マッサージで筋肉痛は軽くなる?

マッサージで筋肉痛は軽くなる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.01
答え効く

運動後のマッサージは、筋肉痛に効きます。

根拠

運動後のマッサージを何もしない場合と比べたランダム化比較試験11件・504人のメタ解析で、筋肉痛の強さは小さくなりました(標準化平均差 -1.16)[1]。ほかの4本のメタ解析も、そろって痛みが減ると報告しています [2] [3] [4] [5]。根拠の確かさは低めです。1件あたりの人数が少なく、研究ごとの結果のばらつきも大きいためです [2]。筋力の回復は、11件のまとめでは良く、29件・1012人のまとめでは改善の証拠がなく、結果が割れています [1] [3]。

この答えの範囲

激しい運動や慣れない運動のあとの、主に若い成人・運動選手の筋肉痛の話です。マッサージガンの効果や、強く揉んだときの影響は、ここからは言えません。

じゃあ、どうする?

運動後に、5〜12分ほどのマッサージを試す価値があります。時間の手がかりは、運動能力の回復を調べたまとめ(効果は小さい)で、短いマッサージのほうが長いものより効果が大きい傾向、というものです [6]。軽い運動でも10分のマッサージと同程度に痛みが和らいだ試験があるので、やりやすいほうを選べます [7]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。16 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量17.520研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 97.5 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 4 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

マッサージとは

マッサージは、手や道具で筋肉をもんだり、押したり、さすったりする方法です。運動のあとに受けると筋肉の痛みやこわばりが和らぐとされ、手で行うものと、振動を与えるマッサージガンなどの機器を使うものがあります。研究で多く調べられているのは、運動後に手で行う形で、痛みの対象は運動の翌日以降に出る「遅れて出る筋肉痛(DOMS)」です。注意点は、強い腫れや長引く痛みがあるときは、自己判断せず医師に相談することです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、中国の上海体育大学などの研究チームが2017年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じテーマの試験を集めて結果を統合する方法です。

研究の種類マッサージで筋肉痛が和らぐかを調べたランダム化比較試験のメタ解析
対象激しい運動をした人(11件・504人)
比べたもの運動後のマッサージと、何もしない場合
結果筋肉痛の強さが小さかった(標準化平均差 -1.16)
まとめて分析した結果運動後のマッサージで、筋肉痛の強さは何もしない場合より小さくなりました [1]。

差は運動の24時間後(-0.61)より、48時間後(-1.51)・72時間後(-1.46)で大きくなりました。

標準化平均差は、痛みの測り方をそろえた数値で、マイナスが大きいほど痛みが小さいことを表します。-1.16は、統計の分類では大きな差にあたります。研究が比べているのは、運動の24・48・72時間後それぞれの痛みの強さで、痛みが消えるまでの日数ではありません。ただし、1件あたりの人数が少なく、結果のばらつきも大きいと評価されています [2]。系統的レビュー29件を整理した総説も、24時間後は根拠がやや強く、48・72時間後は弱いとしています [8]。根拠の確かさは低めです。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

回復法どうしを比べると、結果は割れます。運動後の回復法99件を比べたメタ解析では、筋肉痛と疲労感の回復にいちばん効果が大きかった方法はマッサージでした [4]。2026年のネットワークメタ解析では、冷水浴とマッサージがどちらも運動の直後と24時間後に筋肉痛を和らげました [5]。一方、次の試験ではマッサージより冷水浴のほうが良い結果でした [9]。サプリでの回復は グルタミンで筋肉痛や疲労の回復は早まる? で扱っています。

冷水浴と比べた試験クロスフィット経験者30人(何もしない群はなし)

冷水浴の人は、48時間後に痛みの訴えがなくなりました。

よく言われていることは本当?

