マウスウォッシュで歯みがきの代わりになるって本当?

マウスウォッシュで歯みがきの代わりになるって本当?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答えほぼウソ

歯みがきに足すと歯ぐきの炎症が減ります。うがいだけでは歯垢が9.0%しか減らず、代わりにするのは注意が必要です。

根拠

歯みがきにマウスウォッシュを足した研究では、歯ぐきの炎症の指数が下がっています。精油入りはランダム化比較試験11件のまとめで0.52点低くなりました [1]。歯みがきをしない2週間でも、精油入りのうがいは有効成分のない液より歯垢が36.5%少なく、何もしないよりはつきにくくなります [2]。ただ、うがいだけでは歯垢は9.0%しか減らず、続けて歯みがきをすると39.6%減りました [3]。

この答えの範囲

毎日の歯みがきに足す使い方と、うがいだけの短い試験の話です。

じゃあ、どうする?

歯みがきの代わりではなく、歯みがきに足すものとして使います。歯みがきができない日のうがいは、その場しのぎと考えてください。医療用のクロルヘキシジンは、歯の着色などの副作用があるため、歯科で相談してから使います [4]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量9.420研究件数と参加人数
一致度17.225結果の向きがそろっているか
新しさ310最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 63.6 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

マウスウォッシュとは

マウスウォッシュ(洗口液)は、口に含んですすぐ液体で、日本では化粧品や医薬部外品として売られているものが多くあります。口の中の細菌を減らす、歯垢をつきにくくする、口臭を防ぐといった効果があるとされ、精油入り、CPC(塩化セチルピリジニウム)入り、フッ素入りなど種類があります。歯ブラシのように歯垢をこすり落とす道具ではなく、成分で働きかけるのが特徴です。注意点は、種類によって歯の着色や刺激が出ることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、Singhらの研究チームが1990年に発表したランダム化比較試験です [3]。ランダム化比較試験とは、くじ引きでグループを分けて結果を比べる方法です。24時間口のケアをやめた103人が、洗口液か有効成分のない液でうがいをして、歯垢の減り方を測りました。

研究の種類ランダム化比較試験
対象24時間口のケアをやめた103人
比べたもの洗口液でうがいだけ、有効成分のない液でうがいだけ、うがいのあとに歯みがき
結果うがいだけでは歯垢が9.0%(洗口液)、10.7%(有効成分のない液)減った。歯みがきを続けると39.6%、36.3%減った
試験の結果うがいだけで減った歯垢は9.0%で、歯みがきを続けると39.6%まで減りました [3]。

有効成分のない液でも10.7%減っており、うがいだけの段階では洗口液の成分による差は見られませんでした。

12人の別の試験でも、みがく前に洗口液でうがいして落ちた歯垢は5%未満でした [5]。一方、48人の試験では、2分の歯みがきで平均55%を超える歯垢が落ちています [6]。

よく言われていることは本当?

  • うがいで歯みがきの代わりになる研究では逆の結果です。 上の試験のとおり、うがいだけでは歯垢はわずかしか減りません [3]。
  • 殺菌成分で歯垢をつきにくくする確かめられています。 歯みがきをしない2週間、182人で、精油入りのうがいは有効成分のない液より歯垢が36.5%、歯肉炎の指数が17.5%少なくなりました [2]。
  • 歯みがきに足すと歯ぐきの炎症が減る確かめられています。 CPC入りは歯と歯の間の指数がランダム化比較試験8件で0.38点 [7]、クロルヘキシジンは10件805人で0.21点低くなりましたが、著者は後者を臨床的に意味のある差ではないとしています [4]。12週間の試験では、精油入りを足した人の歯肉炎が歯みがきだけより50.8%少なくなりました [8]。
  • 歯みがきの直後に使うとフッ素が流れるこの点を比べた臨床試験は、この調査では見つかっていません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

1977年の小さな実験では、うがいが歯みがきより早く効きました [9]。

うがいのほうが早く回復した実験歯学部の学生20人

医療用の殺菌成分クロルヘキシジンで毎日うがいすると、歯ぐきは4日で健康に戻り、歯みがきでは10日かかりました。

この実験は、歯の一部だけにわざと歯肉炎を起こし、その部分だけを手入れした条件です。ほかの歯はふだんどおりみがいていました。歯みがきをやめて、うがいだけで過ごした結果ではありません。

2007年の20人の試験は、反対の向きでした [10]。歯みがきなどを25日やめた20人が、クロルヘキシジンで21日うがいをすると、歯垢がついたままの歯では歯肉炎の指数が0.21から0.93に上がり、先に歯垢を落とした歯の0.52より悪くなりました。著者は、歯垢がついた面にはうがいの効果がほとんどなかったとしています。

精油入りの市販品でも、弱点があります。歯みがきをしない部分で21日使った試験では、歯肉炎が起こるほどの歯垢が残り、著者は臨床的な利点を疑わしいとしました [11]。別の試験では、アルコールだけの液と歯垢のつき方に差がありませんでした [12]。

02注意点

うがいだけと歯みがきを直接比べた試験は、1977年から2007年の、20人から103人の小さな3本です。うち2本は、代わりにならない向きでした。長い期間の歯周病や虫歯まで調べたものではありません。歯みがきに足す効果を調べた12週間の試験2本は、企業の研究部門が行ったものです [13] [8]。

副作用にも差があります。クロルヘキシジンを4〜6週間使ったまとめでは、歯の着色が大きく増えました。味の変化や口の粘膜のひりつきも報告されています [4]。歯垢がついた面に使った試験では、歯石が26.19%の面にでき、先に歯垢を落とした面の4.52%より多くなりました [14]。持病や服薬のある人、子どもに使うときは、歯科医や薬剤師に確認してください。

うがいは歯みがきに足すもの

歯みがきができない日のうがいは、歯垢を落とさず、つきにくくするだけです。

03まとめ

マウスウォッシュは、歯みがきに足すと効き、歯みがきの代わりにはなりません。
足す場合は、毎日の歯みがきを続けたうえでの話です。
うがいで済ませた日は次にみがけるときに歯みがきをし、みがき方を見直すなら電動歯ブラシの記事も参考になります。

04よくある質問

Q外出先で歯みがきできないとき、うがいで済ませてもいいですか?

