[1]薄毛へのPRP注射の効果を調べたメタ解析
- 発表年
- 2024年
- 研究機関
- ブラジル・ポルトアレグレ保健科学連邦大学
- 掲載誌
- Anais brasileiros de dermatologia
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 431人
- 結果の向き
- 良い方向
PRP注射は偽の注射より髪の密度が平均27.55本多かったが、根拠の質は低い。

PRP注射は、偽の注射より髪の密度を1平方センチあたり約28本増やします。
男性型・女性型の薄毛でPRPを調べた結果です。薬剤を注射するメソセラピーは薬剤がばらばらで、小規模な試験7件のうち4件で髪が増え、3件は差がありませんでした。
受けるなら、増える本数は平均値で個人差があると知ったうえで、皮膚科で注射の中身と回数を確かめてください。塗り薬のミノキシジルと比べた試験のまとめでは、髪の密度に差はありませんでした [3]。まず塗り薬から始める選択もあります。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 15.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 95.7 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本・観察研究 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
頭皮注射は、薄毛の治療として医療機関で頭皮に注射する方法の総称です。自分の血液から作るPRP(多血小板血漿)や、ミノキシジルなどの薬剤を直接注射するメソセラピーなどの種類があります。PRPは、血小板から出る成長因子などが髪の成長を促すと考えられています [4]。注射する中身は医療機関ごとに違い、痛みや出血が起こること、血をさらさらにする薬を使っている人は事前に医師への確認が必要なことが注意点です。
答えの中心は、ブラジルのポルトアレグレ保健科学連邦大学などの研究チームが2024年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて、全体としてどのような違いがあるかを調べる方法です。ランダム化比較試験14件・431人が集められ、13件が統合されました。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めたメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 15〜63歳の男性型・女性型の薄毛の人 |
| 比べたもの | PRP注射と、プラセボ(偽の注射) |
| 結果 | 髪の密度が1平方センチメートルあたり平均27.55本多い |
95%信頼区間は14.04〜41.06本ですが、研究間のばらつきが大きく、結果の良い研究ばかり公表される偏り(出版バイアス)もあるため、根拠の確かさは低いと評価されています。
27.55本は本数の差で、「27.55%増える」ではありません。信頼区間とは、本当の差が入っていそうな範囲です。
クリニックの案内で目にする話を、研究と照らしました。
PRPと塗り薬のミノキシジルを直接比べたランダム化比較試験9件・451人のまとめでは、髪の密度に有意な差がありませんでした。満足度はPRPのほうが高い結果です [3]。72人の試験では、12週後に髪を引っ張っても抜けにくかった人の割合が、PRPの群で91.7%、ミノキシジルの群で69.4%でした [12]。一方、6件のまとめでは、PRPは髪の密度と抜けにくさで、ミノキシジルは太い毛の数で、それぞれ上回っていました [13]。
まとめごとに結論が分かれ、PRPが塗り薬より効くとは確かめられていません。 注射のほうが効きやすいという話は、研究では裏づけられていません。塗り薬の効き方はミノキシジルは何か月で効く?やめたら戻る?にまとめています。
注射の回数は研究ごとに違います。月1回を3か月続けた試験のまとめ [4] や、毎週最大4回注射して最後の注射から6か月追跡した試験 [14] があります。9件のまとめでは、髪の密度が偽薬より多かったのは3か月と6か月の時点でした。髪の本数と太さには偽薬との差がありませんでした [15]。半年を超えて保てるかは、これらの研究からは分かりません。
PRPの試験でも、差が出なかったものがあります。35人の頭の左右にPRPと生理食塩水を注射した2020年の試験では、どちらの側も髪の密度が増え、増え方に有意な差はありませんでした [16]。クリニックで使われる混合薬と同じ中身を調べた試験は少なく、メソセラピーの結果をそのまま当てはめることはできません [17]。
毛包の幅や長さは増えましたが、毛包の数と髪の本数に有意な差はありませんでした [7]。
PRPの試験27件・1,117人のまとめでは、重い副作用は見られませんでした [2]。PRPの副作用は、痛み・出血・かゆみなど一時的で軽いものが中心です [18]。活性化しない作り方のPRPでは副作用が多かったという解析もあります [5]。メソセラピーでは、額がむくんだ14例の報告があり、1〜4日続いて冷やすと治まりました [19]。注射治療30本のレビューでは、逆に毛が抜ける、傷あとが残る、急な皮膚炎の報告もありました [20]。長期の安全性は、これらの研究からは判断できません。持病や服薬がある人、血をさらさらにする薬を使っている人は、受ける前に医師・薬剤師に確認してください。
研究で調べられた注射と、自分が受ける注射が同じ中身とは限らないため、薬剤名と回数を事前に医師へ確かめましょう。
PRP注射は、髪の密度を増やします。根拠の確かさは低めです。
増える本数は平均値で、塗り薬に上乗せして勝つとは確かめられていません。メソセラピーは薬剤ごとに結果が割れています。
受ける注射が研究と同じ中身かを確かめ、塗り薬との違いも含めて皮膚科で相談してから決めましょう。
最も多い副作用は注射の痛みです。デュタステリドのメソセラピーを受けた541人の記録では、246人(45.5%)に痛みがありました [[35816059]]。PRPでは、痛みは一時的で軽いものが中心でした [[36729475]]。
女性型の薄毛の研究7本のまとめでは、太い毛の密度は増えましたが、髪の太さには有意な差がありませんでした [[36264022]]。著者は、より大きな研究で確かめられるまでは慎重に読むよう勧めています。
同じ中身を調べた質の高い試験が少なく、研究では確かめられていません。
PRP注射は偽の注射より髪の密度が平均27.55本多かったが、根拠の質は低い。
生理食塩水の注射と比べ、中期の追跡で髪の密度が平均25.6本多かった。根拠の質は低い。
髪の密度に有意な差はなく、満足度はPRPのほうが高かった。
月1回・3回のPRP注射で、髪の密度が偽薬より平均25.61本多かった。
PRP注射を受けると、比べる相手にかかわらず抜け毛が減っていた。
0.5%ミノキシジルの頭皮注射で抜け毛と髪のボリュームが改善した。
毛包の幅や長さは増えたが、毛包の数と髪の本数に有意な差はなかった。
塗り薬に足すと5〜6か月後の髪の密度が高かったが、根拠の質は非常に低い。
PRPは12週までに抜けにくくなるのが早かったが、どちらかが勝るとは言えない。
太い毛の密度は増えたが、髪の太さに有意な差はなかった。
最も多い副作用は注射の痛みで、性機能の副作用は見られなかった。
72人の試験で、12週後に引っ張っても抜けにくかった人の割合はPRP群91.7%、ミノキシジル群69.4%だった。
PRPは髪の密度と引っ張っても抜けにくい点で、ミノキシジルは太い毛の数で、より改善していた。
PRPを注射した部分では、25人(83%)が髪を引っ張っても抜けにくくなった。
3か月と6か月の時点で髪の密度は偽薬より多かったが、髪の本数と太さに有意な差はなかった。
両側とも髪の密度が増え、増え方に有意な差はなかった。
改善を報告した研究はあるが、決まったやり方がなく、副作用の報告もある。
副作用は痛み・出血・かゆみなど一時的で軽いものだけだった。
額のむくみは1〜4日続き、冷やすと治まった。
副作用はおおむね軽いが、逆に毛が抜ける、傷あと、急な皮膚炎の報告もあった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。