[1]成人の脂質の摂取量と体脂肪への影響(コクランのレビュー)
- 発表年
- 2020年
- 研究機関
- イギリス・イーストアングリア大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 53,875人
- 結果の向き
- 良い方向
減量を目的としない成人で、脂質を減らした食事は脂質の多い食事より体重が平均1.4kg軽かった(26件・53,875人)。

痩せます。減量中の人では、ふだんの食事より体重が平均5.41kg多く減ります。
成人の話です。減る量は、減量を目的にした人としない人で大きく違います。
脂質を減らす食事は、減量の方法として使えます。糖質制限との差は小さいので、無理なく続けられるほうを選べば十分です。12か月では減量の効果が小さくなるため、数か月で終わらせず、続けられる食べ方に落とし込むのが大事です [4]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 96 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から B に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
低脂質ダイエットは、食事の脂質を減らして、エネルギーの量を抑える食事法です。脂質は同じ重さで比べると、糖質やたんぱく質よりエネルギーが多い栄養素なので、減らすと食事全体のエネルギーが下がりやすいとされています。揚げ物、バター、脂身の多い肉などを控えるのが特徴です。注意点は、極端に減らすと栄養が偏ることです。
答えの中心は、イギリスのイーストアングリア大学などの研究チームが2020年に発表したコクランのレビューです [1]。コクランのレビューとは、決めた手順で比較試験を集め、結果をまとめる方法です。減量を目的としない成人を、脂質の少ない食事と多い食事に分け、6か月以上追った試験が集められました。
| 研究の種類 | 脂質の量を変えた比較試験を集めたコクランのレビュー |
|---|---|
| 対象 | 減量を目的としない成人(体重の結果は26件・53,875人) |
| 比べたもの | 脂質を減らした食事と、脂質の多い食事(6か月以上) |
| 結果 | 脂質を減らした食事のほうが、体重が平均1.4kg軽かった |
減量の試験では、もっと大きく減ります。次の節で見ます。
減量を目的にした試験では、効果がはっきり大きくなります。アメリカのブリガム・アンド・ウィメンズ病院などの研究チームが2015年に発表したメタ解析(複数の試験をまとめて分析する方法)では、1年以上追った試験の8つの比較で、脂質を減らす食事はふだんの食事より、体重が平均5.41kg多く減りました [2]。
中国の蘭州大学などの研究チームが2020年に発表した解析でも、太り気味・肥満の成人で、6か月の時点で脂質を減らす食事はふだんの食事より、体重が4.37kg多く減りました [4]。
ただし、同じくらい手間をかけた、脂質の多い減量食とは差がありませんでした [2]。「脂質を減らすと特別によく痩せる」のではなく、「ふだんの食事より減らせる、方法の一つ」と読むのが正確です。
6か月の時点の減量は、時間がたつと小さくなります。2020年の解析では、12か月ではどの食事でも減量の効果が小さくなりました [4]。1年以上追った前の節の解析では、ふだんの食事より平均5.41kg多く減っており [2]、解析によって結果にばらつきがあります。始めた直後の減り方が、そのまま続くとは限りません。
糖質を減らす食事と比べると、脂質を減らす食事は少し減りにくい結果が多く出ています。イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが2020年に発表したメタ解析では、成人6,499人(38件)で、6〜12か月の時点の体重の減りは、脂質を減らす食事のほうが平均1.30kg少なくなりました [3]。糖質を1日50g以下にする食事と、脂質をエネルギーの30%未満にした食事を12か月以上比べた解析でも、糖質を減らす側が平均0.91kg多く減りました [5]。
これは害があるという意味ではなく、減る量にわずかな差がある、という意味です。差は1kg前後で、小さいものです。
一方で、差が出ない結果もあります。
カロリーを抑えた条件で比べると、体の大きさや体組成の変化に差はありませんでした [6]。
6か月の時点でも、糖質を減らす食事は4.63kg、脂質を減らす食事は4.37kgで、同じくらいでした [4]。差が出るのは、長く続けた試験をまとめたときです。
減量中の食事の組み立ては、ダイエット中にプロテインを飲む意味はある? と 食物繊維で体重は減る? もも読めます。
追跡期間は6か月以上の試験が中心で、12か月の試験では減量の効果が小さくなっています。代謝の異常のない太り気味・肥満の人2,106人(20件)の解析では、脂質を減らした食事でLDLコレステロールが4.41mg/dL低い一方、HDLコレステロールは低く、中性脂肪は高い結果でした [7]。脂質を減らす中身(何を減らし、何を増やすか)で結果が変わることも考えられます。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、医師や管理栄養士に相談してください。
極端に脂質を減らさず、続けられる範囲で始めてください。
脂質を減らす食事は、体重を減らす方法として研究で確かめられています。
糖質制限との差は小さく、6か月の時点では差がありません。
数か月で終わらせず、続けられる食べ方を選びましょう。
研究によって基準が違い、ひとつの目安は決まっていません。糖質制限との比較試験をまとめた解析の一つでは、脂質をエネルギーの30%未満にした食事が使われました [[23651522]]。持病がある人は、医師や管理栄養士に確認してください。
試験全体では、糖質制限のほうが平均1.30kg多く減っています [[33317019]]。差は小さく、6か月の時点やカロリーを抑えて比べた小さな解析では、差が出ていません [[40275003]] [[32238384]]。
研究では確かめられていません。脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の不足を直接測ったヒトの比較試験のまとめは、見つかっていません。
減量中の筋肉を守る点は、[ダイエット中にプロテインを飲む意味はある?](/evidence/protein-during-diet) で解説しています。
減量を目的としない成人で、脂質を減らした食事は脂質の多い食事より体重が平均1.4kg軽かった(26件・53,875人)。
減量の試験で、脂質を減らす食事はふだんの食事より体重が多く減った。同じくらい手間をかけたほかの減量食とは差がなかった。
成人6,499人(38件)で、脂質を減らす食事は糖質を減らす食事より体重の減りが平均1.30kg少なかった。
太り気味・肥満の成人で、脂質を減らす食事は糖質を減らす食事と同じくらい体重が減った。12か月では減量の効果が小さくなった。
12か月以上の試験で、糖質を大きく減らす食事のほうが脂質を減らす食事より体重が多く減った。
カロリーを抑えた条件で比べると、体の大きさや体組成の変化に差はなかった。
代謝の異常のない2,106人(20件)で、低脂質の食事はLDLが4.41mg/dL低かったが、HDLは低く中性脂肪は高かった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。