[1]たんぱく質の多い食事が腎臓の働きに与える影響を調べたメタ解析
- 発表年
- 2018年
- 研究機関
- カナダ・ウォータールー大学
- 掲載誌
- The Journal of nutrition
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 1,358人
- 結果の向き
- 差なし
腎臓病のない成人1358人(28件)で、高たんぱく食でもろ過の働きに差はなかった。

健康な人では、ほぼウソです。高たんぱく食でも腎臓の働きは変わりませんでした。
腎臓病のない成人の話です。多くの研究は期間が短く、数十年の長期データはありません。すでに腎臓病がある人には当てはまりません。
腎臓に病気がない人は、研究で調べられた量なら、腎臓だけを理由にたんぱく質を減らす必要はありません。長く続けるなら、健診で腎機能の数値を確かめながら。腎臓病と言われている人や、健診で腎機能を指摘された人は、量を自己判断せず主治医に相談を。結石が気になる人は、肉に偏らない食べ方を [4]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 17.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 2 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 94.6 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 95 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
高たんぱく食は、肉・魚・卵・乳製品・大豆などのたんぱく質を、ふつうより多くとる食事です。筋肉を保つ、満腹感が続くとされ、食事の工夫のほか、粉末のプロテインを足す方法もあります。何グラム以上を高たんぱくとみなすかは、研究によって決め方が違うのが特徴です。注意点は、すでに腎臓病がある人は、とってよい量を医師と決める必要があることです。
答えの中心は、カナダのウォータールー大学などの研究チームが2018年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じテーマの比較試験を集めて、結果をまとめて計算する方法です。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 腎臓病のない成人(28件・1358人) |
| 比べたもの | 高たんぱく食と、ふつう〜少なめのたんぱく質の食事 |
| 結果 | 糸球体ろ過量(腎臓のろ過の働き)の変化に差はなかった |
高たんぱく食とは、体重kgあたり1.5g以上、またはエネルギーの20%以上、または毎日100g以上のたんぱく質をとる食事で、4日を超えて続けた試験です。
2026年のメタ解析(RCT19件・1044人)では、エネルギーの25〜35%、または体重kgあたり2.0g以上という多い食事でも、血清クレアチニン(腎臓の働きの目安)は変わりませんでした [2]。健康な成人の研究26件の系統的レビューも、血液の腎機能の指標にほとんど影響はないとしています [5]。
観察研究6件(148,051人)のまとめでは、たんぱく質を多くとる人ほど、慢性腎臓病になる人が少ない関連が見られました(リスク比0.82)[6]。観察研究なので、原因とは言えません。
「ろ過量が上がる=腎臓に負担」と受け取られがちです。実際に、2014年のメタ解析(30件・2160人)では、高たんぱく食でろ過量が平均7.18 ml/min/1.73 m2多く上がりました [7]。2026年の解析でも推定糸球体ろ過量は上がっています [2]。
ろ過量は上がりましたが、尿へのカルシウムの排出も増えており、著者は肥満の人の減量で動物性中心の高たんぱく食をすすめるときは慎重にとしています。
ただ、ドイツ栄養学会のガイドライン用のまとめは、この変化をおもに病気ではなく体の調節の反応だった可能性があると評価しました [3]。腎臓の病気を引き起こす根拠は、どの項目でも見つからなかったとしています。
ここは話が変わります。ただし調べられたのは、高たんぱく食の害ではなく、たんぱく質を減らす食事の効果です。糖尿病のない慢性腎臓病(ステージ3〜5)の人1010人(10件)で、体重kgあたり0.3〜0.4gのとても少ないたんぱく質の食事は、0.5〜0.6gの少なめの食事より、透析が必要な末期腎不全に進む人を減らす結果でした(リスク比0.65、1000人あたり165人少ない)[9]。一方、少なめの食事とふつうの食事の比較では、差はほとんどありません。根拠の確かさは低めです [9]。糖尿病による腎臓病の4件でも、差はほとんどありません。根拠の確かさは低めです [10]。
一般の人を調べた観察研究のまとめでは、乳製品以外の動物性たんぱく質を多くとる人は、腎臓結石になるリスクが1.11倍と関連していました。肉・肉製品は1.22倍、加工肉は1.29倍です。乳製品のたんぱく質では0.91倍でした [4]。観察研究なので原因とは言えず、根拠の確かさは低めです。一方、健康な成人の研究を集めた系統的レビューは、結石については根拠が限られ、結果も一致していないとしています [5]。
高たんぱく食の研究の多くは期間が短く、6か月未満のものが中心です [5]。数十年の影響は分かっていません [3]。腎臓病のある人、腎機能を指摘された人、糖尿病や服薬のある人は、たんぱく質の量を医師や管理栄養士と決めてください。
健診で腎機能の数値を指摘されたことがあれば、まず主治医に聞いてください。
腎臓病のない人では、高たんぱく食で腎臓の働きが落ちるという結果は、研究で見つかっていません。
ろ過量の上昇は、おもに体の調節の反応だった可能性があるとされています。腎臓病がある人は、これが当てはまりません。
心配なのは量そのものより、自分の腎機能です。肉に偏らず、乳製品や魚、大豆などを組み合わせましょう。
腎臓病のない成人では、たんぱく質を多くとる食事で腎機能に差は出ていません [[30383278]]。ただし、粉末と食品のたんぱく質を直接比べた研究は見つかっていません。調べられたのは食事全体で、多くは期間が短い試験です。
自己判断は避けてください。腎臓病がある人では、たんぱく質をとても少なくする食事が、末期腎不全に進む人を減らす結果がありました [[33118160]]。量は主治医と決めてください。
65歳以上の観察研究6件のうち5件で、たんぱく質の摂取量と腎機能の変化に関連は見られませんでした [[41894612]]。ただし観察研究で、著者は根拠が不十分としています。
腎臓病のない成人1358人(28件)で、高たんぱく食でもろ過の働きに差はなかった。
腎臓病のない成人1044人(RCT19件)で、高たんぱく食でも血清クレアチニンは変わらなかった。
たんぱく質を多くとることが腎臓結石や腎臓病を引き起こす根拠は見つからなかった。ろ過量の変化は体の調節の反応と考えられた。
乳製品以外の動物性たんぱく質を多くとる人は、腎臓結石になるリスクが1.11倍だった(4件)。
健康な成人の研究26件の系統的レビュー。たんぱく質を多くとっても、血液の腎機能の指標にはほとんど影響がなかった。
観察研究6件・148,051人のメタ解析。たんぱく質を多くとる人ほど、慢性腎臓病になる人が少なかった(リスク比0.82)。
腎臓病のない人2160人(30件)で、高たんぱく食ではろ過量が平均7.18 ml/min/1.73 m2多く上がった。
ホエイプロテインの悪影響を調べた11件の文献のレビュー。ヒト以外の研究も含む可能性があり、効果の大きさは示されていない。
糖尿病のない慢性腎臓病の人1010人(10件)で、とても少ないたんぱく質の食事は末期腎不全に進む人を減らす可能性が高かった。
糖尿病による腎臓病の人287人(4件)で、たんぱく質を少なめにする食事は、腎不全に進む人の数にほとんど差がない可能性があった。
判定「大きな心配はない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。