手洗い・うがいで風邪は防げる?

手洗い・うがいで風邪は防げる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

手洗いで防げます。かぜなどにかかる人が14%少なくなりました。

根拠

手洗いの取り組みを調べた試験9件・52,105人のまとめで、呼吸器の感染症にかかった人は、何もしない場合より14%少なくなりました [1]。石けんでの手洗いを調べた26件のまとめでも、感染は減っています [2]。インフルエンザだけにしぼると、はっきりした差は出ていません [1]。一方、水うがいは2本の試験で結果が逆に割れています [3] [4]。

この答えの範囲

家庭・学校・保育園での手洗いの話です。

じゃあ、どうする?

手洗いは続ける価値があります。石けんと水が使えない場所では、アルコールの手指消毒剤も減らした結果があります [5]。うがいは、予防のためというより、のどをすっきりさせる習慣として楽しむ使い方が現実的です。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。7 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量19.620研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 99.6 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から B に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

手洗い・うがいとは

手洗いは、石けんと水、またはアルコールの手指消毒剤で、手についたウイルスや細菌を落とすことです。かぜのウイルスは、手から目・鼻・口に入ることでも広がるとされています。うがいは、水や薬の入った液でのどをすすぐ習慣で、日本では風邪予防の定番として知られています。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

手洗いは、風邪などにかかる人を減らす

答えの中心は、オックスフォード大学などの研究チームが2023年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューとは、決めた手順で試験を集め、結果をまとめ直す系統的レビューの一つです。

研究の種類呼吸器ウイルスの広がりを防ぐ方法を調べた系統的レビュー
対象学校・保育園・家庭の子どもと大人(9件・52,105人)
比べたもの手洗いの取り組みをしたグループと、何もしないグループ
結果呼吸器の感染症にかかった人が、手洗いのグループで14%少なかった
まとめて分析した結果手洗いをしたグループでは、呼吸器の感染症にかかった人が14%少なくなりました(リスク比0.86)[1]。

研究の確実性は中程度と評価されています。

インフルエンザのような症状(リスク比0.94)や、検査で確かめたインフルエンザ(リスク比0.91)にしぼると、はっきりした差は出ませんでした [1]。手洗いが減らしたのは、主に「かぜなどの呼吸器の感染症」全体です。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

2023年の別のまとめ(26件)は、低・中所得国の家庭・学校・保育施設で石けんでの手洗いを広めた取り組みを調べ、呼吸器の感染症が少ないという同じ向きの結果でした(リスク比0.83)[2]。ただし条件が日本と違うため、そのまま当てはめられません。

2021年のまとめでは、石けんと水の3件では、はっきりした差が出ていません。アルコールの手指消毒剤の6件では、感染が減りました(リスク比0.80)[5]。

石けんと水だけの試験地域で行われた手洗いの試験3件

はっきりした差は出ませんでした(リスク比1.23)[5]。

よく言われていることは本当?

  • 手洗いで風邪を防げる本当です。 呼吸器の感染症が14%少なくなりました [1]。
  • アルコール消毒も手洗いと同じように効く効きます。 6件のまとめで感染が減っています [5]。
  • 水うがいで風邪を防げる結果が割れています。 日本の試験では減り、大学生の試験では差がありませんでした [3] [4]。
  • うがい薬より水うがいのほうが良い決められません。 ポビドンヨードは差が出ていませんが、成分によって結果が違います [3]。
  • 石けんで15〜30秒洗うと手のウイルスが大きく減る研究が見つかっていません。 かぜの発症で比べた試験を確認できていません。
  • うがいでのどを潤し、乾燥を防ぐ研究が見つかっていません。 のどの乾燥を測った試験を確認できていません。

うがいは水と薬で分けて見る

水うがいの試験は2本で、結果が逆でした。

  • 日本の18〜65歳の健康な387人が、毎日3回以上のうがいを60日続けた試験では、水うがいのグループのかぜの発症率が、うがいをしないグループの0.64倍でした(信頼区間0.41〜0.99)[3]。
  • 大学生600人が秋の2か月間に水うがいをした試験では、かぜにかかった人が28.3%と、しなかった人の21.7%より多く、差ははっきりしませんでした [4]。

対象者と期間が違い、なぜ結果が分かれたかは研究から特定できません。根拠の確かさは低めです。研究の数が2本と少なく、結果がそろっていないためです。

うがい薬は成分で結果が違います。

  • ポビドンヨード: 同じ日本の試験で、発症率は0.89倍で差がありませんでした [3]。
  • 塩化セチルピリジニウム(洗口液に使われる成分): ブラジルの205人の試験で、のど・鼻などの症状がある日が約20%少なくなりました [6]。ブラジルの別の150人の試験でも、亜鉛入りの洗口液で症状の頻度が21.5%少なくなりました [7]。どちらも歯みがきだけと比べた試験で、3か月間の症状を日誌で調べています。数値の信頼区間が要旨に載っておらず、205人の試験は洗口液メーカーの資金提供を受けているため、確かさは判断できません。

