体力をつけるには何をすればいい?

体力をつけるには何をすればいい?
読了目安 6〜8分最終更新日 2026.11.06
答え効く

運動すれば体力はつきます。有酸素運動は持久力を、筋トレは筋力を伸ばします。

根拠

運動習慣のない大人がウォーキングなどの有酸素運動を続けると、心肺持久力(最大酸素摂取量)が上がることを、メタ解析 4 本がそろって報告しています [1] [2] [3] [4]。筋トレは、健康な大人 5097 人・178 研究のまとめで、調べたすべてのやり方が筋力を高めました [5]。インターバルトレーニングも、一定ペースの運動よりやや大きく持久力を伸ばします。根拠の確かさは低めです。研究の確実性が低いと評価されているためです [6]。

この答えの範囲

運動習慣のない健康な大人の、持久力と筋力の話です。

じゃあ、どうする?

まずはウォーキングなどの有酸素運動を続け、そこに重めの負荷の筋トレを足すのが、研究の条件に近い方法です。高齢者の持久系の運動では、20週間を超えると伸びが大きくなっていました [4]。始める前に持病がある人は、医師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。15 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 94 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量18.320研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 94.3 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 94 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本・観察研究 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

体力とは

体力は、長く動き続ける力(持久力)と、力を出す力(筋力)などをまとめた言葉です。研究では、持久力を「最大酸素摂取量」(体が取り込める酸素の量。心肺の強さの目安)で、筋力を持ち上げられる重さなどで測ります。ここは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、フィンランドのUKK研究所などの研究チームが2018年に発表したメタ解析です [2]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて、全体としての差を調べる方法です。運動習慣のない健康な大人を対象に、ウォーキングを続けたグループと歩かないグループを比べた 37 件の比較試験が集められました。

研究の種類ランダム化比較試験を集めたメタ解析
対象運動習慣のない18歳以上の健康な大人(2001人・37件)
比べたもの8週間以上のウォーキングと、歩かない群
結果歩いた人は、最大酸素摂取量(心肺持久力)が良くなった
まとめて分析した結果ウォーキングを続けると、歩かない場合より心肺持久力が上がりました [2]。

別のメタ解析でも、歩いた人は歩かない人より最大酸素摂取量が平均3.04 mL/kg/分高くなりました [1]。

年齢を問わず同じ向きです。18〜45歳の健康な大人723人(28件)では、持久系の運動で平均4.9 mL/kg/分高くなりました [3]。60歳以上の2102人(41件)では、平均3.78 mL/kg/分(16.3%)高くなっています [4]。

筋トレで伸びる体力

筋力は、筋トレで伸びます。カナダのマクマスター大学などの2023年のメタ解析では、健康な大人5097人(178研究)で、調べたすべての筋トレのやり方が、運動しない場合より筋力を高めました。重めの負荷(最大で上げられる重量の80%超)が、いちばん筋力を伸ばしています [5]。

高齢者でも同じです。アメリカのインディアナ大学などのコクランレビューでは、3059人(73件)で、少しずつ負荷を上げる筋トレが筋力を大きく高めました。いすから立ち上がる動作や歩く速さも良くなっています [7]。

有酸素運動と筋トレは、伸びるものが違う

血圧が高めで運動習慣のない58歳前後の69人を調べた試験では、8週間の有酸素運動は心肺持久力を、筋トレは下半身の筋力を、組み合わせは両方を伸ばしました [8]。持久力をつけたいなら有酸素運動、筋力をつけたいなら筋トレ、どちらもなら両方、と使い分けられます。

インターバルトレーニングは、一定ペースより伸びる?

インターバルトレーニングとは、強い運動と休みをくり返す方法です。イギリスのリバプール・ジョン・ムーアズ大学などのコクランレビューでは、運動習慣のない18〜64歳の1115人(37件)で、HIITは一定ペースの運動より最大酸素摂取量が平均1.39 mL/kg/分高くなりました。ただし確実性は低いと評価されています [6]。中高年429人(14件)でも、平均1.10 mL/kg/分大きく伸びました [9]。

日本の研究もあります。中高年の男性60人・女性186人が、速歩3分とゆっくり歩き3分をくり返すインターバル速歩を5か月続けたところ、1日8000歩の普通のウォーキングより、太ももの筋力と持久力が大きく伸びました [10]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

短い全力疾走をくり返すスプリント型では、一定ペースの運動との差が見られませんでした。健康な大人28研究(スプリント群360人・一定ペース群359人)のまとめです [11]。若い健康な大人では、運動の強さが違っても伸びに差はなく、強い運動なら少ない量で同じくらい伸びています [12]。

差がなかった解析健康な大人の28研究(360人と359人)

スプリント型と一定ペースの運動で、最大酸素摂取量の伸びに差はありませんでした。

どのくらい続ける?

