[1]歯肉炎に対するクロルヘキシジン洗口液の効果を調べたコクランのレビュー
- 発表年
- 2017年
- 研究機関
- アイルランド・コーク大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 805人
- 結果の向き
- 良い方向
軽い歯肉炎のある805人で、洗口液を足すと歯肉炎の指標が0.21点下がった。歯の着色が大きく増えた。

殺菌成分入りの洗口液と歯みがき粉は、歯周病の手前の歯ぐきの炎症に効きます。
測っているのは歯ぐきの炎症(歯肉炎)です。歯みがき粉の研究は、トリクロサン入りとフッ化スズ入りが中心で、日本の商品に多い成分のものではありません。
歯みがきを土台に、殺菌成分入りの洗口液か歯みがき粉を足すのが、研究の条件に近い使い方です。歯ぐきの炎症が気になる人は、1日1回の歯間清掃も加えましょう [7]。クロルヘキシジン入りは歯が着色するので、長く使う前に歯科で相談を。定期検診は、クリーニングの効果とは別に、歯周病を早く見つける場として考えましょう。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 14.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 94.5 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 94 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「高い」で、これを強度の上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
歯周病は、歯を支える歯ぐきや骨が、歯垢(プラーク)にひそむ細菌の炎症で傷む病気です。初期は歯ぐきが赤く腫れて血が出やすい歯肉炎で、進むと骨が溶けて歯がぐらつく歯周炎になります。予防には、歯みがきに加えて、洗口液・歯みがき粉・電動歯ブラシ・フロスや歯間ブラシなどが使われます。注意点は、喫煙も歯周病に関わるとされることです。
研究が測っているのは、おもに歯周病の手前の歯肉炎の指標です。答えの中心は、アイルランドのコーク大学などの研究チームが2017年に発表したコクランのレビューです [1]。コクランのレビューとは、ランダム化比較試験(くじ引きで分けて比べる試験)を集めて分析する方法です。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めたコクランのレビュー |
|---|---|
| 対象 | 軽い歯肉炎のある人(10件・805人) |
| 比べたもの | 歯みがき+クロルヘキシジンの洗口液 / プラセボや洗口液なし |
| 結果 | 4〜6週間で、歯肉炎の指標(0〜3点)が0.21点低かった |
研究の確実性は高いと評価されていますが、著者はこの差を臨床的に意味のある大きさではないとしています。
クロルヘキシジンでは、歯の着色が大きく増えました。味覚の変化や口の粘膜の刺激といった副作用も報告されています [1]。
洗口液や歯みがき粉に入る殺菌成分は、歯垢の中の細菌を減らして歯ぐきの炎症を抑えると考えられています。CPC(塩化セチルピリジニウム)入りは、プラセボより歯間の歯肉炎の指標が0.38点多く下がり(研究間のばらつきは大きめ)[8]、精油入りは6か月以上使うとプラセボより0.52点低くなりました [9]。
歯周病の治療を終えてメインテナンス中の大人では、歯間ブラシで歯垢は減ったものの、歯ぐきの炎症を減らす点で手みがきだけより上位になる器具はありませんでした [13]。
歯ぐきの炎症は、器具を足しても手みがきだけと変わりませんでした。
洗口液の試験は、歯みがきに足して4〜6週間使う条件が中心です。クロルヘキシジンは長く使い続ける前に歯科で相談してください [1]。歯ぐきから血が出る、歯がぐらつくなどの症状があるときや、持病・服薬中の人は、歯科医師や薬剤師に確認してください。
洗口液は歯みがきの代わりにはならず、歯ぐきの症状が続くときは歯科を受診してください。
殺菌成分入りの洗口液と歯みがき粉は、歯ぐきの炎症を減らすことが研究で確かめられています。
電動歯ブラシと歯間清掃も効きますが、根拠の確かさは低めです。重い歯周病のない大人の定期クリーニングでは、歯肉炎は変わりませんでした。
まずは歯みがきと1日1回の歯間清掃を土台に、洗口液か歯みがき粉を足してみましょう。
そうとは言えません。研究で測っているのは歯肉炎の指標で、歯周炎になるかどうかは確かめられていません [[28362061]]。
そうとは言えません。減るのは歯肉炎の指標で、差は小さめです [[24934383]]。
歯間ブラシのほうが、フロスより歯ぐきの炎症を減らす可能性があるとされています。ただし根拠の確かさは低めです [[30968949]]。歯間ブラシが無理なく入らない狭いすき間では、フロスを使うと整理されています [[25639826]]。
軽い歯肉炎のある805人で、洗口液を足すと歯肉炎の指標が0.21点下がった。歯の着色が大きく増えた。
トリクロサン入りの歯みがき粉で、歯ぐきの炎症が0.27点低かった。
3か月を超えて使った研究16件・1645人で、電動歯ブラシは手みがきより歯肉炎が少なかった。
歯ブラシにフロスを足すと、1か月後の歯ぐきの炎症が少なかった。研究の確実性は低い。
重い歯周病のない1711人で、2〜3年後の歯肉炎にほとんど差がなかった。歯石は少し減った。
今吸っている人は2.60倍、やめた人は1.15倍で、はっきりした差がなかった。
歯垢の除去が基本で、歯肉炎のある人には1日1回の歯間清掃が勧められる。
CPC入り洗口液で、歯間部の歯肉炎の指標がプラセボより0.38点多く下がった。
精油入りの洗口液を6か月以上使うと、歯肉炎の指標がプラセボより0.52点低かった。
18歳までの子どもでは、歯垢は少し多く取れたが、歯肉炎の指標には差が見られなかった。
フッ化スズ入りは、ふつうのフッ素入りより歯肉炎の指標が少し良かった。
歯みがき指導と組み合わせると、指導だけより効果が上乗せされた。
治療後のメインテナンス中の大人で、歯ぐきの炎症を減らす点で手みがきより上位の器具はなかった。
歯肉炎のある270人を、フロス追加や洗口液追加などの群に分けて12週間比べた。洗口液メーカーが行った研究。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。