マットレスの硬さで睡眠や腰痛は変わる?

マットレスの硬さで睡眠や腰痛は変わる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.05
答え良い関連がある

変わります。中くらいの硬さで体圧を分散するマットレスは、睡眠の満足度が高く、腰痛も軽いことと関連しています。

根拠

マットレスの硬さと睡眠を調べた系統的レビュー 3 本が、どれも「中くらいの硬さが寝心地と睡眠の質を良くする」と結論しています [1] [2] [3]。腰痛は、47件をまとめたレビューで、中くらいの硬さのほうが朝のこわばりや痛みが軽いことと関連していました [1]。慢性の腰痛がある313人の試験でも、寝ているときの痛みが改善した人は中くらいの硬さのほうが多くなりました [4]。腰痛の根拠の確かさは低めです。研究ごとに素材や測り方、追跡期間がばらばらで、結果を数値にまとめられていないためです。

この答えの範囲

腰痛の関連は、47件のレビューでも数値を統合できていません。脳波で測った睡眠には差がない試験もあり、体格や寝姿勢別の研究はありません。低反発と高反発の優劣、買い替えの時期は、まだ言えません。

じゃあ、どうする?

選ぶときは、硬すぎず柔らかすぎない、中くらいの硬さから試すのが研究に近い選び方です。硬さの表示の基準はメーカーごとに違うので、店で実際に横になって確かめる方法が一般に勧められています。腰痛が長引く、脚のしびれがあるときは、寝具だけで考えず医師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。9 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 61 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量220研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 61 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 61 点です。 判定に使った研究は、観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

マットレスとは

ベッドや床に敷いて体を支える寝具で、医薬品ではなく一般の寝具として売られています。コイル(金属のばね)、ウレタンフォーム、ラテックス(ゴムの樹液から作る素材)、空気式などがあり、ウレタンにはゆっくり沈む低反発と、押し返す力が強い高反発があります。世間では「腰痛に良い」「体圧が分散して深く眠れる」と言われます。硬さは「硬め・ふつう・柔らかめ」と表示されることが多く、基準はメーカーごとに違います。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イタリアのサッサリ大学病院などの研究チームが2026年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で過去の研究を集め、結果を整理する方法です。1999年から2023年に発表された研究47件を対象に、マットレスの特徴と背骨の並び・睡眠の質・腰痛との関係をまとめました。

研究の種類系統的レビュー(数値の統合はしていない)
対象1999年から2023年に発表された成人・若い成人の研究47件
比べたもの中くらいの硬さのマットレス / とても硬い・とても柔らかいマットレス
結果睡眠の質が良く、朝のこわばりや腰痛の強さが軽いことと関連
まとめた結果中くらいの硬さが、最も一貫して良い結果と関連していました [1]。

素材や評価方法、追跡期間のばらつきが大きく数値を統合できていないため、根拠の確かさは低めです。

睡眠の質は、寝心地や満足度、背骨の並びの評価が中心です。中くらいの硬さは体圧の分散も良く、考えられているしくみは、体圧が分散して背骨の並びが良くなることです [1]。2021年の系統的レビュー(39件)[2]と、2015年の系統的レビュー(比較試験24件)[3]も、中くらいの硬さ(空気量調整式を含む)が最も良いと結論しています。

腰痛には、くじ引きで分けて比べた試験もあります。2003年の試験では、慢性の腰痛がある成人313人を硬いマットレスか中くらいの硬さのマットレスに割り当て、90日後に比べました。寝ているときの痛みが改善した人は、中くらいの硬さのほうが多く、オッズ比は2.36でした(1より大きいほど、中くらいの硬さで改善した人が多いことを示します)。起床時の痛みの差ははっきりしませんでした [4]。レビューは関係を整理したもので、硬さが原因と示したものではありません。

よく言われていることは本当?

