも、不安を含む症状の減り方はプラセボと差がありませんでした [8]。
  • レモンバームは気持ちを落ち着かせる効きます。 メタ解析で不安の点数がプラセボより下がりましたが、研究の数が少なく、試験ごとの結果の開きも大きめです [3]。その後の試験でも、うつ症状のある糖尿病の60人では不安が下がり [9]、別の試験では不安に変化がありませんでした [10]。
  • パッションフラワーは神経の高ぶりを鎮める効きません。 29件のまとめでは平均4.20点低いものの、統計的な差はありませんでした [5]。親知らずを抜く前の試験でも、不安が下がったもの [11] と、差がなかったもの [12] に分かれます。根拠の確かさは低めです。試験によって、不安が下がったものと差がなかったものに割れているためです。
  • 温かいハーブティーを飲む習慣そのものが効く効きます。 ただし根拠の確かさは低めです。何も飲まないグループと比べた試験では不安が下がりましたが、偽のお茶と比べた210人の試験では差がなく [13]、お茶として飲んだ試験が4件・344人しかないためです。
  • リンデン(ボダイジュ)には鎮静の効果がある人の不安や睡眠を調べた試験は、見つかりませんでした。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

偽のお茶と比べた試験手術を受ける210人(ブラジル)

カモミール・パッションフラワー・アニスのブレンドティーと偽のお茶で、不安の程度に差はありませんでした [13]。

お茶として飲んだ研究で不安の低下を示した結果は、いずれも比べた相手が何も飲まないグループでした。偽のお茶と比べた試験では、不安の差は見つかっていません [13] [14]。期待や、くつろぐ時間の影響が混ざっている可能性があります。

02注意点

研究で使われた量と期間は、ラベンダーのティーバッグ2gを2週間 [6] から、レモンバームのエキス700mgを12週間 [9] まで、さまざまです。結果の多くはカプセルやエキスのもので、お茶を同じ量・同じ期間飲んだ効果は確かめられていません。薬との飲み合わせも、研究では確かめられていません。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、医師や薬剤師に確認してください。

眠れない・不安が続くときは医師に

ハーブティーで様子を見続けるより、続くようなら受診を考えてください。

03まとめ

カモミールは睡眠の質に、ラベンダーとレモンバームは不安に効くという結果があります。
ただし不安への結果は主にカプセルやエキスで、お茶では根拠の確かさは低めです。
眠りの質が気になる夜に、カモミールティーから試してみましょう。

04よくある質問

Qラベンダーティーは不安に効きますか?

高齢者60人の試験では、飲んだグループの不安の点数が下がりました。ただし比べた相手は何も飲まないグループで、偽のお茶ではありません。お茶で効くと言い切れる根拠は、まだありません [[32444033]]。

Qカモミールティーで眠れるようになりますか?

睡眠の質の点数は、カモミールのほうが良い結果でした。ただし睡眠時間は延びていません。眠るまでの時間は、4件中3件で良くなったと報告されていますが、まとめての計算はされていません [[39106912]]。

Q自律神経が整いますか?

研究では確かめられていません。この記事で調べたのは、不安の点数と睡眠の質の点数です。

Qレモングラスやリンデンのお茶は効きますか?

リンデンは、人の不安や睡眠を調べた試験が見つかりませんでした。レモングラスは、この記事では調べていません。研究が見つかっていないので、効くとも効かないとも言えません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(16本)

[1]ラベンダーオイルのカプセルの不安への効果のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
オーストリア・ウィーン医科大学
掲載誌
European archives of psychiatry and clinical neuroscience
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,213人
結果の向き
良い方向

ラベンダーオイルのカプセルを10週間飲むと、不安の点数がプラセボより下がった(5件・1213人)。

[2]カモミールの睡眠の質への効果の系統的レビュー

発表年
2024年
研究機関
イラン・シーラーズ医科大学
掲載誌
Complementary therapies in medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
772人
結果の向き
良い方向

臨床試験10件(772人)のレビュー。5件を統合すると、睡眠の質の点数が平均1.88点良かった。

[3]レモンバームの不安への効果のメタ解析

発表年
2021年
研究機関
イラン・タブリーズ医科大学
掲載誌
Phytotherapy research : PTR
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

