寝る前のプロテインは筋肉づくりに効く?

寝る前のプロテインは筋肉づくりに効く?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.01
答え効く

効きます。筋トレと合わせると、筋力が伸びます。

根拠

筋トレをする成人の比較試験116件・4,711人を分析した2024年のネットワークメタ解析で、夜にプロテインを飲んだ人は偽薬より、レッグプレスの最大重量が平均12.12kg、握力が2.85kg多く伸びました [1]。116件・4,711人は解析全体の数で、夜に飲んだ群だけの人数ではありません。根拠の確かさは中程度です。ただし夜に飲むことが昼に飲むより良いかは、昼と比べた試験で差が出ておらず確かではありません [2]。

この答えの範囲

筋トレを続けている成人の話です。高齢男性では上乗せが見られなかった試験もあります。飲む時間の効果か、たんぱく質の総量の効果かは区別できません。

じゃあ、どうする?

筋トレをしている日は、寝る前に飲む使い方で構いません。まず1日の総量が足りているかを見て、足りない分を寝る前に回す形が、研究の条件に近いです。腎臓の病気がある人は、医師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。13 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量19.220研究件数と参加人数
一致度15.325結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 89.5 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

寝る前のプロテインとは

寝る前のプロテインは、就寝の前にたんぱく質のサプリ(カゼインやホエイ)を飲む方法です。寝ている間は食事がとれないため、筋トレをする人の間で広く行われています。カゼインは体内でゆっくり吸収されるのが特徴です。注意点は、プロテインにもカロリーがあることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、華中科技大学(中国)などの研究チームが2024年に発表したネットワークメタ解析です [1]。ネットワークメタ解析とは、飲むタイミングや種類が違う試験をまとめて、同じ土俵で比べる方法です。

研究の種類筋トレをする成人の比較試験のネットワークメタ解析
対象筋トレをする成人(116件・4,711人)
比べたもの飲むタイミング・種類ごとのプロテインと偽薬
結果夜に飲むと、レッグプレスの最大重量と握力の伸びが最も大きかった
まとめて分析した結果夜にプロテインを飲むと、偽薬よりレッグプレスの最大重量が平均12.12kg、握力が2.85kg多く伸びました。

確実性は中程度と評価されています [1]。

ただし、筋肉量そのものを最も増やしたのは運動後に飲むタイミングで、除脂肪量が平均0.54kg多く増えました [1]。夜は「筋力の伸び」で目立った、と読むのが正確です。116件・4,711人は解析全体の数で、夜に飲んだ群だけの人数ではありません。

若い男性44人の試験では、12週間の筋トレ中に毎晩寝る前にたんぱく質27.5gをとった群が、偽薬の群より筋力と太ももの筋肉の断面積が大きく増えました [3]。

夜に飲むのは、時間のせい? 総量のせい?

夜の効果が「寝る前」という時間によるものか、たんぱく質を足した総量によるものかは、区別できていません。

  • 男性13人で、カゼイン35gを昼に飲んでも寝る前に飲んでも、10週間の筋トレによる筋肉と筋力の伸びに差はありませんでした(総たんぱく質量はそろえた試験) [2]
  • 若い成人の試験23件・611人のまとめでは、筋トレにプロテインを足すとスクワットの筋力が平均7.40kg多く伸びましたが、効果は運動前後と寝る前の両方でとった研究で主に見られ、寝る前だけの効果ではありませんでした [4]

高齢の男性では?

9本の研究の系統的レビューは、寝る前のたんぱく質は若い男性では筋トレの効果を上げうるが、高齢男性では効果が見られず、群間のたんぱく質総量の違いもあるため慎重に解釈すべきとしています [5]。

差がなかった試験普段からたんぱく質を十分とっている高齢男性30人(平均65.7歳)

12週間の筋トレに寝る前の40gを足しても、筋肉の厚さ・筋力の伸びは筋トレだけと差がありませんでした [6]。

寝ている間の筋肉づくりは高まる?

高まります。ただし、これは筋肉のたんぱく質の合成速度を測った研究で、実際に筋肉が増えたかを見た研究とは別です。根拠の確かさは低めです。研究の数が少ないためです。

  • 高齢男性48人で、寝る前にカゼイン40gを飲むと、寝ている間の合成速度が偽薬より高くなりました。20gでは差がはっきりしませんでした [7]
  • 夕方に持久系の運動をした若い男性36人で、カゼインかホエイ45gを飲むと、合成速度が偽薬より高く、カゼインとホエイの差はありませんでした [8]
  • 夕方に筋トレをした若い男性では、カゼイン30gで合成速度は偽薬と差がありませんでした [9]

よく言われていることは本当?

