ウォーターフロスに効果はある?

ウォーターフロスに効果はある?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え

歯みがきに足すと、歯ぐきの炎症が減ったという研究が多くあります。学術論文としては、まだ断定できていません。

根拠

歯みがきにウォーターフロスを足すと、1か月後の歯ぐきの炎症の指数は歯みがきだけより低くなりました。しかし3か月・6か月後には差がなく、出血する部位の割合や歯垢も減っていません(RCT4件・380人)[1]。その後の試験では、炎症や出血が減ったという報告が多く出ています [2] [3]。ただし研究の質は非常に低いと評価されています。

この答えの範囲

歯みがきに足して使った大人で、歯ぐきの炎症や出血を確かめた結果です。糸のフロスとの比較と、矯正中の人の研究は、本文にまとめています。

じゃあ、どうする?

使うなら、歯みがきの代わりではなく、歯みがきに足す形で。糸のフロスや歯間ブラシが苦手な人が続けやすい道具として試す価値はあります。歯ぐきの出血が続くときは、歯科で相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。限定的
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。9 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 39 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量15.620研究件数と参加人数
一致度18.425結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 89 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・RCT のメタ解析 3 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から D に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ウォーターフロスとは

ウォーターフロスは、細い水流で歯と歯の間や歯ぐきのきわを洗う口腔洗浄器です。糸のフロスや歯間ブラシの仲間として使われ、歯みがきのあとに足す道具とされています。矯正装置があって糸が通しにくい人にも向くといわれます。注意点は、歯ブラシの代わりにはならないことです。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イギリスのコクラン口腔保健グループなどの研究チームが2019年に発表したレビューです [1]。コクランのレビューとは、決めた手順で関連する比較試験を集め、結果を整理する方法です。家庭で4週間以上、歯みがきに歯間清掃の道具を足した大人の試験が集められました。

研究の種類歯みがきに歯間清掃の道具を足した比較試験のレビュー(コクラン)
対象家庭で使った大人(口腔洗浄器の比較はRCT4件・380人)。多くはもともと歯ぐきの炎症が軽い人
比べたもの歯みがきだけ、歯みがき+口腔洗浄器
結果1か月後の歯ぐきの炎症の指数は低かったが、3か月・6か月後に差はなく、出血と歯垢も減らなかった
レビューの結果1か月後の歯ぐきの炎症の指数は歯みがきだけより低かったが、3か月・6か月後には差がありませんでした [1]。

研究の質は非常に低いと評価されており、「効く」とも「効かない」とも言い切れない状態です。

確かさが低い理由は、参加者が少ない試験が中心で、期間も短いことです。差が出た1か月の結果も、長く使い続けた結果ではありません。

その後の試験と新しいまとめ

コクランのあとに発表された研究では、炎症や出血が減ったという結果が多く見られます。

  • 歯肉炎のある70人の12週間のRCTでは、歯みがきにウォーターフロスを足すと、歯みがきだけより歯ぐきの炎症と出血の指数が下がりました [2]。
  • RCT18件のメタ解析では、歯みがきだけと比べて歯ぐきの出血と炎症がわずかに減り、歯垢は結果がそろいませんでした [3]。
  • 歯みがきに足す道具を比べたネットワークメタ解析(RCT22件)では、ウォーターフロスは歯ぐきの炎症の指数を0.19下げ、歯間ブラシに次いで2番目に効果が大きい結果でした [4]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

歯周病のメンテナンス中の人を対象にしたネットワークメタ解析では、口腔洗浄器は比較の多くで歯ぐきの炎症を減らしましたが、まとめて比べると手みがきだけより上位になった道具はありませんでした [5]。

差がはっきりしなかったレビュー歯周病のメンテナンス中の大人を集めたネットワークメタ解析

手みがきだけより上位になった道具はありませんでした。

企業が関わる研究が多い

新しい試験の一部は、ウォーターフロスの製造会社に所属する著者が行ったものや、製造会社の依頼を受ける試験機関で行われたものです。たとえば電動歯ブラシに足して4週間比べた70人の試験は、筆頭著者が製造会社の所属で、足した群は歯ぐきの出血の減り方が37%大きい結果でした [6]。企業の関与は結果が偏る原因になりうるため、このような試験は割り引いて読む必要があります。

よく言われていることは本当?

  • 歯ぐきの炎症・出血を減らし、歯周病を予防する研究が足りません。 1か月後の炎症の指数は低かったものの、3か月・6か月後には差がありませんでした [1]。歯周病の予防そのものを調べた研究は見つかっていません。
  • 糸のフロスの代わりになる研究が足りません。 出血はウォーターフロスがやや少ない報告が多い一方、歯垢は差がないとする解析もあります [3]。コクランのレビューでも、フロスと直接比べたRCTは2件で、歯垢に差はありませんでした [1]。
  • 歯垢をほぼ全部落とす(除去率の高い数字)根拠が見つかっていません。 歯みがきに足しても歯垢は減らなかったとするレビューが複数あり [1]、この数字を裏づける研究は見つかっていません。
  • 矯正装置があっても使いやすい研究が割れています。 手みがきに足すと歯垢の指数が平均0.75低かったメタ解析がある一方 [7]、矯正中の人7件のメタ解析では歯ぐきの炎症・歯垢・出血に差はありませんでした [8]。
  • 口臭を減らす研究が見つかっていません。 歯みがきだけの群と口臭を比べた研究は見つかっていません。
  • フロスや歯間ブラシより歯ぐきにやさしい研究が足りません。 直接比べた研究は少なく、コクランは重い有害事象を報告していません [1]。

