グルタミンで筋肉痛や疲労の回復は早まる?

グルタミンで筋肉痛や疲労の回復は早まる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

激しい運動後の筋肉痛が軽くなり、筋力の戻りも早まります。

根拠

運動後の筋肉痛や筋力の戻りを調べた比較試験 6 本のうち、5 本でグルタミンを飲んだ人のほうが筋肉痛・筋力・筋肉のダメージの指標が良好でした。たとえば健康な男女 16 人の試験では、運動 72 時間後(約 3 日後)の筋肉痛の点数が、プラセボ 2.9 に対してグルタミン 1.7 でした [1]。ただし 1 本あたり 12〜44 人と小さく、差がなかった試験もあります [2]。

この答えの範囲

激しい運動の後の筋肉痛・筋力の戻りの話で、運動をする健康な若い成人の研究が中心です。

じゃあ、どうする?

激しい運動をした後の筋肉痛が気になるなら、試す価値があります。研究では体重 1kg あたり 0.3g を運動後の数日間、飲む使い方が中心でした [1]。筋肉を増やす目的なら、効果は確認されていないので、食事と睡眠を優先しましょう。持病や服薬中の人は医師・薬剤師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。12 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 81 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3640いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1120研究件数と参加人数
一致度24.125結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 81.1 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 81 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 4 本・その他のヒトの研究 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

グルタミンとは

グルタミンは、体の中でもつくられ、肉・魚・卵・乳製品などの食べ物にも含まれるアミノ酸の一つです。筋肉の回復や疲れを和らげるとされ、粉末やカプセルのサプリがあります。運動をする人がよく使うのが特徴です。注意点は、腎臓や肝臓の病気がある人、服薬中の人、妊娠中の人は、使う前に医師・薬剤師に確認することです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、カナダのダルハウジー大学などの研究チームが2015年に発表したランダム化比較試験です [1]。ランダム化比較試験とは、くじ引きのように参加者を分け、グルタミンと偽薬(プラセボ)を比べる方法です。この試験は、同じ人が両方を試すクロスオーバーという形で、健康な男女16人を調べました。

研究の種類ランダム化比較試験(クロスオーバー)
対象平均22歳の健康な男女16人(女性8人・男性8人)
比べたもの体重1kgあたり0.3gのグルタミン / プラセボ1日1回、72時間(3日)にわたって飲み、運動後の筋肉痛と筋力を測定
結果運動72時間後の筋肉痛の点数が、プラセボ2.9に対しグルタミン1.7
試験の結果運動72時間後の筋肉痛の点数が、プラセボより低くなりました。

24時間後と48時間後も、グルタミンのほうが低い値でした [1]。

同じ向きの結果は、ほかの試験にもあります。運動習慣のある男性15人の試験では、運動後96時間(4日)の筋肉痛の平均が、対照の4.6に対しグルタミンで3.6でした [3]。学生44人(22人ずつ)の試験では、72時間(3日)後の脚の筋力が対照の63.7kgに対し、グルタミンで81.1kgでした [4]。

プロのバスケットボール選手12人の試験では、グルタミンを飲んだ期間に、筋肉のダメージを示す血液の値(CKなど)が低くなりました [5]。大学の柔道選手26人の試験でも、グルタミンを飲んだ群で酵素の上昇が抑えられました [6]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

若い健康な男性17人の試験では、筋トレ後のCKに差がありませんでした [2]。

差がなかった試験若い健康な男性17人

体重1kgあたり0.1gを週3回・4週間飲み、筋トレ後のCKに差はありませんでした。

飲む量や回数、運動の種類、測るタイミングが違うため、効果の否定とは読めません。ただし1件あたり12〜44人と小さい点は、割り引いて読む必要があります。

研究で使われた量と期間

効果が見られた試験でも、飲んだ量と期間はそろっていません。

  • 体重1kgあたり0.3gを72時間(3日): 筋肉痛の点数が低かった [1]
  • 体重1kgあたり0.3gを運動の直後と24・48・72時間後に: 96時間(4日)後まで筋肉痛が軽かった [3]
  • 体重1kgあたり0.4gを3日間: 脚の筋力が高かった [4]
  • 毎日6gを20日間: 筋肉のダメージを示す血液の値が低かった [5]
  • 1日3000mgを2週間: 酵素の上昇が抑えられた [6]
  • 体重1kgあたり0.1gを週3回・4週間: 差はなかった [2]

量・回数・期間は試験ごとに違い、量を直接比べた試験は今回集めた6本にはありません。そのため、どの量がよいかは言えません。

よく言われていることは本当?