運動習慣のない高齢者の解析では、心拍予備能の66〜73%の強さで40〜50分の有酸素運動を週3〜4回、30〜40週間続けるのが、最大酸素摂取量をいちばん伸ばしました [13]。筋トレは、健康な高齢者では週2回・1種目2〜3セット・1セット7〜9回が最も効果的でした。ただし研究の質は全体に低めです [14]。回数の考え方は、筋トレは週何回がいい?で詳しく扱っています。

よく言われていることは本当?

  • ランニングやウォーキングなどの有酸素運動で持久力がつく本当です。 運動習慣のない人が続けると、心肺持久力が上がることがメタ解析でそろっています [2]。
  • インターバル速歩・HIITで効率よく体力が上がる効きます。 一定ペースの運動よりやや大きく持久力が伸びますが、根拠の確かさは低めです。結果のばらつきがあるためです。スプリント型では差がありませんでした [6] [11]。HIITと脂肪の話はHIITは普通の有酸素運動より脂肪が落ちる?にあります。
  • スクワットなど下半身の筋トレで体力がつき、疲れにくい体になる筋力には効きます。 筋トレは筋力をはっきり高めました [5]。ただし60歳以上では、6分間に歩ける距離は変わりませんでした [15]。疲れにくさそのものを測った研究は、今回の範囲にはありません。
  • 主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事で体力がつく研究が見つかっていません。 食事全体を変えて持久力や筋力を測った研究は、今回の検索では見つかりませんでした。
  • しっかり睡眠をとると体力がつく研究が見つかっていません。 睡眠を改善して持久力や筋力が上がるかを調べた試験は、今回は探していません。睡眠そのものは睡眠の質を高める方法は?で扱います。
  • 続けることがいちばん大事続けた期間の研究はあります。 継続そのものを比べた研究はありません。高齢者では20週間を超えると伸びが大きくなり、30〜40週間で最も伸びました [4] [13]。

02注意点

研究の多くは、運動習慣のない健康な大人が対象です。たとえばウォーキングの解析は、8週間以上続けた試験を集めています [2]。これまで運動をしていない人は、いきなり強い運動から始めず、軽い運動から段階的に増やすほうが続けやすいと一般に勧められています。膝や腰に痛みがある人、心臓や血圧の持病がある人、服薬中の人は、始める前に医師に確認してください。

研究の対象は、運動習慣のない健康な大人です

持病がある人は、運動の種類や強さを医師と相談して決めましょう。

03まとめ

体力は、有酸素運動で持久力、筋トレで筋力が伸びます。
当てはまるのは運動習慣のない健康な大人で、食事や睡眠で体力がつくかは未確認です。
まずは歩く習慣から始め、筋トレを足して、数か月続けましょう。

04よくある質問

Q体力がつくまで、どのくらいかかりますか?

ウォーキングの研究は、4週間以上や8週間以上の試験を集めています [[25579505]] [[29858464]]。何日で体力がつくかは、研究から言えません。

Q筋トレだけで持久力もつきますか?

69人の試験では、筋トレは下半身の筋力を伸ばし、持久力を伸ばしたのは有酸素運動でした [[30615666]]。両方ほしいなら組み合わせます。

Q高齢でも体力はつきますか?

つきます。60歳以上の持久系の運動では最大酸素摂取量が平均3.78 mL/kg/分高くなり [[16230876]]、筋トレでは筋力が大きく高まりました [[19588334]]。

Q食事や睡眠を整えるだけで体力はつきますか?

