亜鉛は何に良い?食べ物・量・サプリの選び方

亜鉛は何に良い?食べ物・量・サプリの選び方
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.01
答え量と飲み方が大事

風邪の期間が約2日短くなり、味覚の低下にも効きます。効果が見られた量は、毎日の上限量を超えています。

根拠

風邪をひいてから亜鉛をとった試験8件(972人)をまとめると、風邪の期間は平均2.37日短くなりました [1]。味覚の低下がある人では、亜鉛を飲んで良くなった人が、偽薬などのグループの1.38倍でした(試験12件・938人)[2]。根拠の確かさは低めです。試験ごとの結果のばらつきが大きく、味覚では試験の質が低いと評価されているためです。一方、風邪の予防には効かず [1]、男性ホルモンも増えませんでした [3]。

この答えの範囲

風邪の話は、亜鉛不足を条件にしない研究にもとづきます。味覚は、原因不明か亜鉛不足の味覚障害の人の話です。風邪の予防、男性ホルモン、傷の治りには効きません。ニキビは根拠の確かさが低め、抜け毛は研究がまだ少ない段階です。副作用には注意が必要です。

じゃあ、どうする?

まずは食事から。サプリを選ぶなら、次の条件で。

  • 食事とサプリを合わせた毎日の合計を、上限量(男性40〜45mg、女性35mg)以内に
  • 50mg前後以上を長く続けると、銅が足りなくなった例があるので避ける [4]
  • 味覚の低下が続くときは、先に医療機関で原因を調べる
  • 持病や服薬があるときは、医師・薬剤師に確認

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。17 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量19.120研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 99.1 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

亜鉛とは

亜鉛は、体に欠かせない必須ミネラルのひとつです。味覚や免疫、皮膚や髪の健康に関わるとされ、牡蠣や肉類などの食べ物のほか、サプリメントやトローチなどの形があります。食事から必要な量をとるのが基本で、とりすぎると銅が足りなくなることがあるのが特徴です。注意点は、サプリで上限量を超えないことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

何に良い?

答えの中心は、アメリカのメリーランド統合健康大学などの研究チームが2024年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューとは、決めた手順で試験を集め、結果を整理する国際的なまとめです。

研究の種類風邪への亜鉛を調べた比較試験のコクランレビュー
対象子どもと大人。全体で34件・8526人
比べたもの亜鉛(トローチ・錠剤・シロップ・点鼻など) / 偽薬
結果風邪をひいてから使うと、期間が平均2.37日短い(8件・972人)
試験の結果風邪をひいてから亜鉛をとった人は、期間が平均2.37日短くなりました [1]。

差の幅(95%信頼区間)は0.53日から4.21日と広く、確実性は低いと評価されています。

味覚の低下は、亜鉛を飲むと良くなる人が偽薬などの1.38倍でした [2]。対象は原因不明か亜鉛不足の人です。使われた量は毎日17mg〜86.7mg、期間は3〜6か月で、著者は68〜86.7mgの高用量で効果が出たとしています。上限量を超えるため、医療機関で相談してください。ただし3件・366人のコクランレビューは、根拠の質を非常に低いと評価しています [5]。

よく言われていることは本当?

  • 風邪を早く治す効きます。 期間が平均2.37日短くなりました [1]。根拠の確かさは低めです。
  • 免疫を高めて風邪をひきにくくする予防には効きません。 毎日飲んでも、風邪をひく割合は偽薬とほとんど変わりませんでした(9件・1449人)[1]。根拠の確かさは低めです。大人だけのまとめでは減った結果もあり、割れています [6]。
  • 味覚を保つ味覚の低下がある人には効きます。 根拠の確かさは低めで、質は非常に低いと評価されています [5]。
  • ニキビを防ぐ良い関連が見られます。 調べた14件のうち10件で役に立ったと判断されましたが、著者は予備的な根拠としています [7]。根拠の確かさは低めです。
  • 抜け毛を防ぐ研究が足りません。 血液と髪の亜鉛の量と抜け毛の関連を調べた研究はあります [8]。30件の研究のレビューは、亜鉛を効果の可能性がある成分の一覧に挙げただけです [9]。亜鉛を飲んで抜け毛を偽薬と比べた試験は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性48人だけを対象にしたRCT1本で、雑誌から懸念表明も出ています [10]。円形脱毛症の飲み薬のRCT16件のレビューは、亜鉛を支持しませんでした [11]。抜け毛の治療薬の効き方は、ミノキシジルは何か月で効く?やめたら戻る?で扱っています。
  • 男性ホルモンを増やす効きません。 増やすとうたう成分を調べたレビューで、亜鉛は増やす成分に入っていませんでした [3]。
  • 精子を元気にする精子の濃度は上がりましたが、妊娠や出産は増えませんでした(RCT50件、確実性は低め)[12]。 2370組の試験でも、出産の割合は34%と35%で差がありませんでした [13]。
  • 傷の治りを早くする効きません。 脚の潰瘍の飲む亜鉛は、静脈の潰瘍の4件をまとめても治り方が偽薬と差がありませんでした(レビュー全体で6件・183人)[14]。

足りないとどうなる?