  • マッサージで筋肉痛が軽くなる効きます。 メタ解析で示されていますが、根拠の確かさは低めです(上の結果)。
  • 筋力・運動能力の戻りが良くなる結果が割れています。 11件のメタ解析では最大筋力の戻りが良く(標準化平均差 0.56)[1]、29件・1012人のメタ解析では筋力・ジャンプ・ダッシュが良くなる証拠はありませんでした [3]。
  • 血流が良くなり、傷んだ筋肉が修復される「血流が良くなる」は支持されません。 筋肉の血流・血中乳酸の消え方・筋肉の温度は、マッサージで変わりませんでした [10]。血液中のCK(筋肉が傷むと増える酵素)は低くなり(標準化平均差 -0.64)[1]、炎症の指標(血液中のIL-6とCRP)もマッサージで下がりました [4]。ただしCKなどは痛みや回復そのものではなく、代わりの指標です。2026年のネットワークメタ解析では、48〜72時間後のCKに、マッサージを含むどの方法でもはっきりした効果はありませんでした [5]。
  • マッサージガンが効く研究が足りず、まだ分かりません。 次の節で説明します。
  • 強く揉むと筋肉を痛める強さと筋肉痛の悪化を比べた研究は、見つかっていません。 近い話として、マッサージガンを筋肉ごとに5分を超えて使うほど筋肉痛の点数が高い傾向が、予備的に出ています [11]。
  • 睡眠や軽い運動も効く軽い運動は、10分のマッサージと同程度に痛みを和らげました。 ただし女性20人の試験で、効果は1時間以内に薄れています [7]。睡眠は、今回の研究に含まれていません。
  • いつ・何分やればよいかタイミングは結果が一致しません。 上海体育大学のメタ解析は48・72時間後の差が大きく [1]、2026年のネットワークメタ解析は直後と24時間後に効果があり48〜72時間後に薄れたとしています [5]。時間の手がかりは、運動能力の回復を調べたまとめ(効果は小さい)だけで、5〜12分の短いマッサージが12分超より効果が大きい傾向でした [6]。

何が違う? 手でのマッサージとマッサージガン

手でのマッサージは、29件・1012人のメタ解析で、筋肉痛を小さいながら統計的に意味のある程度に減らしました [3]。マッサージガンだけを調べたRCT12件のメタ解析では、筋肉痛がはっきり軽くなるという結果は出ませんでした(確実性は非常に低い)[11]。最大筋力の回復にも差はありませんでした。

個別の試験でも、10分使っても安静にした人と筋肉痛は変わりませんでした [12]。運動直後から48時間後まで5分ずつ使った試験でも、筋肉痛や筋力は何もしない場合と変わりませんでした [13]。

振動刺激全般を調べたメタ解析では、痛みが減っています [14] [15]。ただし機器の種類は要旨に書かれておらず、マッサージガンの結果とは言えません。

02注意点

研究の対象は、激しい運動や慣れない運動のあとの健康な人が中心です。例えば、経験のある男性ボディビルダー30人の試験では、脚の筋トレのあとに30分のマッサージを受けた人の回復が、全体として良好でした [16]。副作用は、集めた研究の要旨に主な記載がありません。強い腫れや長引く痛みがあるとき、持病や服薬中の人は、医師や薬剤師に確認してください。

強さは、研究では確かめられていません

強く揉むほど効くという研究も、揉むと痛めるという研究も、見つかっていません。

03まとめ

運動後のマッサージで筋肉痛が軽くなることは、複数のメタ解析で一致しています。
筋力の回復、マッサージガン、血流が良くなるという説明は、同じようには言えません。
まずは運動後に手でのマッサージを試し、痛みが長引くときは医師に相談しましょう。

04よくある質問

Q自分でマッサージしても効きますか?

自分で行う場合を調べた研究は、今回集めた中にはありません。確かめられているのは、運動後に受けた場合の結果です。道具で自分でほぐす方法は [フォームローラーは効果ある?](/evidence/foam-roller-effects) で扱っています。

Q運動の前にマッサージガンを使うとどうですか?

運動前に振動刺激を受けたRCT6件・180人のメタ解析で、24・48時間後の筋肉痛が対照より軽くなりました [[32796411]]。ただしマッサージガンの結果とは言えず、含まれた研究の質は低〜中程度で、運動後に使う場合とは使う時期が違います。

Q高齢の人にも効きますか?

高齢の男女78人の試験で、ふくらはぎの筋トレのあとに15分のマッサージをくり返した人は、筋肉の痛みが和らぎ、筋力の低下も小さくなりました [[33210806]]。ただし1本の試験の結果で、まとめて分析した結果ではありません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(16本)

[1]マッサージで運動後の遅れて出る筋肉痛が和らぐかを調べたメタ解析

発表年
2017年
研究機関
中国・上海体育大学
掲載誌
Frontiers in physiology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
504人
結果の向き
良い方向

激しい運動のあとのマッサージで、筋肉痛の強さとCKが小さくなりました。

[2]遅れて出る筋肉痛に対する理学療法を比べたメタ解析

発表年
2021年
研究機関
ブラジル・リオデジャネイロ連邦州立大学
掲載誌
Physical therapy in sport : official journal of the Association of Chartered Physiotherapists in Sports Medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

