[1]健康な大人の筋力と筋肥大のための筋トレ処方
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- カナダ・マクマスター大学
- 掲載誌
- British journal of sports medicine
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 3,364人
- 結果の向き
- 良い方向
健康な大人の試験119件・3364人。どのやり方も、運動しない場合より筋肉を大きくした。

週の合計のセット数が同じなら、週1〜2回でも週3回以上でも、筋肉の大きくなり方は変わりません。
主に若く健康な人の研究です。筋力は回数が多いほど伸びるという関連が見られましたが、根拠の確かさは低めです。
忙しい週は、週1〜2回でも続ければ、筋肉は大きくなります。回数を減らす分、1回のセット数を増やして、週の合計の量を確保しましょう。回数は、続けやすいものを選んでください。筋力をできるだけ伸ばしたいときは、回数を増やす手もあります [4]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 24 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.3 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 77.3 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、観察研究 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
筋トレは、筋肉に負荷をかけて、筋力を高めたり筋肉を大きくしたりする運動です。マシンやダンベルを使うウエイトトレーニングのほか、腕立て伏せやスクワットのように自分の体重を使う方法も含まれます。部位を日替わりで鍛える分割法と、毎回全身を鍛える全身法という組み方があるのが特徴です。厚生労働省の運動ガイドは、筋力トレーニングを週2〜3日取り入れることを勧めています。注意点は、重すぎる負荷やフォームの崩れで、けがをしやすいとされることです。
答えの中心は、アメリカのレーマン大学などの研究チームが2019年に発表したメタ解析です [2]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて、全体の傾向を調べる方法です。週の回数を比べた実験研究25件が集められました。ここでいう「量」は、週に行うセット数の合計です。セットとは、同じ動きを続けて何回か繰り返す1まとまりのことです。
| 研究の種類 | 週の回数を比べた実験研究25件のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 実験研究25件の参加者(筋トレ経験者だけの解析、上半身と下半身に分けた解析も実施) |
| 比べたもの | 週の回数が多い場合と少ない場合(週の合計のセット数をそろえた条件を含む) |
| 結果 | 週の合計の量をそろえると、回数による有意な差はなかった |
量をそろえていない研究では回数が多いほうがやや有利でしたが、週1回と週3回以上の差は小さいものでした。
2026年の研究67件・2058人のメタ回帰でも、筋肉の大きさは、回数より週の合計セット数との結びつきが強い結果でした [3]。週の合計セット数を増やすほど筋肉は大きくなりましたが、上乗せは小さくなります。
運動しない場合と比べると、健康な大人の試験119件・3364人のまとめでは、回数が違うどのやり方も同じくらい筋肉を大きくしました [1]。順位が最も高かったのは、重めの負荷で複数セットを週2回行うやり方で、運動しない場合と比べた効果量は0.66でした。効果量とは、測り方の違う結果をそろえて比べる数値です。筋トレ経験のある男性24人が片脚は週1回、もう片脚は週3回鍛えた9週間の試験でも、太ももの筋肉の太さの増え方に有意な差はありませんでした [5]。
筋力は少し違います。22件のメタ解析では、効果量が週1回で0.74、週2回で0.82、週3回で0.93、週4回以上で1.08と、回数が多いほど大きくなりました [4]。ただし、週の合計の量をそろえた研究だけを見ると、回数による有意な差はありませんでした。
2016年の研究10件のメタ解析では、週2回のほうが筋肉が大きくなりましたが [8]、更新版では量をそろえると差が消えました [2]。
各部位を週5日鍛える全身法は、週1回の分割法より、腕の屈筋と太ももの筋肉の厚さが大きく増えました [6]。
研究の多くは、若い健康な人が対象です。2021年の試験では、筋トレ初心者67人が同じ部位を週2回と週4回鍛える方法を8週間比べ、週のセット数が同じなら筋肉の厚さの増え方に差はありませんでした [9]。60歳以上で比べられたのは回数の違いで、筋トレをするかしないかではありません。サルコペニアの高齢女性34人が12週間取り組んだ試験では、週2回でも週3回でも筋力と筋肉量が増え、増え方に差はありませんでした [10]。60歳以上の研究14件のメタ回帰では、筋肉の大きさは回数で差がなく、最大筋力はトレーニング日が週1日増えるごとに効果量が0.14だけ大きく伸びました。著者は、週2回より多くしても利点は小さいとしています [11]。この年代の根拠の確かさは低めです。
回数ごとのけがを比べた結果は、今回の研究では確認できていません。持病がある人や服薬中の人、運動の経験が少ない人は、始める前に医師に相談してください。
若い男性が多い研究の結果を、高齢の人や女性にそのまま当てはめないでください。
週の合計のセット数がそろえば、週1〜2回でも週3回以上でも、筋肉のつき方は同じでした。
毎日やると逆効果という話は、研究では確かめられていません。
忙しいときは回数を減らし、その分1回のセット数で量を確保します。
筋トレ経験のある男性の研究6件のレビューでは、1種目1セットを週1〜3回行うだけでも、最大挙上重量が有意に伸びました。5件の平均で12.09kgの増加です。ただし、より多く行う場合ほどの伸びではないとされています [[31797219]]。
筋肉の大きさについて、女性だけで回数を比べた研究は、この記事では確認できていません。筋力では、女性を対象にした研究24件のメタ解析で、週の回数が伸びに影響する要因でした [[31820374]]。
週2回でも、筋力と筋肉量は増えます。サルコペニアの高齢女性34人の12週間の試験では、週2回でも週3回でも増え方に差はありませんでした [[39178393]]。一方、60歳以上の研究14件のメタ回帰では、最大筋力は回数が多いほど少し伸びました(トレーニング日が週1日増えるごとに効果量0.14)。筋肉の大きさには回数による差がなく、著者は、週2回より多くしても利点は小さいとしています [[32948100]]。
回数とは別の疑問です。たんぱく質を多くとる食事は[高たんぱく食は腎臓に悪いって本当?](/evidence/high-protein-kidney-myth)、クレアチンは[クレアチンで髪が薄くなるって本当?](/evidence/creatine-hair-loss-myth)で、研究から答えています。
健康な大人の試験119件・3364人。どのやり方も、運動しない場合より筋肉を大きくした。
研究25件のメタ解析。週の合計の量をそろえると、回数が違っても筋肉の大きくなり方に有意な差はなかった。
研究67件・2058人のメタ回帰。筋肉の大きさは、回数より週の合計セット数との結びつきが強かった。
研究22件のメタ解析。回数が多いほど筋力の伸びは大きかったが、量をそろえると差はなかった。
筋トレ経験のある男性24人。太ももの筋肉の太さの増え方に有意な差はなかった。
筋トレ経験のある男性18人。週5日の方法は、筋肉の厚さが週1回より大きく増えた。
研究14件・392人のメタ解析。週の合計の量が同じなら、筋力と筋肉の大きさの伸びに差はなかった。
研究10件のメタ解析。同じ部位を週2回鍛えるほうが週1回より筋肉が大きくなった。
筋トレ初心者67人。週のセット数が同じなら、筋肉の厚さの増え方に差はなかった。
高齢女性34人。筋力・筋肉量・筋肉の質の改善に差はなかった。
60歳以上の研究14件。筋肉の大きさに回数による有意な差はなかった。
判定「関連はない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。