亜鉛が足りないと、免疫の働きの低下、味覚や嗅覚の障害、成長の遅れ、皮膚の病気などにつながるとされます [15]。日本の医療データで血液中の亜鉛を測った20歳以上の13100人では、高齢の人・男性・入院中の人で不足が多くみられました。不足が気になるときは、サプリを自分で選ぶ前に、医療機関に相談してください。

食べ物だと何から?

厚生労働省のeJIMによると、亜鉛を最も多く含むのは、肉類・魚類・海産物です。豆類・ナッツ類・全粒粉にも含まれますが、吸収は動物性食品より低くなります。同じ資料の米国の食品データでは、生のかき(約85g)が32mg、牛サーロイン(約85g)が3.8mg、かぼちゃの種(約28g)が2.2mgです。

目安量と上限量

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の推奨量は、成人男性で9.0〜9.5mg、成人女性で7.0〜8.0mgです(年齢で異なります)。耐容上限量は、男性が40〜45mg、女性が35mgで、サプリメントの継続投与の研究をもとに決められました。食事とサプリの合計で考えます。

サプリの選び方

**風邪の試験で期間が短くなった量は、毎日75mgを超えていました。**毎日75mg未満のトローチを使った5件は、どれも効果が見られていません [16]。この量は上限量を大きく超えるため、毎日続ける使い方は確かめられていません。点鼻タイプは、嗅覚が戻らなくなる懸念も指摘されています [17]。

02注意点

風邪の治療で亜鉛をとると、嫌な味などの重くない副作用が、偽薬の1.34倍に増えました(16件・2084人)[1]。とりすぎの報告もあります。亜鉛が原因の血液の異常が起きた37人のレビューでは、毎日およそ50mgから1500mg超を数週間から数年とっていて、全員で血液中の銅が下がっていました。亜鉛をやめて銅を補うと、多くは数週間から数か月で回復しています [4]。持病や服薬がある人、子ども、妊娠中の人は、医師や薬剤師に確認してください。

風邪の試験の量は、毎日続ける量ではない

上限量を超えて使うのは、短い期間にとどめ、医師や薬剤師に相談してください。

03まとめ

根拠の確かさは低めですが、亜鉛は風邪の期間と味覚の低下に効き、予防や男性ホルモンには効きません。
食事からの量を基本に、サプリは合計が上限量を超えないように選びましょう。
味覚の低下や長引く不調は、まず医療機関で原因を調べてください。

04よくある質問

Q亜鉛をとりすぎるとどうなりますか?

長くとりすぎると銅が足りなくなり、貧血などが起きた報告があります。毎日およそ50mgを超える量を数週間から数年とっていた例です。亜鉛をやめて銅を補うと、多くは回復しています [[42087025]]。

Q食べ物の亜鉛でも、風邪の期間は短くなりますか?

研究で使われたのは、トローチ・錠剤・シロップ・点鼻などです [[38719213]]。食べ物から亜鉛をとって比べた試験は、このページで読んだ研究に含まれていないため、確かめられていません。

Q亜鉛は風邪の予防になりますか?

予防には効きません。毎日飲んだ人と偽薬の人で、風邪をひく割合はほとんど同じでした。根拠の確かさは低めです [[38719213]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(18本)

[1]亜鉛とかぜの予防・治療(コクランレビュー)

発表年
2024年
研究機関
アメリカ・メリーランド統合健康大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
972人
結果の向き
良い方向

風邪をひいてから使った972人(8件)で、期間は平均2.37日短くなりました。確実性は低めです。

[2]味覚障害の治療における亜鉛サプリの効果のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
イギリス・ノッティンガム大学
掲載誌
Journal of nutrition and metabolism
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
938人
結果の向き
良い方向

12件・938人で、味覚が良くなった人は偽薬などのグループの1.38倍でした。

[3]「テストステロンを増やすサプリ」は本当に増やすのか。系統的レビュー

発表年
2024年
研究機関
ポルトガル・サン・ジョアン大学病院センター
掲載誌
International journal of impotence research
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究52件を統合
結果の向き
差なし

52研究を調べ、効果がありうる成分に亜鉛は入っていませんでした。

[4]亜鉛のとりすぎによる血液の異常の系統的レビュー

発表年
2026年
研究機関
インド・ラブリー・プロフェッショナル大学
掲載誌
Biological trace element research
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
37人
結果の向き
悪い方向

37人の報告で、毎日およそ50mgから1500mg超を数週間から数年とっていました。全員で血液中の銅が下がっていました。

[5]味覚障害の治療法を調べたコクランレビュー

発表年
2017年
研究機関
マレーシア・メラカ・マニパル医科大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
366人
結果の向き
良い方向

