[1]ウォーキングが心血管リスク要因に与える影響:RCTのメタ解析(更新版)
- 発表年
- 2015年
- 研究機関
- アイルランド・リムリック大学
- 掲載誌
- Preventive medicine
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究32件を統合
- 結果の向き
- 良い方向
運動習慣のない人のウォーキングで、最大酸素摂取量が平均3.04 mL/kg/分高くなった。

運動すれば体力はつきます。有酸素運動は持久力を、筋トレは筋力を伸ばします。
運動習慣のない健康な大人の、持久力と筋力の話です。
まずはウォーキングなどの有酸素運動を続け、そこに重めの負荷の筋トレを足すのが、研究の条件に近い方法です。高齢者の持久系の運動では、20週間を超えると伸びが大きくなっていました [4]。始める前に持病がある人は、医師に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.3 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 94.3 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 94 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本・観察研究 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
体力は、長く動き続ける力(持久力)と、力を出す力(筋力)などをまとめた言葉です。研究では、持久力を「最大酸素摂取量」(体が取り込める酸素の量。心肺の強さの目安)で、筋力を持ち上げられる重さなどで測ります。ここは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、フィンランドのUKK研究所などの研究チームが2018年に発表したメタ解析です [2]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて、全体としての差を調べる方法です。運動習慣のない健康な大人を対象に、ウォーキングを続けたグループと歩かないグループを比べた 37 件の比較試験が集められました。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めたメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 運動習慣のない18歳以上の健康な大人(2001人・37件) |
| 比べたもの | 8週間以上のウォーキングと、歩かない群 |
| 結果 | 歩いた人は、最大酸素摂取量(心肺持久力)が良くなった |
別のメタ解析でも、歩いた人は歩かない人より最大酸素摂取量が平均3.04 mL/kg/分高くなりました [1]。
年齢を問わず同じ向きです。18〜45歳の健康な大人723人(28件)では、持久系の運動で平均4.9 mL/kg/分高くなりました [3]。60歳以上の2102人(41件)では、平均3.78 mL/kg/分(16.3%)高くなっています [4]。
筋力は、筋トレで伸びます。カナダのマクマスター大学などの2023年のメタ解析では、健康な大人5097人(178研究)で、調べたすべての筋トレのやり方が、運動しない場合より筋力を高めました。重めの負荷(最大で上げられる重量の80%超)が、いちばん筋力を伸ばしています [5]。
高齢者でも同じです。アメリカのインディアナ大学などのコクランレビューでは、3059人(73件)で、少しずつ負荷を上げる筋トレが筋力を大きく高めました。いすから立ち上がる動作や歩く速さも良くなっています [7]。
血圧が高めで運動習慣のない58歳前後の69人を調べた試験では、8週間の有酸素運動は心肺持久力を、筋トレは下半身の筋力を、組み合わせは両方を伸ばしました [8]。持久力をつけたいなら有酸素運動、筋力をつけたいなら筋トレ、どちらもなら両方、と使い分けられます。
インターバルトレーニングとは、強い運動と休みをくり返す方法です。イギリスのリバプール・ジョン・ムーアズ大学などのコクランレビューでは、運動習慣のない18〜64歳の1115人(37件)で、HIITは一定ペースの運動より最大酸素摂取量が平均1.39 mL/kg/分高くなりました。ただし確実性は低いと評価されています [6]。中高年429人(14件)でも、平均1.10 mL/kg/分大きく伸びました [9]。
日本の研究もあります。中高年の男性60人・女性186人が、速歩3分とゆっくり歩き3分をくり返すインターバル速歩を5か月続けたところ、1日8000歩の普通のウォーキングより、太ももの筋力と持久力が大きく伸びました [10]。
短い全力疾走をくり返すスプリント型では、一定ペースの運動との差が見られませんでした。健康な大人28研究(スプリント群360人・一定ペース群359人)のまとめです [11]。若い健康な大人では、運動の強さが違っても伸びに差はなく、強い運動なら少ない量で同じくらい伸びています [12]。
スプリント型と一定ペースの運動で、最大酸素摂取量の伸びに差はありませんでした。
運動習慣のない高齢者の解析では、心拍予備能の66〜73%の強さで40〜50分の有酸素運動を週3〜4回、30〜40週間続けるのが、最大酸素摂取量をいちばん伸ばしました [13]。筋トレは、健康な高齢者では週2回・1種目2〜3セット・1セット7〜9回が最も効果的でした。ただし研究の質は全体に低めです [14]。回数の考え方は、筋トレは週何回がいい?で詳しく扱っています。
研究の多くは、運動習慣のない健康な大人が対象です。たとえばウォーキングの解析は、8週間以上続けた試験を集めています [2]。これまで運動をしていない人は、いきなり強い運動から始めず、軽い運動から段階的に増やすほうが続けやすいと一般に勧められています。膝や腰に痛みがある人、心臓や血圧の持病がある人、服薬中の人は、始める前に医師に確認してください。
持病がある人は、運動の種類や強さを医師と相談して決めましょう。
体力は、有酸素運動で持久力、筋トレで筋力が伸びます。
当てはまるのは運動習慣のない健康な大人で、食事や睡眠で体力がつくかは未確認です。
まずは歩く習慣から始め、筋トレを足して、数か月続けましょう。
ウォーキングの研究は、4週間以上や8週間以上の試験を集めています [[25579505]] [[29858464]]。何日で体力がつくかは、研究から言えません。
69人の試験では、筋トレは下半身の筋力を伸ばし、持久力を伸ばしたのは有酸素運動でした [[30615666]]。両方ほしいなら組み合わせます。
つきます。60歳以上の持久系の運動では最大酸素摂取量が平均3.78 mL/kg/分高くなり [[16230876]]、筋トレでは筋力が大きく高まりました [[19588334]]。
研究では確かめられていません。食事や睡眠で持久力・筋力が上がるかを調べた研究は、今回見つかっていません。
運動習慣のない人のウォーキングで、最大酸素摂取量が平均3.04 mL/kg/分高くなった。
運動習慣のない健康な大人2001人(RCT37件)で、ウォーキングを続けると心肺持久力が良くなった。
18〜45歳の健康な大人723人で、持久系の運動により最大酸素摂取量が平均4.9 mL/kg/分高くなった。
運動習慣のない60歳以上2102人で、最大酸素摂取量が平均3.78 mL/kg/分(16.3%)高くなった。
健康な大人5097人(178研究)で、調べたすべての筋トレのやり方が筋力を高めた。
1115人(RCT37件)で、HIITは一定ペースの運動より最大酸素摂取量が平均1.39 mL/kg/分高かった。確実性は低い。
高齢者3059人(RCT73件)で、少しずつ負荷を上げる筋トレは筋力を大きく高めた。
運動習慣のない58歳前後の69人で、有酸素運動は持久力を、筋トレは下半身の筋力を伸ばした。
中高年429人(14件)で、インターバルは一定ペースの運動より平均1.10 mL/kg/分大きく伸びた。
中高年の男女で、インターバル速歩は普通のウォーキングより太ももの筋力と持久力が大きく伸びた。
健康な大人の28研究で、スプリント型と一定ペースの運動の伸びに差はなかった。
運動の強さが違っても伸びに差はなく、強い運動なら少ない量で同じくらい伸びた。
週3〜4回、30〜40週間続けるのが、最大酸素摂取量を伸ばすのに最も良かった。
健康な高齢者では、週2回・1種目2〜3セット・1セット7〜9回が筋力を伸ばすのに最も効果的だった。
60歳以上で、筋トレは筋力を高めたが、6分間で歩ける距離は変わらなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。