[1]アレルギー性鼻炎に対する食塩水での鼻うがい
- 発表年
- 2018年
- 研究機関
- イギリス・オックスフォード大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 407人
- 結果の向き
- 良い方向
アレルギー性鼻炎の大人と子どもで、鼻うがいをすると症状のつらさが軽くなった。研究の質は低い。

楽になります。花粉症などアレルギー性鼻炎の、鼻のつらさが大きく軽くなります。
花粉症を含む、アレルギー性鼻炎の人を対象にした研究の話です。使われたのは食塩水で、花粉症だけに絞った比較ではありません。かぜは具合が悪い日数が減りますが、根拠の確かさは低めです。副鼻腔炎は研究が1件だけです。
症状がつらいときに、食塩水での鼻うがいを試す価値はあります。薬を使っている人が足す場合は、上乗せ効果の研究が足りず結果が割れていて、薬を減らせるかも確かめられていません。持病や服薬がある人、子どもに行う場合は、医師・薬剤師に確認してから始めましょう [1]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 12.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 92.7 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
鼻うがいは、食塩水で鼻の中を洗い流す方法です。花粉やウイルスを洗い流して、鼻水・鼻づまり・くしゃみを和らげるとされ、体液と同じ濃さの生理食塩水や、濃いめの食塩水が使われます。専用の器具で食塩水を鼻に通すやり方が一般的です。注意点は、鼻がしみたり鼻血が出たりすることがあること、子どもや持病のある人は医師に確認することです。
答えの中心は、イギリスのオックスフォード大学などのコクラン研究グループが2018年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた条件で複数の研究を集め、まとめて評価する方法です。アレルギー性鼻炎の大人と子どもを対象に、食塩水での鼻うがいを、しない場合と比べた試験が集められました。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めた系統的レビュー(メタ解析) |
|---|---|
| 対象 | アレルギー性鼻炎の大人と子ども |
| 比べたもの | 食塩水での鼻うがい / 鼻うがいをしない場合 |
| 結果 | 自分で評価した症状のつらさが軽くなった(標準化平均差 -1.32) |
根拠の確かさは低めです。研究の数が少なく、食塩水の量や濃さが研究ごとにばらつくためです。
4週間から3か月の時点でも、同じ向きの結果でした(標準化平均差 -1.44、167人、研究5件)[1]。標準化平均差は、異なる尺度の結果をそろえて比べる数値で、「症状が何割軽くなる」という意味ではありません。大きな差に分類される値です。
子どもと青年だけを集めた2026年のメタ解析は、サウジアラビアのノーザン・ボーダー大学などのチームによるものです [2]。医師がアレルギー性鼻炎と診断した18歳以下の462人(研究7件)で、鼻の症状スコアは比較群より大きく下がりました(標準化平均差 -1.29)。無作為に分けていない試験も含まれ、比べたのは薬による通常の治療か、何もしない群です。
生活の質は良くなりましたが、症状の点数には差がありませんでした [4]。
研究の条件は一定ではありません。例えば2025年のインドの試験では、ステロイド点鼻薬を使う120人が、生理食塩水で片側50mlずつの鼻うがいを一日に複数回、12週間続けました [3]。この量や回数は研究の条件で、誰にでも適した方法ではありません。
副作用は、コクランのレビューでは報告がなく、子どもの研究では鼻のしみる感じなど軽いものが少数でした [1] [2]。ただし追跡は短く、長期の安全性までは判断できません。持病や服薬がある人、中耳炎などの症状がある人、子どもに行う場合は、医師・薬剤師に確認してください。
食塩水の量・濃さ・回数は研究ごとに違うため、使う器具の説明書と医療者の指示を優先してください。
鼻うがいは、アレルギー性鼻炎の鼻のつらさを軽くします。根拠の確かさは低めです。
薬に足した上乗せ効果は研究が足りず、結果が割れています。かぜは具合が悪い日数が減り、効きます。副鼻腔炎は研究が1件だけです。
つらい時期に試す価値はあるので、体調や持病が気になるときは先に医師へ聞いてください。
子どもでは濃いめが平均1.22点大きく改善したというまとめがあります。一方、大人では差がない試験と、濃いめが良かった小さな試験に分かれ、副作用の少なさから生理食塩水を勧めるレビューもあります。濃いほど効くとは言えません。
結果が割れています。ステロイド点鼻薬を使う120人の試験では症状の合計点が12週間後に低くなりましたが、コクランの2件・32人のまとめでは、はっきりした差は確認できませんでした。
根拠は、花粉症を含むアレルギー性鼻炎の人を対象にした研究です。花粉症だけに絞って、鼻うがいの有無を比べたまとめは、今回の根拠にありません。主に季節性のアレルギー性鼻炎の大人80人の試験も、比べたのは食塩水の濃さで、鼻うがいの有無ではありません [[33068371]]。
アレルギー性鼻炎の大人と子どもで、鼻うがいをすると症状のつらさが軽くなった。研究の質は低い。
18歳以下の462人(研究7件)で、鼻うがいをすると鼻の症状スコアが大きく下がった。
点鼻薬を使う120人で、鼻うがいを足した群は12週間後の症状の合計点が低かった。
ステロイド点鼻薬に鼻うがいを足すと、生活の質は良くなったが症状には差がなかった。
子どもで、濃いめの食塩水は生理食塩水より鼻の症状スコアの改善が平均1.22点大きかった。
大人80人で、3%と0.9%の食塩水を比べたが、群の間に差はなかった。
大人78人で、1.8%の食塩水は0.9%より生活の質の点数と鼻づまりが良くなった。小規模な予備的な試験。
アレルギー性鼻炎では副作用が少ないことから、生理食塩水が勧められていた。
鼻うがいではなく食塩水の点鼻スプレーで、具合が悪い日数が少なかった大規模な試験。
かぜをひいて48時間以内の大人で、かぜの期間が短かった小規模な試験。
かぜなどの子どもと大人の試験をまとめたコクランのレビュー。多くの結果は鼻うがいなしと差がなかった。
慢性副鼻腔炎の大人の試験で、鼻うがいの群は3か月後の生活の困りごとの点数が良かった。研究の質は低い。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。