研究では確かめられていません。食事や睡眠で持久力・筋力が上がるかを調べた研究は、今回見つかっていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(15本)

[1]ウォーキングが心血管リスク要因に与える影響:RCTのメタ解析(更新版)

発表年
2015年
研究機関
アイルランド・リムリック大学
掲載誌
Preventive medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究32件を統合
結果の向き
良い方向

運動習慣のない人のウォーキングで、最大酸素摂取量が平均3.04 mL/kg/分高くなった。

[2]歩く頻度・強さ・時間が心血管リスク要因に与える影響:RCTのメタ回帰

発表年
2018年
研究機関
フィンランド・UKKインスティテュート
掲載誌
British journal of sports medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,001人
結果の向き
良い方向

運動習慣のない健康な大人2001人(RCT37件)で、ウォーキングを続けると心肺持久力が良くなった。

[3]HIITと持久系トレーニングによる最大酸素摂取量の向上

発表年
2015年
研究機関
セルビア・ニシュ大学
掲載誌
Sports medicine (Auckland, N.Z.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
723人
結果の向き
良い方向

18〜45歳の健康な大人723人で、持久系の運動により最大酸素摂取量が平均4.9 mL/kg/分高くなった。

[4]高齢者の持久系トレーニングと最大酸素摂取量の変化

発表年
2005年
研究機関
アメリカ・南インディアナ大学
掲載誌
Preventive cardiology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,102人
結果の向き
良い方向

運動習慣のない60歳以上2102人で、最大酸素摂取量が平均3.78 mL/kg/分(16.3%)高くなった。

[5]健康な大人の筋力と筋肥大のための筋トレ処方

発表年
2023年
研究機関
カナダ・マクマスター大学
掲載誌
British journal of sports medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
5,097人
結果の向き
良い方向

健康な大人5097人(178研究)で、調べたすべての筋トレのやり方が筋力を高めた。

[6]運動習慣のない健康な人へのHIITと心代謝の改善

発表年
2026年
研究機関
イギリス・リバプール・ジョン・ムーアズ大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,115人
結果の向き
良い方向

1115人(RCT37件)で、HIITは一定ペースの運動より最大酸素摂取量が平均1.39 mL/kg/分高かった。確実性は低い。

[7]高齢者の身体機能を高める漸進的筋力トレーニング

発表年
2009年
研究機関
アメリカ・インディアナ大学インディアナポリス校
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,059人
結果の向き
良い方向

高齢者3059人(RCT73件)で、少しずつ負荷を上げる筋トレは筋力を大きく高めた。

[8]有酸素運動・筋トレ・組み合わせが心血管リスク因子に与える効果の比較試験

発表年
2019年
研究機関
アメリカ・イリノイ大学シカゴ校
掲載誌
PloS one
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

運動習慣のない58歳前後の69人で、有酸素運動は持久力を、筋トレは下半身の筋力を伸ばした。

[9]中高年のインターバルトレーニングと心肺持久力の改善

発表年
2021年
研究機関
香港・香港中文大学
掲載誌
Journal of sports sciences
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
429人
結果の向き
良い方向

中高年429人(14件)で、インターバルは一定ペースの運動より平均1.10 mL/kg/分大きく伸びた。

[10]中高年の高強度インターバル速歩と体力・血圧

発表年
2007年
研究機関
日本・信州大学
掲載誌
Mayo Clinic proceedings
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

中高年の男女で、インターバル速歩は普通のウォーキングより太ももの筋力と持久力が大きく伸びた。

[11]スプリントインターバルと一定ペースの運動の最大酸素摂取量の比較

発表年
2022年
研究機関
カナダ・クイーンズ大学
掲載誌
Journal of sport and health science
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究28件を統合
結果の向き
差なし

健康な大人の28研究で、スプリント型と一定ペースの運動の伸びに差はなかった。

[12]若い健康な大人における運動の強さと最大酸素摂取量

発表年
2016年
研究機関
カナダ・クイーンズ大学
掲載誌
International journal of exercise science
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

運動の強さが違っても伸びに差はなく、強い運動なら少ない量で同じくらい伸びた。

[13]運動習慣のない高齢者の持久系トレーニングと心肺持久力の用量反応

発表年
2016年
研究機関
中国・南インディアナ大学
掲載誌
European journal of preventive cardiology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

週3〜4回、30〜40週間続けるのが、最大酸素摂取量を伸ばすのに最も良かった。

[14]健康な高齢者における筋トレの用量反応関係

発表年
2015年
研究機関
ドイツ・ポツダム大学
掲載誌
Sports medicine (Auckland, N.Z.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

健康な高齢者では、週2回・1種目2〜3セット・1セット7〜9回が筋力を伸ばすのに最も効果的だった。

[15]60歳以上の筋トレと生活の質・うつ・筋力・運動能力

発表年
2023年
研究機関
イラン・K.N.トゥーシ工科大学
掲載誌
Biological research for nursing
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

60歳以上で、筋トレは筋力を高めたが、6分間で歩ける距離は変わらなかった。

ほかに参考にした論文(5本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。