オイルプリング(油うがい)で歯垢は減る?

オイルプリング(油うがい)で歯垢は減る?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え半分本当

減りません。口臭は、歯周炎の人の小さな試験で減りました。

根拠

オイルプリングのRCT9件をまとめたメタ解析で、歯垢の指数は水などの対照と差がありませんでした [1]。歯肉炎の人のRCTをまとめた別のメタ解析も、同じ結果です [2]。根拠の確かさは低めです。試験ごとの結果にばらつきがあるためです。一方、歯周炎の30人の試験では、口臭の原因になる息の硫黄のにおい成分が偽薬より減りました [3]。

この答えの範囲

大人と10代で、毎日の歯みがきに加えてオイルプリングをした場合の話です。口臭は、歯周炎の30人の試験の結果です。

じゃあ、どうする?

歯垢を減らしたいなら、オイルプリングより歯みがきとフロス・歯間ブラシの時間を増やすほうが確実です。続けたい人は、歯みがきの代わりにせず、そのあとに足してください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。11 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量11.320研究件数と参加人数
一致度13.525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度25信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 76.8 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

オイルプリングとは

オイルプリングは、ごま油やココナッツオイルなどの食用油を口に含み、10〜20分ほどすすぐ習慣です。インドの伝統医学(アーユルヴェーダ)に由来し、口の中をきれいにするとされています。歯みがきの代わりではなく、歯みがきに足す形で調べた研究がほとんどです。注意点は、油を飲み込まないことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

歯垢は減るの?

答えの中心は、台湾の台北慈済病院などの研究チームが2022年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じテーマの試験を集めて結果を合算する方法です。オイルプリングのRCT(くじ引きで分けて比べる試験)9件がまとめられました。

研究の種類RCT9件のメタ解析
対象口の健康を調べた試験の参加者
比べたものオイルプリングと、水などの対照
結果歯垢の指数に差なし(平均差 -0.10)
まとめて分析した結果歯垢の指数は、オイルプリングと対照のあいだで差がありませんでした [1]。

歯ぐきの指数も同じで、平均差は -0.05 でした [1]。

歯肉炎の人を対象にした別のメタ解析(RCT41件のうち、オイルプリングの結果)も、歯垢の指数に統計的な差はありませんでした [2]。RCT5件の系統的レビューでは、3件の研究で、殺菌のうがい薬と比べても差がありませんでした [4]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

ココナッツオイルのRCT4件(182人)の系統的レビューは、歯垢の指数の低下を報告しています [5]。2025年のオーストリアのインスブルック医科大学の試験では、ごま油が蒸留水より歯垢を減らしました [6]。ただ、差は小さい結果です。歯周炎の30人の小さな試験でも、ココナッツオイルは偽薬より歯垢の指数を下げました [3]。

ごま油が歯垢を減らした試験歯周病が進んでいない40人が、毎朝15分、ごま油か蒸留水ですすぎました。

試験の終了時の歯垢の減少率の中央値は、ごま油18.98%、蒸留水10.49%でした [6]。

この試験でも、歯ぐきの指数には差がありませんでした。人数の少ない試験の結果は、9件をまとめたメタ解析のほうが偶然に左右されにくいため、答えの中心はメタ解析に置いています。

殺菌のうがい薬(クロルヘキシジン)との比較では、25件・1184人のメタ解析で、歯垢を減らす力はクロルヘキシジンのほうが強い結果でした(標準化平均差 0.33)[7]。

よく言われていることは本当?

  • 歯垢を減らす減りません。 メタ解析2本で、水などの対照と差がありませんでした [1] [2]。
  • 歯ぐきの炎症を防ぐ学術論文としては、まだ断定できていません。 25件・1184人のメタ解析は改善と報告しましたが、研究の確実性は非常に低いとされています [7]。9件のメタ解析と40人の試験では差がありませんでした [1] [6]。
  • 口臭を減らす減りました。 歯周炎の30人が1か月、ココナッツオイルですすぐと、息の硫黄のにおい成分が偽薬より減りました [3]。試験は1本だけで、根拠の確かさは低めです。
  • 虫歯菌を減らして虫歯を防ぐ虫歯菌の数を見た小さな試験はありますが、虫歯になるかどうかを確かめた研究は見つかっていません。
  • 歯が白くなる歯の白さを目的に測った臨床試験は見つかっていません。 着色(ステイン)は、クロルヘキシジンより少なかったという試験があります [8]。
  • 体の毒素を出すデトックスを確かめた研究は見つかっていません。

口臭は、どんな試験で減った?

口臭の試験は、結果が割れています。

  • 歯周炎の30人の試験:ココナッツオイルは偽薬より、息の硫黄のにおい成分を減らしました [3]。
  • 10代の小さな試験(各グループ10人):ごま油は、殺菌のうがい薬と同じくらい口臭に効きました [9]。
  • 妊婦30人:米ぬか油・ごま油と殺菌のうがい薬のあいだで、口臭の減り方に差はありませんでした [10]。
  • 口臭の代替療法26件の系統的レビュー:どの成分にもはっきりした効果は確かめられていません [11]。

偽薬と比べて減ったのは、歯周炎の30人の試験の1本です。口臭が気になる人は、舌や歯ぐきの手入れを含めた対策も合わせて見てください。詳しくは 口臭に効く対策は? にまとめています。

02注意点

研究で使われた油は、ごま油とココナッツオイルが中心で、毎日15分前後すすぐ試験が多くあります [6]。歯ぐきの出血が続く、歯がぐらつくなどの症状がある人は、油うがいで様子を見ず、歯科医師に相談してください。誤って油を飲み込む、むせるといったことが起きやすい人も、医師や歯科医師に確認してから試してください。うがい薬の考え方は マウスウォッシュで歯みがきの代わりになるって本当? も参考になります。

歯みがきの代わりにはしない

研究は、歯みがきに足す形が中心です。歯周病の予防の土台は [歯周病を防ぐには何が効く?](/evidence/periodontitis-prevention-self-care) にあるセルフケアです。

03まとめ

オイルプリングで、歯垢は減りません。
口臭は、歯周炎の30人の試験で減っていますが、試験は1本です。
歯みがきとフロスを土台にして、足したい人だけが続けましょう。

04よくある質問

Qごま油とココナッツオイルで違いはありますか?