不安の点数がプラセボより下がったが、研究の数が少なく、結果のばらつきも大きかった。

[4]カモミールの不安・睡眠への効果のメタ解析

発表年
2019年
研究機関
ベトナム・ホーチミン市医科薬科大学
掲載誌
Phytotherapy research : PTR
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究12件を統合
結果の向き
良い方向

RCT12件のメタ解析。睡眠の質は改善し、不安は一時的な不安では差がなく、全般性不安障害では平均1.43点低かった。

[5]12種類のハーブの不安への効果を比べたネットワークメタ解析

発表年
2022年
研究機関
中国・北京中医薬大学
掲載誌
Pharmacological research
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究29件を統合
結果の向き
差なし

RCT29件の解析で、カモミールとパッションフラワーは不安の点数にプラセボと統計的な差がなかった。

[6]高齢者の不安に対するラベンダーティーの効果

発表年
2020年
研究機関
イラン・ラレスタン医科大学
掲載誌
Complementary therapies in medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
60人
結果の向き
良い方向

高齢者60人で、ラベンダーティーを飲んだグループは今の不安の点数が6.40点低かった。偽のお茶は使っていない。

[7]経口避妊薬を飲む女性へのラベンダーオイルの効果

発表年
2024年
研究機関
イラン・タブリーズ医科大学
掲載誌
BMC complementary medicine and therapies
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
60人
結果の向き
結果が割れている

女性60人で、ラベンダーオイルのカプセルを56日間飲むと、ストレスと抑うつの点数は下がったが、不安には差がなかった。

[8]閉経後の女性へのラベンダーオイルの効果

発表年
2024年
研究機関
イラン・タブリーズ医科大学
掲載誌
Complementary therapies in medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
72人
結果の向き
差なし

閉経後の女性72人で、ラベンダーオイルのカプセルを60日間飲んでも、不安を含む症状の減り方はプラセボと差がなかった。

[9]うつ症状のある糖尿病の人へのレモンバームの効果

発表年
2023年
研究機関
イラン・イラン医科大学
掲載誌
BMC complementary medicine and therapies
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
60人
結果の向き
良い方向

うつ症状のある2型糖尿病の60人で、レモンバームのエキスを12週間飲むと、プラセボより不安の下がり方が大きかった。

[10]吸収を高めたレモンバームのエキスの効果

発表年
2024年
研究機関
イタリア・インスブリア大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

睡眠の悩みの点数は下がったが、不安の程度には有意な変化がなかった。

[11]親知らずを抜く患者の不安へのパッションフラワーの効果

発表年
2024年
研究機関
ブラジル・パラナ連邦大学
掲載誌
Oral and maxillofacial surgery
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
54人
結果の向き
良い方向

親知らずを抜く54人で、パッションフラワーを飲んだ人はプラセボより不安の点数が下がった。

[12]親知らずの抜歯前の不安へのパッションフラワーの効果

発表年
2025年
研究機関
ブラジル・カンピーナス州立大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
差なし

親知らずを抜く30人で、パッションフラワーとプラセボの間に不安の点数の差はなかった。

[13]手術前の不安に対するブレンドハーブティーの効果

発表年
2025年
研究機関
ブラジル・アルト・ウルグアイ・ミソエス地域統合大学
掲載誌
Journal of medicinal food
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
210人
結果の向き
差なし

手術を受ける210人で、ブレンドハーブティーと偽のお茶の間で、不安の程度に差はなかった。

[14]大学生の不安に対するハーブティーの小規模な試験

発表年
2017年
研究機関
アメリカ・ハーバード神学大学院
掲載誌
Explore (New York, N.Y.)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
14人
結果の向き
差なし

大学生14人で、ハーブティーは偽のお茶より不安が減る傾向はあったが、はっきりした差ではなかった。

ミソフォニアの人へのラベンダーティーの効果

発表年
2026年
研究機関
トルコ・サカリヤ大学
掲載誌
Journal of psychiatric research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
60人
結果の向き
良い方向

ミソフォニアの60人で、ラベンダーティーを飲むと不安などの症状が和らいだ可能性がある。比べた相手は何もしないグループ。

根管治療前の不安に対するラベンダーのエキスの効果

発表年
2025年
研究機関
イラン・イスファハン医科大学
掲載誌
European endodontic journal
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
64人
結果の向き
良い方向

歯の根の治療を受ける64人で、ラベンダーのエキスを飲むと、水だけのグループより治療前の不安の点数が大きく下がった。

ほかに参考にした論文(31本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。