亜鉛のトローチやなめる錠剤で風邪は早く治る?

亜鉛のトローチやなめる錠剤で風邪は早く治る?
読了目安 3〜5分最終更新日 2026.11.06
答え効く

早く治ります。風邪の続く日数が、平均2.37日短くなります。

根拠

風邪をひいてから亜鉛をとった試験8件・972人をまとめたコクランのレビューで、風邪の日数はプラセボより平均2.37日短くなりました [1]。酢酸亜鉛のトローチ3件・199人のまとめでも、平均2.73日短くなっています [2]。根拠の確かさは低めです。試験ごとの結果のばらつきが大きいためです。

この答えの範囲

風邪をひいたあとに使う話です。ふだんからとっても、風邪をひく人の割合はほとんど変わりません。子どもは症状の重さの研究が中心です。

じゃあ、どうする?

使うなら、風邪をひいてから。いやな味や吐き気が出る人が増えるので、合わなければやめて大丈夫です。持病や服薬中の人、子どもに使うときは、医師か薬剤師に相談を [1]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。7 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量14.520研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 94.5 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 4 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

亜鉛のトローチとは

亜鉛のトローチは、口の中でゆっくり溶かして使う亜鉛の錠剤です。酢酸亜鉛やグルコン酸亜鉛などの種類があります。研究では、風邪をひいてから使った試験が中心です。注意点は、いやな味や吐き気が出やすいことです。この節の説明は、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、メリーランド統合健康大学などの研究チームが2024年に発表したコクランのレビューです [1]。コクランのレビューとは、決めた手順で試験を集め、結果をまとめる方法です。

研究の種類無作為化比較試験のレビュー
対象風邪をひいた大人と子ども(8件・972人)
比べたもの亜鉛とプラセボ(偽薬)
結果風邪の日数が平均2.37日短い
まとめて分析した結果風邪をひいてから亜鉛をとった人は、風邪が続いた日数がプラセボより平均2.37日短くなりました [1]。

このレビュー全体(34件)では、約半数の試験がトローチでした。グルコン酸亜鉛の量は一日45〜276mgと幅がありました [1]。

酢酸亜鉛のトローチ3件・199人の個人データを集めた解析では、平均2.73日短くなりました。3件の試験で風邪の平均の長さは7日でした [2]。健康な大人の試験をまとめた2020年のレビューも、亜鉛を単独でとると2.25日短くなる結果です [3]。

よく言われていることは本当?

  • 亜鉛をとると風邪が早く治る効きます。 ひいてからとった場合に平均2.37日短くなりました [1]。根拠の確かさは低めです。
  • ひき始めの24時間以内になめるのがよい研究が見つかりません。 開始のタイミング別に比べた結果は確かめられていません。
  • 亜鉛をとっていれば風邪をひきにくい効きません。 予防の試験9件・1449人で、風邪をひく人の割合はプラセボとほとんど変わりませんでした [1]。
  • 亜鉛で症状が軽くなる大人では研究が少なく、確かめられていません。 子どもに硫酸亜鉛を飲ませた試験では、症状は軽くなりましたが日数に差はありませんでした [4]。
  • 量が多いほど効く条件によります。 毎日の亜鉛が75mg未満のトローチの試験5件では効果がなく、75mgを超える酢酸亜鉛の3件では期間が42%短くなりました [5]。
  • トローチはいやな味や吐き気が出やすい本当です。 グルコン酸亜鉛のトローチでは、いやな味を感じた人が80%(プラセボは30%)、吐き気が20%(プラセボは4%)でした [6]。
  • 亜鉛は免疫力を高める風邪の日数以外の話で、この記事では確かめていません。 くわしくは亜鉛は何に良い?で扱っています。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

フィンランドの働く大人の試験では、酢酸亜鉛トローチ(亜鉛13mgを一日6回、最長5日)で、治るまでの速さにプラセボとの差がありませんでした [7]。試験ごとの結果の差は大きく、レビュー全体のばらつきも大きい(I²が97%)ため、根拠の確かさは低めです。理由として考えられるのは、亜鉛の種類・量・使い方の違いですが、研究では確かめられていません。

