[1]濃度の違うフッ素入り歯みがき粉の虫歯予防を比べたコクラン・レビュー
- 発表年
- 2019年
- 研究機関
- イギリス・マンチェスター大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 40,066人
- 結果の向き
- 良い方向
フッ素入り歯みがき粉は、子ども・青年の永久歯の虫歯の増え方を抑えた(55件)。

防げます。虫歯の増え方が減ります。6歳未満は量に注意すれば、大きな心配はありません。
毎日の歯みがきの話です。幼児の乳歯では、比べた濃度によって差が出ないこともあります。IQとの関連は主に飲み水の研究で、歯みがき粉そのものの研究ではありません。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 96 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 96 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「高い」で、これを強度の上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
フッ素入り歯みがき粉は、むし歯を防ぐ目的でフッ化物(フッ素の化合物)を加えた歯みがき粉で、日本では医薬部外品として売られています。口の中にフッ素を届けてむし歯を防ぐとされ、ペースト状のほか、ジェル状・泡状・液状などの種類があります。年齢に合わせて、子ども向けは低め、大人向けは高めの濃度の製品があるのが特徴です。注意点は、飲み込みやすい6歳未満では使う量を少なくすることです。
答えの中心は、イギリスのマンチェスター大学などの研究チームが2019年に発表したコクラン・レビューです [1]。コクラン・レビューとは、世界中の比較試験を集めて全体をまとめる方法です。フッ素入り歯みがき粉を、フッ素なしや濃度のちがう歯みがき粉と比べた試験96件が集められました。
| 研究の種類 | 比較試験を集めたコクラン・レビュー(メタ解析) |
|---|---|
| 対象 | 子ども・青年(永久歯の評価は85件・40,066人)、幼児の乳歯、大人 |
| 比べたもの | フッ素入りの歯みがき粉 / フッ素なしの歯みがき粉 |
| 結果 | 子ども・青年の永久歯で、虫歯の増え方が少ない(SMD -0.28、55件) |
根拠の確かさは高く、幼児の乳歯と大人でも虫歯の面の増加が少なくなりました [1]。
SMDは差の大きさで、マイナスは虫歯の増え方が少ないことを表します。わかりやすい数字では、旧版(2003年)のコクラン・レビューが、16歳までの子ども42,300人(70件)で虫歯の増え方が24%少なかったと報告しています [2]。
幼児の乳歯では、1500ppmの歯みがき粉で虫歯の面の増加が少なくなりました(1件・998人)。大人でも、1000〜1100ppmで同じ向きでした(3件・2162人)[1]。大人の歯の根元の虫歯を調べた9件・4,030人の分析でも、フッ素入りの歯みがき粉やフッ素洗口が、1年後の増加を抑えていました [5]。
幼児の乳歯で濃度を比べた試験では、結果が分かれました。1055ppmと550ppmでは虫歯の増え方にほぼ差がなく(2件・1958人)、1450ppmは440ppmより虫歯の歯の増加がわずかに少ない結果でした(平均差 -0.34本、1件・2362人)。どちらも根拠の確かさは中程度です [1]。濃度が高いほど効果が大きいとは、一概に言えません。
研究が示している安全性の課題は、6歳未満の歯のフッ素症です。6歳未満の子ども1968人(2件)をまとめた2024年のコクラン・レビューでは、550ppmは1000ppmより永久歯のフッ素症のリスクが低く(リスク比0.75)、440ppmも1450ppmより低くなりました(リスク比0.72)[3]。根拠の確かさは中程度で、見つかったフッ素症の多くは軽い白い斑点でした。米国の系統的レビューも、グリーンピース大以上の量を飲み込むと軽いフッ素症につながりうるとまとめています [10]。
厚生労働省の情報サイトは、リスクは幼児期に集中するとして、年齢ごとの目安を示しています。
日本では適正量なら過度な心配は不要とも書かれています。
歯科でのジェル塗布中の急性の中毒症状は、塗らない場合と差がありませんでした(2件・490人、根拠の確かさは非常に低い)[11]。気になる症状がある人や、持病・服薬がある人は、歯科医師に相談してください。
歯みがき粉を飲み込みやすい年齢なので、保護者がそばで見守ると安心です。
防げます。フッ素入り歯みがき粉で、子どもも大人も虫歯の増え方が減ることが、96件の試験を集めた研究で確かめられています。
安全性は、ふつうの使い方なら大きな心配はなく、気をつけたいのは飲み込みやすい6歳未満の量と濃度です。
毎日フッ素入りの歯みがき粉で磨き、6歳未満は少量にして保護者が見守りましょう。
研究で見られたフッ素症は、6歳未満が濃い歯みがき粉を使ったときの、永久歯の軽い白い斑点が中心です [[38899538]]。少し飲み込んだ場合の影響を直接調べた研究は、今回の根拠にはありません。気になるときは歯科医師に相談してください。
うがいの回数や量による虫歯の増え方の違いは、今回の研究では確かめられていません。厚生労働省の情報サイトは、歯みがき後は軽くはき出し、うがいをする場合は少量の水で1回のみとしています。
今回のレビューは歯みがき粉を比べたもので、マウスウォッシュは調べていません。上乗せの効果は、研究では確かめられていません。歯周病が気になる人の歯みがき粉は[歯周病用の歯みがき粉は効く?](/evidence/periodontal-toothpaste)に、歯間のそうじは[歯間ブラシとフロス、効果が高いのはどっち?](/evidence/interdental-brush-vs-floss)にあります。
フッ素入り歯みがき粉は、子ども・青年の永久歯の虫歯の増え方を抑えた(55件)。
16歳までの子ども42,300人(70件)で、フッ素入り歯みがき粉は虫歯の増え方が24%少なかった。
6歳未満の子ども1968人(2件)で、550ppmは1000ppmより永久歯のフッ素症のリスクが低かった(リスク比0.75)。
根元の虫歯がある2869人(15件)で、5000ppmの歯みがき粉は進行が止まりやすかった。
大人の根元の虫歯の試験9件(4,030人)で、フッ素入り歯みがき粉やフッ素洗口が1年後の増加を抑えた。
5000ppmは1450ppmより根元の虫歯が硬くなる割合が多めだったが、はっきりした差とはいえなかった。
矯正でできた白い斑点が自分で使うフッ素で治る効果は、確認できなかった(3件)。
子どもの観察研究59件で、フッ素をとる量が多い子どもほどIQが低い関連があった。
7件の研究がばらばらで、フッ素がADHDにつながるとは結論できなかった。
グリーンピース大以上の量を飲み込むと、軽いフッ素症につながりうるとまとめた。
ジェルを塗っている間の急性の中毒症状は、塗らない場合と差がなかった(2件・490人)。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。