乳酸菌で風邪をひきにくくなる?

乳酸菌で風邪をひきにくくなる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

ひきにくくなります。かぜをひく人の割合が、偽薬より少なくなります。

根拠

乳酸菌などをとる人と偽薬の人を比べた試験をまとめたコクランレビュー(16件・4798人)で、かぜを1回以上ひいた人の割合はリスク比0.76と少ない結果でした [1]。成人だけの別のまとめ(42件・9179人)でも、リスク比0.91でした [2]。根拠の確かさは低めです。研究の作りに弱さがあり、結果のばらつきも大きいためです。

この答えの範囲

健康な人の、かぜをひく回数の話です。

じゃあ、どうする?

ヨーグルトや乳酸菌飲料を食事に足す意味はあります。ただし効果は大きくなく、手洗いや睡眠の代わりにはなりません。持病や免疫を下げる治療中の人は、医師や薬剤師に相談してください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量2020研究件数と参加人数
一致度13.725結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 88.7 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 6 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

乳酸菌とは

乳酸菌は、糖を分解して乳酸をつくる細菌の仲間です。腸の環境を整えるとされ、ヨーグルトや乳酸菌飲料、サプリなどでとれます。ビフィズス菌なども含めて、体に良い働きをする菌をまとめて「プロバイオティクス」と呼びます。菌の種類は非常に多く、同じ「乳酸菌」でも働きは同じではありません。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、中国の四川大学などの研究チームが2022年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューとは、決めた手順で世界中の比較試験を集め、結果を統合する方法です。子どもから高齢者までの試験16件・4798人が集められました。

研究の種類比較試験(RCT)をまとめたコクランレビュー
対象子ども(1か月〜11歳)・大人・高齢者(平均84.6歳)
比べたもの乳酸菌などと、偽薬または何もしない場合
結果かぜを1回以上ひいた人の割合がリスク比0.76で少なかった
まとめて分析した結果かぜを1回以上ひいた人の割合は、偽薬などの場合より少ない結果でした(リスク比0.76)[1]。

多くの研究は、菌を3か月より長くとっていました。

根拠の確かさは低めです。研究の作りに弱さがあり、結果のばらつきも大きいためです。ただ、向きは古い版のコクランレビューとそろっています。2015年の版ではオッズ比0.53でした [3]。

18〜65歳の成人に絞ったメタ解析(研究42件・9179人)でも、呼吸器の感染症に1回以上かかるリスクは偽薬より低く、相対リスクは0.91でした [2]。差は大きくありません。運動習慣のある人では効果が見られませんでした。

かぜをひいたあとの期間は?

コクランレビューでは、かぜ1回あたりの期間が偽薬などより平均1.22日短い結果でした(6件・2406人)[1]。ここでも根拠の確かさは低めです。成人のネットワークメタ解析では、複数の菌を組み合わせたもので平均0.97日短くなりました [4]。

よく言われていることは本当?

  • 乳酸菌をとるとかぜをひきにくくなる効きます。 リスク比0.76で、根拠の確かさは低めです [1]。
  • かぜをひいても早く治る・症状が軽くなる効きます。 期間は平均1.22日短い結果ですが、根拠の確かさは低めです [1]。
  • ヨーグルト・乳酸菌飲料を毎日とるとかぜの予防になる効きます。 発酵乳のRCT22件・10,190人のメタ解析で、呼吸器の感染症のリスクは偽薬よりリスク比0.81と低い結果でした [5]。ただしこのまとめには確かさの評価がなく、サプリより確かとは読めません。
  • インフルエンザも防げる研究が足りません。 インフルエンザだけを数えたメタ解析は見つかっていません。高齢者554人の試験では、インフルエンザ様の病気に差がありませんでした [6]。成人136人のヨーグルトの試験では少ない結果でしたが、1本だけでは確かとは言えません [7]。
  • 免疫力が上がる(NK細胞の働きが高まる)研究が足りません。 体の中の検査値を調べた研究はありますが、かぜの回数で確かめたものとは別の話です。この記事では、かぜをひく回数で評価しました。
  • 効果は菌によって違う本当です。 次の節のとおり、菌の種類で結果が分かれています。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

