[1]磨いたあとのフッ素入り洗口液が唾液のフッ素に与える影響(試験1)
- 発表年
- 2012年
- 研究機関
- スウェーデン・ヨーテボリ大学
- 掲載誌
- The Journal of clinical dentistry
- 研究の種類
- ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
- 対象
- 30人
- 結果の向き
- 良い方向
フッ素入り歯みがき粉で磨いた30人が洗口液ですすぐと、すすがないときより60分間の唾液中のフッ素が多かった。

フッ素入りの液をあとに使うと、口に残るフッ素が増えて効きます。
唾液に残るフッ素と、歯垢の量の話です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 36 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 9.9 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 21.3 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 3 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 70.2 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 4 本。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
マウスウォッシュ(洗口液)は、歯みがきのあとなどに口の中をすすぐ液体です。フッ素で歯を守るもの、殺菌成分で歯垢や口の細菌を減らすとされるものなどがあり、使う順番は製品によって「前」「後」と書き方が分かれます。注意点は、フッ素の入っていない液では歯を守る効果が違うことです。
答えの中心は、スウェーデンのヨーテボリ大学などの研究チームが2012年に発表したランダム化試験です [1]。ランダム化試験とは、くじ引きのように振り分けて結果を比べる方法です。同じ人が順番に条件を試す形で調べました。
| 研究の種類 | ランダム化試験(同じ人が順番に試す形) |
|---|---|
| 対象 | フッ素入り歯みがき粉を使う大人 30人 |
| 比べたもの | 磨いたあとに、フッ素入りの洗口液(500ppmまたは225ppm)で1分すすぐ、すすがない |
| 結果 | すすがないときより、60分間(約1時間)の唾液中のフッ素が多かった |
500ppmの液、225ppmの液、すすがない場合の順で、60分間の量が多かったです [1]。
別の30人の試験では、磨いたあとに水ですすいだ場合でも、続けてフッ素入りの液を使うと、フッ素なしの液より唾液のフッ素が多くなりました [2]。23人の試験も同じ向きです [5]。
根拠の確かさは低めです。参加者が数十人の小さな試験が中心で、測っているのは「むし歯が減ったか」ではなく、唾液に残るフッ素の量だからです。
水道水にフッ素が入っている地域の38人の試験では、毎日のフッ素入りの液を足しても、最後の歯みがきから8時間後の唾液と歯垢のフッ素は、歯みがき粉だけの場合と変わりませんでした [6]。この試験は、洗口液を歯みがきの直後に使ったかどうかが要旨に書かれていません。
8時間後の唾液と歯垢のフッ素に、歯みがき粉だけとの差はありませんでした。
歯みがき前用の洗口液の1種類を調べた研究19件をまとめた解析(2002年、イタリアの研究チーム)では、1回だけ使った研究では、歯みがき後の歯垢に差がありませんでした [3]。続けて使った研究では歯垢が少し減りましたが、著者は差は小さいとしています。
歯垢の多い大人を4つの組に分けた試験では、殺菌成分(塩化セチルピリジニウムと精油)入りの液を歯みがきの前に1日2回使うと、6週間後の歯垢が対照の液より少なくなりました。6日後には差がありませんでした [7]。
ここでの結果は、歯垢が少し減ったというものです。まとめた解析では歯ぐきの炎症も12週以降に少し減りましたが、著者は臨床での差は小さいとしています [3]。根拠の確かさは低めです。古い時期の研究が多く、結果が研究によってそろっていないためです。
研究で使われたのは、1450ppmのフッ素入り歯みがき粉で磨いた大人です [1]。フッ素入りの歯みがき粉の働きは、フッ素入り歯みがき粉で虫歯は防げる?で解説しています。子どもや、液を飲み込みやすい人は、量や使ってよい年齢が製品によって決まっているので、表示を確認してください。持病や服薬がある人、使い方に迷う人は、歯科医師や薬剤師に相談してください。
多めの水ですすぐと、唾液・歯の間の液・歯垢のどれでもフッ素の残る量が大きく減りました [4]。
フッ素入りの液は、歯みがきのあとに使うと唾液に残るフッ素が増えるという結果がそろっています。
歯みがき前用の液は、続けて使うと歯垢が少し減りますが、差は小さいです。
迷ったら、フッ素入りは「あと」、磨いたあとの水は少なめにしましょう。
洗口液のあとに水でうがいをする場合を比べた研究は見つかっていません。歯みがき粉のあとに水で多めにすすぐと、口に残るフッ素が減ることは分かっています [[11813383]]。
研究では確かめられていません。歯みがき前の液で調べられたのは歯垢の量で、続けて使うと少し減りました [[11966927]]。
水で先にすすいでも、歯みがきで落ちる歯垢の量は変わりませんでした [[27082845]]。
磨いたあとにフッ素なしの液ですすぐと、水で軽くすすいだときより唾液のフッ素が少なくなりました [[19776570]]。フッ素の入った歯みがき粉を使ったあとなら、フッ素入りの液を選ぶほうが残るフッ素は多くなります。
フッ素入り歯みがき粉で磨いた30人が洗口液ですすぐと、すすがないときより60分間の唾液中のフッ素が多かった。
30人が磨いて水ですすいだあとでも、フッ素入りの液のほうがフッ素なしの液より唾液中のフッ素が多かった。
1回だけ使った研究では歯みがき後の歯垢に差がなく、続けた研究では歯垢が少し減ったが差は小さい。
21人が磨いたあと多めの水ですすぐと、唾液・歯の間の液・歯垢のフッ素の残る量が大きく減った。
23人の大人で、フッ素入りの液を使うとフッ素なしの液を使ったときより唾液中のフッ素が多かった。
水道水にフッ素が入る地域の38人で、8時間後の唾液と歯垢のフッ素は歯みがき粉だけと変わらなかった。
殺菌成分入りの洗口液を歯みがき前に1日2回使うと、6週間後の歯垢が対照の液より少なかった。
子ども276人を3年追った試験で、水ですすいでも吐き出すだけでも、むし歯の増え方に差はなかった。
学校などで決まった回数フッ素洗口をした子どもでは、永久歯のむし歯の増え方が27%少なかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。