マウスウォッシュは歯みがきの前と後どっちがいい?

マウスウォッシュは歯みがきの前と後どっちがいい?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

フッ素入りの液をあとに使うと、口に残るフッ素が増えて効きます。

根拠

フッ素入り歯みがき粉で磨いたあと、フッ素入りの洗口液で1分すすぐと、すすがないときより60分間の唾液中のフッ素が多く残りました(30人)[1]。水ですすいだあとでも、フッ素なしの液よりフッ素入りの液のほうが多く残りました [2]。前に使う場合は、続けて使うと歯垢が少し減りましたが、差は小さいと著者は述べています [3]。根拠の確かさは低めです。研究の数が少なく、見ているのはむし歯の数ではなく唾液のフッ素という途中の目安のためです。

この答えの範囲

唾液に残るフッ素と、歯垢の量の話です。

じゃあ、どうする?

フッ素入りの液は、歯みがきのあとに使いましょう。磨いたあとに水で多めにすすぐとフッ素が減るので、水は少なめに [4]。フッ素の入っていない液を磨いたあとに使うと、唾液のフッ素は減りました [5]。製品に使い方が書かれていれば、それに従ってください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。9 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3640いちばん信頼できる研究の種類
研究の量9.920研究件数と参加人数
一致度21.325結果の向きがそろっているか
新しさ310最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 70.2 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 4 本。 この上限により、強度を B から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

マウスウォッシュとは

マウスウォッシュ(洗口液)は、歯みがきのあとなどに口の中をすすぐ液体です。フッ素で歯を守るもの、殺菌成分で歯垢や口の細菌を減らすとされるものなどがあり、使う順番は製品によって「前」「後」と書き方が分かれます。注意点は、フッ素の入っていない液では歯を守る効果が違うことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

あとに使うと、口に残るフッ素が増える

答えの中心は、スウェーデンのヨーテボリ大学などの研究チームが2012年に発表したランダム化試験です [1]。ランダム化試験とは、くじ引きのように振り分けて結果を比べる方法です。同じ人が順番に条件を試す形で調べました。

研究の種類ランダム化試験(同じ人が順番に試す形)
対象フッ素入り歯みがき粉を使う大人 30人
比べたもの磨いたあとに、フッ素入りの洗口液(500ppmまたは225ppm)で1分すすぐ、すすがない
結果すすがないときより、60分間(約1時間)の唾液中のフッ素が多かった
試験の結果洗口液のフッ素が濃いほど、唾液に残るフッ素は多くなりました。

500ppmの液、225ppmの液、すすがない場合の順で、60分間の量が多かったです [1]。

別の30人の試験では、磨いたあとに水ですすいだ場合でも、続けてフッ素入りの液を使うと、フッ素なしの液より唾液のフッ素が多くなりました [2]。23人の試験も同じ向きです [5]。

根拠の確かさは低めです。参加者が数十人の小さな試験が中心で、測っているのは「むし歯が減ったか」ではなく、唾液に残るフッ素の量だからです。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

水道水にフッ素が入っている地域の38人の試験では、毎日のフッ素入りの液を足しても、最後の歯みがきから8時間後の唾液と歯垢のフッ素は、歯みがき粉だけの場合と変わりませんでした [6]。この試験は、洗口液を歯みがきの直後に使ったかどうかが要旨に書かれていません。

差がなかった試験水道水にフッ素が入っている地域の38人

8時間後の唾液と歯垢のフッ素に、歯みがき粉だけとの差はありませんでした。

前に使うと、歯垢は少し減る

歯みがき前用の洗口液の1種類を調べた研究19件をまとめた解析(2002年、イタリアの研究チーム)では、1回だけ使った研究では、歯みがき後の歯垢に差がありませんでした [3]。続けて使った研究では歯垢が少し減りましたが、著者は差は小さいとしています。

歯垢の多い大人を4つの組に分けた試験では、殺菌成分(塩化セチルピリジニウムと精油)入りの液を歯みがきの前に1日2回使うと、6週間後の歯垢が対照の液より少なくなりました。6日後には差がありませんでした [7]。

ここでの結果は、歯垢が少し減ったというものです。まとめた解析では歯ぐきの炎症も12週以降に少し減りましたが、著者は臨床での差は小さいとしています [3]。根拠の確かさは低めです。古い時期の研究が多く、結果が研究によってそろっていないためです。

よく言われていることは本当?

  • 歯みがきのあとに使うと、フッ素が流れてしまう条件によります。 フッ素なしの液や多めの水で磨いたあとにすすぐと、唾液のフッ素は減りました [5] [4]。フッ素入りの液なら増えます [2]。一方、学校で毎日磨く子ども276人を3年追った試験では、水ですすいでも吐き出すだけでも、むし歯の増え方に差はありませんでした [8]。
  • フッ素入りの液をあとに使うと、フッ素が口に残ってむし歯予防になる唾液のフッ素については本当です [1]。 むし歯の数で順番を比べた研究は見つかっていません。学校でのフッ素洗口の研究を集めたコクランのレビューでは、永久歯のむし歯の増え方が27%少なくなりましたが、歯みがきとの順番は調べていません [9]。
  • 歯みがきの前に使うと、汚れが浮いて歯垢が落ちやすくなる少しだけ本当です。 続けて使うと歯垢は少し減りましたが、差は小さいと報告されています [3]。1回では差がありませんでした。
  • 前でも後でも、製品の用法に従えばよい研究が足りません。 製品ごとの用法の違いを比べた研究は見つかっていません。
  • マウスウォッシュは歯みがきの代わりになるこの記事の範囲外です。 マウスウォッシュで歯みがきの代わりになるって本当?で扱っています。
  • 洗口液は歯みがき粉の成分と打ち消し合うので、時間をあける研究が足りません。 人で間隔を比べた研究は、今回の検索では見つかっていません。