子どもでは、結果がそろっていません。子ども・思春期の試験21件(6603人)のネットワークメタ解析は、呼吸器の感染症の発生率が下がるという根拠は不足していたと結論しています [8]。ウガンダの3〜6歳196人に乳酸菌入りヨーグルトを9週間毎日とってもらった試験でも、かぜの症状が出る頻度に差はありませんでした [9]。一方、ベトナムの3〜5歳1003人の試験では、乳酸菌飲料を12週間毎日飲んだ子で急性の呼吸器感染症が少なく(15.9%対24.5%)、対照は何も飲まない群でした [10]。

差がなかった試験ウガンダの3〜6歳の子ども196人(9週間)

かぜの症状が出る頻度は、発酵させていない乳製品と差がありませんでした。

菌の種類でも差が出ています。生後6〜12か月の赤ちゃん192人に2種類の菌のどちらかを入れたミルクを与えた試験では、医師が確認したかぜは対照の9.4%に対して、一方の菌では0.0%、もう一方では3.1%で差がはっきりしませんでした [11]。60歳以上のRCT8件の系統的レビューも、かぜを減らした菌がある一方で、すべての菌で効いたわけではなかったと報告しています [12]。

企業の研究が多い点

「効く」と報告する研究には、菌を扱う企業の研究者によるものが含まれます。日本の高齢者の2つの試験をまとめた研究は、乳業会社の研究です。ヨーグルトを食べた人は牛乳の人よりかぜをひくリスクが低く、オッズ比は0.39でした [13]。健康な成人555人の個人データをまとめた解析も、菌を販売する企業の研究者によるもので、28日あたりのせきの日数が平均0.69日少ない結果でした [14]。企業の研究だから誤りとは言えませんが、第三者の研究も含めて同じ向きかを見ることが大切です。この記事の中心にしたコクランレビューは、企業の研究ではありません。

02注意点

研究の対象は、おもに健康な人です。例えば大気汚染の多い地域の成人136人の試験では、ビフィズス菌入りのヨーグルト250gを12週間毎日食べ、かぜにかかる人がビフィズス菌を加えていないヨーグルトより少ない結果でした(オッズ比0.38)[7]。免疫を下げる治療を受けている人、重い持病のある人は、乳酸菌のサプリを始める前に医師や薬剤師に確認してください。かぜの症状が長引くときは、乳酸菌に頼らず受診してください。

子どもと赤ちゃんは、結果が分かれています

小さな子どもに乳酸菌のサプリを与える前は、小児科の医師に相談してください。

03まとめ

乳酸菌は、かぜをひく人の割合を少し減らしますが、根拠の確かさは低めです。
子どもでは差がない研究があり、菌の種類によっても結果が分かれます。
食事に足す程度で続け、手洗いや睡眠などの基本と組み合わせましょう。

04よくある質問

Qヨーグルトのほうがサプリより確かですか?

そうは言えません。発酵乳のまとめは確かさの評価がついておらず、サプリのまとめより確かとは読めません。向きは同じで、どちらが上かは研究では確かめられていません [[34183001]] [[36001877]]。

Qどのくらいの期間とればよいですか?

コクランレビューの多くの研究は、3か月より長くとっていました [[36001877]]。何日目から効くのかは、研究では確かめられていません。

Q子どもにも効きますか?

結果が分かれています。子ども・思春期の試験のまとめは根拠が不足と結論し [[28052594]]、ウガンダの3〜6歳の試験でも差はありませんでした [[40108292]]。

Qどの菌を選べばよいですか?

研究では、すべての菌が効くわけではないと報告されています [[34200435]]。どの菌が最も良いかは、研究では確かめられていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(16本)

[1]乳酸菌は急性の上気道感染症を防ぐか(コクランレビュー)

発表年
2022年
研究機関
中国・四川大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
4,798人
結果の向き
良い方向

RCT16件・4798人で、かぜを1回以上ひいた人の割合がリスク比0.76と少なかった。確実性は低い。

[2]成人の呼吸器感染症に対するプロバイオティクス等のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
アメリカ・アメリカ陸軍環境医学研究所
掲載誌
Advances in nutrition (Bethesda, Md.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
9,179人
結果の向き
良い方向

18〜65歳の成人42件・9179人で、呼吸器の感染症のリスクが相対リスク0.91と低かった。

[3]乳酸菌は急性の上気道感染症を防ぐか(旧版)

発表年
2015年
研究機関
中国・四川大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,720人
結果の向き
良い方向

RCT12件・3720人で、かぜを1回以上ひいた人はオッズ比0.53と少なかった。新しい版に更新済み。

[4]成人の呼吸器感染症予防に効く栄養サプリを比べたネットワークメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・寧波市疾病予防管理センター
掲載誌
EClinicalMedicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
101,751人
結果の向き
良い方向