02注意点

京都大学の試験の水うがいやポビドンヨードは、18〜65歳の健康な人で毎日3回以上を60日続けた条件です [3]。子どもや高齢者、持病のある人に同じ結果が当てはまるかは、確かめられていません。洗口液やうがい薬は、アレルギーのある人や服薬中の人、妊娠中の人は、使う前に医師や薬剤師に確認してください。

手洗いの結果は「かぜ全体」の話

インフルエンザだけを防ぐ効果は、試験のまとめではっきりしていません。

03まとめ

手洗いは、かぜなどの呼吸器の感染症を減らします。
うがいは、水もうがい薬も、風邪を防ぐと言い切れる段階ではありません。
まず石けんでの手洗いを習慣にして、うがいはのどの心地よさで選びましょう。

04よくある質問

Q手洗いはインフルエンザにも効きますか?

試験のまとめでは、検査で確かめたインフルエンザにしぼると、はっきりした差は出ていません [[36715243]]。効いたのは、かぜなどの呼吸器の感染症全体です。

Q石けんとアルコール消毒は、どちらがよいですか?

地域の試験のまとめでは、アルコール消毒は6件で感染が減り、石けんと水は3件で差が出ませんでした [[34408031]]。ただし件数が違うため、優劣は決められません。

Qうがいは意味がないのですか?

意味がないとは言えません。日本の試験では水うがいで発症率が減りましたが、大学生の試験では差がありませんでした [[16242593]] [[24885201]]。風邪の予防に効くかは、研究では決まっていません。

Q乳酸菌など、ほかの予防法はありますか?

[乳酸菌で風邪をひきにくくなる?](/evidence/probiotics-common-cold) で、別の予防法の研究を紹介しています。

05参照した論文

判定に使った主な論文(7本)

[1]呼吸器ウイルスの広がりを防ぐ物理的な方法のコクランレビュー

発表年
2023年
研究機関
イギリス・オックスフォード大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
52,105人
結果の向き
良い方向

手洗いの取り組みで、呼吸器の感染症にかかった人が14%少なかった(試験9件・52,105人)。

[2]低・中所得国で石けんでの手洗いが呼吸器感染症を防ぐ効果のまとめ

発表年
2023年
研究機関
イギリス・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院
掲載誌
Lancet (London, England)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
161,659人
結果の向き
良い方向

石けんでの手洗いを広めると、呼吸器の感染症が少なかった(26件の研究)。

[3]うがいによる上気道感染症の予防を調べたランダム化試験

発表年
2005年
研究機関
日本・京都大学
掲載誌
American journal of preventive medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
387人
結果の向き
良い方向

日本の健康な387人で、水うがいはかぜの発症率が0.64倍、ポビドンヨードは0.89倍で差がなかった。

[4]ビタミンD3とうがいによる上気道感染症の予防を調べたランダム化試験

発表年
2014年
研究機関
Goodall ECほかの研究チーム
掲載誌
BMC infectious diseases
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
600人
結果の向き
差なし

大学生600人の試験で、うがいをしたグループとしなかったグループで、かぜの割合に差がなかった。

[5]石けんとアルコール消毒剤が呼吸器感染症の広がりに与える影響のまとめ

発表年
2021年
研究機関
オーストラリア・ボンド大学
掲載誌
BMJ open
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

アルコール消毒剤は感染を減らした(6件)。石けんと水の3件では、はっきりした差が出なかった。

[6]口腔ケアの延長が上気道の症状を減らすことを調べた試験

発表年
2025年
研究機関
ブラジル・リオグランデドスル連邦大学
掲載誌
Brazilian oral research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
205人
結果の向き
良い方向

洗口液でうがいまたは口内スプレーを使った人は、のど・鼻などの症状がある日が約20%少なかった(205人)。

[7]塩化セチルピリジニウムと亜鉛入り洗口液のうがいが上気道症状を減らす効果

発表年
2025年
研究機関
ブラジル・ペロタス連邦大学
掲載誌
PloS one
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
150人
結果の向き
良い方向

亜鉛入りの洗口液で毎日2回うがいをした人は、のど・鼻などの症状の頻度が21.5%少なかった(150人)。

ほかに参考にした論文(1本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。