3件・366人で、検査で測った味の感じやすさが改善しました。根拠の質は非常に低いとされています。

[6]大人の急性ウイルス性呼吸器感染症に対する亜鉛の効果の迅速レビュー

発表年
2021年
研究機関
オーストラリア・ウェスタンシドニー大学
掲載誌
BMJ open
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
5,446人
結果の向き
良い方向

28件・5446人で、呼吸器の感染症が100人月あたり5件減りました。

[7]炎症のある皮膚の病気への亜鉛補給を調べた系統的レビュー

発表年
2020年
研究機関
アメリカ・カリフォルニア大学デービス校
掲載誌
American journal of clinical dermatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究14件を統合
結果の向き
良い方向

ニキビを調べた14件のうち10件で、亜鉛が役に立ったと判断されました。予備的な根拠です。

[8]長く続く休止期脱毛の人の血液と髪の亜鉛を調べた症例対照研究

発表年
2024年
研究機関
パキスタン・カラチ医科歯科大学
掲載誌
JPMA. The Journal of the Pakistan Medical Association
研究の種類
症例対照研究ある病気の人とそうでない人で、過去の生活習慣などを比べる研究。
対象
100人
結果の向き
良い方向

長く続く休止期脱毛 (髪が全体的に抜ける状態) の人50人は、健康な人50人より血液と髪の亜鉛が少なかった

[9]栄養不足がわかっていない抜け毛に対する栄養の介入のレビュー

発表年
2023年
研究機関
アメリカ・タフツ大学
掲載誌
JAMA dermatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究30件を統合
結果の向き
良い方向

栄養不足がわかっていない抜け毛の人を対象にした30件の研究をまとめた系統的レビューで、亜鉛は効果の可能性がある成分のひとつに挙げられた

[10]Effects of Zinc Supplementation on Endocrine Outcomes in Women with Polycystic Ovary Syndrome: a Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial.

発表年
2016年
研究機関
イラン・Jamilian Mほかの研究チーム
掲載誌
Biological trace element research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
48人
結果の向き
良い方向

多嚢胞性卵巣症候群の女性で、亜鉛を8週間飲むと抜け毛がプラセボより減った (41.7% 対 12.5%、P=0.02)

[11]円形脱毛症の飲み薬のランダム化比較試験の系統的レビュー

発表年
2019年
研究機関
オーストラリア・モナッシュ大学
掲載誌
The Australasian journal of dermatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
768人
結果の向き
差なし

円形脱毛症の飲み薬のRCT16件の系統的レビューで、亜鉛 (硫酸亜鉛) を飲むことは根拠が支持しないとされた

[12]男性不妊に対するサプリのランダム化比較試験のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
デンマーク・オールボー大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究50件を統合
結果の向き
結果が割れている

男性の不妊に対するサプリのRCT50件のメタ解析で、亜鉛と葉酸は精子の濃度を上げたが、妊娠や出産が増える効果は見られなかった

[13]男性の葉酸と亜鉛のサプリが出産の割合に与える影響を調べた試験

発表年
2020年
研究機関
アメリカ・国立小児保健発達研究所
掲載誌
JAMA
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
2,370人
結果の向き
差なし

不妊治療を予定する2370組のカップルで、男性が葉酸5mgと亜鉛30mgを6か月飲んでも、出産の割合はプラセボと差がなかった (34%と35%)

[14]脚の潰瘍に対する亜鉛の飲み薬のレビュー

発表年
2014年
研究機関
イギリス・リバプール・プライマリケア・トラスト
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
183人
結果の向き
差なし

脚の潰瘍の人のRCT6件・183人のレビューで、静脈の潰瘍の4件をまとめると、亜鉛を飲んでも潰瘍の治り方はプラセボと差がなかった

[15]日本の医療データで調べた亜鉛不足の人の特徴

発表年
2024年
研究機関
日本・順天堂大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
横断研究ある一時点での生活習慣と健康状態の関係を調べる研究。
対象
13,100人
結果の向き
悪い方向

20歳以上の13100人で、高齢の人・男性・入院中の人に亜鉛不足が多くみられました。

[16]亜鉛トローチと風邪の期間を調べた系統的レビュー

発表年
2011年
研究機関
フィンランド・ヘルシンキ大学
掲載誌
The open respiratory medicine journal
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

毎日75mg未満のトローチを使った5件はどれも効果がなく、75mgを超える量の研究では期間が短くなっていました。

[17]風邪に対する点鼻の亜鉛の効果と安全性のメタ解析

発表年
2009年
研究機関
ニュージーランド・オークランド大学
掲載誌
Journal of primary health care
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究3件を統合
結果の向き
差なし

点鼻の亜鉛3件では、3日目の症状の改善にはっきりした差がありませんでした。

大人の呼吸器感染症に対する微量栄養素サプリの効果を調べたメタ解析

発表年
2021年
研究機関
アメリカ・ハーバード大学公衆衛生大学院
掲載誌
BMJ global health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

亜鉛のサプリは、急性の呼吸器感染症にかかるリスクを下げませんでした。

ほかに参考にした論文(64本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。