[1]筋肉の損傷と筋肉の再構築 痛みなくして成長なし?
- 発表年
- 2011年
- 研究機関
- アメリカ・北アリゾナ大学
- 掲載誌
- The Journal of experimental biology
- 研究の種類
- その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
- 対象
- —
- 結果の向き
- 差なし
筋肉を傷めた群と傷みを避けた群で、筋肉の大きさと筋力の増え方に差がなかった。

筋肉痛が出なくても、筋肉はつきます。筋肉痛が強いほど増え方が大きいわけではありません。
筋トレ経験のない若い人を調べた小さな実験の話です。
筋肉痛の有無で効き目を判断せず、重さや回数、続けた期間の記録で確かめるのがおすすめです。筋肉痛が強く残るときは、一般に休むことが勧められています。回復についてはマッサージの記事もどうぞ。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 30 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 6.1 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 67.1 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・その他のヒトの研究 1 本。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
筋肉痛は、慣れない運動のあと、翌日や翌々日に出る筋肉の痛みです。筋肉の傷みだけでなく、神経の過敏さなども関わる反応と整理されています [5]。「筋肉痛が出れば効いている」と言われますが、研究で確かめられているのは、筋肉痛の強さと筋肉の増え方が別の話だということです。
答えの中心は、デンマークのオーフス大学の研究チームが2019年に発表したランダム化比較試験です [2]。ランダム化比較試験とは、くじ引きで条件を割り当てて比べる方法です。ふつうの筋トレではなく、軽い重さで脚の付け根を締める加圧トレーニングの研究である点には注意してください。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験 |
|---|---|
| 対象 | 筋トレ経験のない若い男性(14人) |
| 比べたもの | 片脚は限界まで、もう片脚は限界の手前までの加圧トレーニング(8週間に22回) |
| 結果 | 限界の手前の脚は筋肉痛が少なかったが、太ももの筋肉の太さの増え方に差はなかった |
限界の手前でやめた脚のほうが、きつさや不快感も少なくて済みました。
同じ向きの結果は、ほかにもあります。ブラジルのサンパウロ大学の研究チームが2016年に発表した研究は、やり方を比べたものではなく、同じ筋トレを続けた10人の経過を追ったものです。その研究では、10週間の筋トレの最初の週に筋肉の傷みが最も大きく、筋肉をつくる反応も高かったのに、どちらも筋肉の太さの増え方とは関係がありませんでした [3]。アメリカの北アリゾナ大学の研究チームが2011年に発表した実験では、いきなり強い運動で筋肉を傷めた群と、慣らして傷みを避けた群で、筋肉の大きさと筋力の増え方に差がありませんでした [1]。
筋肉痛が出にくい、持ち上げる動作だけのダンベル運動を、筋トレ経験のない男性が片腕で週2回、4週間続けた試験があります。筋肉の厚みは0.31cm増え、鍛えない腕は変わりませんでした [4]。筋肉痛は期間を通して有意に変わりませんでした。アメリカのセントラルフロリダ大学の研究チームによる、13人の小さな試験です。
加圧トレーニングでも、筋肉痛が出ないまま3週間で太ももの筋肉の断面積が増えました。ただし比べる対照群のない前後比較です [6]。重い重さの筋トレでは筋肉痛と筋肉のむくみが出て、初めの数週間の増え方にはむくみが混じっていました。
筋肉の傷みが筋肉を大きくするために必要だとする説と、傷みがほとんど無くても筋肉は大きくなるとする反論の両方を整理した総説があります [8]。傷みの役割は、研究者の間でも決着していません。
筋肉痛が出なくても太ももの筋肉は増えましたが、通常の筋トレとは条件が違います。
研究で調べられたのは、筋トレ経験のない若い人が数週間から10週間ほど続けた場合です。たとえば先ほどの加圧の試験は、8週間で22回の運動でした [2]。鍛え込んだ人や長い期間では、結果が違う可能性は否定できません。筋肉痛が強く何日も続く、腫れや強い痛みがあるときは、無理に続けず医師に相談してください。持病や服薬がある人も同じです。
筋肉痛を目標にすると、やりすぎて続かなくなることがあります。
筋肉痛がなくても筋肉はつき、筋肉痛が強いほど増えるという差も見られませんでした。
ただし研究は小さな実験が中心で、根拠の確かさは低めです。
筋肉痛より、続けた回数と負荷の記録で進み具合を確かめるのがおすすめです。
いいえ。筋肉痛が出ないやり方でも筋肉の厚みが増えた試験があります [[28321637]]。同じ運動を重ねると筋肉痛が出にくくなることも報告されています [[38015738]]。
研究では確かめられていません。痩せやすさを調べた研究自体が見つかっていません。
研究では確かめられていません。筋肉痛が超回復の合図かを直接調べた研究は見つかっていません。
研究では確かめられていません。強い筋肉痛が残る部位は一般に休ませることが勧められています。回復の方法は[マッサージの記事](/evidence/massage-muscle-soreness)が詳しいです。
筋肉を傷めた群と傷みを避けた群で、筋肉の大きさと筋力の増え方に差がなかった。
限界まで行う脚と手前でやめる脚で、太ももの筋肉の増え方に差がなく、手前の脚は不快感が少なかった。
10週間の筋トレで、筋肉の傷みが最大の時期の反応は筋肥大と関係せず、傷みが小さくなってからの反応が関係した。
持ち上げる動作だけの片腕運動で、筋肉痛が出ないまま筋肉の厚みが0.31cm増えた。
筋肉痛は筋肉の傷みだけでなく神経の過敏さなども関わる反応で、トレーニングを続けると慣れで減ると整理した。
軽い加圧運動は筋肉痛が出ないまま筋肉の断面積が増え、重い筋トレは筋肉痛とむくみが出た。
同じ運動の2回目は、1回目より翌日・翌々日の筋肉痛と筋損傷の指標が小さかった。研究20件のメタ解析。
筋肉の傷みが筋肥大に必要だとする仮説と、それへの反論の両方を整理した総説。
判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。