秋に抜け毛が増えるのは本当?

秋に抜け毛が増えるのは本当?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え本当

本当です。夏の終わりから秋に、抜け毛は増える時期と関連しています。

根拠

季節ごとに毛根の検査や抜け毛の本数を調べた観察研究 5 件(人数を数えた研究の合計は 1081 人)が、すべて夏〜秋に休止期(抜ける準備に入った)の毛や抜け毛が多いと報告しています [1] [2]。英国の男性 14 人の研究では、晩夏の抜け毛は毎日約 60 本で、前の冬の倍以上でした [1]。根拠の確かさは低めです。研究が小規模か過去の記録の振り返りで、日本人のデータがないためです。

この答えの範囲

毛根の検査や本数を調べた海外の研究の話です。

じゃあ、どうする?

秋の抜け毛は、季節の周期に沿った動きと関連しています。洗髪やブラッシングで本数が増えても、まず冬に向けて落ち着くかを数か月見るのが研究に沿った見方です。抜け毛が長く続く、地肌が目立ってきた、という場合は皮膚科で相談を。栄養面は 抜け毛に役立つ栄養素はどれ? も参考になります。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。5 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 61 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量12.820研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ310最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 60.8 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 61 点です。 判定に使った研究は、その他のヒトの研究 3 本・観察研究 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

抜け毛の季節変動とは

髪は、伸びる時期(成長期)と、抜ける準備に入る時期(休止期)をくり返しています。休止期の毛が多い時期は、抜け毛も増えます。毛根を調べる検査(毛根検査)で、休止期の毛の割合を測れます。世間では、秋に抜け毛が増えるとよく言われています。ここは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

季節ごとに測った研究

答えの中心は、イギリスのブラッドフォード大学の研究チームが1991年に発表した観察研究です [1]。観察研究とは、人に何かを割り当てず、ふだんの状態を追って測る方法です。屋内勤務の18〜39歳の男性14人が、28日ごとに18か月測定されました。

研究の種類健康な男性を追跡した観察研究
対象英国の屋内勤務の18〜39歳の男性14人
比べたもの季節ごとの成長期の毛の割合と抜け毛の本数
結果成長期の毛の割合は春先に最も高く、晩夏〜初秋に最も低かった
追跡した研究の結果抜け毛が最も多かったのは晩夏〜初秋で、毎日約60本と前の冬の倍以上でした [1]。

成長期の毛の割合は、春先に90%超で最も高くなっていました [1]。

同じ向きの結果は、ほかの研究でも出ています。

  • スイスのチューリッヒ大学病院の研究チームは、抜け毛を訴える女性823人の毛根検査を後ろ向きに解析しました。休止期の毛の割合は夏に最も高く、晩冬に最も低くなっていました [2]。春にも小さな山がありました。
  • 企業の研究部門の研究チームは、男性10人の頭頂部の決まった場所を8〜14年写真で記録しました。休止期の割合は夏の終わり〜秋の初めに最も高くなっていました。別の対象者の調査では、休止期の割合の変化は抜け毛の量の変化と重なっていました [3]。
  • チリの研究チームは、正常な頭皮の毛根検査514件を解析しました。休止期の毛の割合は夏が平均20%、冬が16%でした [4]。
  • イタリアのジェノヴァ大学の研究チームは、抜け毛を訴える女性234人を調べました。洗髪時に抜ける本数と休止期の割合はどちらも秋に増え、休止期の割合の増加が洗髪時の本数より1か月早く現れました [5]。

5本はいずれも、夏〜秋の時期に休止期の毛や抜け毛が多いという向きでそろっています。根拠の確かさは低めです。研究が小規模だったり、過去の記録を振り返った解析だったりするためで、日本人を対象にした研究も見つかっていません。

見つかった研究では、ピークがずれることも

ピークの月は研究で少し違います。イギリスの研究は晩夏〜初秋、スイスの研究は夏で、春にも小さな山がありました。対象者の国や、測り方(毛根検査・写真・洗髪時の本数)も研究ごとに違います。「秋にだけ」増えるというより、夏の終わりから秋にかけて多い、と読むのが正確です。

春にも山があった研究抜け毛を訴える女性 823人(後ろ向きの解析)

休止期の割合は夏が最も高く、春にも小さな山が見られました。

よく言われていることは本当?