マッサージは何もしない場合より筋肉痛を減らしましたが、研究の質は低めでした。

[3]スポーツマッサージが運動能力と回復に与える影響のメタ解析

発表年
2020年
研究機関
イギリス・シェフィールド大学
掲載誌
BMJ open sport & exercise medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,012人
結果の向き
良い方向

手によるマッサージ29件・1012人の統合で、筋肉痛は小さく減り、筋力やジャンプの改善の証拠はありませんでした。

[4]運動後の回復法を比べて筋肉痛・疲労・炎症への効果を調べたメタ解析

発表年
2018年
研究機関
フランス・ポワティエ大学
掲載誌
Frontiers in physiology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

回復法99件の比較で、マッサージが筋肉痛と疲労感の回復に最も効果の大きい方法でした。

[5]運動後の回復法の短期・遅れた効果を比べたネットワークメタ解析

発表年
2026年
研究機関
中国・清華大学
掲載誌
Healthcare (Basel, Switzerland)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

マッサージは直後と24時間後の筋肉痛を和らげましたが、48〜72時間後には効果が薄れました。

[6]マッサージと運動能力の回復を調べたメタ解析

発表年
2016年
研究機関
ドイツ・ザールラント大学
掲載誌
Sports medicine (Auckland, N.Z.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究22件を統合
結果の向き
結果が割れている

効果は小さく一部ははっきりしませんが、5〜12分の短いマッサージのほうが効果が大きい傾向でした。

[7]マッサージと軽い運動の、筋肉痛への即時の効果を比べた試験

発表年
2013年
研究機関
デンマーク・国立労働環境研究センター
掲載誌
Journal of strength and conditioning research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
良い方向

軽い運動はマッサージと同程度に筋肉痛を和らげ、効果は1時間以内に薄れました。

[8]筋肉痛に対する理学療法の系統的レビューを整理した総説

発表年
2025年
研究機関
ポーランド・内務行政省国立医療研究所
掲載誌
Sports medicine (Auckland, N.Z.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究29件を統合
結果の向き
良い方向

マッサージは24時間後の筋肉痛を減らす根拠がやや強く、48・72時間後は弱いと評価されました。

[9]クロスフィット後の筋肉痛に冷水浴とマッサージを比べた試験

発表年
2025年
研究機関
ブラジル・アルファナス連邦大学
掲載誌
PloS one
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
結果が割れている

冷水浴のほうがマッサージより痛みを減らしました。

[10]マッサージがスポーツや運動の成績に与える影響の系統的レビュー

発表年
2023年
研究機関
セルビア・ベオグラード大学
掲載誌
Sports (Basel, Switzerland)
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究114件を統合
結果の向き
結果が割れている

マッサージは血中乳酸の消え方や筋肉の血流を変えませんでした。

[11]マッサージガンの量と、運動後の筋肉の回復を調べたメタ解析

発表年
2026年
研究機関
中国・首都体育学院
掲載誌
Chiropractic & manual therapies
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究12件を統合
結果の向き
良い方向

マッサージガンで筋肉痛がはっきり軽くなるという結果は出ませんでした。確実性は非常に低いです。

[12]2つの筋肉ほぐし方法と筋肉痛を比べた試験

発表年
2024年
研究機関
トルコ・イズミル・ケティプチェレビ大学
掲載誌
Journal of sport rehabilitation
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

10分のマッサージガンやフォームローラーは、安静より筋肉痛を軽くしませんでした。

[13]腕の運動で傷めた筋肉の回復とマッサージガンを調べた試験

発表年
2025年
研究機関
アメリカ・ハートフォード大学
掲載誌
Journal of strength and conditioning research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
差なし

マッサージガンを使っても、筋肉痛や筋力などの回復は早まりませんでした。

[14]振動刺激と遅れて出る筋肉痛を調べたメタ解析

発表年
2022年
研究機関
中国・広西師範大学
掲載誌
Medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

振動刺激は筋肉痛の自覚的な痛みを減らしました。

[15]振動は遅れて出る筋肉痛に役立つかを調べたメタ解析

発表年
2019年
研究機関
中国・上海中医薬大学附属岳陽中西医結合病院
掲載誌
The Journal of international medical research
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
258人
結果の向き
良い方向

10件・258人の統合で、振動は運動の24・48・72時間後の痛みを改善しました。

[16]男性ボディビルダーの筋肉痛と回復へのマッサージの効果を調べた試験

発表年
2016年
研究機関
イラン・イスファハン大学
掲載誌
Journal of sports sciences
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
良い方向

30人の試験で、30分のマッサージを受けた人は全体として回復が良好でした。

ほかに参考にした論文(8本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。