脂質を減らす食事(低脂質ダイエット)で痩せる?

脂質を減らす食事(低脂質ダイエット)で痩せる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

痩せます。減量中の人では、ふだんの食事より体重が平均5.41kg多く減ります。

根拠

減量を目的としない成人でも、脂質を減らした食事は体重が平均1.4kg軽くなりました(比較試験26件・53,875人のコクランのレビュー)[1]。減量の試験(1年以上追った8つの比較)では、ふだんの食事より平均5.41kg多く減りました [2]。ただし、糖質制限と比べると6〜12か月の時点で平均1.30kg減りにくい結果です [3]。根拠の確かさは中程度です。

この答えの範囲

成人の話です。減る量は、減量を目的にした人としない人で大きく違います。

じゃあ、どうする?

脂質を減らす食事は、減量の方法として使えます。糖質制限との差は小さいので、無理なく続けられるほうを選べば十分です。12か月では減量の効果が小さくなるため、数か月で終わらせず、続けられる食べ方に落とし込むのが大事です [4]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。7 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量2020研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 96 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から B に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

低脂質ダイエットとは

低脂質ダイエットは、食事の脂質を減らして、エネルギーの量を抑える食事法です。脂質は同じ重さで比べると、糖質やたんぱく質よりエネルギーが多い栄養素なので、減らすと食事全体のエネルギーが下がりやすいとされています。揚げ物、バター、脂身の多い肉などを控えるのが特徴です。注意点は、極端に減らすと栄養が偏ることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イギリスのイーストアングリア大学などの研究チームが2020年に発表したコクランのレビューです [1]。コクランのレビューとは、決めた手順で比較試験を集め、結果をまとめる方法です。減量を目的としない成人を、脂質の少ない食事と多い食事に分け、6か月以上追った試験が集められました。

研究の種類脂質の量を変えた比較試験を集めたコクランのレビュー
対象減量を目的としない成人(体重の結果は26件・53,875人)
比べたもの脂質を減らした食事と、脂質の多い食事(6か月以上)
結果脂質を減らした食事のほうが、体重が平均1.4kg軽かった
まとめて分析した結果減量を目的としない成人でも、脂質を減らした食事で体重が平均1.4kg軽くなりました [1]。

減量の試験では、もっと大きく減ります。次の節で見ます。

減量中の人では、どのくらい減る?

減量を目的にした試験では、効果がはっきり大きくなります。アメリカのブリガム・アンド・ウィメンズ病院などの研究チームが2015年に発表したメタ解析(複数の試験をまとめて分析する方法)では、1年以上追った試験の8つの比較で、脂質を減らす食事はふだんの食事より、体重が平均5.41kg多く減りました [2]。

中国の蘭州大学などの研究チームが2020年に発表した解析でも、太り気味・肥満の成人で、6か月の時点で脂質を減らす食事はふだんの食事より、体重が4.37kg多く減りました [4]。

ただし、同じくらい手間をかけた、脂質の多い減量食とは差がありませんでした [2]。「脂質を減らすと特別によく痩せる」のではなく、「ふだんの食事より減らせる、方法の一つ」と読むのが正確です。

12か月では、効果が小さくなる

6か月の時点の減量は、時間がたつと小さくなります。2020年の解析では、12か月ではどの食事でも減量の効果が小さくなりました [4]。1年以上追った前の節の解析では、ふだんの食事より平均5.41kg多く減っており [2]、解析によって結果にばらつきがあります。始めた直後の減り方が、そのまま続くとは限りません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

糖質を減らす食事と比べると、脂質を減らす食事は少し減りにくい結果が多く出ています。イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが2020年に発表したメタ解析では、成人6,499人(38件)で、6〜12か月の時点の体重の減りは、脂質を減らす食事のほうが平均1.30kg少なくなりました [3]。糖質を1日50g以下にする食事と、脂質をエネルギーの30%未満にした食事を12か月以上比べた解析でも、糖質を減らす側が平均0.91kg多く減りました [5]。

これは害があるという意味ではなく、減る量にわずかな差がある、という意味です。差は1kg前後で、小さいものです。

一方で、差が出ない結果もあります。

カロリーをそろえた比較血管の働きを主に調べた、太り気味・肥満の人の10件・475人の解析

カロリーを抑えた条件で比べると、体の大きさや体組成の変化に差はありませんでした [6]。

6か月の時点でも、糖質を減らす食事は4.63kg、脂質を減らす食事は4.37kgで、同じくらいでした [4]。差が出るのは、長く続けた試験をまとめたときです。

よく言われていることは本当?