  • 腰痛には硬いマットレスが良い研究では逆です。 硬いものより中くらいの硬さのほうが、寝ているときの痛みが改善した人が多くなりました [4]。
  • 柔らかすぎると腰を痛める研究では確かめられていません。 47件のレビューでは、とても柔らかいものより中くらいの硬さの結果が良好でしたが、柔らかさが腰痛を起こすとは示されていません [1]。根拠の確かさは低めです。
  • 体圧分散で睡眠の質が上がり、疲れが取れる睡眠の満足度は、上がる結果が多いです。 寝心地や満足度は、レビュー3本で中くらいの硬さが良いと報告されています [1] [2] [3]。機器で測った睡眠の結果は試験で分かれ、疲れが取れるかを測ってまとめた結果は見つかりませんでした。
  • 高反発は寝返りが打ちやすく、深く眠れる寝入りばなの深い睡眠は増えました。 ただし男性30人の小さな試験1件で、根拠の確かさは低めです。高反発のほうが深い睡眠が若い人で27.8%、高齢の人で24.7%多く、寝返りのときの筋肉の活動も53.0〜66.1%小さくなりました(別の日中の測定)[5]。
  • 古いマットレスを替えると眠りや腰が良くなる研究が足りません。 平均9.5年使った寝具を替えた59人の前後比較1件だけで、比べる群がありません [6]。
  • 合わないマットレスは肩こり・首の痛みの原因になる研究が足りません。 硬いマットレスで寝る人は首の痛みの割合がやや高い、成人6,969人の一時点の調査が1件あるだけです [7]。肩こりそのものの研究は見つかりませんでした。
  • 寿命は決まった年数で、それを目安に買い替える使用年数とへたり・睡眠の関係を比べた研究は見つかりませんでした。
  • 店で寝て試して選ぶのが良い試して選ぶ方法を他と比べた研究は見つかりませんでした。 47件のレビューは、体格・年齢・寝姿勢を考えて選ぶよう勧めていますが、比較試験ではありません [1]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

寝心地の評価と、機器で測る睡眠は、結果が分かれることがあります。2024年の試験では、健康な20人が一晩ずつ寝比べました。体圧が分散する簡易ベッドは、硬い段ボールベッドより睡眠の満足度や寝心地が良かったのですが、終夜睡眠ポリグラフ検査(脳波などを測る検査)では睡眠の質や構成に差がありませんでした [8]。

一方、体圧のかかり方が違う4種類のマットレスで寝比べた2014年の試験(企業の研究部門)では、体圧が一点に集中するものや広がりすぎるものより、その中間のもので深い睡眠が長く、睡眠中の短い目覚めが少なくなりました [9]。比べたベッドと測った指標が違うため、結果は同じにそろっていません。

差がなかった試験健康な成人 20人が一晩ずつ寝比べ

寝心地は良かった一方、脳波などで測った睡眠そのものには差がありませんでした。

02注意点

2003年の試験は、慢性の腰痛がある成人313人が90日間寝た条件で、誰にでも合う硬さを示すものではありません [4]。慢性の腰痛が続く、脚のしびれがある、急に痛みが強くなった場合は、寝具だけで考えず、医師に相談してください。

研究の対象と、自分の条件を分けて考える

体格や寝姿勢ごとに合う硬さを比べた研究は、今回はありません。

03まとめ

中くらいの硬さは、寝心地と睡眠の満足度に良い結果がそろい、腰痛とも軽い関連が見られます。
腰痛は根拠の確かさが低めで、機器で測った睡眠は試験で結果が分かれるので、大きな変化を期待しすぎないことが条件です。
まずは硬すぎず柔らかすぎないものを試し、続く痛みがあれば医師に相談しましょう。寝具以外の方法は睡眠の質を高める方法は?で比べています。

04よくある質問

Q低反発と高反発はどちらが良いですか?

素材の種類で広く比べた研究は、今回集めた中では見つかりませんでした。近い比較として、慢性の腰痛患者141人を調べた試験では、ウォーターベッドや体に沿うフォームのマットレスが、硬いマットレス(布団タイプ)より腰の症状・日常の動作・睡眠への影響が良かったものの、差は小さい結果でした [[18379395]]。高反発と低反発のトッパーを比べた試験は、上で紹介した1件だけです。

Q体重や寝姿勢によって合う硬さは変わりますか?

