ハイドロキシアパタイト入り歯みがき粉は虫歯を防ぐ?

ハイドロキシアパタイト入り歯みがき粉は虫歯を防ぐ?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

防ぎます。フッ素入りの歯みがき粉と、同じくらい防ぎます。

根拠

フッ素を含まない製品を調べたメタ解析で、ランダム化比較試験3件をまとめると、虫歯を17%防いでいました [1]。補足として、同じ研究グループによる2024年の更新版も、虫歯予防の成分として効果があると結論しています [2]。25歳未満の4件の試験のまとめでは、フッ素入りと虫歯のできやすさに差はありませんでした(リスク比0.98)[3]。比べた相手の内訳は要旨に書かれていません。根拠の確かさは中程度です。

この答えの範囲

子どもから大人の、虫歯の予防の話です。

じゃあ、どうする?

フッ素を避けたい人にとって、フッ素なしでも虫歯予防の選択肢があると分かります。フッ素入りと同じくらいの結果なので、どちらかを選ぶ話です。虫歯が多い人や子どもに使うときは、歯科で相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 79 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量420研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 79 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 79 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ハイドロキシアパタイト入りの歯みがき粉とは

ハイドロキシアパタイトは、歯のエナメル質や骨の主成分と同じ種類のリン酸カルシウムです。フッ素の代わりの虫歯予防成分として歯みがき粉に使われています。フッ素を含まないものと、フッ素も一緒に入れたものがあります。注意点は、この二つで研究の意味が違うことです。ここは成分の一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、カナダのトロント大学などの研究チームが2021年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果を統合して数値にまとめる方法です。フッ素を含まない製品のランダム化比較試験3件がまとめられました。

研究の種類フッ素を含まない製品の虫歯予防を調べたメタ解析
対象あらゆる年齢の人
比べたものフッ素入り、または虫歯予防の成分がない製品 (研究ごとに異なる)
結果ランダム化比較試験3件で、虫歯を17%防いでいた
メタ解析の結果フッ素を含まない製品は、虫歯を17%防いでいました [1]。

補足として、同じ研究グループが2024年に更新したまとめ (臨床試験5件と口の中の装置の試験8件) も、フッ素がなくても虫歯予防の成分として効果があると結論しています [2]。

更新版は同じ研究グループによるまとめで、独立した別の根拠ではありません。比べた相手の内訳 (何も入っていない製品か、フッ素入りか) は要旨に書かれていないため、17%は「フッ素入りと比べた数字」とは限りません。数字の大きさより、効果がある向きを読み取るのが正確です。2026年に企業の研究部門が出した系統的レビューも、子ども・若い人・大人を対象にした、フッ素を含まない製品の虫歯予防の試験が3件あったと報告しています [4]。

フッ素入りと比べると?

フッ素入りと直接比べた試験では、差が出ませんでした。ここでの「差がない」は、効かないという意味ではなく、同じくらい防いだという意味です。

  • 25歳未満の4件の試験のまとめ: 虫歯のできやすさにリスク比0.98で差がありませんでした。ギリシャの国立カポディストリアン・アテネ大学などの2025年の解析です [3]
  • 乳歯の子どもで約1年: 初期の虫歯が増えた割合は、ハイドロキシアパタイト入り72.7%、フッ素入り74.2%でした [5]
  • 矯正装置をつけた虫歯になりやすい人で168日間: 初期の虫歯の増え方に差がありませんでした [6]
差がなかった試験大人189人を18か月追った二重盲検の試験です。

虫歯が増えなかった人は、ハイドロキシアパタイト入り89.3%、フッ素入り87.4%で、フッ素入りに劣りませんでした [7]。

よく言われていることは本当?

  • フッ素なしでも虫歯を防げる効きます。 メタ解析で虫歯を17%防いでいました [1]。比べた相手の内訳は要旨から分かりません。
  • フッ素入りと同じくらい虫歯を防ぐ本当です。 大人・子どもの試験でフッ素入りとの差はありませんでした [3] [7]。同じくらいで、上回る結果ではありません。
  • 初期の虫歯 (白い斑点) を再石灰化して修復するフッ素入りと同じくらいです。 口の中につける装置に歯のかけらを入れた試験で、再石灰化の量に差はありませんでした [8]。
  • 知覚過敏を和らげる効きます。 臨床試験44件のまとめで、プラセボより39.5%、フッ素入りより23%多く痛みを減らしました [9]。虫歯予防とは別の話です。
  • 歯を白くするこの記事では研究を確かめていません。
  • 飲み込んでも安全で子どもに向く研究が足りません。 安全性を結果にした臨床研究は見つかっていません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

ハイドロキシアパタイトにフッ素も加えた歯みがき粉は、フッ素だけの歯みがき粉より、子どもの2年間の虫歯の増え方が少ない結果でした [10]。フッ素を含まない製品の研究ではないため、この記事の答えとは分けて読んでください。