「グルタミンは筋肉や体に良い」と言われる主な話を、研究に照らしました。

  • 筋肉痛を軽くし、回復を早める研究で確かめられています。 比較試験6本のうち5本で、筋肉痛や筋力の戻りが良好でした [1] [3]。
  • 運動の疲労回復を早める研究では効果が確認されていません。 研究は2件・21人だけです。疲れ切るまでの時間に差がなかった試験(10人)と、暑い環境の作業で疲労感が小さかった試験(11人)があります [7] [8]。
  • 筋肉を増やし、筋トレの効果を高める研究では効果が確認されていません。 スポーツ選手を対象にした25件のメタ解析で、除脂肪量などの体組成への効果は見られませんでした(体重は少し減りました)[9]。根拠の確かさは低めです。結果をまとめた解析が1件だけのためです。
  • 筋肉の分解を防ぐ研究が足りません。 6週間の筋トレをした若い成人31人の試験で、筋力・筋肉量・筋肉の分解の指標(尿中の3-メチルヒスチジン)のどれにも差はありませんでした [10]。
  • 免疫力を高め、かぜを防ぐ研究では効果が確認されていません。 同じメタ解析で、リンパ球・白血球などの免疫の指標に全体として効果はありませんでした [9]。格闘技の選手21人の試験では、のどや鼻の感染症にかかる割合が下がりましたが、小規模な1件です [11]。
  • 腸の調子を整える検査値では、良い関連が見られます。 運動時の腸のダメージや透過性の指標は、グルタミンを使った研究の多くでプラセボより低くなっていました [12]。根拠の確かさは低めです。まとめたレビューが1件だけで、見ているのは検査値のためです。お腹の症状は研究が足りません。

02注意点

対象は、運動をする健康な若い成人が中心です。2015年の試験では、体重1kgあたり0.3gを72時間飲みました [1]。副作用は、今回集めた研究の要旨からは確認できていません。少人数・短期間の試験だけでは、長く飲み続けたときの安全性は分かりません。持病や腎臓・肝臓の病気がある人、服薬中の人、妊娠中の人は、使う前に医師・薬剤師に確認してください。

研究の対象と、自分の条件を分けて考える

激しい運動を課した健康な若い成人の結果を、高齢の人や持病のある人へそのまま当てはめないでください。

03まとめ

激しい運動の後の筋肉痛と筋力の戻りには、グルタミンが効くという結果が多くそろっています。
疲労回復、筋肉を増やすこと、かぜの予防は、効果が確認されていません。
試すなら、研究で多かった運動後の数日間の使い方にとどめ、持病や服薬がある場合は先に医師に相談しましょう。

04よくある質問

Qロイシンと一緒に飲むと、回復はさらに早まりますか?

男性23人の試験で、ロイシンとグルタミンを一緒に飲むと、ドロップジャンプ後の筋力の戻りがプラセボより早くなりました。ただしロイシンだけでも同じ効果が見られ、グルタミンだけの効果は分かりません [[29770871]]。

Qいつ飲むのがよいですか?

筋肉痛の試験では、運動の後に体重1kgあたり0.3gを3日間ほど飲む使い方が多く見られました [[25811544]] [[W1991777862]]。飲むタイミングを比べた試験は、今回集めた研究にはありません。

Q飲めば誰でも回復が早まりますか?

