[1]成人の呼吸器感染症予防に効く栄養サプリを比べたネットワークメタ解析
- 発表年
- 2025年
- 研究機関
- 中国・寧波市疾病予防管理センター
- 掲載誌
- EClinicalMedicine
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 101,751人
- 結果の向き
- 良い方向
大人107件・101751人で、カテキンと乳酸菌がプラセボよりリスクを下げた。

あります。緑茶のカテキンと、乳酸菌・ビフィズス菌は、風邪にかかる人を減らします。
大人を中心にした研究の話です。緑茶の研究は主に日本の医療・介護職員や学生で、うがいも含みます。
お茶を飲む・緑茶でうがいをする、ヨーグルトなどで乳酸菌をとる、のどちらも試す価値があります。風邪予防のためにビタミンやミネラルのサプリを足す必要はありません。基本の 手洗い・うがいで風邪は防げる? も合わせて。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 17.3 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 92.3 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 4 本・RCT のメタ解析 6 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
風邪は、のどや鼻に入ったウイルスが起こす感染症です。予防によいとされる食べ物や栄養素には、緑茶、ヨーグルトなどの発酵食品、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛、にんにくなどがあります。ここでは、飲んだりとったりした人と、そうでない人を比べて「風邪にかかる人が減ったか」を調べた研究だけで、どれに裏づけがあるかを分けます。
答えの中心は、寧波市疾病予防管理センター(中国)などの研究チームが2025年に発表したネットワークメタ解析です [1]。ネットワークメタ解析とは、多くの試験の結果をまとめて、複数の方法を同じ土俵で比べる方法です。大人を対象にした107件・101751人の試験が集められました。
| 研究の種類 | 栄養サプリを比べたネットワークメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 18歳以上の大人(107件・101751人) |
| 比べたもの | ビタミン、ミネラル、フラボノイド、乳酸菌などとプラセボ |
| 結果 | カテキンはリスク比0.79、ビフィズス菌はリスク比0.79、複数の菌をまぜた乳酸菌はリスク比0.90 |
ビフィズス菌(3件)と複数の菌をまぜた乳酸菌(16件)も、同じようにリスクを下げました [1]。
リスク比0.79は、プラセボの群と比べて、かかる人の割合が約2割低かったという意味です。差は大きくはありません。
日本の研究グループなどが緑茶のうがいとカテキンの試験をまとめた2021年のメタ解析では、RCTだけで見て、かぜ・インフルエンザにかかるリスクが低くなりました(リスク比0.79、6件のRCTと4件のコホート研究・3748人の全体)[10]。飲む・とる研究だけではリスク比0.68、うがいだけではリスク比0.83でした。この研究の筆頭著者は、企業の研究部門に所属しています。
別の2021年のまとめでも、インフルエンザに限ると、カテキンをとった人はかかるリスクが低くなりました(RCT5件・884人、リスク比0.67)[11]。
乳酸菌は菌の種類が多く、試験ごとに使った菌が違います。これが結果のばらつきの一因です。
緑茶のうがいは、いつも差が出たわけではありません。日本の大学生209人が12週間、緑茶か水でうがいした試験では、かかる人にはっきりした差が出ませんでした [14]。新型コロナの流行中で、かかる人がそもそも少なかったことが背景にあります。
水でうがいした群と比べて、上気道の感染にかかる人にはっきりした差はありませんでした。
緑茶のカテキンは、とる量で結果が分かれた試験があります。日本の医療職員の試験では、カテキンを1日3回とった群で上気道の感染が減りましたが、1日1回の群では差がありませんでした [16]。うがいと飲む量の目安は、研究ごとにさまざまです。
乳酸菌は、持病や免疫が落ちる治療を受けている人は、とる前に医師や薬剤師に確認してください。赤ちゃんのミルクや、サプリを足すときも同じです。
緑茶と乳酸菌で減るのは、かかる人の割合の一部です。手洗い・うがいと合わせて考えましょう。
風邪を予防する食べ物は、緑茶のカテキンと、乳酸菌・ビフィズス菌です。
乳酸菌は根拠の確かさが低めで、子どもでは結果が分かれます。ビタミンC・D・A・亜鉛は、ふだんの生活をしている人では差が出ていません。
毎日のお茶やヨーグルトを続けながら、手洗い・うがいも続けるのが、研究に沿った使い方です。関連して、乳酸菌で風邪をひきにくくなる?、ビタミンCで風邪は防げるって本当?、亜鉛のトローチやなめる錠剤で風邪は早く治る? も読めます。
研究から、杯数の目安は決められません。試験ごとにカプセル、飲み物、うがいなど、とり方がさまざまだからです。日本の医療職員の試験では、カテキンを1日3回とった群で感染が減りました [[31861349]]。
風邪の予防が目的なら、足す必要はありません。ふだんの生活をしている人では、どちらも予防の差がはっきりしませんでした [[23440782]] [[39993397]]。
にんにくは、サプリの試験1件があるだけで、コクランのレビューは研究が足りないと結論しています [[25386977]]。生姜やねぎの予防の試験は見つかっていません。
結果が分かれています。子ども・青年の試験21件のまとめでは、下げる根拠は見つかっていません [[28052594]]。
大人107件・101751人で、カテキンと乳酸菌がプラセボよりリスクを下げた。
4798人(16件)で、乳酸菌をとった人はかぜにかかる人が少なかった。
ふだんの生活をしている人10708人で、かかる人の割合はほとんど変わらなかった。
RCT40件・61589人で、リスクははっきり下がらなかった。
7歳までの子ども22668人(3件)で、風邪の回数はプラセボと変わらなかった。
9件・1449人で、かかる人の割合はほとんど変わらなかった。
22件・10190人で、発酵乳をとった人は上気道の感染のリスクが低かった。
146人で、12週間の風邪の回数がサプリの群24回、プラセボの群65回だった。
条件を満たす試験は1件だけで、判断するには研究が足りないと結論した。
3748人のまとめで、RCTだけでもリスクが低かった。
RCT5件・884人で、カテキンをとった人はインフルエンザのリスクが低かった。
18〜65歳の9179人で、1回以上かかる人が少なかった。
子ども・青年の試験21件で、下げる根拠は見つからなかった。
大学生209人の試験で、水でのうがいと比べてはっきりした差はなかった。
6〜8歳の子ども200人で、呼吸器の感染症で休んだ日数が少なかった。
カテキンを1日3回とった群で上気道の感染が減り、1日1回では差がなかった。
健康な正期産の赤ちゃんに乳児型のビフィズス菌を与えた研究(25件)では、呼吸器の感染症は少ない傾向だったが、はっきりした差とは言えなかった(リスク比0.74)
中国の赤ちゃん192人の試験で、ビフィズス菌(HN019)入りのミルクを飲んだ群は、医師が確かめた上気道の感染が対照群より少なかった(0.0% 対 9.4%)
赤ちゃん184人の試験で、生後6か月まで乳酸菌(LGG)をとっても、2歳までのウイルス性の病気の回数は減らなかった
ウガンダの3〜6歳の子ども196人の試験で、プロバイオティクス入りヨーグルトを毎日とっても、上気道の症状の出やすさに差はなかった
ニュージーランドの赤ちゃん428人の試験で、口の中の善玉菌(S. salivarius K12)を毎日とっても、呼吸器の感染症は減らなかった
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。