抜け毛に役立つ栄養素はどれ?

抜け毛に役立つ栄養素はどれ?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.01
答え効く方法がある

髪用の複合サプリは、成長期の毛の密度を増やします。鉄・ビタミンD・亜鉛は、不足と抜け毛の関連が見られます。

根拠

髪用の市販サプリを調べた比較試験のメタ解析(14研究・967人)で、プラセボ(偽薬)より成長期の毛の密度が多くなりました [1]。鉄・ビタミンD・亜鉛は、血液中の値が低い人に抜け毛が多いという関連の報告で、補えば減るかは確かめられていません [2] [3] [4]。ビタミンDと亜鉛の関連は、根拠の確かさは低めです。観察研究に限られるためです。ビオチンは研究が足りません。

この答えの範囲

複合サプリの結果は、植物エキス中心の製品を、製造元が関わる試験で調べたものが中心です。毛の総数には差がなく、著者も予備的な結果としています。鉄・ビタミンD・亜鉛は、補って減るかは未確認です。

じゃあ、どうする?

まず皮膚科で、抜け毛のタイプと、血液検査の結果(鉄の貯蔵量・ビタミンD・亜鉛)を確かめましょう。不足があれば、補い方を相談できます。複合サプリを試すなら、試験の期間は12週〜12か月と長いので、数か月続けて見ます。ビオチン単独のサプリや、たんぱく質・海藻を増やすだけの対策は、今のところ研究の裏づけがありません。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。9 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 97 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量16.820研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 96.8 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 97 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

抜け毛に役立つ栄養素とは

抜け毛に役立つとされる栄養素には、鉄、ビタミンD、亜鉛、ビオチン、たんぱく質などがあります。食事やサプリで補う方法が知られ、髪のために複数の成分を組み合わせたサプリもあります。ここまでは一般に言われている内容で、研究で確かめたものではありません。栄養素ごとに、研究の有無と種類はかなり違うので、このページでは分けて見ていきます。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、サウジアラビアのハイル大学などの研究チームが2026年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た試験の結果を集めて合わせて分析する方法です。髪のための市販サプリを調べた比較試験がまとめられました。

研究の種類髪のための市販サプリを調べた比較試験のメタ解析
対象抜け毛・薄毛のある18歳以上の人(14研究・967人)
比べたもの市販の髪用サプリを12週〜12か月飲む人と、プラセボ(偽薬)
結果成長期の毛の密度はサプリが多く、毛の総数には有意な差なし
まとめて分析した結果サプリを飲んだ人は、プラセボより成長期の毛の密度が多くなりました(平均差は10.48、信頼区間は8.81〜12.14)[1]。

一方、毛の総数には有意な差がありませんでした。

読み方には注意が要ります。この結果は予備的なもので、多くは製品を作る企業が関わる小規模な試験です。また、効いた成分はビタミンやミネラルより、植物エキスなどが中心でした。

どんな成分が効いたのか

男性型・女性型の薄毛の1,658人(19件)を対象に、2025年に中国中医科学院広安門医院などが16種類のサプリを比べた解析があります [5]。プラセボより髪の密度を増やしたのは、次のものでした。

  • 植物エキスを配合した製品
  • リンゴエキス
  • トコトリエノール(ビタミンEの仲間)
  • パンプキンシードオイル

鉄や亜鉛などの栄養素そのものを飲んで密度が増えた、という結果ではありません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

栄養不足のない抜け毛の人を対象にした30研究の系統的レビューでは、食事を変える介入の研究は、条件を満たすものが1件もありませんでした [6]。サプリの結果と違い、食事だけで減るという根拠は、まだ得られていません。

食事の介入を調べた研究栄養不足のない抜け毛の人を対象にした30研究(ランダム化比較試験17件)

食事を変える介入の研究は、条件を満たすものがありませんでした。

よく言われていることは本当?

  • 亜鉛をとると抜け毛が減る・髪が育つ研究が足りません。 円形脱毛症の人は血液中の亜鉛が低いという関連が、34研究・4,931人で見られます [4]。ただし円形脱毛症の人だけの研究です。慢性の休止期脱毛の女性90人でも低く [7]、亜鉛のサプリを調べた試験を含むレビューで、効果の可能性があるとされたものはあります [6]。ただしこの記事では、補って減るとまでは確かめられていません。
  • 鉄分不足が抜け毛の原因になる(特に女性)鉄が低いことと抜け毛は関連しています。 女性10,029人(36研究)で、抜け毛のある女性は貯蔵鉄(フェリチン)が平均18.51低い結果でした [2]。ただし原因かどうかは、この種の研究では分かりません。休止期脱毛(急に抜け毛が増えるタイプ)の29研究をまとめた解析でも、フェリチンは低い結果でした [8]。一方、円形脱毛症の10研究や、慢性の休止期脱毛の90人の比較では、差がありませんでした [9] [7]。
  • ビタミンDが髪の成長に関わる低いことと関連しています。 女性型の薄毛の人は、血液中のビタミンDが平均15.67ng/mL低く、50.38%が不足していました [3]。男性型の薄毛では、差がはっきりしません。飲んで減るかを確かめた研究は乏しい状況です。
  • ビオチンのサプリで髪が増える・抜け毛が減る研究が足りません。 見つかったのは症例報告18例だけで、全員にもともと不足や病気がありました。健康な人が飲む根拠は不十分と結論されています [10]。慢性の休止期脱毛の90人の比較でも、血液や尿のビオチンに差はありませんでした [7]。
  • 髪のためのサプリ(複数の栄養素の組み合わせ)で抜け毛が減る髪の密度では本当です。 ただし毛の総数に差はなく、予備的な結果です [1]。
  • たんぱく質をとると抜け毛が減る研究が見つかっていません。 健康な人がたんぱく質を増やして抜け毛が減るかを確かめた研究は、見つかりませんでした。
  • 海藻(ヨウ素・ミネラル)で髪が増える研究が見つかっていません。 海藻を食べて髪が増えるかを確かめた人の研究は、見つかりませんでした。

