[1]呼吸器ウイルスの広がりを防ぐ物理的な方法のコクランレビュー
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- イギリス・オックスフォード大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
- 対象
- 52,105人
- 結果の向き
- 良い方向
手洗いの取り組みで、呼吸器の感染症にかかった人が14%少なかった(試験9件・52,105人)。

手洗いで防げます。かぜなどにかかる人が14%少なくなりました。
家庭・学校・保育園での手洗いの話です。
手洗いは続ける価値があります。石けんと水が使えない場所では、アルコールの手指消毒剤も減らした結果があります [5]。うがいは、予防のためというより、のどをすっきりさせる習慣として楽しむ使い方が現実的です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 99.6 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から B に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
手洗いは、石けんと水、またはアルコールの手指消毒剤で、手についたウイルスや細菌を落とすことです。かぜのウイルスは、手から目・鼻・口に入ることでも広がるとされています。うがいは、水や薬の入った液でのどをすすぐ習慣で、日本では風邪予防の定番として知られています。
答えの中心は、オックスフォード大学などの研究チームが2023年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューとは、決めた手順で試験を集め、結果をまとめ直す系統的レビューの一つです。
| 研究の種類 | 呼吸器ウイルスの広がりを防ぐ方法を調べた系統的レビュー |
|---|---|
| 対象 | 学校・保育園・家庭の子どもと大人(9件・52,105人) |
| 比べたもの | 手洗いの取り組みをしたグループと、何もしないグループ |
| 結果 | 呼吸器の感染症にかかった人が、手洗いのグループで14%少なかった |
研究の確実性は中程度と評価されています。
インフルエンザのような症状(リスク比0.94)や、検査で確かめたインフルエンザ(リスク比0.91)にしぼると、はっきりした差は出ませんでした [1]。手洗いが減らしたのは、主に「かぜなどの呼吸器の感染症」全体です。
2023年の別のまとめ(26件)は、低・中所得国の家庭・学校・保育施設で石けんでの手洗いを広めた取り組みを調べ、呼吸器の感染症が少ないという同じ向きの結果でした(リスク比0.83)[2]。ただし条件が日本と違うため、そのまま当てはめられません。
2021年のまとめでは、石けんと水の3件では、はっきりした差が出ていません。アルコールの手指消毒剤の6件では、感染が減りました(リスク比0.80)[5]。
はっきりした差は出ませんでした(リスク比1.23)[5]。
水うがいの試験は2本で、結果が逆でした。
対象者と期間が違い、なぜ結果が分かれたかは研究から特定できません。根拠の確かさは低めです。研究の数が2本と少なく、結果がそろっていないためです。
うがい薬は成分で結果が違います。
京都大学の試験の水うがいやポビドンヨードは、18〜65歳の健康な人で毎日3回以上を60日続けた条件です [3]。子どもや高齢者、持病のある人に同じ結果が当てはまるかは、確かめられていません。洗口液やうがい薬は、アレルギーのある人や服薬中の人、妊娠中の人は、使う前に医師や薬剤師に確認してください。
インフルエンザだけを防ぐ効果は、試験のまとめではっきりしていません。
手洗いは、かぜなどの呼吸器の感染症を減らします。
うがいは、水もうがい薬も、風邪を防ぐと言い切れる段階ではありません。
まず石けんでの手洗いを習慣にして、うがいはのどの心地よさで選びましょう。
試験のまとめでは、検査で確かめたインフルエンザにしぼると、はっきりした差は出ていません [[36715243]]。効いたのは、かぜなどの呼吸器の感染症全体です。
地域の試験のまとめでは、アルコール消毒は6件で感染が減り、石けんと水は3件で差が出ませんでした [[34408031]]。ただし件数が違うため、優劣は決められません。
意味がないとは言えません。日本の試験では水うがいで発症率が減りましたが、大学生の試験では差がありませんでした [[16242593]] [[24885201]]。風邪の予防に効くかは、研究では決まっていません。
[乳酸菌で風邪をひきにくくなる?](/evidence/probiotics-common-cold) で、別の予防法の研究を紹介しています。
手洗いの取り組みで、呼吸器の感染症にかかった人が14%少なかった(試験9件・52,105人)。
石けんでの手洗いを広めると、呼吸器の感染症が少なかった(26件の研究)。
日本の健康な387人で、水うがいはかぜの発症率が0.64倍、ポビドンヨードは0.89倍で差がなかった。
大学生600人の試験で、うがいをしたグループとしなかったグループで、かぜの割合に差がなかった。
アルコール消毒剤は感染を減らした(6件)。石けんと水の3件では、はっきりした差が出なかった。
洗口液でうがいまたは口内スプレーを使った人は、のど・鼻などの症状がある日が約20%少なかった(205人)。
亜鉛入りの洗口液で毎日2回うがいをした人は、のど・鼻などの症状の頻度が21.5%少なかった(150人)。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。