[1]女性型脱毛症の治療法を比べたコクラン・レビュー
- 発表年
- 2016年
- 研究機関
- オランダ・ライデン大学医療センター
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 1,242人
- 結果の向き
- 良い方向
女性型脱毛症の女性を調べた試験47件をまとめ、ミノキシジルの塗り薬で髪の本数が増えた。

女性の薄毛には、ミノキシジルの塗り薬と光の機器が効きます。塗り薬は、プラセボより髪が1cm²に約13本多く増えます。
女性型脱毛症の女性の話です。産後の抜け毛など、ほかの原因の薄毛には当てはまらないことがあります。サプリは男女を含む、商品ごとの試験が中心です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 14.1 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 90.1 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
女性の薄毛は、頭頂部や分け目まわりの髪が、全体に細く少なくなる状態です。医学では女性型脱毛症と呼ばれ、加齢やホルモンの変化、体質が関わるとされています。対策には、薄毛の治療に使われる成分ミノキシジルの塗り薬と少量の飲み薬、光を当てる機器、サプリなどがあります。注意点は、産後や病気、薬、鉄の不足など別の原因の薄毛もあり、原因によって対応が違うことです。
答えの中心は、オランダのライデン大学医療センターなどの研究チームが2016年に発表したコクラン・レビューです [1]。コクラン・レビューとは、くじ引きのように参加者を分けて比べる試験を集め、全体の違いを整理する方法です。女性型脱毛症の女性を対象にした47件(5290人)が集められ、17件がミノキシジルを調べていました。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めたコクラン・レビュー |
|---|---|
| 対象 | 女性型脱毛症の女性 |
| 比べたもの | ミノキシジルの塗り薬 / プラセボ(有効成分の入っていない液) |
| 結果 | 髪の本数が1cm²あたり平均13.18本多く増えた |
8件・1242人の分析で、根拠の確かさは低めです。
自分で「中等度以上に髪が増えた」と答えた人の割合も、プラセボより多くなっています(リスク比1.93、6件)[1]。根拠の確かさが低めなのは、レビューが集めた47件の試験のうち、作りに偏りの心配が少ないと評価されたのが5件だけだったためです [1]。
研究の条件は方法ごとに違います。例えば2016年の試験では、18歳以上の女性型脱毛症の女性404人が、5%ミノキシジルの泡タイプか有効成分なしの泡を、1日1回24週間(約6か月)使いました。泡タイプのほうが1cm²あたり9.1本多く増えました [8]。この使い方は研究の条件で、誰にでも適した使い方ではありません。研究で使われた5%は、日本では女性向けの市販薬としては今は売られていません。
日本の薬局で今売られている5%の塗り薬は男性用で、女性は使えません(日本人女性での安全性が確認されていないため)。女性向けに認められているのは1%の製品で、20歳以上が対象です。妊娠中・授乳中、産後の抜け毛、甲状腺の病気や急なダイエットなど原因の違う抜け毛には使いません。高血圧・低血圧の人は、使う前に医師か薬剤師に相談してください。効果が分かるまで少なくとも6か月、毎日使うのが目安です。(医薬品医療機器総合機構の添付文書)
副作用は、塗り薬でかゆみ・刺激・毛が濃くなることが報告されています。ただ、報告は試験で違います。女性381人の試験では5%の液でこれらが多く [3]、404人の泡タイプの試験では有効成分なしの泡と差がありませんでした [8]。液と泡で違う理由は、これらの研究からは分かりません。飲み薬は、男女の小規模な試験で頭痛(20%)・めまい(15%)・足のむくみ(5%)が出ました [9]。専門家委員会は、鉄・亜鉛・ビタミンDなどの検査も勧めています [10]。持病・服薬中の人は、医師・薬剤師に確認してください。
女性型脱毛症の女性の結果を、産後の抜け毛など別の原因にそのまま当てはめないでください。
女性の薄毛には塗り薬と光の機器が効きますが、どちらも根拠の確かさは低めです。
この結果は女性型脱毛症の女性のものなので、産後の抜け毛など別の原因には当てはまらないことがあります。
まず皮膚科で原因を確かめ、塗り薬から医師と相談して始めましょう。
コクラン・レビューの3件の分析では、髪の本数の増え方に差はありませんでした。5%ではかゆみ・刺激・毛が濃くなる副作用が多く報告されています [[15034503]]。濃度が高いほどよく効く、とは言えません。日本の薬局で今売られている5%は男性用で、女性向けに認められているのは1%の製品(20歳以上)です。
泡タイプ404人の試験では、12週間(約3か月)の時点で10.9本、24週間(約6か月)の時点で9.1本、有効成分なしの泡より多く増えていました [[27391639]]。使い始めて3か月ごろから差が出ていたことになります。やめたあとや、より長い期間は、[ミノキシジルは何か月で効く?やめたら戻る?](/evidence/minoxidil-timeline)にまとめています(男性の試験が中心です)。
ミノキシジルにレーザーを足しても、髪の本数に差はありませんでした(男女の試験4件のまとめ)[[39828269]]。一方、女性45人の試験では、ヘルメット型は5%ミノキシジルと同じくらいの効果で、併用したグループの満足度がいちばん高くなりました [[28489273]]。
この記事の研究は、女性型脱毛症の女性が対象です。産後の抜け毛を対象にした試験は、今回集めた研究にありません。原因を確かめるため、気になるときは皮膚科で相談してください。
女性型脱毛症の女性を調べた試験47件をまとめ、ミノキシジルの塗り薬で髪の本数が増えた。
薄毛の男女279人の4件で、飲み薬と塗り薬の髪の密度の増え方に差はなかった。
女性381人で、どちらもプラセボより髪が増え、5%では副作用が多かった。
女性がヘルメット型の機器を1日おきに16週間使った試験。髪の増え方が偽の機器より37%多かった。
研究14件・967人で、成長期の髪の密度は増えたが、総本数に有意な差はなかった。
研究36件・10,029人で、薄毛や抜け毛のある女性は鉄の蓄えが平均18.51低かった。
研究17件で、お酒や甘い飲み物が多い人ほど抜け毛が多い関係があった。
女性404人が24週間使い、有効成分なしの泡より髪が1cm²あたり9.1本多く生えた。
男女の試験で、飲み薬では頭痛(20%)・めまい(15%)・足のむくみ(5%)が見られた。
治療はまず5%ミノキシジルから始め、鉄・亜鉛などの検査も勧めている。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。