02注意点

複合サプリの試験は、抜け毛・薄毛のある18歳以上の人が対象で、12週〜12か月の期間で行われています [1]。ここで使ったデータには、副作用の結果は含まれていません。鉄は体に溜まりやすいので、血液検査で不足が分かってから補うのが一般的です。持病や服薬のある人、妊娠中の人は、サプリを始める前に医師や薬剤師に確認してください。抜け毛が急に増えた場合は、栄養以外の原因もあるため、皮膚科で調べるのが先です。

不足の確認が先

自己判断で鉄や亜鉛を多くとるより、血液検査で足りているかを確かめてからにしましょう。

03まとめ

効いたと言えるのは、髪用の複合サプリの、成長期の毛の密度までです。
鉄・ビタミンD・亜鉛は、低い人に抜け毛が多いという関連で、補えば減るとは言えません。
まず皮膚科で血液検査を受け、不足があれば補い方を相談しましょう。

04よくある質問

Q食事を変えるだけで抜け毛は減りますか?

研究では確かめられていません。栄養不足のない抜け毛の人を対象にしたレビューでは、食事を変える介入の研究は条件を満たすものがありませんでした [[36449274]]。

Q血液検査では何を調べればよいですか?

研究で抜け毛との関連が報告されているのは、貯蔵鉄(フェリチン)、ビタミンD、亜鉛です [[35415182]] [[39416654]] [[39739356]]。何を調べるかは、皮膚科の医師に相談してください。

Q産後の抜け毛にも当てはまりますか?

研究では確かめられていません。ここで使った研究は、抜け毛・薄毛のある成人全般を対象にしており、産後に絞った結果は含まれていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(9本)

[1]髪のための市販サプリを調べたメタ解析

発表年
2026年
研究機関
サウジアラビア・ハイル大学
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
967人
結果の向き
良い方向

抜け毛・薄毛の成人967人(14研究)で、サプリはプラセボより成長期の毛の密度が多く、毛の総数には差がなかった。

[2]女性の脱毛と体の鉄の蓄えの関係を調べたメタ解析

発表年
2022年
研究機関
イスラエル・ベングリオン大学
掲載誌
Skin appendage disorders
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
10,029人
結果の向き
良い方向

女性10,029人(36研究)で、抜け毛のある女性は貯蔵鉄(フェリチン)が平均18.51低かった。

[3]円形脱毛症と血清微量元素のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・北京中医薬大学
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,931人
結果の向き
良い方向

円形脱毛症の研究34本(4,931人)で、円形脱毛症の人は健康な人より血液中の亜鉛が低かった。

[4]男性型脱毛症へのサプリメントの効果を比べたネットワークメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・中国中医科学院広安門医院
掲載誌
Frontiers in nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,658人
結果の向き
良い方向

薄毛の1,658人(19件)で16種類のサプリを比べ、植物エキス配合品などが髪の密度を増やした。

[5]栄養不足がわかっていない抜け毛に対する栄養の介入のレビュー

発表年
2023年
研究機関
アメリカ・タフツ大学
掲載誌
JAMA dermatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

栄養不足のない抜け毛の人の30研究を調べ、食事を変える介入の研究は条件を満たすものが無かった。

[6]休止期脱毛患者の血液検査値の包括的調査

発表年
2024年
研究機関
トルコ・アフヨンカラヒサル健康科学大学
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
症例対照研究ある病気の人とそうでない人で、過去の生活習慣などを比べる研究。
対象
—
結果の向き
差なし

慢性の休止期脱毛の女性90人と対照90人で、亜鉛は低く、フェリチンとビタミンDとビオチンには差がなかった。

[7]休止期脱毛と血清微量元素のメタ解析

発表年
2026年
研究機関
サウジアラビア・ファイサル国王専門病院
掲載誌
Skin appendage disorders
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究29件を統合
結果の向き
良い方向

休止期脱毛の29研究で、フェリチンとビタミンDの値が健康な人より低かった。

[8]円形脱毛症の人の血液中の微量元素を調べたメタ解析

発表年
2017年
研究機関
中国・煙台毓璜頂医院
掲載誌
The Journal of dermatology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

円形脱毛症の10研究では、鉄やフェリチンの値に健康な人との差がなかった。

[9]脱毛に対するビオチン使用のレビュー

発表年
2017年
研究機関
アメリカ・フィラデルフィア小児病院
掲載誌
Skin appendage disorders
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
差なし

見つかったのは症例報告18例だけで、健康な人がビオチンを飲む根拠は不十分としている。

ほかに参考にした論文(10本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。