[1]歯みがきに足す歯間清掃の道具で歯周病とむし歯を防げるか、のコクランのレビュー
- 発表年
- 2019年
- 研究機関
- イギリス・コクラン口腔保健グループ
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
- 対象
- 380人
- 結果の向き
- 結果が割れている
口腔洗浄器を足すと1か月後の炎症の指数は低かったが、それ以降は差がなかった。

歯みがきに足すと、歯ぐきの炎症が減ったという研究が多くあります。学術論文としては、まだ断定できていません。
歯みがきに足して使った大人で、歯ぐきの炎症や出血を確かめた結果です。糸のフロスとの比較と、矯正中の人の研究は、本文にまとめています。
使うなら、歯みがきの代わりではなく、歯みがきに足す形で。糸のフロスや歯間ブラシが苦手な人が続けやすい道具として試す価値はあります。歯ぐきの出血が続くときは、歯科で相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 15.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 18.4 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 89 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・RCT のメタ解析 3 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から D に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ウォーターフロスは、細い水流で歯と歯の間や歯ぐきのきわを洗う口腔洗浄器です。糸のフロスや歯間ブラシの仲間として使われ、歯みがきのあとに足す道具とされています。矯正装置があって糸が通しにくい人にも向くといわれます。注意点は、歯ブラシの代わりにはならないことです。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、イギリスのコクラン口腔保健グループなどの研究チームが2019年に発表したレビューです [1]。コクランのレビューとは、決めた手順で関連する比較試験を集め、結果を整理する方法です。家庭で4週間以上、歯みがきに歯間清掃の道具を足した大人の試験が集められました。
| 研究の種類 | 歯みがきに歯間清掃の道具を足した比較試験のレビュー(コクラン) |
|---|---|
| 対象 | 家庭で使った大人(口腔洗浄器の比較はRCT4件・380人)。多くはもともと歯ぐきの炎症が軽い人 |
| 比べたもの | 歯みがきだけ、歯みがき+口腔洗浄器 |
| 結果 | 1か月後の歯ぐきの炎症の指数は低かったが、3か月・6か月後に差はなく、出血と歯垢も減らなかった |
研究の質は非常に低いと評価されており、「効く」とも「効かない」とも言い切れない状態です。
確かさが低い理由は、参加者が少ない試験が中心で、期間も短いことです。差が出た1か月の結果も、長く使い続けた結果ではありません。
コクランのあとに発表された研究では、炎症や出血が減ったという結果が多く見られます。
歯周病のメンテナンス中の人を対象にしたネットワークメタ解析では、口腔洗浄器は比較の多くで歯ぐきの炎症を減らしましたが、まとめて比べると手みがきだけより上位になった道具はありませんでした [5]。
手みがきだけより上位になった道具はありませんでした。
新しい試験の一部は、ウォーターフロスの製造会社に所属する著者が行ったものや、製造会社の依頼を受ける試験機関で行われたものです。たとえば電動歯ブラシに足して4週間比べた70人の試験は、筆頭著者が製造会社の所属で、足した群は歯ぐきの出血の減り方が37%大きい結果でした [6]。企業の関与は結果が偏る原因になりうるため、このような試験は割り引いて読む必要があります。
研究の対象は主に大人で、期間は数週間から数か月でした。たとえば歯肉炎のある大人192人を3群に分けた30日間の試験では、歯型に合わせたマウスピース型の洗浄器が、歯みがきだけの群やフロスの群より歯ぐきの指標が良い結果でした [9]。ただし、製造会社の依頼を受ける試験機関の研究で、特殊な形の器具です。歯ぐきの出血が続く、腫れや痛みがある、歯周病の治療中という人は、使う前に歯科医師や歯科衛生士に確認してください。
歯ぐきが痛むときは、無理に続けずに歯科で相談してください。
ウォーターフロスを歯みがきに足すと、歯ぐきの炎症が減ったという研究が多くあります。学術論文としては、まだ断定できていません。
歯みがきに足して使うときの、1か月ほどの歯ぐきの炎症と出血が、いちばん調べられた範囲です。
糸のフロスが苦手な人が続けやすい道具として試し、気になる症状は歯科で見てもらいましょう。
研究は、歯みがきに足した場合を調べたものです。歯ブラシの代わりにした場合は確かめられていません。
結果は割れています。出血はウォーターフロスがやや少ない報告が多い一方、歯垢は差がないとする解析もあります [[39997271]]。
研究では1か月後に炎症の指数が低かった一方、3か月・6か月後には差がありませんでした [[30968949]]。続ける期間の目安は研究では確かめられていません。
口腔洗浄器を足すと1か月後の炎症の指数は低かったが、それ以降は差がなかった。
歯肉炎のある70人で、足した群は歯ぐきの炎症と出血の指数が下がった。
RCT18件で、歯ぐきの出血と炎症はわずかに減り、歯垢は結果がそろわなかった。
ウォーターフロスは炎症の指数を0.19下げ、歯間ブラシに次ぐ上位だった。
口腔洗浄器は比較の多くで炎症を減らしたが、手みがきだけより上位の道具はなかった。
70人で、足した群は歯ぐきの出血の減り方が37%大きかった。
足すと歯垢の指数が平均0.75、出血の指数が0.17低く、歯肉炎の指数には差がなかった。
7件の解析で、炎症・歯垢・出血の指数に有意な差はなかった。
192人で、歯みがきだけやフロスの群より、15日後・30日後の歯ぐきの指標が良かった。
この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。