47件のレビューは、体格・年齢・寝る姿勢なども考えて選ぶよう勧めています [[42432412]]。ただ、体重や寝姿勢ごとに合う硬さを比べた研究は、今回集めた中にはありませんでした。

Q買い替えずに、上に敷くパッドでも変わりますか?

腰痛の患者を対象にした小規模な予備試験が1件あります。通常のリハビリにマットレスの上に敷くパッドを加えた群では、2か月後に痛み・腰の機能・睡眠が改善し、リハビリだけの群では変わりませんでした [[29991121]]。予備的な小さな試験のため、根拠の確かさは低めです。

05参照した論文

判定に使った主な論文(9本)

[1]マットレスの特徴と背骨の並び・睡眠・腰痛の関係をまとめた系統的レビュー

発表年
2026年
研究機関
イタリア・サッサリ大学病院
掲載誌
Journal of orthopaedics and traumatology : official journal of the Italian Society of Orthopaedics and Traumatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究47件を統合
結果の向き
良い方向

47件の研究をまとめ、中くらいの硬さが最も一貫して良い結果と関連していた。

[2]マットレスの硬さと睡眠の質・腰痛をまとめた系統的レビュー

発表年
2021年
研究機関
イタリア・サッサリ大学
掲載誌
Journal of orthopaedics and traumatology : official journal of the Italian Society of Orthopaedics and Traumatology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究39件を統合
結果の向き
良い方向

39件の研究をまとめ、中くらいの硬さが寝心地・睡眠の質・背骨の並びを良くするという結論だった。

[3]マットレスの種類と睡眠・背骨の並びを比べた試験の系統的レビュー

発表年
2015年
研究機関
アメリカ・ユティカ大学
掲載誌
Sleep health
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究24件を統合
結果の向き
良い方向

比較試験24件をまとめ、中くらいの硬さで空気量を調整できるものが最も良いという結論だった。

[4]慢性腰痛の人に硬いマットレスと中くらいの硬さを比べた試験

発表年
2003年
研究機関
スペイン・コバックス財団
掲載誌
Lancet (London, England)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
313人
結果の向き
良い方向

313人で90日後、寝ているときの痛みが改善した人は中くらいの硬さのほうが多かった。

[5]高反発と低反発のトッパーで睡眠を比べた試験

発表年
2018年
研究機関
日本・東京慈恵会医科大学
掲載誌
PloS one
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
良い方向

男性30人で、高反発のほうが寝入りばなの深い睡眠が若い人で27.8%、高齢の人で24.7%多かった。

[6]古いベッドを新しい中くらいの硬さのベッドに替えた前後の比較

発表年
2009年
研究機関
アメリカ・オクラホマ州立大学
掲載誌
Journal of chiropractic medicine
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

平均9.5年使ったベッドを替えると睡眠の質が上がったが、比べる群はなかった。

[7]中国の成人の首の痛みと生活習慣・寝具を調べた調査

発表年
2026年
研究機関
中国・中国中医科学院望京病院
掲載誌
Journal of global health
研究の種類
横断研究ある一時点での生活習慣と健康状態の関係を調べる研究。
対象
6,969人
結果の向き
悪い方向

成人6,969人の調査で、硬いマットレスの人は首の痛みの割合が高かった(オッズ比1.19)。

[8]体圧が分散するベッドと段ボールベッドで睡眠を比べた試験

発表年
2024年
研究機関
日本・関西福祉大学
掲載誌
PeerJ
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
結果が割れている

健康な20人で、満足度と寝心地は良かったが、脳波などで測った睡眠には差がなかった。

[9]体圧の分布が違うマットレスで睡眠を比べた試験

発表年
2014年
研究機関
中国・企業の研究部門
掲載誌
PloS one
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

体圧の分布が異なる4種類のマットレスで寝比べ、中間のもので深い睡眠が長く、睡眠中の短い目覚めが少なかった。

ほかに参考にした論文(7本)

判定「良い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。