02注意点

研究で使われたのは、1450ppmのフッ素入り歯みがき粉で磨いた大人です [1]。フッ素入りの歯みがき粉の働きは、フッ素入り歯みがき粉で虫歯は防げる?で解説しています。子どもや、液を飲み込みやすい人は、量や使ってよい年齢が製品によって決まっているので、表示を確認してください。持病や服薬がある人、使い方に迷う人は、歯科医師や薬剤師に相談してください。

磨いたあとの水は少なめに

多めの水ですすぐと、唾液・歯の間の液・歯垢のどれでもフッ素の残る量が大きく減りました [4]。

03まとめ

フッ素入りの液は、歯みがきのあとに使うと唾液に残るフッ素が増えるという結果がそろっています。
歯みがき前用の液は、続けて使うと歯垢が少し減りますが、差は小さいです。
迷ったら、フッ素入りは「あと」、磨いたあとの水は少なめにしましょう。

04よくある質問

Q歯みがきのあと、マウスウォッシュのあとに水でうがいしてもいい?

洗口液のあとに水でうがいをする場合を比べた研究は見つかっていません。歯みがき粉のあとに水で多めにすすぐと、口に残るフッ素が減ることは分かっています [[11813383]]。

Q歯みがき前に使うと、むし歯は減りますか?

研究では確かめられていません。歯みがき前の液で調べられたのは歯垢の量で、続けて使うと少し減りました [[11966927]]。

Q歯みがきの前に水でうがいするだけでも意味はありますか?

水で先にすすいでも、歯みがきで落ちる歯垢の量は変わりませんでした [[27082845]]。

Qフッ素の入っていないマウスウォッシュはあとに使ってもいいですか?

磨いたあとにフッ素なしの液ですすぐと、水で軽くすすいだときより唾液のフッ素が少なくなりました [[19776570]]。フッ素の入った歯みがき粉を使ったあとなら、フッ素入りの液を選ぶほうが残るフッ素は多くなります。

05参照した論文

判定に使った主な論文(9本)

[1]磨いたあとのフッ素入り洗口液が唾液のフッ素に与える影響(試験1)

発表年
2012年
研究機関
スウェーデン・ヨーテボリ大学
掲載誌
The Journal of clinical dentistry
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
良い方向

フッ素入り歯みがき粉で磨いた30人が洗口液ですすぐと、すすがないときより60分間の唾液中のフッ素が多かった。

[2]磨いたあとのフッ素入り洗口液が唾液のフッ素に与える影響(試験2)

発表年
2012年
研究機関
イギリス・リバプール大学
掲載誌
The Journal of clinical dentistry
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
良い方向

30人が磨いて水ですすいだあとでも、フッ素入りの液のほうがフッ素なしの液より唾液中のフッ素が多かった。

[3]歯みがき前に使ううがい液の効果を19件の研究でまとめた解析

発表年
2002年
研究機関
イタリア・カタンザーロ・マーニャ・グレーチャ大学
掲載誌
Journal of clinical periodontology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究19件を統合
結果の向き
結果が割れている

1回だけ使った研究では歯みがき後の歯垢に差がなく、続けた研究では歯垢が少し減ったが差は小さい。

[4]すすぎ方の違いが歯みがき後のフッ素の残り方に与える影響

発表年
2001年
研究機関
スウェーデン・ヨーテボリ大学
掲載誌
Gerodontology
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
21人
結果の向き
悪い方向

21人が磨いたあと多めの水ですすぐと、唾液・歯の間の液・歯垢のフッ素の残る量が大きく減った。

[5]フッ素入り歯みがき粉のあとに洗口液ですすいだときの唾液のフッ素

発表年
2009年
研究機関
Duckworth RMほかの研究チーム
掲載誌
Caries research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
23人
結果の向き
良い方向

23人の大人で、フッ素入りの液を使うとフッ素なしの液を使ったときより唾液中のフッ素が多かった。

[6]家庭でのフッ素の使い方ごとの唾液と歯垢のフッ素の残り方

発表年
2014年
研究機関
ブラジル・リオグランデ・ド・スル連邦大学
掲載誌
Brazilian oral research
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
38人
結果の向き
差なし

水道水にフッ素が入る地域の38人で、8時間後の唾液と歯垢のフッ素は歯みがき粉だけと変わらなかった。

[7]歯みがき前の洗口液を補助として使う試験

発表年
1994年
研究機関
イギリス・ウェールズ大学医学部
掲載誌
Journal of periodontology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

殺菌成分入りの洗口液を歯みがき前に1日2回使うと、6週間後の歯垢が対照の液より少なかった。

[8]磨いたあとのすすぎ方とむし歯の関係を追った試験

発表年
2002年
研究機関
リトアニア・カウナス医科大学
掲載誌
Caries research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
276人
結果の向き
差なし

子ども276人を3年追った試験で、水ですすいでも吐き出すだけでも、むし歯の増え方に差はなかった。

[9]フッ素入りの洗口液が子どものむし歯を防ぐか調べたレビュー

発表年
2016年
研究機関
イギリス・クイーン・メアリー・ロンドン大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

学校などで決まった回数フッ素洗口をした子どもでは、永久歯のむし歯の増え方が27%少なかった。

ほかに参考にした論文(11本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。