02注意点

研究の対象は主に大人で、期間は数週間から数か月でした。たとえば歯肉炎のある大人192人を3群に分けた30日間の試験では、歯型に合わせたマウスピース型の洗浄器が、歯みがきだけの群やフロスの群より歯ぐきの指標が良い結果でした [9]。ただし、製造会社の依頼を受ける試験機関の研究で、特殊な形の器具です。歯ぐきの出血が続く、腫れや痛みがある、歯周病の治療中という人は、使う前に歯科医師や歯科衛生士に確認してください。

水圧は弱めから始める

歯ぐきが痛むときは、無理に続けずに歯科で相談してください。

03まとめ

ウォーターフロスを歯みがきに足すと、歯ぐきの炎症が減ったという研究が多くあります。学術論文としては、まだ断定できていません。
歯みがきに足して使うときの、1か月ほどの歯ぐきの炎症と出血が、いちばん調べられた範囲です。
糸のフロスが苦手な人が続けやすい道具として試し、気になる症状は歯科で見てもらいましょう。

04よくある質問

Q歯ブラシの代わりにウォーターフロスだけでもよいですか?

研究は、歯みがきに足した場合を調べたものです。歯ブラシの代わりにした場合は確かめられていません。

Q糸のフロスと、どちらが歯垢を落とせますか?

結果は割れています。出血はウォーターフロスがやや少ない報告が多い一方、歯垢は差がないとする解析もあります [[39997271]]。

Qどのくらい使い続ければ効果が出ますか?

研究では1か月後に炎症の指数が低かった一方、3か月・6か月後には差がありませんでした [[30968949]]。続ける期間の目安は研究では確かめられていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(9本)

[1]歯みがきに足す歯間清掃の道具で歯周病とむし歯を防げるか、のコクランのレビュー

発表年
2019年
研究機関
イギリス・コクラン口腔保健グループ
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
380人
結果の向き
結果が割れている

口腔洗浄器を足すと1か月後の炎症の指数は低かったが、それ以降は差がなかった。

[2]ウォーターフロスが歯ぐきの炎症と歯垢の細菌に与える影響の12週間の比較試験

発表年
2023年
研究機関
中国・四川大学
掲載誌
Clinical oral investigations
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
70人
結果の向き
良い方向

歯肉炎のある70人で、足した群は歯ぐきの炎症と出血の指数が下がった。

[3]一般の人と矯正中の人の歯垢と歯肉炎に対する口腔洗浄器のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
サウジアラビア・キング・アブドゥルアズィーズ大学
掲載誌
Healthcare (Basel, Switzerland)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究18件を統合
結果の向き
良い方向

RCT18件で、歯ぐきの出血と炎症はわずかに減り、歯垢は結果がそろわなかった。

[4]歯の間の清掃方法が炎症の指標を下げる効果のネットワークメタ解析

発表年
2018年
研究機関
アメリカ・ワシントン大学
掲載誌
Journal of periodontology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究22件を統合
結果の向き
良い方向

ウォーターフロスは炎症の指数を0.19下げ、歯間ブラシに次ぐ上位だった。

[5]歯周病のメンテナンス中の人の歯垢除去の系統的レビューとネットワークメタ解析

発表年
2020年
研究機関
オランダ・アムステルダム歯学アカデミックセンター
掲載誌
Journal of clinical periodontology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究16件を統合
結果の向き
結果が割れている

口腔洗浄器は比較の多くで炎症を減らしたが、手みがきだけより上位の道具はなかった。

[6]電動歯ブラシにウォーターフロスを足したときの炎症の兆候への効果の4週間の試験

発表年
2020年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Compendium of continuing education in dentistry (Jamesburg, N.J. : 1995)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
70人
結果の向き
良い方向

70人で、足した群は歯ぐきの出血の減り方が37%大きかった。

[7]矯正中の人の歯垢と歯ぐきの出血に対する口腔洗浄器のメタ解析

発表年
2024年
研究機関
サウジアラビア・キング・サウード大学
掲載誌
International journal of dental hygiene
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究4件を統合
結果の向き
良い方向

足すと歯垢の指数が平均0.75、出血の指数が0.17低く、歯肉炎の指数には差がなかった。

[8]矯正中の人の歯周の状態と口腔衛生に対する口腔洗浄器のメタ解析

発表年
2024年
研究機関
イラン・イスファハン医科大学
掲載誌
BMC oral health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究7件を統合
結果の向き
差なし

7件の解析で、炎症・歯垢・出血の指数に有意な差はなかった。

[9]マウスピース型の口腔洗浄器の歯肉炎と歯垢への効果の30日間の3群比較

発表年
2023年
研究機関
アメリカ・受託の臨床試験機関
掲載誌
Compendium of continuing education in dentistry (Jamesburg, N.J. : 1995)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
192人
結果の向き
良い方向

192人で、歯みがきだけやフロスの群より、15日後・30日後の歯ぐきの指標が良かった。

ほかに参考にした論文(18本)

この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。