  • 秋は抜け毛が増える本当です。 観察研究 5 本がすべて、夏〜秋に休止期の毛や抜け毛が多いと報告しています [1] [5]。
  • 季節で成長期の毛の割合が変わるため、秋に抜ける研究では、そう読める結果が出ています。 成長期の割合は春先に最も高く、晩夏〜初秋に最も低くなりました [1]。
  • 季節の抜け毛は一時的で、冬には落ち着く冬までは確かめられています。 休止期の割合は晩冬に最も低くなりました [2]。抜けた分が生えそろうことを直接確かめた研究は見つかっていません。
  • 夏の紫外線や汗で頭皮が傷み、秋の抜け毛が増える研究が見つかっていません。 季節の研究の1本は日照時間との関係に触れていますが、頭皮のダメージを調べたものではありません [3]。
  • 秋は1日に何百本も抜けることがある研究は見つかっていません。 何百本という数字の出典も見つかっていません。研究で数えられた本数は、毎日約60本 [1]、1日の数え取りの中央値60.5本、洗髪テストの中央値122本です [5]。

02注意点

研究の対象は、健康な男性や、抜け毛を訴えるが病気や薬の影響のない女性です [2]。病気や薬が原因の脱毛、円形脱毛症、男性型脱毛症は、季節の変動とは別の話で、この研究では扱っていません。

長く続く抜け毛は季節のせいとは限りません

数か月たっても減らない、地肌が目立ってきた、一部だけ抜けるといった場合は、皮膚科で相談してください。

03まとめ

夏の終わりから秋に抜け毛が増えるのは、研究の結果と合っています。
日本人のデータはなく、根拠の確かさは低めなので、時期や本数は目安として受け止めてください。
数か月たっても落ち着かないときは、早めに皮膚科へ。

04よくある質問

Qいつ頃からいつ頃まで増えますか?

研究では、休止期の毛の割合が夏〜初秋に最も高く、晩冬に最も低くなりました [[19407435]]。月ごとの正確な範囲は研究で少し違い、日本人での測定は見つかっていません。

Q抜け毛が増える原因は夏の紫外線ですか?

研究では確かめられていません。夏〜秋に増えるという季節の関連が測られたのみで、紫外線や汗の影響を調べた研究は見つかっていません。

Q1日に何本までなら心配ありませんか?

正常な本数の基準を決めた研究は見つかっていません。参考として、晩夏の男性 14 人では毎日約60本でした [[2003996]]。抜け毛を訴える女性の洗髪テストの中央値は、季節を問わない値で122本でした [[9031784]]。

Q冬になれば元に戻りますか?

休止期の割合が晩冬に最も低くなることは確かめられています [[19407435]]。抜けた分が生えそろうところまで確かめた研究は見つかっていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(5本)

[1]ヒトの髪の成長にみられる季節変化

発表年
1991年
研究機関
イギリス・ブラッドフォード大学
掲載誌
The British journal of dermatology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
14人
結果の向き
悪い方向

健康な男性14人を追跡し、抜け毛は晩夏〜初秋に最も多く、毎日約60本だった。

[2]抜け毛を訴える健康な女性にみられる毛の抜け方の季節性

発表年
2009年
研究機関
スイス・チューリッヒ大学病院
掲載誌
Dermatology (Basel, Switzerland)
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
823人
結果の向き
悪い方向

女性823人の毛根検査で、休止期の毛の割合は夏に最も高く、晩冬に最も低かった。

[3]髪の成長と抜け毛の周期性

発表年
1996年
研究機関
フランス・企業の研究部門
掲載誌
The British journal of dermatology
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
10人
結果の向き
悪い方向

男性10人を8〜14年写真で記録し、休止期の割合は夏の終わり〜秋の初めに最も高かった。

[4]チリ人の毛根検査にみられる季節変動

発表年
2009年
研究機関
チリ・首都圏北保健サービス
掲載誌
Revista medica de Chile
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

毛根検査514件で、休止期の割合は夏が平均20%、冬が16%だった。

[5]女性の抜け毛の定量化

発表年
1997年
研究機関
イタリア・ジェノヴァ大学
掲載誌
Dermatology (Basel, Switzerland)
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
234人
結果の向き
悪い方向

女性234人で、洗髪時の本数と休止期の割合はどちらも秋に増えた。

判定「悪い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。