[1]電動歯ブラシと手みがきを比べたコクランのレビュー
- 発表年
- 2014年
- 研究機関
- マレーシア・マレーシア国際イスラム大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 2,871人
- 結果の向き
- 良い方向
子どもと大人の試験をまとめ、短期間では電動のほうが歯垢が11%、歯ぐきの炎症が6%少なかった。

手みがきより、歯垢も歯ぐきの炎症も減ります。歯垢の指数は11%、歯ぐきの炎症の指数は6%少なくなります。
毎日自分でみがく子どもと大人の、数か月ごろまでの話です。
手みがきでも歯垢は落とせますが、電動に替えると歯垢と歯ぐきの炎症が少し減りやすくなります。歯と歯のあいだは電動でも苦手なので、歯間ブラシかフロスを併用しましょう。使うときは強く押しつけず、歯ぐきの痛みや出血が続くなら歯科で相談を。歯周病の治療中の人や小さな子どもは、歯科医師や歯科衛生士に使い方を聞くと確実です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 22.8 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 96.4 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 7 本・RCT のメタ解析 1 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から B に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
電動歯ブラシは、電気の力で毛先が動く歯みがき用の道具です。歯垢(プラーク)がよく落ち、歯ぐきの炎症(出血)が減るとされています。毛先が回転・振動する回転式のほか、音波や超音波で細かく振動させるタイプがあります。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、歯の表面をみがく力は優れていますが、歯と歯のあいだは苦手で、歯間ブラシやデンタルフロスの併用が必要とされています(歯間ブラシとフロス、効果が高いのはどっち?)。
答えの中心は、マレーシア国際イスラム大学などの研究チームが2014年に発表したコクラン・レビューです [1]。コクラン・レビューとは、くじ引きのように参加者を分けて比べた試験(ランダム化比較試験)の結果を、決めた手順で集めてまとめる方法です。ふだんの生活で、監督なしに電動歯ブラシと手みがきを使い比べた試験が対象でした。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めたコクラン・レビュー |
|---|---|
| 対象 | 子どもと大人。試験56件のうち51件・4624人のデータを統合 |
| 比べたもの | 電動歯ブラシ / 手みがき |
| 結果 | 数か月以内の比較で、歯垢の指数が11%少なかった(40件・2871人) |
歯ぐきの炎症の指数も6%少なく(44件・3345人)、研究の質は中程度とされています。
試験どうしの結果のばらつきは大きく、偏りのおそれが低いと判定された試験は5件だけでした。歯垢の差は「中くらい」、歯ぐきの炎症の差は「小さい」と読むのが正確です。
検索上位や AI の要約でよく見る話を、研究に照らして並べます。
18歳までの子どもの試験12本をまとめた2025年の分析では、歯垢は電動のほうが少なく、歯ぐきの炎症の指数に差はありませんでした [12]。歯周病の治療後にケアを受けている大人では、下のカードのとおり差がありませんでした [13]。対象者や歯ブラシの種類が違うため、結果が割れて見えます。メーカーが関わる試験も含まれる点には注意が必要です。
電動と手みがきを比べた5つの比較のうち、4つで臨床的な差がありませんでした。
あまり長くみがくと歯や歯ぐきを傷つけるおそれがあるとして、e-ヘルスネットは電動歯ブラシの使用を3分以内にとどめるよう勧めています。歯ぐきや歯へのダメージは、研究が少なく、結果が割れています。もともと歯ぐきが下がり始めている87人を36か月追った試験では、電動のほうが悪化しにくい結果でした [14]。別の約3年の試験では、電動と手みがきで差がありませんでした [15]。一方、71人の中国の試験では、歯の根元のすり減りが電動のほうで大きいと報告されましたが、要旨の書き方に矛盾があり、強くは言えません [16]。コクラン・レビューで報告された副作用は、局所的で一時的なものでした [1]。持病や歯ぐきの病気で治療中の人は、歯科医師に確認してください。
歯ぐきに痛みや出血が続くときは、使い方を歯科で見てもらってください。
電動歯ブラシは、手みがきより歯垢と歯ぐきの炎症を減らします。
差の大きさは、歯垢が中くらい、歯ぐきの炎症が小さいで、虫歯や着色への効果は、まだはっきりしていません。
歯ぐきから血が出やすい人は試す価値があります。使うときは優しい力で、気になる症状は歯科で相談しましょう。
研究では確かめられていません。口のケアの診療ガイドライン9本を調べた2025年のレビューでは、電動は歯垢を減らす可能性はあるものの、虫歯の予防では手みがきと大きな差はないとされました [[39776243]]。
歯学部の学生90人の試験では、みがいてできる歯ぐきの傷は電動のほうが手みがきより少なくなりました [[35614277]]。歯の根元のすり減りが大きかった試験もあり、研究は少なく結果は割れています。強く押しつけず、痛みが出たら歯科で相談してください。
倍率は、測り方や条件が研究によって違います。このページの研究では、数か月以内の比較で歯垢の指数が11%少ないという結果でした [[24934383]]。メーカーが関わる試験も多いため、条件を確かめて読んでください。
子どもと大人の試験をまとめ、短期間では電動のほうが歯垢が11%、歯ぐきの炎症が6%少なかった。
健康な大人が1回みがいた直後の歯垢は、回転式の電動歯ブラシのほうが手みがきより少なかった。
歯肉炎のある手みがきの人で、回転式の電動歯ブラシを4週間使うと手みがきより歯垢が減った。
歯肉炎と歯垢がある大人を比べ、8週間後に歯ぐきが健康な状態になった人は電動歯ブラシで82%、手みがきで24%だった。
健康な30人の試験で、奥歯では電動のほうが歯垢をよく落としたが、前歯では差がなかった。
小学1年生の2クラス(手みがき24人・電動歯ブラシ26人)を3年追い、虫歯の多さに大きな差は見られなかった。
地域住民2819人を11年追い、電動歯ブラシを使う人は虫歯の進みが17.7%少なかった。関連であり、効果とは言えない。
24人の試験で、回転式の電動歯ブラシ2種類は手みがきより着色汚れをよく落とした。
歯肉炎のある157人を6か月比べ、着色汚れに差は見られなかった。
家でホワイトニングをした40人で、6か月後の色の戻りは音波式のほうが少なかった。
RCT19件の分析で、歯垢を減らす順位は回転式が最上位、手みがきが最下位だった。
18歳までの子どもの試験12本で、電動のほうが歯垢が少なく、歯ぐきの炎症に差はなかった。
歯周病の治療後に通院する大人では、電動と手みがきを比べた多くの比較で臨床的な差がなかった。
歯ぐきが下がり始めている87人を36か月比べ、電動のほうが悪化しにくかった。
もともと歯ぐきが下がっている人で、約3年後の下がりは電動と手みがきで差がなかった。
71人の試験で、歯の根元のすり減りは電動のほうが大きいと報告されたが、要旨に矛盾がある。
歯肉炎のある大人235人を6か月比べ、電動のほうがすべての時点で歯垢が少なかった。
歯肉炎と歯垢がある42人が回転式の電動歯ブラシと手みがきを順に使い、1回みがいた直後も1週間後も電動のほうが歯垢が減った。
84人の試験で、音波式の電動歯ブラシは1週間後と3週間後の歯垢が手みがきより少なかった。
歯肉炎のある歯学部の学生90人で、電動は手みがきより歯垢も歯ぐきの傷も少なかった。
歯科でクリーニングを受けた18〜50歳の126人を比べ、24週間後の歯垢は電動歯ブラシのほうが少なかった。喫煙者だけでは差がはっきりしなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。