[1]冬季うつに対する光療法の効果のメタ解析
- 発表年
- 2020年
- 研究機関
- オーストリア・ウィーン医科大学
- 掲載誌
- Psychotherapy and psychosomatics
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 610人
- 結果の向き
- 良い方向
冬季うつの成人610人(18研究)で、光療法は暗い光や偽の装置より抑うつ症状の点数を下げた。

冬季うつの人では、光療法ライトで気分の落ち込みが和らぎます。効果は小さめです。
冬季うつと診断された成人の話です。
試すなら、毎朝決まった時間に使い、数週間続けて様子を見ます。目の不快感が出たら医師に相談を。診断のあるうつや、眠れない・食べられない状態が続くときは、ライトより先に受診を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 16.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 96.5 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
光療法ライトは、強い白い光(明るさの単位はルクス)を顔の前で浴びる機器です。冬に気分が落ち込む季節性感情障害(冬季うつ)の治療法として使われてきました。ライトボックスのほか、起きる前に少しずつ明るくなる光目覚ましもあります。注意点は、診断のあるうつ病の代わりにはならないことです。
答えの中心は、ウィーン医科大学(オーストリア)などの研究チームが2020年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果を統計でまとめる方法です。
| 研究の種類 | ランダム化試験のメタ解析(18研究) |
|---|---|
| 対象 | 冬季うつの成人610人 |
| 比べたもの | 1,000ルクス以上のライトボックスなど と 400ルクス以下の暗い光や偽の装置 |
| 結果 | 光療法のほうが抑うつ症状の点数が低かった |
質の基準を満たした8研究だけの解析も同じ向きでした [3]。
2024年の21研究・1037人のメタ解析でも、光療法は偽の治療や対照より症状を改善しました。ただし、この解析は根拠の質を低いとしています [2]。研究の作りに弱さがあるため、「効きます。ただし差は大きくない」と読むのが正確です。
光療法の効果がはっきり出なかった試験もあります。10,000ルクスを30分浴びる光療法は、暗い赤色光と差がありませんでした [4]。かかりつけ医で治療した57人でも、白色光と赤色光は同じ程度に改善しました [5]。どちらも2001年の試験で、人数が少ない点が結果の読み方の注意点です。
暗い赤色光と有意な差はありませんでした。
光目覚ましは、冬季うつに効きます。2003年までの5試験のメタ解析で、抑うつ症状が減りました [7]。根拠の確かさは中程度です。ただし研究は古く小さく、61人の比較では、改善の度合いがライトボックス57.4%、光目覚まし40.0%でした [10]。
冬に気分が沈む成人50人(軽い冬季うつを含む)で、光の部屋で過ごした人は54%が症状が半分以下に減り、順番待ちの人では0人でした [6]。1989年の試験では、軽い不調がある人は明るい光で気分が良くなり、困りごとのない人は変わりませんでした [11]。どちらも古く小規模で、根拠の確かさは低めです。
冬季うつ177人を比べた試験では、治療中の効果は光療法と認知行動療法で同程度でした。1〜2年後の冬の症状は、認知行動療法のほうが軽くなりました [12]。
目への影響を調べた43本の報告では、目の不快感などが0〜45%の人にありましたが、目の障害の証拠は見つかりませんでした。光に敏感になる薬を飲んでいた1例は例外です [13]。服薬中や目の持病がある人は、使う前に医師か薬剤師に確認してください。
ライトだけで様子を見続けず、つらさが続くときは医療機関に相談してください。
冬季うつの人では、光療法ライトが気分の落ち込みを和らげます。効果は小さめで、根拠の確かさは低めです。
診断に届かない軽い沈みは、研究が古く小規模なので、試すなら様子を見ながらが向いています。
生活リズムを整えて数週間続け、つらさが強いときは受診しましょう。
研究で直接比べた結果は確認できていません。10,000ルクスを30分浴びる方法は広く紹介されていますが、偽の光と差がなかった試験もあります [[11513820]]。
1〜2年後の冬の症状は、認知行動療法のほうが軽くなりました [[37330257]]。
冬季うつ62人で、部屋全体を一日6時間以上明るくする方法と、10,000ルクスのライトの前で30分過ごす方法は、4週間で同じくらい改善しました [[35981135]]。
この記事の研究は冬季うつが対象です。気分に関わる別の方法は [セロトニンを増やすには?幸せホルモンの働きと、本当に効く方法](/evidence/serotonin-boosting-methods) も参考になります。
冬季うつの成人610人(18研究)で、光療法は暗い光や偽の装置より抑うつ症状の点数を下げた。
冬季うつの21件(1037人)で、光療法は対照より抑うつ症状を改善した。根拠の質は低い。
質の基準を満たした冬季うつの8研究で、明るい白色光は治療終了時の抑うつ症状を下げた。週ごとに見ると差が出たのは2週目と3週目だけ。
冬季うつ95人で、10,000ルクス30分の光は暗い赤色光と差がなかった。
冬季うつ57人では、白色光も赤色光も同じように改善した。
冬に気分が沈む成人50人で、光の部屋の54%が症状が半分以下に減り、順番待ちでは0人だった。
光目覚ましの5研究のメタ解析で、冬季うつの抑うつ症状が減った。
冬季うつの人で、毎朝1時間の屋外の散歩(自然光)は1週間で抑うつの自己評価を改善し、弱い人工光では改善しなかった(小規模の研究)
冬季うつになったことがある人が秋から光を浴びて予防できるかを調べた研究は1件(46人)だけで、明るい光の予防効果ははっきりしなかった(根拠の質は非常に低い)
冬季うつ61人で、自宅での光目覚まし(2週間)とライトボックス(6日間)を比べると、どちらも改善したが、改善の度合いはライトボックスのほうが大きかった(40.0%と57.4%)
軽い冬の不調がある人は明るい光で気分が良くなり、困りごとのない人は変わらなかった。
冬季うつ177人で、治療中の効果は同程度。1〜2年後の症状は認知行動療法のほうが軽かった。
43本の報告で、目の不快感などは0〜45%の人にあったが、目の障害の証拠は見つからなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。