誰でもとは言えません。筋肉のダメージの指標(CK)に差がなかった試験もあり、ふだんの軽い運動での回復は、研究では確かめられていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(12本)

[1]グルタミンの摂取が、運動後の筋力の戻りと筋肉痛に与える影響

発表年
2015年
研究機関
カナダ・ダルハウジー大学
掲載誌
International journal of sport nutrition and exercise metabolism
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
16人
結果の向き
良い方向

健康な男女16人のクロスオーバー試験で、運動72時間後の筋肉痛の点数がプラセボ2.9に対しグルタミン1.7でした。

[2]グルタミン摂取後の筋電図とCKの変化を調べた試験

発表年
2014年
研究機関
イラン・ギラン大学
掲載誌
Asian journal of sports medicine
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
17人
結果の向き
差なし

若い健康な男性17人の試験で、筋トレ後のCKにプラセボとの差はありませんでした。

[3]運動後のグルタミンが筋力低下と筋肉痛を和らげるか

発表年
2011年
研究機関
イギリス・エクセター大学
掲載誌
Journal of Exercise Science & Fitness
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
15人
結果の向き
良い方向

運動習慣のある男性15人で、運動後96時間の筋肉痛の平均が対照4.6に対しグルタミン3.6でした。

[4]運動後の筋疲労に対するグルタミン摂取の影響

発表年
2021年
研究機関
インドネシア・インサン・ブディ・ウトモ大学
掲載誌
Folia Medica Indonesiana
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
44人
結果の向き
良い方向

学生22人ずつの比較で、運動72時間後の脚の筋力が対照63.7kgに対しグルタミン81.1kgでした。

[5]プロバスケットボール選手の筋肉ダメージの指標への影響

発表年
2021年
研究機関
スペイン・バリャドリッド大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
12人
結果の向き
良い方向

プロのバスケットボール選手12人で、グルタミンを飲んだ期間は筋肉のダメージを示す血液の値が低くなりました。

[6]男子柔道選手の好中球の働きへの影響

発表年
2013年
研究機関
日本・弘前大学
掲載誌
Luminescence : the journal of biological and chemical luminescence
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
26人
結果の向き
良い方向

男子大学の柔道選手26人で、グルタミンを飲んだ群は筋肉のダメージを示す酵素の上昇が抑えられました。

[7]グルタミンを1回飲んでも全力運動は良くならない

発表年
1998年
研究機関
アメリカ・カンザス大学
掲載誌
The Journal of sports medicine and physical fitness
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
10人
結果の向き
差なし

鍛えている男性10人で、疲れ切るまでの時間はグルタミンで263.4秒、プラセボで263.2秒と差がありませんでした。

[8]消火作業をまねた暑い環境でのグルタミンの影響

発表年
2019年
研究機関
アメリカ・ニューメキシコ大学
掲載誌
Journal of occupational and environmental medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
11人
結果の向き
良い方向

暑い環境で消火作業をまねた作業を2日続けた男女11人で、グルタミンのほうが疲労感が小さくなりました。

[9]グルタミンが運動能力・体組成・免疫に与える影響のメタ解析

発表年
2019年
研究機関
イラン・アフヴァーズ・ジュンディシャプール医科大学
掲載誌
Clinical nutrition (Edinburgh, Scotland)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究25件を統合
結果の向き
差なし

スポーツ選手を対象にした25件の試験のメタ解析で、体組成・免疫・有酸素性の運動能力への効果は見られませんでした。

[10]筋トレ中のグルタミン摂取が筋力と筋肉量に与える影響

発表年
2001年
研究機関
カナダ・サスカチュワン大学
掲載誌
European journal of applied physiology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
31人
結果の向き
差なし

18〜24歳の31人が6週間筋トレをした試験で、筋力・筋肉量に差はありませんでした。

[11]グルタミンが格闘技選手の粘膜の免疫とホルモンに与える影響

発表年
2024年
研究機関
台湾・国立体育大学
掲載誌
Journal of the International Society of Sports Nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
21人
結果の向き
良い方向

格闘技の選手21人が3週間飲んだ試験で、のどや鼻の感染症にかかる割合が下がりました。

[12]運動による腸のダメージ・透過性とサプリのシステマティックレビュー

発表年
2022年
研究機関
イギリス・リーズ・ベケット大学
掲載誌
PloS one
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

27件を集めた系統的レビューで、グルタミンを使った研究の多くが腸のダメージや透過性の指標を下げました。

ほかに参考にした論文(12本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。