[1]全身EMSが体組成と筋力に与える影響のメタ解析
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- スペイン・エストレマドゥーラ大学
- 掲載誌
- Medicine
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 1,183人
- 結果の向き
- 良い方向
全身EMSの26件・1183人で、筋肉量と筋力が対照より高かった。

全身EMSは、筋肉量・筋力と関連しています。腹筋ベルトなど部分的なEMSは、引き締めを確認できていません。
全身EMSの試験をまとめたメタ解析(26件・1183人)で、EMSをした人は対照より筋肉量が多く(標準化平均差0.36)、筋力も高い結果でした(0.54)[1]。ただし集められたのは対照群のある試験で、ランダム化に限らないため、EMSが原因とは言えません。根拠の確かさは低めです。ランダムに分けていない試験を含み、対象者の年齢も期間もさまざまな試験の寄せ集めのためです。
専用スーツ型の全身EMSの話です。
筋肉量や筋力が目的なら、全身EMSを試す価値はあります。ただし研究は決まった期間つづけた全身EMSの結果で、日常動作の改善までは確認されていません [2]。腹筋ベルトでの引き締めは期待しすぎないでください。持病や植込み型の機器がある人は、先に医師に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 24 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 17.3 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 81.3 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、観察研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
EMS(電気刺激)は、皮膚に当てた電極から電気を流し、筋肉を縮ませる方法です。筋力トレーニングの補助やリハビリに使われ、体を引き締める効果があるとされています。専用スーツで全身を刺激する「全身EMS」と、腹筋ベルトやパッドのように体の一部だけに使う「部分的なEMS」があり、研究が多いのは全身EMSです。注意点は、心臓の持病や植込み型の機器がある人、妊娠中の人は、使う前に医師への確認が必要なことです。
答えの中心は、スペインのエストレマドゥーラ大学などの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて、全体としてどのような違いがあるかを調べる方法です。全身EMSの試験26件・1183人が集められました。
| 研究の種類 | 全身EMSの試験をまとめたメタ解析対照群のある試験を集めたもの(ランダム化に限らない) |
|---|---|
| 対象 | 平均20.4〜77.4歳の成人。運動習慣のある人とない人を含む |
| 比べたもの | 全身EMSをした群 / 対照群 |
| 結果 | 筋肉量が多い(標準化平均差0.36) |
差は小さめで、介入期間は4〜54週間とばらつきがありました。
標準化平均差とは、研究ごとに単位が違う結果を同じ物差しにそろえた値で、0に近いほど差が小さいことを表します。筋力も対照より高く(標準化平均差0.54、中程度の差)、体脂肪は少ない結果でした [1]。ただし、ランダムに群を分けた試験に限られていません。もともと違う人たちを比べた差が混ざる可能性があるため、「EMSが原因で増えた」とまでは言えません。根拠の確かさは低めです。
ドイツのエルランゲン・ニュルンベルク大学の2021年のメタ解析(16件・897人)では、筋肉量の差は標準化平均差1.23と大きく出ています [6]。ただし対象の試験が重なっているとみられるため、別々の裏づけとしては数えません。運動しながらEMSを重ねる方法のレビュー(24件)では、筋肉量は増えた研究2件、差がなかった研究2件に分かれています [12]。
研究の対象は、平均20.4〜77.4歳の成人で、期間は4〜54週間でした [1]。結果は、専用スーツ型の全身EMSを一定期間つづけた場合のものです。たとえば慢性の腰痛がある40〜70歳の試験では、全身EMSを週1回20分、12週間つづけました [10]。副作用は、この研究データでは確かめられていません。体に電気を流すため、心臓の持病や植込み型の機器がある人、妊娠中の人、持病や服薬のある人は、使う前に医師に確認してください。
研究の対象はスーツ型の全身EMSで、体の一部だけに使う場合は別の話です。
全身EMSは筋肉量や筋力と関連していますが、根拠の確かさは低めです。
腹筋ベルトで引き締まる、基礎代謝が上がる、という話は、研究では支持されていません。
全身EMSを試すなら、持病や植込み型の機器がないか医師に確認してから始めましょう。
全身EMSをした人の筋肉量が対照より多い結果はありますが、ランダム化に限らない試験のまとめで、根拠の確かさは低めです。EMSだけの効果を分けた結果は、この記事の研究では確認していません。
部分的なEMSの試験3件では、結果が割れていました。お腹が引き締まるとは言えません。
メタ解析の介入期間は4〜54週間で、回数ごとの違いは確認できていません [[36827042]]。慢性の腰痛がある人の試験では全身EMSを週1回20分、12週間 [[31687394]]、腹筋ベルトの試験では週3回 [[11991766]] や週5回・12週間 [[31065133]] でした。
確かめられていません。ある程度運動している男性20人で全身EMSと普通の筋トレを6週間比べた試験では、体脂肪などの体組成に差はありませんでした [[36159315]]。小さな試験なので、どちらが優れるとは言えません。
全身EMSの26件・1183人で、筋肉量と筋力が対照より高かった。
10件・174人で全件が筋力向上を報告。日常動作の指標は改善していなかった。
60人で、12週間のEMSの腹囲の減りは、偽の刺激の群より大きかった。
27人で、体重・体脂肪・周囲径・筋力・見た目に偽の刺激との有意な差はなかった。
26人の小さな試験で、腹囲は平均で減ったが有意な差ではなかった。
16件・897人で筋肉量の差は大きく、体脂肪に有意な差はなかった。
30人で、14週間のEMSの追加による安静時代謝の群の差は有意ではなかった。
16人で、1回のあと安静時の代謝が約25%上がった。
EMSは何もしない対照よりは痛みを減らしたが、運動などより優れてはいなかった。
全身EMSと普通の運動を12週間比べ、どちらも痛みが減り差はなかった。
高齢者では、EMSの効果はまだ結論が出ていないとされた。
24件のレビューで筋力は多くが高まり、筋肉量は2件が増え2件は差がなかった。
判定「良い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。