  • 筋トレと合わせて寝る前に飲むと筋肉がつきやすい筋力の伸びには効きます。 筋肉量そのものは運動後に飲む場合のほうが増えていました [1]
  • 寝ている間に筋肉が作られるから、寝る前が良い合成が高まる試験はありますが、実際の筋肉の増え方まで確かめた試験では、昼に飲んでも差がありませんでした [2]
  • 寝る前に飲むと太る短期の指標では、太りやすくなる結果は見られていません。 人の試験8本・計101人で、夜の脂肪の分解や翌朝の代謝・食欲は偽薬や昼に飲む場合と大きな差がありませんでした [10] [11]。数か月続けたときの体重は、直接確かめた研究がほとんどありません
  • 寝る前はゆっくり吸収されるカゼインが良い差は見つかっていません。 45gの試験で、カゼインとホエイの差はありませんでした [8]
  • 成長ホルモンが出る睡眠中が筋肉づくりのチャンス寝る前のプロテインで成長ホルモンや筋肉が変わるかを主な結果として調べた研究が見つかっていません
  • 飲みすぎると腎臓に負担がかかる飲む時間と腎臓の関係を調べた研究は見つかっていません。 摂取量全体の話は 高たんぱく食は腎臓に悪いって本当? で扱っています

太るかを、人の試験で見ると

肥満の若い男性12人が寝る前にカゼイン(120kcal)を飲んだ試験では、寝ている間と翌朝のおなかの脂肪の分解・安静時の代謝・食欲は、偽薬と差がありませんでした [10]。11本の系統的レビューも、寝る30分前のカゼイン24〜48gは、代謝や食欲への影響がほとんど無いか限られているとまとめています(データは少ない) [11]。

数か月続けたときの体重や体脂肪を、プロテインなしと直接比べた研究はほとんどありません。ホルモン療法中の前立腺がんの人60人の試験では、運動後と毎晩寝る前にホエイ31gをとって筋トレをした群で体脂肪が増えました(偽薬の群では増えませんでした。対象者が特殊で、寝る前だけの影響とは言えません) [12]。カロリーの足し過ぎで太るかどうかは、1日の総摂取量で決まる話です。

02注意点

研究で使われた量は、寝る前に20〜45gの試験が中心です。たとえば男子サッカー選手44人の試験では、寝る45分前にカゼイン20gを4週間とり、膝を伸ばす筋力の一部の指標だけが上がりました [13]。胃の不調が出ることがあるため、飲む量は控えめから始める人が多いです。腎臓の病気がある人、持病や服薬中の人は、医師や薬剤師に確認してください。

飲む時間より、1日の総量を先に見る

食事でたんぱく質が足りている人には、上乗せの効果が見られなかった試験があります。

運動の前後どちらがよいかは プロテインは筋トレの前と後どっちに飲むといい? で扱っています。

03まとめ

寝る前のプロテインは、筋トレと合わせると筋力の伸びに効きます。夜の脂肪の分解や代謝、食欲には差が見られていませんが、数か月の体重は確かめられていません。
夜の効果が時間によるのか総量によるのかは分かっておらず、すでに十分とっている人には上乗せが小さい場合があります。
筋トレの日に食事で足りない分を、寝る前に回す形から試しましょう。

04よくある質問

Qカゼインとホエイ、どちらを選べばよいですか?

寝ている間の合成速度を調べた試験では、カゼインとホエイの差はありませんでした [[36857005]]。続けやすいほうで構いません。

Q筋トレをしない日も飲んだほうがいいですか?

研究は筋トレと組み合わせた試験が中心です。筋トレをしない日の効果は、確かめられていません。

Q寝る前に飲むと睡眠に影響しますか?