差がなかった試験働く大人の風邪で、酢酸亜鉛トローチとプラセボを比べた試験

治るまでの速さに差は見られませんでした。

02注意点

コクランのレビューでは、風邪の治療に亜鉛を使うと、重くない副作用がプラセボの1.34倍になりました(16件・2084人)。想定された副作用は、いやな味・においが分からなくなる・吐く・胃のけいれん・下痢などです。重い副作用を調べた治療の試験はありませんでした [1]。持病や服薬中の人、子どもに使うときは、医師や薬剤師に確認してください。

風邪をひいてから使う、が研究の条件

ふだんからの予防には、効果が確かめられていません。

03まとめ

亜鉛のトローチは、風邪をひいてから使うと日数が平均2日あまり短くなります。
効果は予防ではなく、ひいたあとの話で、いやな味や吐き気は出やすくなります。
風邪の予防には、乳酸菌で風邪をひきにくくなる?やビタミンCで風邪は防げるって本当?の研究も見てください。

04よくある質問

Q子どもになめさせても大丈夫ですか?

子どもの風邪では、硫酸亜鉛を飲ませた試験で日数に差がありませんでした [[18045283]]。トローチを使うかどうかは、小児科の医師や薬剤師に相談してください。

Qどのくらいの量を使うとよいですか?

研究で使われたグルコン酸亜鉛の量は一日45〜276mgと幅がありました [[38719213]]。どの量が最もよいかは、研究では確かめられていません。

Qひき始めにすぐなめたほうがよいですか?

開始のタイミング別に比べた結果は、確かめられていません。研究の対象は、風邪の症状が出てから使った人です。

Qふだんからとれば風邪をひきにくくなりますか?

予防の試験をまとめた結果では、風邪をひく人の割合はほとんど変わりませんでした [[38719213]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(8本)

[1]亜鉛とかぜの予防・治療(コクランレビュー)

発表年
2024年
研究機関
アメリカ・メリーランド統合健康大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
972人
結果の向き
良い方向

風邪をひいてから亜鉛をとると、風邪の日数が平均2.37日短くなった。研究の質は低い。

[2]酢酸亜鉛トローチと風邪を調べた個人データのメタ解析

発表年
2016年
研究機関
フィンランド・ヘルシンキ大学
掲載誌
British journal of clinical pharmacology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
199人
結果の向き
良い方向

酢酸亜鉛のトローチ3件・199人で、風邪が平均2.73日短かった。

[3]健康な大人の風邪の期間に対する亜鉛の効果を調べたレビュー

発表年
2020年
研究機関
Wang MXほかの研究チーム
掲載誌
The American journal of tropical medicine and hygiene
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究10件を統合
結果の向き
良い方向

健康な大人で、亜鉛だけをとると風邪の期間が2.25日短くなる結果だった。

[4]子どもの風邪に対する硫酸亜鉛の効果を調べた試験

発表年
2007年
研究機関
トルコ・エーゲ大学
掲載誌
Pediatrics international : official journal of the Japan Pediatric Society
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

子どもの風邪の期間に差はなく、症状の重さは軽かった。

[5]亜鉛トローチと風邪の期間を調べた系統的レビュー

発表年
2011年
研究機関
フィンランド・ヘルシンキ大学
掲載誌
The open respiratory medicine journal
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

亜鉛の量が多い酢酸亜鉛トローチ3件で、風邪の期間が42%短かった。

[6]グルコン酸亜鉛トローチの風邪への効果を調べた二重盲検試験

発表年
1996年
研究機関
アメリカ・クリーブランド・クリニック
掲載誌
Annals of internal medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

症状が消えるまでの日数の中央値が4.4日で、プラセボは7.6日だった。

[7]酢酸亜鉛トローチの風邪への効果を調べたランダム化試験

発表年
2020年
研究機関
フィンランド・ヘルシンキ大学
掲載誌
BMJ open
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

働く大人の試験で、治るまでの速さにプラセボとの差がなかった。

大人の呼吸器感染症に対する微量栄養素サプリの効果を調べたメタ解析

発表年
2021年
研究機関
アメリカ・ハーバード大学公衆衛生大学院
掲載誌
BMJ global health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

大人の呼吸器の感染症で、亜鉛をとると症状の続く期間が47%短かった

ほかに参考にした論文(2本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。