目のサプリで目の健康は守れる?

目のサプリで目の健康は守れる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効かない

診断された黄斑変性の進行は遅らせます。病気のない人の予防と目の疲れには効きません。

根拠

初期〜中期の加齢黄斑変性と診断された人では、抗酸化ビタミンと亜鉛のサプリで、視力を大きく失う後期に進みにくくなりました。RCT3件・2,445人の結果です [1]。根拠の確かさは中程度です。一方、病気のない人がビタミンEなどを飲んでも、黄斑変性になる人は減りませんでした(RCT4件・55,614人)[2]。目の疲れも、ベリーエキスのサプリ(RCT7件)では減りませんでした [3]。

この答えの範囲

効くのは、黄斑変性と診断された人が、専用に配合されたサプリを飲んだ場合の話です。目の病気のない人や、疲れ目の対策には当てはまりません。

じゃあ、どうする?

診断を受けた人は、眼科医に相談して飲むかを決めましょう。サプリで病気は防げないので、病気のない人は、検診で早く見つけるほうが役に立ちます。疲れ目は、画面から目を休める工夫を。ルテイン単独の話は ルテインで目は良くなる? へ。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。7 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 81 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量14.720研究件数と参加人数
一致度18.325結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度25信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 81 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 81 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「高い」で、これを強度の上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

目のサプリとは

目のサプリは、目の健康を保つとされる成分を集めた食品です。ビタミンC・E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチン、ビルベリー(ブルーベリーの仲間)のエキス、アスタキサンチンなどがあります。目の疲れやピント調節、加齢による目の病気に良いと紹介されます。注意点は、「何に効くか」が成分と使う人によって大きく違うことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

診断された黄斑変性は、進行が遅くなる

答えの中心は、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院などの研究チームが2023年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。加齢黄斑変性は、見たいものの中心が見えにくくなる目の病気です。

研究の種類無作為化比較試験(RCT)の系統的レビュー
対象初期〜中期の加齢黄斑変性と診断された人(後期への進行を比べたRCT3件・2,445人)
比べたもの抗酸化ビタミンと亜鉛の配合サプリ(AREDS 処方)とプラセボ(偽薬)
結果飲んだ人は、視力を大きく失う後期に進みにくかった
試験の結果中期の人では、サプリを飲んだ1000人あたり約78人、後期に進む人が少なくなる計算でした。

初期の人では、1000人あたり約4人でした。中期の人ほど効果が大きい結果です [1]。

効果の大きさには、病気の段階による差があります。「飲めば誰でも同じように守られる」ではなく、すでに中期まで進んだ人ほど意味が大きい、と読むのが正確です。

病気のない人の予防は、効かない

病気のない人が飲んだ場合は、結果が逆です。コクランレビュー(世界の研究を集める国際団体の系統的レビュー)によると、ビタミンEのサプリかプラセボを4〜10年続けた55,614人(RCT4件)で、加齢黄斑変性になる人の割合は変わりませんでした。根拠の確かさは高い、と評価されています。βカロテン・ビタミンC・マルチビタミンでも予防の効果は見られませんでした [2]。

白内障も同じです。ビタミンEのサプリかプラセボに分けた50,059人(RCT3件)で、白内障になる人は減りませんでした [4]。ルテイン10mg・ゼアキサンチン2mgを毎日飲む組と飲まない組に分けた3,159人でも、白内障の手術が必要になる割合は変わりませんでした。この3,159人は、黄斑変性が進むおそれのある人です [5]。

目の疲れは、ベリーエキスでは減らない

パソコン作業による目の疲れについては、2022年のメルボルン大学などの系統的レビューがあります [3]。ビルベリーなどのベリーエキスのサプリは、プラセボより目の疲れを減らしませんでした(RCT7件)。ドライアイの症状も変わらず、カロテノイドのサプリは目の検査値の一部を上げたものの、意味のある差かは分かりませんでした。

よく言われていることは本当?

