[1]フロスを歯みがきの前と後のどちらに使うと歯垢が減るか:系統的レビューとメタ解析
- 発表年
- 2022年
- 研究機関
- ブラジル・ペルナンブコ大学
- 掲載誌
- International journal of dental hygiene
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 60人
- 結果の向き
- 差なし
平均年齢23.1歳の60人、2件の研究をまとめ、前後で歯垢の減り方に統計的な差はなかった。

歯垢全体は、前でも後でも差がありません。前歯の歯垢とフッ素は、先にフロスをするほうが有利です。
大学生と歯学部の学生で確かめた結果です。歯垢全体は2件・60人のメタ解析、前歯の歯垢は56人の試験、フッ素は25人の試験です。
先にフロスを使って不利になる結果は、集めた研究にはありませんでした。フッ素入りの歯みがき粉を使うなら、先にフロスを使うと歯と歯の間にフッ素が多く残る試験があります [3]。順番で迷って使わない日が出るより、続けられる順番を選んでください。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 30 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 7.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 11.4 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 59.1 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・観察研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
デンタルフロスは、歯ブラシが届きにくい歯と歯の間の汚れを取る、糸状の清掃用具です。歯みがきの前に使う「フロス→歯みがき」と、後に使う「歯みがき→フロス」の2通りがよく話題になります。歯垢とは、歯の表面につく細菌のかたまりのことです。
答えの中心は、ブラジルのペルナンブコ大学などの研究チームが2022年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ疑問を調べた複数の研究の結果をまとめて分析する方法です。フロスを使う順番を比べた2件の研究、60人が集められました。
| 研究の種類 | フロスの順番を比べた研究のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 平均年齢23.1歳の60人(2件の研究) |
| 比べたもの | 歯みがきの前にフロスを使う場合と、後に使う場合 |
| 結果 | 歯垢の減り方に統計的な差はなかった |
差は0.01で、信頼区間は-0.16〜0.18でした。
まとめられた2件は、どちらも個別の結果では、フロスを先に使った期間の歯垢の指標が低い結果でした [3] [4]。それでも、2件をまとめた解析では統計的な差は出ていません。
2026年に中国の同済大学などの研究チームが発表した試験では、大学生56人をランダムに2グループに分け、歯みがきとフロスの方法を指導したうえで、歯垢指数の減り方を比べました [2]。前歯(上と下)では、フロスを先に使ったグループのほうが歯垢がより減りました。ほかの部位では差がありませんでした。前歯だけ差が出た理由は、要旨では確認できません。
前歯は先にフロスを使った群で歯垢が多く減り、ほかの部位は差がありませんでした。
2018年にイランのマシュハド医科大学などの研究チームが発表した試験では、歯学部の学生25人が48時間歯みがきを止めたあと、2通りの順番を2週間の間隔をあけて両方試しました [3]。フロスを先に使ったときのほうが、歯と歯の間の歯垢に含まれるフッ素の濃度が高くなり、歯と歯の間の歯垢も全体の歯垢もより多く減りました。ただし、この結果は試験1件、25人だけです。根拠の確かさは低めです。研究の数が少ないためです。
順番そのものの比較ではありませんが、大人20人の別の試験では、フッ素入りの歯みがき粉で磨いたあとにフロスを足しても、唾液中のフッ素の残り方は歯みがきだけの場合とほとんど変わりませんでした [5]。
研究の対象は大学生や歯学部の学生で、2018年の試験は直前に48時間歯みがきを止めた条件でした [3]。ふだんの生活と同じ結果になるとは限りません。フロスを使って歯ぐきから血が出る、痛みが続くときは、歯科医師や歯科衛生士に使い方を確認してください。フッ素入りの歯みがき粉については フッ素入り歯みがき粉で虫歯は防げる?安全性は? も参考になります。
前後の差がはっきりしたのは、前歯の歯垢とフッ素の残り方で、どちらも試験1件です。
歯垢全体の減り方は、フロスが歯みがきの前でも後でも差がありません。
前歯の歯垢とフッ素の残り方は、先に使うほうが良い結果が1件ずつあります。
どちらの順番でも、歯みがきの中にフロスを入れることを続けましょう。
フロスを使う時間帯を比べた研究は見つかっていません。研究では確かめられていません。
歯間ブラシを使う順番を比べた研究は、今回集めた中にはありません。歯間ブラシとフロスの違いは、[歯間ブラシとフロス、効果が高いのはどっち?](/evidence/interdental-brush-vs-floss) で扱っています。
歯垢全体では差が見つかっていないので、続けやすいほうを選べます。フッ素入りの歯みがき粉を使うなら、先に使う順番に有利な試験が1件あります。
平均年齢23.1歳の60人、2件の研究をまとめ、前後で歯垢の減り方に統計的な差はなかった。
大学生56人で、前歯は先にフロスを使うと歯垢がより減り、ほかの部位は差がなかった。
歯学部の学生25人で、先にフロスを使うと歯垢がより減り、歯間の歯垢のフッ素濃度も高かった。
歯学部の学生35人で、フロスを先に使った2週間のほうが歯垢の指標が低かった。
大人20人で、磨いたあとにフロスを足しても、唾液中のフッ素の残り方は歯みがきだけとほとんど変わらなかった。
この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。