[1]マッサージで運動後の遅れて出る筋肉痛が和らぐかを調べたメタ解析
- 発表年
- 2017年
- 研究機関
- 中国・上海体育大学
- 掲載誌
- Frontiers in physiology
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 504人
- 結果の向き
- 良い方向
激しい運動のあとのマッサージで、筋肉痛の強さとCKが小さくなりました。

運動後のマッサージは、筋肉痛に効きます。
激しい運動や慣れない運動のあとの、主に若い成人・運動選手の筋肉痛の話です。マッサージガンの効果や、強く揉んだときの影響は、ここからは言えません。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 17.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 97.5 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 4 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
マッサージは、手や道具で筋肉をもんだり、押したり、さすったりする方法です。運動のあとに受けると筋肉の痛みやこわばりが和らぐとされ、手で行うものと、振動を与えるマッサージガンなどの機器を使うものがあります。研究で多く調べられているのは、運動後に手で行う形で、痛みの対象は運動の翌日以降に出る「遅れて出る筋肉痛(DOMS)」です。注意点は、強い腫れや長引く痛みがあるときは、自己判断せず医師に相談することです。
答えの中心は、中国の上海体育大学などの研究チームが2017年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じテーマの試験を集めて結果を統合する方法です。
| 研究の種類 | マッサージで筋肉痛が和らぐかを調べたランダム化比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 激しい運動をした人(11件・504人) |
| 比べたもの | 運動後のマッサージと、何もしない場合 |
| 結果 | 筋肉痛の強さが小さかった(標準化平均差 -1.16) |
差は運動の24時間後(-0.61)より、48時間後(-1.51)・72時間後(-1.46)で大きくなりました。
標準化平均差は、痛みの測り方をそろえた数値で、マイナスが大きいほど痛みが小さいことを表します。-1.16は、統計の分類では大きな差にあたります。研究が比べているのは、運動の24・48・72時間後それぞれの痛みの強さで、痛みが消えるまでの日数ではありません。ただし、1件あたりの人数が少なく、結果のばらつきも大きいと評価されています [2]。系統的レビュー29件を整理した総説も、24時間後は根拠がやや強く、48・72時間後は弱いとしています [8]。根拠の確かさは低めです。
回復法どうしを比べると、結果は割れます。運動後の回復法99件を比べたメタ解析では、筋肉痛と疲労感の回復にいちばん効果が大きかった方法はマッサージでした [4]。2026年のネットワークメタ解析では、冷水浴とマッサージがどちらも運動の直後と24時間後に筋肉痛を和らげました [5]。一方、次の試験ではマッサージより冷水浴のほうが良い結果でした [9]。サプリでの回復は グルタミンで筋肉痛や疲労の回復は早まる? で扱っています。
冷水浴の人は、48時間後に痛みの訴えがなくなりました。
手でのマッサージは、29件・1012人のメタ解析で、筋肉痛を小さいながら統計的に意味のある程度に減らしました [3]。マッサージガンだけを調べたRCT12件のメタ解析では、筋肉痛がはっきり軽くなるという結果は出ませんでした(確実性は非常に低い)[11]。最大筋力の回復にも差はありませんでした。
個別の試験でも、10分使っても安静にした人と筋肉痛は変わりませんでした [12]。運動直後から48時間後まで5分ずつ使った試験でも、筋肉痛や筋力は何もしない場合と変わりませんでした [13]。
振動刺激全般を調べたメタ解析では、痛みが減っています [14] [15]。ただし機器の種類は要旨に書かれておらず、マッサージガンの結果とは言えません。
研究の対象は、激しい運動や慣れない運動のあとの健康な人が中心です。例えば、経験のある男性ボディビルダー30人の試験では、脚の筋トレのあとに30分のマッサージを受けた人の回復が、全体として良好でした [16]。副作用は、集めた研究の要旨に主な記載がありません。強い腫れや長引く痛みがあるとき、持病や服薬中の人は、医師や薬剤師に確認してください。
強く揉むほど効くという研究も、揉むと痛めるという研究も、見つかっていません。
運動後のマッサージで筋肉痛が軽くなることは、複数のメタ解析で一致しています。
筋力の回復、マッサージガン、血流が良くなるという説明は、同じようには言えません。
まずは運動後に手でのマッサージを試し、痛みが長引くときは医師に相談しましょう。
自分で行う場合を調べた研究は、今回集めた中にはありません。確かめられているのは、運動後に受けた場合の結果です。道具で自分でほぐす方法は [フォームローラーは効果ある?](/evidence/foam-roller-effects) で扱っています。
運動前に振動刺激を受けたRCT6件・180人のメタ解析で、24・48時間後の筋肉痛が対照より軽くなりました [[32796411]]。ただしマッサージガンの結果とは言えず、含まれた研究の質は低〜中程度で、運動後に使う場合とは使う時期が違います。
高齢の男女78人の試験で、ふくらはぎの筋トレのあとに15分のマッサージをくり返した人は、筋肉の痛みが和らぎ、筋力の低下も小さくなりました [[33210806]]。ただし1本の試験の結果で、まとめて分析した結果ではありません。
激しい運動のあとのマッサージで、筋肉痛の強さとCKが小さくなりました。
マッサージは何もしない場合より筋肉痛を減らしましたが、研究の質は低めでした。
手によるマッサージ29件・1012人の統合で、筋肉痛は小さく減り、筋力やジャンプの改善の証拠はありませんでした。
回復法99件の比較で、マッサージが筋肉痛と疲労感の回復に最も効果の大きい方法でした。
マッサージは直後と24時間後の筋肉痛を和らげましたが、48〜72時間後には効果が薄れました。
効果は小さく一部ははっきりしませんが、5〜12分の短いマッサージのほうが効果が大きい傾向でした。
軽い運動はマッサージと同程度に筋肉痛を和らげ、効果は1時間以内に薄れました。
マッサージは24時間後の筋肉痛を減らす根拠がやや強く、48・72時間後は弱いと評価されました。
冷水浴のほうがマッサージより痛みを減らしました。
マッサージは血中乳酸の消え方や筋肉の血流を変えませんでした。
マッサージガンで筋肉痛がはっきり軽くなるという結果は出ませんでした。確実性は非常に低いです。
10分のマッサージガンやフォームローラーは、安静より筋肉痛を軽くしませんでした。
マッサージガンを使っても、筋肉痛や筋力などの回復は早まりませんでした。
振動刺激は筋肉痛の自覚的な痛みを減らしました。
10件・258人の統合で、振動は運動の24・48・72時間後の痛みを改善しました。
30人の試験で、30分のマッサージを受けた人は全体として回復が良好でした。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。