筋トレで代謝は上がる?

筋トレで代謝は上がる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

はい。安静時代謝は平均で1日約96kcal増えます。増え方は小さめです。

根拠

運動の研究18件をまとめた2020年のメタ解析で、筋トレをした人は運動しない人より安静時代謝(何もしていないときに使うエネルギー)が平均96.17kcal/日多くなりました [1]。筋肉などの除脂肪量も増え、体脂肪は運動しない人より平均1.0kg多く減っています [2]。増え方は小さく、高齢者の試験では、増えた試験 [3] と変わらなかった試験 [4] に分かれました。

この答えの範囲

大人の話です。体重が減るかどうかは、別の話です。

じゃあ、どうする?

筋肉を増やす目的なら、筋トレを続ける価値があります。代謝の増え方は小さいので、「代謝を上げて痩せる」より、体脂肪を減らし、減量中に筋肉を守る使い方が研究の結果に近いです。食事制限に筋トレを加えると、除脂肪量が減りにくく、体脂肪は多く減りました [5]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量14.520研究件数と参加人数
一致度1825結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 87.5 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 4 本・RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

代謝・基礎代謝とは

代謝は、体が生きるために使うエネルギーのことで、じっとしていても使われる分を基礎代謝といいます。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、一日の消費エネルギーの約60%が基礎代謝とされ、年齢とともに下がる主な理由は筋肉などの除脂肪量の低下とされています。このため、筋トレで筋肉が増えると基礎代謝が上がると言われています。筋トレには器具を使う方法と自分の体重を使う方法があり、この記事ではどちらが良いかは比べていません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

オーストラリアのボンド大学などの研究チームが2020年に発表したメタ解析が、答えの中心です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて、全体としてどれだけ差があるかを調べる方法です。安静時代謝は、何もしていないときに使うエネルギーで、基礎代謝に近い値です。

研究の種類運動の研究18件をまとめたメタ解析
対象代謝に影響する病気のある人・65歳以上・妊娠中や授乳中・閉経後の女性を除いた大人
比べたもの筋トレをした人 / 運動をしない人
結果筋トレをした人で安静時代謝が平均96.17kcal/日多い
まとめて分析した結果筋トレをした人は、運動しない人より安静時代謝が平均で約96kcal/日多くなりました [1]。

有酸素運動では、はっきりした差は見られませんでした。

95%信頼区間(本当の値が入る範囲)は45.17〜147.16kcal/日です。含まれた研究は方法がばらばらで、偏りのリスクが高いものが多いです。1日の消費エネルギー全体から見ると、小さな変化です。有酸素運動も平均では81.65kcal/日多い結果でしたが、ばらつきが大きく(95%信頼区間は-57.81〜221.10)、差があるとは言えませんでした。筋トレのほうが有酸素運動より上がる、という比較ではありません。

96kcalは多い? 筋肉や体脂肪とのつながり

  • どのくらいの量か: 厚生労働省の例では、体重60kgの男性が1時間歩く(3メッツ)と、消費は180kcalです。96kcalは、その約半分(歩行の約半時間分)にあたる、おおまかな目安です。
  • 除脂肪量とのつながり: 除脂肪量(筋肉など脂肪以外の重さ)が増えると、安静時の消費も増えると考えられています。高齢者のランダム化試験151件(6306人)のメタ解析でも、筋トレで除脂肪量は増えました [6]。高齢男性の試験では、筋トレ群は運動しない群より、除脂肪量が1.0kg、安静時代謝が36kcal/日多く増えました [7]。ただし、筋肉が増えた分だけ代謝が上がるとは限りません [4]。
  • 体脂肪とのつながり: 筋トレだけを続けた太りぎみ・肥満の人は、体脂肪が平均1.0kg多く減りました [2]。代謝が増えたためかどうかは、この研究では分かりません。

よく言われていることは本当?