  • 疲れ目を和らげる(ビルベリー・アスタキサンチン・ルテイン)ベリーエキスは効きません。 RCT7件のまとめで、目の疲れの差が出ませんでした [3]。ルテインなどのカロテノイドは、目の検査値の一部が上がっただけで、疲れが減ったかは分かりません [3]。アスタキサンチンは子どもの小さな試験だけで、大人では確かめられていません [6]。
  • ピント調節を助ける研究が足りません。 小さな試験では検査値が良くなりましたが、まとめでは差が出ていません [3]。
  • 加齢黄斑変性や白内障を防ぐ効きません。 病気のない人の予防は、大規模な試験で減っていません [2] [4]。
  • ルテインで黄斑変性の進行を遅らせる条件によります。 効いたのは抗酸化ビタミンと亜鉛の配合で、ルテイン・ゼアキサンチン単独はプラセボとの差がはっきりしません。根拠の確かさも低めです [1]。
  • ブルーライトから目を守る研究が足りません。 人で確かめた研究は見つかっていません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

アスタキサンチンを使った小さな試験では、目の疲れが減りました。ただし対象は子どもで、まとめの結果とは別に見る必要があります [6]。研究者が製造企業に所属している点も、考えに入れてください。

アスタキサンチンの試験画面を長時間見る10〜14歳の子ども64人(アスタキサンチン4mgを84日)

目の疲れの質問票の点数が、プラセボより下がりました(両群の差は20%)。

マルチビタミンを平均11.2年飲んだ男性医師14,641人では、白内障になる人がプラセボよりわずかに少なくなりました(872人対945人)。ただし加齢黄斑変性は減っていません [7]。

02注意点

黄斑変性の進行を遅らせた配合は、βカロテンを含むものが中心でした。βカロテンは、主に元喫煙者で肺がんを増やした報告があります [1]。喫煙していた人や、いま喫煙している人は、とくに眼科医に確認してください。亜鉛は、男性で泌尿器の不調が増えた報告があります [1]。持病や服薬がある人も、医師や薬剤師に相談してから飲みましょう。

診断があるかどうかで、答えが変わる

黄斑変性と診断されていない人が、予防のために飲んでも、研究では効果が確かめられていません。

03まとめ

目のサプリは、黄斑変性と診断された人の進行を遅らせます。
病気のない人の予防や、目の疲れには、研究では効果が見られていません。
診断を受けたら眼科医と相談し、疲れ目は目を休める工夫から始めましょう。

04よくある質問

Qブルーベリーのサプリで目の疲れは取れますか?

ベリーエキスのサプリは、RCT7件のまとめでプラセボより目の疲れを減らしませんでした。

Qルテインだけで黄斑変性は防げますか?

病気のない人の黄斑変性の予防を、ルテイン・ゼアキサンチンで調べた研究は見つかっていません。診断された人の進行も、単独ではプラセボとの差がはっきりしません。

Q目のサプリはいつから飲めばよいですか?

研究では、診断を受けた人が飲んだときに効果が見られました。予防のために早く飲み始める効果は、確かめられていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(7本)

[1]加齢黄斑変性の進行を遅らせる抗酸化ビタミン・ミネラルのサプリ

発表年
2023年
研究機関
イギリス・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
2,445人
結果の向き
良い方向

診断された人が飲むと、後期に進みにくかった(RCT3件・2,445人)。

[2]加齢黄斑変性を予防する抗酸化ビタミン・ミネラルのサプリ

発表年
2017年
研究機関
イギリス・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
55,614人
結果の向き
差なし

ビタミンEのサプリを飲んだ55,614人(RCT4件)で、黄斑変性は減らなかった。

[3]パソコン作業による目の疲れ対策のまとめ

発表年
2022年
研究機関
オーストラリア・メルボルン大学
掲載誌
Ophthalmology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究7件を統合
結果の向き
差なし

ベリーエキスのサプリは、目の疲れをプラセボより減らさなかった(RCT7件)。

[4]加齢白内障の予防と進行を抑える抗酸化ビタミンのサプリ

発表年
2012年
研究機関
アメリカ・メトロウェスト医療センター
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
50,059人
結果の向き
差なし

ビタミンEを飲んだ50,059人(RCT3件)で、白内障は減らなかった。

[5]ルテイン・ゼアキサンチンと白内障(AREDS2 試験)

発表年
2013年
研究機関
アメリカ・アメリカ国立眼研究所
掲載誌
JAMA ophthalmology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
3,159人
結果の向き
差なし

3,159人で、白内障の手術が必要になる割合は変わらなかった。

[6]子どもの画面による目の疲れとアスタキサンチン

発表年
2025年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Advances in therapy
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
64人
結果の向き
良い方向

64人の子どもで、84日飲むと目の疲れの点数がプラセボより下がった。

[7]男性医師でのマルチビタミンと白内障・加齢黄斑変性

発表年
2014年
研究機関
アメリカ・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院
掲載誌
Ophthalmology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
14,641人
結果の向き
良い方向

14,641人で、白内障はわずかに少なく、黄斑変性は減らなかった。

ほかに参考にした論文(10本)

判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。