一度のうがいで落ちる歯垢は、みがく前に使った試験で5%未満でした [[8463939]]。歯垢を落とす手段にはならないので、帰ったら歯みがきをしてください。

Q歯みがきの前と後、どちらに使うのがいいですか?

使う順番を比べた臨床試験は、この調査では見つかっていません。なお、みがく前に水でうがいしても、歯垢の落ち方は上乗せされませんでした [[27082845]]。製品ごとの使い方の表示に従ってください。

Qアルコールが入っていると効果が高いのですか?

アルコール入りとなしを比べた12週間の試験では、歯肉炎は歯みがきだけより39.0%、36.9%少なく、数字はほぼ同じでした [[38310236]]。アルコールだけの液との差がなかった試験もあります [[23638764]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(14本)

[1]精油入り洗口液の歯肉炎への効果のメタ解析

発表年
2016年
研究機関
ブラジル・リオグランデ・ド・スル連邦大学
掲載誌
Journal of dentistry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究11件を統合
結果の向き
良い方向

RCT11件で、歯肉炎の指数がプラセボより0.52点低かった。

[2]精油入りとCPC入りのうがい液を2週間比べた試験

発表年
2013年
研究機関
Parikh-Das AMほかの研究チーム
掲載誌
The Journal of clinical dentistry
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
182人
結果の向き
良い方向

182人で、精油入りは歯垢が36.5%、歯肉炎の指数が17.5%少なかった。

[3]歯みがき前のうがい液が歯垢を減らす効果を調べた試験

発表年
1990年
研究機関
Singh SMほかの研究チーム
掲載誌
American journal of dentistry
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
103人
結果の向き
悪い方向

103人で、うがいだけでは歯垢は9.0%減り、歯みがきを続けると39.6%減った。

[4]歯肉炎に対するクロルヘキシジン洗口液の効果を調べたコクランのレビュー

発表年
2017年
研究機関
アイルランド・コーク大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
805人
結果の向き
良い方向

805人で、歯肉炎の指数が0.21点下がったが、歯の着色が大きく増えた。

[5]1回のうがいと歯みがきで歯垢がどれだけ落ちるかを比べた試験

発表年
1993年
研究機関
イギリス・ウェールズ大学
掲載誌
Journal of periodontology
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
12人
結果の向き
差なし

12人で、みがく前のうがいで落ちた歯垢は5%未満だった。

[6]歯みがき前に水でうがいしたときの歯垢の落ち方を調べた試験

発表年
2017年
研究機関
オランダ・アムステルダム大学
掲載誌
International journal of dental hygiene
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
48人
結果の向き
良い方向

48人で、2分の歯みがきで平均55%を超える歯垢が落ち、水でうがいしても上乗せはなかった。

[7]CPC入り洗口液の歯垢と歯肉炎への効果のメタ解析

発表年
2021年
研究機関
ブラジル・リオグランデ・ド・スル連邦大学
掲載誌
Clinical oral investigations
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
良い方向

RCT8件で、歯肉炎の指数がプラセボより0.38点多く下がった。

[8]歯みがき・フロス・うがいの組み合わせを12週間比べた試験

発表年
2022年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Journal of dental hygiene : JDH
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
209人
結果の向き
良い方向

209人が完了し、歯肉炎が歯みがきだけより50.8%少なかった。

[9]部分的な歯肉炎の回復を歯みがきとクロルヘキシジンうがいで比べた試験

発表年
1977年
研究機関
Bosman CWほかの研究チーム
掲載誌
Journal of clinical periodontology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
良い方向

20人で、うがいでは4日、歯みがきでは10日で歯ぐきが健康に戻った。

[10]歯垢がついた面と無い面でのクロルヘキシジンうがいの効果の試験

発表年
2007年
研究機関
ブラジル・ルーテル大学
掲載誌
Journal of periodontology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
悪い方向

20人で、歯垢がついたままの歯では歯肉炎の指数が0.21から0.93に上がった。

[11]精油とラウロイルアルギニン入りの市販うがい液の歯垢と歯肉炎への効果

発表年
2018年
研究機関
ノルウェー・オスロ大学
掲載誌
Acta odontologica Scandinavica
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

歯みがきをしない部分では、歯肉炎が起こるほどの歯垢が残った。

[12]市販の精油入りうがい液の歯垢と歯肉炎への効果を調べた試験

発表年
2013年
研究機関
ノルウェー・オスロ大学
掲載誌
Acta odontologica Scandinavica
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

歯みがきをしない部分で、アルコールだけの液と歯垢のつき方に差がなかった。

[13]フロスと洗口液の組み合わせを12週間比べたRCT

発表年
2024年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
BMC oral health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
270人
結果の向き
良い方向

270人で、歯と歯の間の歯肉炎が歯みがきだけより39.0%、36.9%少なかった。

[14]クロルヘキシジンのうがい後の着色と歯石を調べた試験

発表年
2010年
研究機関
ブラジル・フランシスカン大学センター
掲載誌
Journal of applied oral science : revista FOB
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
悪い方向

20人で、歯垢がついた面の26.19%に歯石ができ、歯垢のない面は4.52%だった。

ほかに参考にした論文(6本)

判定「注意が必要」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。