[1]歯みがきに足す歯間清掃の道具で歯周病とむし歯を防げるか、のコクランのレビュー
- 発表年
- 2019年
- 研究機関
- イギリス・コクラン口腔保健グループ
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
- 対象
- 3,929人
- 結果の向き
- 良い方向
大人3929人の比較試験35件をまとめ、歯間ブラシはフロスより歯ぐきの炎症を減らした。根拠の確かさは低め。

歯間ブラシは、歯ぐきの炎症をフロスより減らします。歯垢では結果が割れています。
歯みがきに足して使う大人の話です。参加者の多くは歯ぐきの炎症が軽く、結果は主に短期間です。
歯と歯の間にすき間があるなら、歯間ブラシを試す価値があります。歯間ブラシが無理なく通らない狭い所は、フロスで掃除します。この使い分けは研究ではなく歯科の常識です。サイズは歯科で選んでもらうと安心です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 15.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 17.9 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 83.6 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
歯間ブラシとフロスは、歯ブラシが届きにくい歯と歯の間を掃除する道具です。歯垢を減らし、歯ぐきの炎症を防ぐとされています。歯間ブラシは小さなブラシをすき間に通して汚れをかき出し、フロスは糸を歯の側面に当ててこすります。水流で洗うウォーターフロスもあります。注意点は、誤った使い方で歯ぐきに傷ができた報告が少数あることです [4]。
答えの中心は、イギリスのマンチェスター大学などの研究チームが2019年に発表したコクランのレビューです [1]。コクランのレビューとは、決めた手順で比較試験を集めて整理する方法です。比較試験35件が集められました。
| 研究の種類 | 歯みがきに足す道具を比べた比較試験のレビュー |
|---|---|
| 対象 | 大人(3929人)。多くはもともと歯ぐきの炎症が軽い人 |
| 比べたもの | 歯間ブラシ、フロス、ウォーターフロスなど |
| 結果 | 歯ぐきの炎症は歯間ブラシの方が減り、歯垢は結果が一致しない |
根拠の確かさは低めです。歯周ポケットの深さに差はありませんでした。著者は、差が臨床的に大きくない可能性も指摘しています。
すき間がやや開いた大人60人の試験では、歯間ブラシを使った6週間の方が、ふつうのフロスの6週間より炎症の指標も歯垢も少なくなりました [2]。22件のメタ解析でも、歯みがきだけと比べた炎症の点数の下がり幅は歯間ブラシが最大(0.23点)、次がウォーターフロス(0.19点)で、フロスは下位でした [5]。ただし364人の試験は、炎症の減り方はフロス2.82%、歯間ブラシ2.60%でほぼ同じでした [3]。
フロスと比べた研究の多くで、歯間ブラシの方が歯垢の指標は少なくなっています [6] [7]。一方、コクランのレビューは、9件で歯垢の結果が一致しないと評価しました [1]。
標準化平均差は、測り方が違う研究をそろえた値で、マイナスは足した方が低いという意味です。
結果が割れています。364人の試験では、炎症の減り方がウォーターフロス29.10%、フロス2.82%でした [3]。105人の試験でも、ウォーターフロスの方が炎症や出血が大きく減りました [8]。一方、16件(1258人)の試験を集めたメタ解析では、水流式や電動の器具とフロスを比べた分で、歯垢と出血は同じくらいでした [4]。新しい2つの試験は4〜6週間の短期間で、特定の製品を使い、364人の試験はそのメーカーの社員が書いています。
大人で歯と歯の間の虫歯を調べた試験は、1件もありませんでした [1]。子ども808人の試験6件を集めたレビューでは、学校で専門家がフロスをすると虫歯のリスクが40%下がりました(相対リスク0.60)。しかし思春期のはじめの子どもが自分でするフロスでは減りませんでした(相対リスク1.01)。偏りの可能性は中〜大と評価されています [9]。
使い分けは、すき間の広さで考えるのが常識です。広さで比べた研究は少なく、見つかったのはすき間がやや開いた大人の試験 [2] でした。専門家の合意は、傷つけずに通る所は歯間ブラシを第一の選択としています [10]。
副作用を調べたコクランのレビューでは、重い副作用はなく、軽い刺激にも差はありませんでした [1]。すき間がやや開いた大人60人の試験でも、6週間使って目立った歯ぐきの傷は記録されませんでした [2]。電動の器具の誤った使い方で、少数の人の歯ぐきに傷ができた報告が1件あります [4]。サイズの選び方を比べた研究は見つかっていません。出血や痛みが続く人、矯正中の人は、歯科医師に相談してください。
無理に押し込まないようにしましょう。
歯ぐきの炎症は、歯間ブラシの方がフロスより減り、歯垢は結果が割れています。
すき間の広さで道具を使い分けるのは、研究ではなく常識の範囲です。
すき間が広い所は歯間ブラシ、通らない狭い所はフロスにして、気になる症状は歯科で相談しましょう。
歯間ブラシとフロスを両方使う場合を比べた試験は、この記事で集めた研究にはありません。専門家の合意では、歯間ブラシが通らない狭い所にフロスを使います。
炎症の指標は少し下がりますが、歯周病の進み方や歯を失うことを防ぐかは、ほとんど調べられていません。関連: [歯周病用の歯みがき粉は効く?](/evidence/periodontal-toothpaste)
別の疑問です。[電動歯ブラシは手みがきより歯にいい?](/evidence/electric-toothbrush)にまとめています。
大人3929人の比較試験35件をまとめ、歯間ブラシはフロスより歯ぐきの炎症を減らした。根拠の確かさは低め。
大人60人で、歯間ブラシの期間は、ふつうのフロスの期間より炎症の指標と歯垢が少なかった。
大人364人で、炎症の減りはフロス2.82%、歯間ブラシ2.60%、水流式フロッサー29.10%だった。
RCT16件・1258人で、歯と歯の間の歯垢と出血は同じくらいだった。
22件のRCTで、歯肉炎指数を下げる効果は歯間ブラシが最も大きく0.23点、次がウォーターフロスで0.19点だった。
フロスと比べた研究の多くで、歯間ブラシの方が歯垢の指標が少なかった。
系統的レビュー6本をまとめ、歯と歯の間の歯垢には歯間ブラシが最も効果的と結論した。
大人105人で、ウォーターフロスはフロスより歯ぐきの出血、歯肉炎の指標、歯垢が大きく減った。
子ども808人の試験6件で、専門家が学校でするフロスは虫歯のリスクが40%下がり、自分でするフロスは減らなかった。
歯間ブラシが傷つけずに通らない健康なすき間以外では、歯間ブラシが第一の選択とされた。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。