フッ素も入れた製品の試験イタリアの子どもを2年間追ったランダム化比較試験です。

虫歯の増え方は、フッ素だけの歯みがき粉より少なくなりました [10]。

02注意点

フッ素入りと比べた試験の期間は、168日から18か月でした。大人の試験では、フッ素入りは1450ppmの歯みがき粉と比べています [7]。数年以上の長い期間や、年齢ごとの違いは、この記事の研究では確かめられていません。安全性を結果にした臨床研究も見つかっていません。持病がある人、虫歯が多い人、子どもに使う人は、歯科医師や歯科衛生士に確認してください。

フッ素入りからの切り替えは、歯科で相談を

フッ素入りと同じくらいという結果は試験の条件でのものなので、虫歯が気になる人は歯科医師に相談してください。

03まとめ

ハイドロキシアパタイト入りの歯みがき粉は、フッ素なしでも虫歯を防ぎます。
フッ素入りと同じくらいで、上回るとは言えません。
フッ素を避けたいときの選択肢として、気になる点は歯科で相談しましょう。

04よくある質問

Qフッ素入りとどちらがいいですか?

研究では、虫歯のできやすさに差がありませんでした [[40107597]]。フッ素入りより上とは言えないので、どちらも同じくらい防ぐと考えられます。

Q子どもに使っていいですか?

乳歯の子どもで約1年、フッ素入りと同じくらいの結果でした [[33514787]]。飲み込んだときの安全性を調べた臨床研究は見つかっていません。使い方は歯科で相談してください。

Q知覚過敏にも効きますか?

臨床試験44件のまとめで、プラセボより39.5%多く痛みを減らしました [[36648809]]。虫歯予防とは別の結果です。

05参照した論文

判定に使った主な論文(10本)

[1]ハイドロキシアパタイトと虫歯予防を調べたメタ解析

発表年
2021年
研究機関
カナダ・トロント大学
掲載誌
Canadian journal of dental hygiene : CJDH = Journal canadien de l'hygiene dentaire : JCHD
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究3件を統合
結果の向き
良い方向

フッ素を含まない製品のRCT3件をまとめると、虫歯を17%防いでいた。

[2]ハイドロキシアパタイトの虫歯予防の臨床証拠を更新したメタ解析

発表年
2024年
研究機関
ポーランド・ビャウィストク医科大学
掲載誌
Journal of dentistry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究13件を統合
結果の向き
良い方向

臨床試験5件と口の中の装置の試験8件をまとめ、フッ素なしでも虫歯予防の成分として効果があると結論した。

[3]フッ素なしのハイドロキシアパタイト歯みがき粉の初期虫歯への効果のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
ギリシャ・国立カポディストリアン・アテネ大学
掲載誌
Journal of dentistry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究4件を統合
結果の向き
差なし

フッ素入りと比べ、虫歯のできやすさに差はなかった (リスク比0.98)。

[4]フッ素なし歯みがき粉の虫歯予防を調べた系統的レビュー

発表年
2026年
研究機関
ドイツ・企業の研究部門
掲載誌
Clinical, cosmetic and investigational dentistry
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

フッ素を含まないハイドロキシアパタイトの試験は、子ども・若い人・大人を対象にしたものがあった。

[5]乳歯の虫歯への効果を調べた1年のランダム化試験

発表年
2021年
研究機関
ポーランド・ポズナン医科大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

初期の虫歯が増えた割合は72.7%と74.2%で、フッ素入りに劣らなかった。

[6]矯正装置をつけた人の初期の虫歯の進行を調べた6か月の試験

発表年
2019年
研究機関
ドイツ・ヴュルツブルク大学病院
掲載誌
Journal of investigative and clinical dentistry
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

虫歯になりやすい人で、168日間の初期の虫歯の増え方に差はなかった。

[7]大人の虫歯予防効果を調べた18か月の二重盲検試験

発表年
2023年
研究機関
ポーランド・ポズナン医科大学
掲載誌
Frontiers in public health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
189人
結果の向き
差なし

大人189人で、虫歯が増えなかった人は89.3%と87.4%で、フッ素入りに劣らなかった。

[8]ナノハイドロキシアパタイト歯みがき粉による初期虫歯の再石灰化

発表年
2011年
研究機関
アメリカ・テキサス大学ヘルスサイエンスセンター
掲載誌
The Journal of clinical dentistry
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

口の中の装置の試験で、フッ素入りと同じくらい初期の虫歯を再石灰化した。

[9]ハイドロキシアパタイトの知覚過敏への臨床証拠を更新したメタ解析

発表年
2023年
研究機関
カナダ・トロント大学
掲載誌
Biomimetics (Basel, Switzerland)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究44件を統合
結果の向き
良い方向

臨床試験44件のまとめで、プラセボより39.5%、フッ素入りより23%多く知覚過敏を減らした。

[10]ハイドロキシアパタイトとフッ素入り歯みがき粉の2年間の試験

発表年
2022年
研究機関
イタリア・ミラノ大学
掲載誌
Journal of dentistry
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

フッ素も加えた製品は、フッ素だけより2年間の虫歯の増え方が少なかった。

ほかに参考にした論文(7本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。