歯垢について、2種類を比べて差を示した確かな結果はありません。メタ解析は、油の種類を分けずにまとめて、対照と差がないと報告しています [[36292438]]。

Q痰が出るのは毒素が出ているからですか?

デトックスを確かめた研究は見つかっていません。痰が出る理由を調べた試験も、今回の資料にはありません。

Q歯みがきの代わりにできますか?

研究の多くは、歯みがきを続けたうえで足す形です。代わりにできるかを確かめたものではありません。電動歯ブラシの話は [電動歯ブラシは手みがきより歯にいい?](/evidence/electric-toothbrush) にあります。

Qどのくらい続ければ変わりますか?

ごま油が歯垢を減らした試験は、毎朝15分すすぐ形で、数週間続けたものです [[39786483]]。口臭が減った試験は1か月です [[42057009]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(11本)

[1]オイルプリングが口の健康に役立つかを調べたメタ解析

発表年
2022年
研究機関
台湾・台北慈済病院
掲載誌
Healthcare (Basel, Switzerland)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究9件を統合
結果の向き
差なし

オイルプリングのRCT9件をまとめ、歯垢の指数は対照と差がなかった。

[2]歯肉炎の歯垢対策(ハーブ・オイルプリング)のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
インド・インド全インド医科大学
掲載誌
Journal of education and health promotion
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

歯肉炎の人のRCT41件をまとめ、オイルプリングの歯垢の指数は対照と差がなかった。

[3]歯周炎の補助としてココナッツオイルを調べた試験

発表年
2026年
研究機関
スペイン・パルディニャス歯科クリニック
掲載誌
BMC oral health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
良い方向

歯周炎の30人で、ココナッツオイルは偽薬より息の硫黄のにおい成分が減った。

[4]Effect of oil pulling in promoting oro dental hygiene: A systematic review of randomized clinical trials.

発表年
2016年
研究機関
イギリス・Gbinigie Oほかの研究チーム
掲載誌
Complementary therapies in medicine
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

RCT5件(160人)の系統的レビューで、3件の研究では歯垢の指数にオイルプリングと対照の差が無かった

[5]The effect of oil pulling with coconut oil to improve dental hygiene and oral health: A systematic review.

発表年
2020年
研究機関
イギリス・Woolley Jほかの研究チーム
掲載誌
Heliyon
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

ココナッツオイルのオイルプリングのRCT4件(182人)の系統的レビューで、歯垢の指数の低下に有意な差が見られた。後のメタ解析に含まれる時期の研究

[6]ごま油のオイルプリングが歯垢を減らすかを調べた試験

発表年
2025年
研究機関
オーストリア・インスブルック医科大学
掲載誌
Clinical oral investigations
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
40人
結果の向き
良い方向

40人が毎朝15分すすぎ、ごま油は蒸留水より歯垢が減った。

[7]オイルプリングと殺菌うがい薬などを比べたメタ解析

発表年
2024年
研究機関
マレーシア・サンウェイ大学
掲載誌
International journal of dental hygiene
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,184人
結果の向き
悪い方向

RCT25件・1184人をまとめ、歯垢の低下はクロルヘキシジンのほうが強かった。

[8]Efficacy of oil pulling therapy with coconut oil on four-day supragingival plaque growth: A randomized crossover clinical trial.

発表年
2019年
研究機関
トルコ・Sezgin Yほかの研究チーム
掲載誌
Complementary therapies in medicine
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

4日間歯みがきをしない試験で、ココナッツオイルのオイルプリングはクロルヘキシジンと同じくらい歯垢の再付着を抑えた

[9]オイルプリングと口臭・口臭の原因菌を調べた予備的な試験

発表年
2011年
研究機関
インド・ミーナクシ・アンマル歯科大学
掲載誌
Journal of the Indian Society of Pedodontics and Preventive Dentistry
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

10代の小さな試験(各グループ10人)で、ごま油のオイルプリングは口臭と口臭の原因菌について、殺菌のうがい薬クロルヘキシジンと同じくらい効いた

[10]妊婦の口臭に対する米ぬか油・ごま油・殺菌うがい薬の比較

発表年
2016年
研究機関
インド・K.M.シャー歯科大学
掲載誌
Indian journal of dental research : official publication of Indian Society for Dental Research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

妊婦30人で、米ぬか油・ごま油のオイルプリングとクロルヘキシジンのあいだで、口臭の減り方に差は無かった

[11]口臭に対する精油・ハーブ・オイルプリングなどの方法を集めた系統的レビュー

発表年
2021年
研究機関
ベルギー・ルーヴェン大学病院
掲載誌
Journal of breath research
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

口臭の代替療法の系統的レビュー(26件)で、どの成分にもはっきりした効果は確かめられなかった(オイルプリング単独の結果は要旨に無い)

ほかに参考にした論文(6本)

判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。