  • 筋肉が増えると基礎代謝が上がる研究で確かめられています。 太りぎみ・肥満の人のランダム化試験114件・4184人のメタ解析では、除脂肪量も運動しない人より平均0.8kg増えました [2]。
  • 筋肉がつくと太りにくく、やせやすい体になる体脂肪については確かめられています。 ただし、別のメタ解析では体重は減りませんでした [8]。
  • 筋肉が1kg増えると基礎代謝が約50kcal増える研究では確かめられていません。 筋トレの試験で直接調べた研究は見つかっていません。参考に、高齢男性33人の試験では、除脂肪量(筋肉以外も含む)が1.0kg多く増えた筋トレ群で、安静時代謝は36kcal/日多く増えました [7]。
  • 筋トレのあと48時間ほど代謝が高い状態が続く根拠は弱めです。 高齢男性40人の試験では12時間後に増え、48〜72時間後に戻りました [9]。若い8人では24〜72時間後に約5%高かった一方 [10]、筋トレに慣れた男性8人では増えませんでした [11]。どれも小さな試験です。
  • 減量中に筋トレをすると、筋肉と代謝が落ちにくい筋肉は研究で確かめられています。 代謝は結果が分かれます(「注意点」)。リバウンドは調べていません。
  • 代謝が上がると体温が上がり、冷えや血行が良くなる研究では確かめられていません。 筋トレと冷え性・体温を調べた試験やメタ解析は、今回の調査では見つかっていません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

高齢者の試験では結果が分かれています。平均67歳の健康な男性33人で、週2回の筋トレを12週間続けた群は、運動しない群より安静時代謝が36kcal/日多く増えましたが、日常の活動で使うエネルギーが90kcal/日減り、1日の総消費量は増えませんでした [7]。

安静時代謝が変わらなかった試験平均66歳の健康な人39人(筋トレとたんぱく質補給の群と、何もしない群)

12週間で除脂肪量は1.2kg増えたものの、安静時代謝は変わりませんでした [4]。

若い人の試験でも、増えない結果がありました。14〜18歳の肥満・太りぎみの人304人を、有酸素運動・筋トレ・両方・運動なしに分けた22週間の試験では、どの運動群も除脂肪量は増えましたが、安静時代謝は食事指導だけの群と比べて増えませんでした [12]。

02注意点

減量中の代謝は、結果が分かれます。高度肥満の人が12週間、超低カロリー食で減量した試験では、筋トレをしない群で安静時代謝が328.6kcal/日下がり、筋トレをした群ではっきりした低下はありませんでした [13]。人数がごく少なく、確かな結果とは言えません。閉経後の太りぎみ・肥満の女性の試験では、食事制限に筋トレを加えても、下がり方は食事制限だけと変わりませんでした [14]。

運動の強さや量を急に上げると、けがや体調不良につながることがあります。持病や服薬中の人は、始める前に医師に確認してください。

研究の対象と、自分の条件を分けて考える

高齢者や肥満の人の結果を、年齢や体格の違う人にそのまま当てはめないでください。

03まとめ

はい。筋トレで安静時代謝は平均で1日約96kcal増えますが、その量は小さめです。
年齢や食事の条件で変わり、増えなかった試験もあります。
代謝よりも、体脂肪を減らし、筋肉を増やして守る目的で続けるのが、研究に近い使い方です。

04よくある質問

Q筋トレで基礎代謝を上げれば、やせられますか?

筋トレだけでは体重は減らないというメタ解析があります [[38031812]]。体脂肪は、運動しない人より平均1.0kg多く減りました [[35191588]]。代謝が増えたことが体脂肪の減少の理由かどうかは、研究では分かっていません。

Q「筋トレをしても基礎代謝は上がらない」は本当ですか?

平均では上がります。運動の研究18件のメタ解析で、筋トレをした人は運動しない人より安静時代謝が平均96kcal/日多くなりました [[32397898]]。ただし、高齢者や食事制限中の試験には、増えなかった結果もあります。

Q減量中に筋トレをする意味はありますか?

あります。除脂肪量が減りにくく、体脂肪は多く減りました。体重の減り方は変わりませんでした [[40909191]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(14本)

[1]運動と安静時の消費エネルギーのメタ解析

発表年
2020年
研究機関
オーストラリア・ボンド大学
掲載誌
Journal of sports sciences
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究18件を統合
結果の向き
良い方向

筋トレをした人は運動しない人より安静時代謝が高く、有酸素運動では差がはっきりしませんでした。

[2]太りぎみ・肥満の人の筋トレが体組成に与える効果

発表年
2022年
研究機関
オーストラリア・エディス・コーワン大学
掲載誌
Obesity reviews : an official journal of the International Association for the Study of Obesity
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,184人
結果の向き
良い方向

