[1]歯ぐきの健康のための定期的な歯石取りと研磨
- 発表年
- 2018年
- 研究機関
- イギリス・ダンディー大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 1,087人
- 結果の向き
- 差なし
重い歯周病のない大人1087人で、半年ごとの歯石取りでも歯ぐきの炎症にほとんど差がなかった。

効きません。ただし歯肉炎の人は、歯みがき指導とセットなら炎症が改善します。
重い歯周病のない大人の予防の話です。すでに歯周病がある人の、歯ぐきの中の歯石取りは別で、治療として効果が報告されています。
歯石取りは、歯周病を予防する主役ではありません。毎日の歯みがきの質を上げるほうが効きます。歯ぐきの腫れや出血があれば、歯みがき指導つきで受けると意味があります。歯周病を防ぐには何が効く?も参考に。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 12.3 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 16.9 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 2 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 81.2 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
歯石取りは、歯科医院で専用の器具を使い、歯についた歯石を取り除く処置です。歯石は、歯垢(プラーク)が固まったもので、自分の歯みがきでは取れないとされます。歯ぐきの上を清掃して磨く「スケーリングと研磨」と、歯周病の人に行う歯ぐきの中の歯石取りがあります。この記事では、予防と治療で研究の結果が違う点を分けて見ます。
ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、ダンディー大学などの研究チームが2018年に発表したコクランのレビューです [1]。コクランのレビューとは、決めた手順で比較試験を集め、結果を整理する方法です。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験のまとめ (メタ解析) |
|---|---|
| 対象 | 英国の一般歯科に通う、重い歯周病のない大人 (1087人) |
| 比べたもの | 半年ごと・年に一度の歯石取りと研磨、予定しない場合 |
| 結果 | 歯ぐきの炎症、歯周ポケットの深さにほとんど差がない |
歯周ポケットの深さにもほとんど差がなく、歯石の量は少し減りました。
評価は24〜36か月後です。副作用・歯を失うこと・口臭は測られていません。
2026年のイタリアのフェラーラ大学などの系統的レビューは、歯垢による歯肉炎の大人で比べました [2]。治療から2〜6週間後の炎症を調べた4件(RCT3件を含む)の結果は、次のとおりです。
結果にばらつきがあり、根拠の確かさは低めです。歯石取りそのものより、歯みがきの質が変わったことが効いている、と読むのが正確です。
カナダのダルハウジー大学などによる2025年の迅速レビューは、歯周病がないか軽い大人で歯科に定期的に通っている人について、臨床的な利点は小さい一方、歯を失うことや一部の医療費が減るという報告があったとしました [3]。上のコクランのレビューも含む整理で、歯石取り単独の効果を直接比べた結果ではありません。
歯ぐきの状態の利点は小さい一方、歯を失うことや一部の医療費が減るという報告がありました。
歯周炎と診断された人では話が変わります。9件のRCTをまとめた2020年のレビューでは、歯ぐきの中の歯石取りのあと6〜8か月で、歯周ポケットが平均1.4mm浅くなり、深いポケットの74%が閉じました [4]。ただし、これは治療前後の比較が中心です。歯ぐきの上だけの清掃と直接比べたRCTは1件だけでした。
その1件は、心臓病のある歯周炎の人303人の試験です。歯ぐきの中の歯石取りを受けた151人は、通常の歯科治療の152人より6か月後のポケットが浅くなりました。歯ぐきの付着や出血には差がありませんでした [5]。歯周病のある糖尿病の人では、治療から3〜4か月後の血糖値の指標(HbA1c)が0.43%低かったという、RCT30件・2443人のまとめもあります [6]。
予防の結果は、英国の一般歯科に通う、重い歯周病のない大人が対象です。歯ぐきの腫れや出血が続く人、歯がぐらつく人は、予防ではなく治療が必要な状態の場合があります。歯科医師の診断を受けてください。糖尿病など持病のある人も、治療の進め方を主治医と歯科医師に相談してください。
歯周病がない人の定期的な歯石取りの研究は、副作用や口臭を測っていません。
歯周病のない人の定期的な歯石取りは、歯肉炎を減らしませんでした。
歯肉炎の人は、歯みがき指導とセットなら炎症が改善します。
歯周病の治療が必要な人は、歯ぐきの中の歯石取りを歯科医師と相談して受けましょう。
歯周病のない人の予防としては、受けても歯肉炎に差が出ませんでした。ただし歯みがきの指導を受けられる機会としては意味があります。歯科医師の診断のうえで決めてください。
歯周炎の人では、歯周ポケットが浅くなることがRCTのまとめで示されています。ただし根拠は治療前後の比較が中心で、何もしない場合と直接比べたRCTは1件だけです。
研究では確かめられていません。半年ごとと年に一度を比べた試験では、歯肉炎に差がありませんでした。
研究では確かめられていません。今回の試験は副作用を測っていません。気になる症状は歯科医師に伝えてください。
重い歯周病のない大人1087人で、半年ごとの歯石取りでも歯ぐきの炎症にほとんど差がなかった。
歯みがきが不十分なままだと効果がなく、歯みがき指導と組み合わせると炎症が改善した。
歯周病がないか軽い大人では、歯を失うことや一部の医療費が減るという報告があった。
歯ぐきの中の歯石取りのあと6〜8か月で、歯周ポケットが平均1.4mm浅くなった。
通常の歯科治療より6か月後の歯周ポケットが浅くなったが、付着や出血には差がなかった。
歯周病のある糖尿病の人で、治療から3〜4か月後のHbA1cが0.43%低かった。
判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。