[1]加齢黄斑変性の進行を遅らせる抗酸化ビタミン・ミネラルのサプリ
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- イギリス・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
- 対象
- 2,445人
- 結果の向き
- 良い方向
診断された人が飲むと、後期に進みにくかった(RCT3件・2,445人)。

診断された黄斑変性の進行は遅らせます。病気のない人の予防と目の疲れには効きません。
効くのは、黄斑変性と診断された人が、専用に配合されたサプリを飲んだ場合の話です。目の病気のない人や、疲れ目の対策には当てはまりません。
診断を受けた人は、眼科医に相談して飲むかを決めましょう。サプリで病気は防げないので、病気のない人は、検診で早く見つけるほうが役に立ちます。疲れ目は、画面から目を休める工夫を。ルテイン単独の話は ルテインで目は良くなる? へ。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 14.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 18.3 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 2 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 81 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 81 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「高い」で、これを強度の上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
目のサプリは、目の健康を保つとされる成分を集めた食品です。ビタミンC・E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチン、ビルベリー(ブルーベリーの仲間)のエキス、アスタキサンチンなどがあります。目の疲れやピント調節、加齢による目の病気に良いと紹介されます。注意点は、「何に効くか」が成分と使う人によって大きく違うことです。
答えの中心は、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院などの研究チームが2023年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。加齢黄斑変性は、見たいものの中心が見えにくくなる目の病気です。
| 研究の種類 | 無作為化比較試験(RCT)の系統的レビュー |
|---|---|
| 対象 | 初期〜中期の加齢黄斑変性と診断された人(後期への進行を比べたRCT3件・2,445人) |
| 比べたもの | 抗酸化ビタミンと亜鉛の配合サプリ(AREDS 処方)とプラセボ(偽薬) |
| 結果 | 飲んだ人は、視力を大きく失う後期に進みにくかった |
初期の人では、1000人あたり約4人でした。中期の人ほど効果が大きい結果です [1]。
効果の大きさには、病気の段階による差があります。「飲めば誰でも同じように守られる」ではなく、すでに中期まで進んだ人ほど意味が大きい、と読むのが正確です。
病気のない人が飲んだ場合は、結果が逆です。コクランレビュー(世界の研究を集める国際団体の系統的レビュー)によると、ビタミンEのサプリかプラセボを4〜10年続けた55,614人(RCT4件)で、加齢黄斑変性になる人の割合は変わりませんでした。根拠の確かさは高い、と評価されています。βカロテン・ビタミンC・マルチビタミンでも予防の効果は見られませんでした [2]。
白内障も同じです。ビタミンEのサプリかプラセボに分けた50,059人(RCT3件)で、白内障になる人は減りませんでした [4]。ルテイン10mg・ゼアキサンチン2mgを毎日飲む組と飲まない組に分けた3,159人でも、白内障の手術が必要になる割合は変わりませんでした。この3,159人は、黄斑変性が進むおそれのある人です [5]。
パソコン作業による目の疲れについては、2022年のメルボルン大学などの系統的レビューがあります [3]。ビルベリーなどのベリーエキスのサプリは、プラセボより目の疲れを減らしませんでした(RCT7件)。ドライアイの症状も変わらず、カロテノイドのサプリは目の検査値の一部を上げたものの、意味のある差かは分かりませんでした。
アスタキサンチンを使った小さな試験では、目の疲れが減りました。ただし対象は子どもで、まとめの結果とは別に見る必要があります [6]。研究者が製造企業に所属している点も、考えに入れてください。
目の疲れの質問票の点数が、プラセボより下がりました(両群の差は20%)。
マルチビタミンを平均11.2年飲んだ男性医師14,641人では、白内障になる人がプラセボよりわずかに少なくなりました(872人対945人)。ただし加齢黄斑変性は減っていません [7]。
黄斑変性の進行を遅らせた配合は、βカロテンを含むものが中心でした。βカロテンは、主に元喫煙者で肺がんを増やした報告があります [1]。喫煙していた人や、いま喫煙している人は、とくに眼科医に確認してください。亜鉛は、男性で泌尿器の不調が増えた報告があります [1]。持病や服薬がある人も、医師や薬剤師に相談してから飲みましょう。
黄斑変性と診断されていない人が、予防のために飲んでも、研究では効果が確かめられていません。
目のサプリは、黄斑変性と診断された人の進行を遅らせます。
病気のない人の予防や、目の疲れには、研究では効果が見られていません。
診断を受けたら眼科医と相談し、疲れ目は目を休める工夫から始めましょう。
ベリーエキスのサプリは、RCT7件のまとめでプラセボより目の疲れを減らしませんでした。
病気のない人の黄斑変性の予防を、ルテイン・ゼアキサンチンで調べた研究は見つかっていません。診断された人の進行も、単独ではプラセボとの差がはっきりしません。
研究では、診断を受けた人が飲んだときに効果が見られました。予防のために早く飲み始める効果は、確かめられていません。
診断された人が飲むと、後期に進みにくかった(RCT3件・2,445人)。
ビタミンEのサプリを飲んだ55,614人(RCT4件)で、黄斑変性は減らなかった。
ベリーエキスのサプリは、目の疲れをプラセボより減らさなかった(RCT7件)。
ビタミンEを飲んだ50,059人(RCT3件)で、白内障は減らなかった。
3,159人で、白内障の手術が必要になる割合は変わらなかった。
64人の子どもで、84日飲むと目の疲れの点数がプラセボより下がった。
14,641人で、白内障はわずかに少なく、黄斑変性は減らなかった。
判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。