筋トレだけで除脂肪量が増え、体脂肪も減りました。

[3]高齢者の筋トレと魚油が筋力・安静時代謝に与える影響

発表年
2022年
研究機関
アメリカ・ニューメキシコ州立大学
掲載誌
Aging clinical and experimental research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
28人
結果の向き
良い方向

筋トレをした群で安静時代謝が大きく増えました。

[4]高齢者の除脂肪量の増加と食欲・摂取エネルギーの関係

発表年
2021年
研究機関
イギリス・リーズ・ベケット大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
39人
結果の向き
差なし

除脂肪量は増えましたが、安静時代謝は変わりませんでした。

[5]食事制限での減量中の筋トレが体組成に与える効果

発表年
2025年
研究機関
サウジアラビア・ウンム・アル・クラ大学
掲載誌
BMJ open sport & exercise medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究25件を統合
結果の向き
良い方向

食事制限に筋トレを加えると、除脂肪量が減りにくく、体脂肪は多く減りました。

[6]高齢者の筋トレの量が体の機能・除脂肪量・筋力に与える影響

発表年
2025年
研究機関
ポルトガル・エガス・モニス保健科学大学
掲載誌
Sports medicine (Auckland, N.Z.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
6,306人
結果の向き
良い方向

高齢者のランダム化試験のメタ解析で、少なめの量の筋トレでも除脂肪量が増えました。

[7]高齢男性の筋トレと高たんぱく食が24時間の消費エネルギーに与える影響

発表年
2022年
研究機関
イギリス・コヴェントリー大学
掲載誌
Physiological reports
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
33人
結果の向き
良い方向

安静時代謝は増えましたが、日常の活動で使うエネルギーが減り、総消費量は増えませんでした。

[8]運動の種類ごとの内臓脂肪への効果を比べたネットワークメタ解析

発表年
2024年
研究機関
中国・清華大学
掲載誌
Obesity reviews : an official journal of the International Association for the Study of Obesity
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,836人
結果の向き
良い方向

筋トレは体脂肪を減らしましたが、体重は減らしませんでした。

[9]筋トレの強度が高齢者の脂肪ホルモンと安静時エネルギー消費に与える影響

発表年
2009年
研究機関
ギリシャ・トラキア・デモクリトス大学
掲載誌
Diabetes care
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
40人
結果の向き
良い方向

筋トレを一度した後、安静時代謝は強度が高いほど大きく増え、数十時間で元に戻りました。

[10]1セットの筋トレも3セットと同様に72時間エネルギー消費を高める

発表年
2011年
研究機関
アメリカ・サザンイリノイ大学
掲載誌
European journal of applied physiology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
8人
結果の向き
良い方向

全身の筋トレの後、安静時代謝は24・48・72時間後に筋トレ前より高くなりました。

[11]筋トレに慣れた男性で、運動の総重量が運動後の消費エネルギーに与える影響

発表年
2013年
研究機関
アメリカ・セーラム州立大学
掲載誌
Journal of strength and conditioning research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
8人
結果の向き
差なし

筋トレに慣れた男性では、強い筋トレの後も安静時代謝ははっきり増えませんでした。

[12]肥満の若者で運動は安静時代謝に影響するか

発表年
2017年
研究機関
カナダ・オタワ大学
掲載誌
Applied physiology, nutrition, and metabolism = Physiologie appliquee, nutrition et metabolisme
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

肥満の若者304人で、筋トレなどを6か月続けても安静時代謝は食事指導だけの群と比べて増えなかった。

[13]超低カロリー食での減量中の筋トレの効果

発表年
2019年
研究機関
アメリカ・カリフォルニア州立工科大学ポモナ校
掲載誌
Clinical nutrition (Edinburgh, Scotland)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

筋トレをしない群は安静時代謝が下がり、筋トレをした群ではっきりした低下はありませんでした。

[14]食事制限と筋トレが閉経後の女性のエネルギー代謝に与える影響

発表年
2013年
研究機関
カナダ・モントリオール大学
掲載誌
Menopause (New York, N.Y.)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
137人
結果の向き
差なし

食事制限に筋トレを加えても、エネルギー消費の下がり方は変わりませんでした。

ほかに参考にした論文(14本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。