[1]亜鉛とかぜの予防・治療(コクランレビュー)
- 発表年
- 2024年
- 研究機関
- アメリカ・メリーランド統合健康大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
- 対象
- 972人
- 結果の向き
- 良い方向
風邪をひいてから使った972人(8件)で、期間は平均2.37日短くなりました。確実性は低めです。

風邪の期間が約2日短くなり、味覚の低下にも効きます。効果が見られた量は、毎日の上限量を超えています。
風邪の話は、亜鉛不足を条件にしない研究にもとづきます。味覚は、原因不明か亜鉛不足の味覚障害の人の話です。風邪の予防、男性ホルモン、傷の治りには効きません。ニキビは根拠の確かさが低め、抜け毛は研究がまだ少ない段階です。副作用には注意が必要です。
まずは食事から。サプリを選ぶなら、次の条件で。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.1 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 99.1 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
亜鉛は、体に欠かせない必須ミネラルのひとつです。味覚や免疫、皮膚や髪の健康に関わるとされ、牡蠣や肉類などの食べ物のほか、サプリメントやトローチなどの形があります。食事から必要な量をとるのが基本で、とりすぎると銅が足りなくなることがあるのが特徴です。注意点は、サプリで上限量を超えないことです。
答えの中心は、アメリカのメリーランド統合健康大学などの研究チームが2024年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューとは、決めた手順で試験を集め、結果を整理する国際的なまとめです。
| 研究の種類 | 風邪への亜鉛を調べた比較試験のコクランレビュー |
|---|---|
| 対象 | 子どもと大人。全体で34件・8526人 |
| 比べたもの | 亜鉛(トローチ・錠剤・シロップ・点鼻など) / 偽薬 |
| 結果 | 風邪をひいてから使うと、期間が平均2.37日短い(8件・972人) |
差の幅(95%信頼区間)は0.53日から4.21日と広く、確実性は低いと評価されています。
味覚の低下は、亜鉛を飲むと良くなる人が偽薬などの1.38倍でした [2]。対象は原因不明か亜鉛不足の人です。使われた量は毎日17mg〜86.7mg、期間は3〜6か月で、著者は68〜86.7mgの高用量で効果が出たとしています。上限量を超えるため、医療機関で相談してください。ただし3件・366人のコクランレビューは、根拠の質を非常に低いと評価しています [5]。
亜鉛が足りないと、免疫の働きの低下、味覚や嗅覚の障害、成長の遅れ、皮膚の病気などにつながるとされます [15]。日本の医療データで血液中の亜鉛を測った20歳以上の13100人では、高齢の人・男性・入院中の人で不足が多くみられました。不足が気になるときは、サプリを自分で選ぶ前に、医療機関に相談してください。
厚生労働省のeJIMによると、亜鉛を最も多く含むのは、肉類・魚類・海産物です。豆類・ナッツ類・全粒粉にも含まれますが、吸収は動物性食品より低くなります。同じ資料の米国の食品データでは、生のかき(約85g)が32mg、牛サーロイン(約85g)が3.8mg、かぼちゃの種(約28g)が2.2mgです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の推奨量は、成人男性で9.0〜9.5mg、成人女性で7.0〜8.0mgです(年齢で異なります)。耐容上限量は、男性が40〜45mg、女性が35mgで、サプリメントの継続投与の研究をもとに決められました。食事とサプリの合計で考えます。
**風邪の試験で期間が短くなった量は、毎日75mgを超えていました。**毎日75mg未満のトローチを使った5件は、どれも効果が見られていません [16]。この量は上限量を大きく超えるため、毎日続ける使い方は確かめられていません。点鼻タイプは、嗅覚が戻らなくなる懸念も指摘されています [17]。
風邪の治療で亜鉛をとると、嫌な味などの重くない副作用が、偽薬の1.34倍に増えました(16件・2084人)[1]。とりすぎの報告もあります。亜鉛が原因の血液の異常が起きた37人のレビューでは、毎日およそ50mgから1500mg超を数週間から数年とっていて、全員で血液中の銅が下がっていました。亜鉛をやめて銅を補うと、多くは数週間から数か月で回復しています [4]。持病や服薬がある人、子ども、妊娠中の人は、医師や薬剤師に確認してください。
上限量を超えて使うのは、短い期間にとどめ、医師や薬剤師に相談してください。
根拠の確かさは低めですが、亜鉛は風邪の期間と味覚の低下に効き、予防や男性ホルモンには効きません。
食事からの量を基本に、サプリは合計が上限量を超えないように選びましょう。
味覚の低下や長引く不調は、まず医療機関で原因を調べてください。
長くとりすぎると銅が足りなくなり、貧血などが起きた報告があります。毎日およそ50mgを超える量を数週間から数年とっていた例です。亜鉛をやめて銅を補うと、多くは回復しています [[42087025]]。
研究で使われたのは、トローチ・錠剤・シロップ・点鼻などです [[38719213]]。食べ物から亜鉛をとって比べた試験は、このページで読んだ研究に含まれていないため、確かめられていません。
予防には効きません。毎日飲んだ人と偽薬の人で、風邪をひく割合はほとんど同じでした。根拠の確かさは低めです [[38719213]]。
風邪をひいてから使った972人(8件)で、期間は平均2.37日短くなりました。確実性は低めです。
12件・938人で、味覚が良くなった人は偽薬などのグループの1.38倍でした。
52研究を調べ、効果がありうる成分に亜鉛は入っていませんでした。
37人の報告で、毎日およそ50mgから1500mg超を数週間から数年とっていました。全員で血液中の銅が下がっていました。
3件・366人で、検査で測った味の感じやすさが改善しました。根拠の質は非常に低いとされています。
28件・5446人で、呼吸器の感染症が100人月あたり5件減りました。
ニキビを調べた14件のうち10件で、亜鉛が役に立ったと判断されました。予備的な根拠です。
長く続く休止期脱毛 (髪が全体的に抜ける状態) の人50人は、健康な人50人より血液と髪の亜鉛が少なかった
栄養不足がわかっていない抜け毛の人を対象にした30件の研究をまとめた系統的レビューで、亜鉛は効果の可能性がある成分のひとつに挙げられた
多嚢胞性卵巣症候群の女性で、亜鉛を8週間飲むと抜け毛がプラセボより減った (41.7% 対 12.5%、P=0.02)
円形脱毛症の飲み薬のRCT16件の系統的レビューで、亜鉛 (硫酸亜鉛) を飲むことは根拠が支持しないとされた
男性の不妊に対するサプリのRCT50件のメタ解析で、亜鉛と葉酸は精子の濃度を上げたが、妊娠や出産が増える効果は見られなかった
不妊治療を予定する2370組のカップルで、男性が葉酸5mgと亜鉛30mgを6か月飲んでも、出産の割合はプラセボと差がなかった (34%と35%)
脚の潰瘍の人のRCT6件・183人のレビューで、静脈の潰瘍の4件をまとめると、亜鉛を飲んでも潰瘍の治り方はプラセボと差がなかった
20歳以上の13100人で、高齢の人・男性・入院中の人に亜鉛不足が多くみられました。
毎日75mg未満のトローチを使った5件はどれも効果がなく、75mgを超える量の研究では期間が短くなっていました。
点鼻の亜鉛3件では、3日目の症状の改善にはっきりした差がありませんでした。
亜鉛のサプリは、急性の呼吸器感染症にかかるリスクを下げませんでした。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。