  • 脂質を減らすと体重が落ちる本当です。 減量を目的としない成人で平均1.4kg、減量の試験で平均5.41kgの差がありました [1] [2]。
  • 糖質制限と脂質制限は、同じカロリーなら差はない半分本当です。 カロリーを抑えて比べた小さな解析では差がありませんでしたが [6]、試験全体では糖質制限のほうが平均1.30kg多く減っています [3]。
  • 脂質を控えるとコレステロールが下がる本当です。 LDL(悪玉)コレステロールは、脂質を減らした食事のほうが0.13mmol/L低くなりました [1]。
  • 脂質制限は痩せるのが遅い研究では確かめられていません。 効果が出る時期を主に調べた研究は見つかっていません。糖質制限との比較では、6か月の時点で同じくらいでした [4]。
  • 脂質を減らしすぎると、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸が不足する研究では確かめられていません。 ヒトの比較試験をまとめた解析は見つかっていません。

減量中の食事の組み立ては、ダイエット中にプロテインを飲む意味はある? と 食物繊維で体重は減る? もも読めます。

02注意点

追跡期間は6か月以上の試験が中心で、12か月の試験では減量の効果が小さくなっています。代謝の異常のない太り気味・肥満の人2,106人(20件)の解析では、脂質を減らした食事でLDLコレステロールが4.41mg/dL低い一方、HDLコレステロールは低く、中性脂肪は高い結果でした [7]。脂質を減らす中身(何を減らし、何を増やすか)で結果が変わることも考えられます。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、医師や管理栄養士に相談してください。

減らす量と期間を、研究の条件と照らして考える

極端に脂質を減らさず、続けられる範囲で始めてください。

03まとめ

脂質を減らす食事は、体重を減らす方法として研究で確かめられています。
糖質制限との差は小さく、6か月の時点では差がありません。
数か月で終わらせず、続けられる食べ方を選びましょう。

04よくある質問

Q脂質は1日どのくらいに抑えればいいですか?

研究によって基準が違い、ひとつの目安は決まっていません。糖質制限との比較試験をまとめた解析の一つでは、脂質をエネルギーの30%未満にした食事が使われました [[23651522]]。持病がある人は、医師や管理栄養士に確認してください。

Q糖質制限のほうが痩せますか?

試験全体では、糖質制限のほうが平均1.30kg多く減っています [[33317019]]。差は小さく、6か月の時点やカロリーを抑えて比べた小さな解析では、差が出ていません [[40275003]] [[32238384]]。

Q脂質を減らしすぎると栄養が足りなくなりますか?

研究では確かめられていません。脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の不足を直接測ったヒトの比較試験のまとめは、見つかっていません。

Q脂質を減らすとき、ほかに気をつけることは?

減量中の筋肉を守る点は、[ダイエット中にプロテインを飲む意味はある?](/evidence/protein-during-diet) で解説しています。

05参照した論文

判定に使った主な論文(7本)

[1]成人の脂質の摂取量と体脂肪への影響(コクランのレビュー)

発表年
2020年
研究機関
イギリス・イーストアングリア大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
53,875人
結果の向き
良い方向

減量を目的としない成人で、脂質を減らした食事は脂質の多い食事より体重が平均1.4kg軽かった(26件・53,875人)。

[2]低脂質の食事とほかの食事の、長期の体重変化の比較

発表年
2015年
研究機関
アメリカ・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院
掲載誌
The lancet. Diabetes & endocrinology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
68,128人
結果の向き
良い方向

減量の試験で、脂質を減らす食事はふだんの食事より体重が多く減った。同じくらい手間をかけたほかの減量食とは差がなかった。

[3]低脂質と糖質制限が、体重と血中の脂質に与える影響

発表年
2020年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
6,499人
結果の向き
悪い方向

成人6,499人(38件)で、脂質を減らす食事は糖質を減らす食事より体重の減りが平均1.30kg少なかった。

[4]有名な食事法の栄養素の割合を比べた、体重と心血管の危険因子への影響

発表年
2020年
研究機関
中国・蘭州大学
掲載誌
BMJ (Clinical research ed.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
21,942人
結果の向き
良い方向

太り気味・肥満の成人で、脂質を減らす食事は糖質を減らす食事と同じくらい体重が減った。12か月では減量の効果が小さくなった。

[5]長期の減量での、ケトン食と低脂質食の比較

発表年
2013年
研究機関
ブラジル・アラゴアス連邦大学
掲載誌
The British journal of nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,415人
結果の向き
悪い方向

12か月以上の試験で、糖質を大きく減らす食事のほうが脂質を減らす食事より体重が多く減った。

[6]カロリーを抑えた糖質制限と低脂質の食事の、血管の働きと体組成の比較

発表年
2025年
研究機関
イラン・カシャーン大学
掲載誌
European journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
475人
結果の向き
差なし

カロリーを抑えた条件で比べると、体の大きさや体組成の変化に差はなかった。

[7]太り気味・肥満の人の代謝指標への、低脂質食と高脂質食の比較

発表年
2018年
研究機関
中国・浙江大学
掲載誌
The British journal of nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,106人
結果の向き
良い方向

代謝の異常のない2,106人(20件)で、低脂質の食事はLDLが4.41mg/dL低かったが、HDLは低く中性脂肪は高かった。

ほかに参考にした論文(8本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。