成人のRCT107件(101,751人)の比較。複数の菌の組み合わせで症状の期間が平均0.97日短かった。

[5]乳酸菌入り発酵乳製品と呼吸器感染症の発生

発表年
2021年
研究機関
イラン・シャヒード・ベヘシュティ医科大学
掲載誌
Nutrition journal
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
10,190人
結果の向き
良い方向

RCT22件・10,190人で、呼吸器の感染症のリスクがリスク比0.81と低かった。

[6]高齢者のインフルエンザ様疾患に対するワクチンとプロバイオティクス

発表年
2021年
研究機関
インドネシア・チプト・マンクスモ病院
掲載誌
PloS one
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
554人
結果の向き
差なし

インドネシアの高齢者554人で、インフルエンザ様の病気の発生に差はなかった。

[7]大気汚染地域の成人での発酵乳と上気道感染症の試験

発表年
2021年
研究機関
中国・首都医科大学
掲載誌
Pharmaceutical biology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
136人
結果の向き
良い方向

成人136人で、ビフィズス菌入りヨーグルトによりかぜにかかる人が少なかった(オッズ比0.38)。

[8]子ども・思春期の呼吸器感染症予防のネットワークメタ解析

発表年
2017年
研究機関
ブラジル・リッター・ドス・レイス大学センター
掲載誌
Pediatric pulmonology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
6,603人
結果の向き
差なし

RCT21件・6603人で、発生率が下がるという根拠は不足していた。

[9]ウガンダの子どもへのプロバイオティクスヨーグルトの試験

発表年
2025年
研究機関
ウガンダ・ヨバ・フォー・ライフ財団
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
196人
結果の向き
差なし

3〜6歳の196人で、かぜの症状が出る頻度に差はなかった。

[10]ベトナムの幼児への乳酸菌飲料と急性呼吸器感染症

発表年
2021年
研究機関
ベトナム・国立栄養研究所
掲載誌
European journal of clinical nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
1,003人
結果の向き
良い方向

3〜5歳の1003人で、急性の呼吸器感染症が15.9%対24.5%と少なかった。

[11]ミルクに加えた2種類の菌の比較(中国の赤ちゃん)

発表年
2022年
研究機関
ニュージーランド・企業の研究部門
掲載誌
Beneficial microbes
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
192人
結果の向き
結果が割れている

生後6〜12か月の192人で、医師が確認したかぜは対照9.4%に対し一方の菌で0.0%、もう一方で3.1%。

[12]高齢者の急性呼吸器感染症予防とプロバイオティクスの系統的レビュー

発表年
2021年
研究機関
スロベニア・マリボル大学
掲載誌
Healthcare (Basel, Switzerland)
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
結果が割れている

60歳以上のRCT8件で、かぜを減らした菌もあったが、すべての菌で効いたわけではなかった。

[13]ヨーグルトの摂取による高齢者の感染リスクの低下

発表年
2010年
研究機関
日本・企業の研究部門
掲載誌
The British journal of nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

日本の高齢者の2試験で、牛乳より、かぜをひくリスクがオッズ比0.39と低かった。

[14]健康な成人のかぜ様症状を和らげる乳酸菌の個人データメタ解析

発表年
2025年
研究機関
日本・企業の研究部門
掲載誌
Frontiers in immunology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
555人
結果の向き
良い方向

健康な成人555人で、28日あたりのせきの日数が平均0.69日少なかった。

Probiotics in Term Infants: Clinical Impact of Infant-Type Bifidobacteria: A Systematic Review and Meta-analyses.

発表年
2025年
研究機関
デンマーク・オーフス大学
掲載誌
The Journal of nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究25件を統合
結果の向き
差なし

健康な赤ちゃんに乳児型のビフィズス菌を与えた研究の統合で、呼吸器の感染症はリスク比0.74と少ない傾向だったが、統計的にははっきりしなかった

Effect of Early Infant Lactobacillus rhamnosus GG Supplementation in Preventing Viral Respiratory Illness.

発表年
2023年
研究機関
アメリカ・アルバート・アインシュタイン医科大学
掲載誌
Clinical pediatrics
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
184人
結果の向き
差なし

生後6か月まで乳酸菌(LGG)を毎日与えた赤ちゃん184人で、24か月までのかぜなどのウイルス感染の回数・重さに差はなかった

ほかに参考にした論文(5本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。