この疑問のために集めた研究では、睡眠への影響は確かめていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(13本)

[1]筋トレ中のたんぱく質の飲む時間と種類を比べたネットワークメタ解析

発表年
2024年
研究機関
中国・華中科技大学
掲載誌
International journal of sport nutrition and exercise metabolism
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,711人
結果の向き
良い方向

筋トレをする成人の試験116件・4,711人の解析で、夜に飲むと筋力が伸びた。

[2]昼のカゼインと夜のカゼインは同じように筋肉を増やす

発表年
2018年
研究機関
アメリカ・テキサス女子大学
掲載誌
Journal of the International Society of Sports Nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
13人
結果の向き
差なし

男性13人で、カゼイン35gを昼に飲んでも寝る前に飲んでも、10週間の筋トレによる筋肉と筋力の伸びに差はなかった (総たんぱく質量はそろえた)

[3]寝る前のたんぱく質は若い男性の筋肉と筋力の増加を高める

発表年
2015年
研究機関
オランダ・マーストリヒト大学
掲載誌
The Journal of nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
44人
結果の向き
良い方向

若い男性44人で、12週間の筋トレ中に毎晩寝る前にたんぱく質27.5gをとると、偽薬より筋力と太ももの筋肉の断面積が大きく増えた (ネットワークメタ解析の検索期間内の研究)

[4]Protein supplementation and resistance training-induced strength gains in young adults: a meta-analysis.

発表年
2026年
研究機関
中国・Zhang Cほかの研究チーム
掲載誌
Frontiers in nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
611人
結果の向き
良い方向

若い成人のRCT23件・611人のメタ解析で、筋トレにプロテインを足すとスクワットの筋力が平均7.40kg多く伸び、効果は運動前後と寝る前の両方でとった研究で主に見られた (寝る前だけの効果ではない)

[5]寝る前のたんぱく質摂取と筋肉への影響のシステマティックレビュー

発表年
2021年
研究機関
ブラジル・ブラジリア大学
掲載誌
Journal of science and medicine in sport
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究9件を統合
結果の向き
結果が割れている

9本の研究の系統的レビューで、寝る前のプロテインは若い男性では筋トレの効果を上げうるが、高齢男性では効果が見られず、群間のたんぱく質総量の違いもあり慎重に解釈すべきとされた

[6]高齢男性では寝る前も運動後のたんぱく質も筋トレの効果を変えない

発表年
2025年
研究機関
アメリカ・フロリダ州立大学
掲載誌
Journal of the International Society of Sports Nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
差なし

たんぱく質を十分とっている高齢男性30人で、寝る前の40gを足しても差がなかった。

[7]寝る前のたんぱく質は高齢男性の寝ている間の筋肉合成を高める

発表年
2017年
研究機関
マーストリヒト大学
掲載誌
The Journal of nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
48人
結果の向き
良い方向

高齢男性48人で、寝る前にカゼイン40gを飲むと寝ている間の筋肉の合成速度が高くなった。

[8]寝る前のたんぱく質は夜間の筋肉と細胞のエネルギー工場の合成を高める

発表年
2023年
研究機関
オランダ・マーストリヒト大学
掲載誌
Sports medicine (Auckland, N.Z.)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
36人
結果の向き
良い方向

若い男性36人で、寝る前にカゼインかホエイ45gを飲むと合成速度が偽薬より高かった。

[9]寝る前のたんぱく質に由来するアミノ酸が筋肉に取り込まれる

発表年
2018年
研究機関
オランダ・マーストリヒト大学
掲載誌
American journal of physiology. Endocrinology and metabolism
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

若い男性36人で、カゼイン30gでは寝ている間の筋肉の合成速度に差がなかった。

[10]寝る前のカゼインが肥満男性の脂肪の代謝に与える影響

発表年
2016年
研究機関
アメリカ・アラバマ大学バーミンガム校
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
12人
結果の向き
差なし

肥満の若い男性12人で、寝る前のカゼインは脂肪の分解や代謝に差がなかった。

[11]Pre-Sleep Casein Supplementation, Metabolism, and Appetite: A Systematic Review.

発表年
2021年
研究機関
アメリカ・Dela Cruz Jほかの研究チーム
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究11件を統合
結果の向き
差なし

11本の研究の系統的レビューで、寝る30分前にカゼイン24〜48gをとっても、代謝や食欲への影響はほとんど無いか限られていた (データは少ない)

[12]ホルモン療法中の前立腺がんの人に対する筋トレとプロテインの効果

発表年
2023年
研究機関
Houben LHPほかの研究チーム
掲載誌
Medicine and science in sports and exercise
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
60人
結果の向き
差なし

ホルモン療法中の前立腺がんの人60人で、筋トレと寝る前のホエイを続けた群は体脂肪が増えた。

[13]寝る前のカゼインがサッカー選手の下半身の筋力に与える影響

発表年
2025年
研究機関
イラン・シラーズ大学
掲載誌
Journal of the International Society of Sports Nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
44人
結果の向き
結果が割れている

男子サッカー選手44人で、寝る前のカゼイン20gを4週間続けると、一部の筋力の指標が上がった。

ほかに参考にした論文(16本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。